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掲載日:2019年5月31日

平成25年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (日下部伸三議員)

埼玉県の救急医療体制の改善策について

Q 日下部伸三議員(無所属)

アメリカのオレゴン州のオレゴン・ヘルスプランの管理部局には、「Cost,access,quality.Pick any two(コスト・アクセス・クォリティー、ピック・エニー・ツー)」という言葉が額に入れられております。コストとアクセスと質のうち、二つしか満たせないという意味ですが、これほど医療保険制度の本質を的確に表している言葉はありません。具体的に申しますと、アメリカの医療は、アクセスと質を担保しているために、べらぼうなコストがかかります。ニューヨークで盲腸の手術をすると2泊3日の入院で216万円、国民医療費の対GDP比も17.7パーセントで断トツの一位です。
イギリスの医療は、質とコストを担保しているためにアクセスに問題が生じて、がんと診断されてから手術を受けるまで半年待ちで、手遅れになるケースもあります。イギリスで2泊3日の入院で盲腸の手術を受けると151万円ですが、アクセスが制限されているために、イギリスの国民医療費の対GDP比は9.4パーセントにとどまり、14位です。
日本の国民医療費の対GDP比は、イギリスとほぼ同じの9.6パーセントで12位ですが、日本で盲腸の手術を受けても、1週間入院しても4、50万です。がんと診断されてから手術まで半年も待たされることはありません。日本の医療では、コストとアクセスが担保されているために、夜間、休日の救急医療の質に問題が生じているわけです。
先ほどわが国の救急医療の問題点として、国民のニーズがいつでもどこでも専門医の治療と診断となっていることを挙げましたが、埼玉県下で全科の医師が当直しているのは、埼玉医大の毛呂の本院と川越の医療センター、そして防衛医大の3病院しかありません。しかも、当直は入院患者のための当直であり、急患を診るためではありません。入院患者の急変と外来の急患に対応するためには、各科2名の当直医が必要になります。かつ、週1回、月、土日1回の当直で回すためには、各科10名の医者が必要となります。各科10名の医師を確保するには莫大な費用がかかりますし、そもそも専門医はそんなにいません。先ほどパネルで示しました切断指の再接着ができる医者は、埼玉県に10人いません。特に、県北では皆無です。
まず、コスト・アクセス・クォリティー、ピック・エニー・ツーの原則と、いつでもどこでも専門医の診断と治療は不可能という認識を共有できるか否かについて、知事に伺います。
次に、医療過誤に対し刑事罰を科す日本の刑法は、手術に失敗した外科医の腕を切り落とす4千年前のハムラビ法典と同じレベルで、難しいとは思いますが、埼玉県警は、よほど悪質なケースを除き、医療過誤については書類送検としないとすることが可能かどうか、警察本部長に伺います。
埼玉県では、よほど悪質なケースを除き、誤診や手術ミスでは書類送検されないとなれば、本県の医師不足はあっという間に解消いたします。
第三は、勤務医の不足ですが、正攻法は、やはり県立大学の医学部の設置です。今年の予算特別委員会で私が知事に、医学部の設置について、自ら国に陳情に行ったか否かを尋ねたところ、知事は、自ら動くのは、付属病院となるべき総合病院を誘致してからと答弁されました。それに対して私が、医学部の付属病院は、1か所の総合病院である必要はなく、県立4病院と県リハを加えた5病院でほぼ全科をカバーしているので、県立5病院を附属病院としてはと再質問したところ、知事は、教授の異動など課題が多いのでは答弁されました。
私は、医学部を卒業しておりますが、教養課程の2年間と基礎医学の2年間を越谷キャンパスで行い、最後の2年間の臨床講義と実習を各病院でやれば、全く問題ありません。県立病院の部長から、県立大学医学部の教授になることに反対する医者はいません。臨床講義と実習は、学生を5病院に分散ローテーションさせれば、各病院に10名程度の宿泊設備があれば足りる話です。研修医のことをレジデントといいますが、欧米では、病院に住み込みで働いている医者のことをレジデントといいます。私も研修医時代は、月、火、水、金、土の週5日当直でしたが、医学部の5年目、6年目は、ほとんど病院住み込みでよいと思います。県立5病院を医学部の付属病院として活用することについて、改めて知事の見解を伺います。
去る11月29日に、下村文部科学大臣が東北地方の医学部新設