埼玉県議会

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ページ番号:27612

掲載日:2019年5月30日

平成26年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (吉田芳朝議員)

埼玉県の医療政策、医師不足対策について

Q 吉田芳朝議員(民主・無所属)

昨年から民主党・無所属の会では所属議員全員が参加をし、県立医大設置検討プロジェクトチームを設置し、シンクタンクのご助力もいただきながら、埼玉県の医療資源がどのように不足しているのか定量的に把握するとともに、課題解消のための打ち手を検討してまいりました。特に県保健医療部が行った国保加入者の受診動向調査結果や、私たちが独自に行った患者さん約一千名に対して行った受診動向調査を参考にしながら、また、県内の二次医療圏ごとに中核病院の病院関係者の方々数十名から直接ヒアリング調査をさせていただき、埼玉県が置かれている医療資源の不足とその解消策について調査研究を進めてまいりました。

近年、全国各地で医師不足による地域医療の崩壊が散見されるようになっています。医師不足と言われるものの、日本の医師数自体は1998年の約25万人から2008年には約28万人へと増加しています。ただ、人口10万人当たりの医師数はまだ210人。これはOECD諸国の平均310人を大きく下回っているのが現状で、国際的に見て非常に少ない状況であります。

ただ、医療崩壊が社会問題としてクローズアップされるようになったこともあり、2006年、長年続いていた抑制策から医師を増やす方針に180度転換をいたしました。「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会では、大学医学部の定員を将来的に1.5倍程度となる約1万2千人に増やす必要があるとし、政権交代以降もこのスタンスは基本的に変わらず、大学医学部の定員は増え続けています。

このように、現在は大学医学部の定員を増やす方向で政策を進めている上、メディカルスクールによる新しいスタイルの医学教育の検討が進められるなど、今後の医師数増には期待を持つことができますが、時間がかかるのも事実です。また、需給バランスの崩壊や地域及び診療科の偏在などの問題もあり、単純に医師数を増やせば医療崩壊が解消されるわけではありません。

医師不足を招いていることの一つには、医療需要の拡大が挙げられます。高齢化が進むことや医療の進歩によって医療需要が拡大、それに合わせた医師の必要性につながります。特に高齢者医療は、特定の疾患の治療というよりも生活習慣病に代表される様々な慢性的疾患を中心に、予防も含めた幅広い総合的な診療機能が求められるわけですが、日本の医師教育は医療・医学の進歩に伴う専門性、高度化に伴う形で進められてきたため、長年専門医育成が中心となっており、これがいわゆる高齢者医療の軸となるプライマリ・ケアを担える医師の育成は遅れております。

これに関し、日本プライマリ・ケア連合学会や厚生労働省の専門医の在り方に関する検討会での議論によって、新たな専門医制度で専門医資格や養成プログラムの認定などを行う機関として、来年度に設置される予定の総合診療医養成プログラムが検討されることになっていますが、まだまだ端緒というのが現状であります。

専門医の認定制度に関しては、総合診療医のほかにも現在、その在り方や育成方法などについて検討が進められています。医師を増やすに当たっては、どのような医師を増やしていくべきか明確な方針がなければ、結局診療科の偏在という状況を招くことになりかねません。

そこで質問いたします。現在、医療の分野では、診療科が高度に細分化され過ぎていることが医師不足に拍車をかけていると捉え、それゆえ総合診療医や総合診療科的な機関や機能が必要と捉えていますが、国の方針を待つことなく県として独自にできることがないか、知事にお伺いをいたします。

次に、病院勤務医の疲弊という点に関してお伺いをいたします。

病院勤務医は、訴訟の増加に伴う萎縮医療、在院日数の短縮による受け持つ患者数、仕事量の増加、手当なしの当直業務などの過剰な勤務実態に加え、事務作業の増加やインフォームド・コンセントの充実など従来にはなかった仕事が大きく増えてきています。こうした問題を解消するため、医療クラーク等の充実や医師以外のメディカルスタッフのチーム医療の実践によって、医師が医師にしかできない本来業務に専念できる環境をつくることが期待されています。医療クラークに関しては診療報酬の加算の対象にもなっていますが、額としてはいまだ不十分なため、各病院が十分に雇用できているというところには至っていません。

そこで質問いたします。医療クラーク等の充実や医師以外のメディカルスタッフとのチーム医療の実践によって、医師が医師にしかできない本来業務に専念できる環境をつくることで負担の軽減を図るため、県として何らかの補助ができないでしょうか、知事にお伺いをいたします。

さて、医師の全体数は増加しているにもかかわらず、地域や診療科による偏在が起きる要因としては、誰がどこでどの医師になろうと自由である自由標榜制によるところも大きいと思われます。アメリカなどとは違い、日本では誰もが希望する科の医師を標榜できます。一昔前は外科や内科、小児科、産婦人科など主流とされる医局に入局する医師が多かったわけですが、近年では比較的時間的な余裕のある皮膚科や精神科などの人気が高まっています。その半面、外科、産婦人科、小児科等の診療科の医師数は、ほとんど変わらないかもしくは微増するにとどまるなど診療科の偏在があらわれ、その傾向は比較的厳しいと言われる診療科で顕著になっています。

例えば、外科の病院勤務医が体力的や金銭的なことを理由にし、内科や整形外科を標榜して開業するというケースが増え、外科の医師不足に拍車をかけることになっています。また、産婦人科の場合、医療訴訟が大きな問題となっています。刑事責任の有無にかかわらず、公判請求されればその対応に膨大な時間がとられ、たとえ予定日の妊婦を担当していても出廷せざるを得ない。その間は、お産を含めた診療を制限せざるを得ないのが現状であります。産婦人科の医療訴訟件数は医療関係訴訟全体の10パーセント前後を占めており、他科の医師に比べ医療訴訟を抱えるリスクはかなり高い現状であります。

そこで質問いたします。医師偏在を解消するために、埼玉県総合医局制度を設けて取組が始まっていますが、単に不足を補うだけでなく何らかの目標値を設けるべきと考えていますが、知事よりご見解をお伺いいたします。

医師の絶対数が不足しているのは事実であり、医師数を増やしていかなければならないのは事実であります。しかし、これまで述べてきたとおり、何の方針もなく、やみくもに医師数だけを増やしても地域や診療科の偏在といった問題は解決できません。

病院を新たに造って箱物から建てるとなると莫大な費用が必要になる上、新たな指導医の確保などの問題も起こります。今後、既存の病院をベースにした新しいスタイルの医学部教育や、メディカルスクールの仕組みなどの採用なども併せて検討すべきであります。固定観念にとらわれず、規制緩和を絡めながら医学教育の在り方をいま一度考えてみる必要があります。

また、自由標榜制がある限り、医師がよほど増え、飽和状態とならない限り診療科の偏在はなくなりません。今後、県として保健医療部、福祉部、病院局等々がしっかりと連携をし、どのような医師をどれくらい教育していくのか明確な方針を構築しない限り、偏在の解消は難しいと考えます。

県として、県内の医師数増が必要な明確な理由とその目標値をどのように置いているか、基本的な方針について、知事にお伺いをいたします。

A 上田清司 知事

まず、「総合診療医」や「総合診療科」的機関や機能について、国の方針を待たず県として行えることはないかについてでございます。

埼玉県では国の動きに先駆けて、住民の高齢化率が高く病院勤務医数が少ない秩父地域で「総合診療医」の育成に取り組んでおります。

平成24年には、総合的な診療を行う医師を育成するため、秩父地域の複数の病院を3年間ローテーションして学ぶシステムを構築したところでございます。

現在、2人の医師がこのシステムを活用して資格の取得を目指しております。

また自治医科大学附属さいたま医療センターでは、すでに総合医の育成のためのプログラムを運用しております。

埼玉医科大学では、平成19年度に「総合診療内科」を設置しており、幅広いケースに対応可能な医師を育成しております。

今後、埼玉県総合医局機構では、こうした大学病院や秩父地域での取組も参考にして「総合診療医」としてのキャリア形成のできる研修プログラムを策定してまいります。

次に、医療クラークや医師以外のメディカルスタッフの充実に対する県の補助ができないかでございます。

現在、病院内保育所の整備や学会参加への補助などを行い、看護師の職場定着を進めるとともに、チーム医療を担うことのできる専門的な看護師の養成を行っております。

今回の診療報酬改定においては、医療クラークが病棟などで一定以上の割合で業務を行う場合には、新たな加算が行われることになっております。

どの様な医療従事者の充実が望ましいのか、あるいは診療報酬改定の効果など、医療現場の声を聞きながら引き続き医師の負担軽減に取り組んでまいります。

次に、医師偏在を解消するために何らかの目標値を設けるべきというお尋ねでございます。

現在、医学生に対する奨学金や研修医に対する研修資金の貸与を行い、医師の育成や県内誘導を行っているのはご承知のことと思います。

貸与を受けた者は産科、小児科、救急の分野で県内病院に勤務するか、医師の不足している秩父や県北地域の公的医療機関などで勤務することが義務付けられております。

こうした取り組みを継続することで、団塊の世代が全て後期高齢者となる平成37年、2025年には、約450人の医師に県内各地で活躍していただけるものと考えております。

埼玉県総合医局機構では、これらの医師を不足する診療科や地域に派遣するだけではなく、本県に定着し、活躍し続けてもらう仕組みづくりにも取り組んでまいります。

次に、県内の医師数増が必要な明確な理由と、その目標値をどのようにおいているかでございます。

救急医療や周産期医療は県民の安心・安全にとって必要不可欠である一方、全国的に見て人材が不足している分野でございます。

一方で高齢化が全国で最も速いスピードで進む本県では、在宅医療をはじめとする医療需要の急増が見込まれ、「総合診療医」の必要性が高まっております。

こうした両方の課題に適切に対応するためには、医師数の確保を図る必要がございます。

平成24年度に民間シンクタンクに委託して行った調査によりますと、平成42年、2030年には約13,000人の医師が必要になります。

現在の医師確保対策を継続していけば、この数は充足すると見込まれております。

一方、医師自身の高齢化、女性医師の増加、病院勤務医の勤務環境の改善などを加味すると、平成62年、2050年には約16,500人の医師が必要となり、その時点では逆に1,300人が不足する予測もございます。

この人数の乖離(かいり)をなくすため、医師確保対策をさらに積極的に推進することに加え、医師の負担や医療需要を減らす取り組みも必要となります。

今後は医療提供体制をこれまでの病院完結型から、病院勤務医と開業医、医師と訪問看護、歯科医、薬局、介護施設などが役割を分担し、地域全体で一人一人の患者に対応する地域完結型とも言うべきものに変えていかざるを得ない、このように考えるところでございます。

これらの取り組みを総合的に推進し、医師不足の課題に対応してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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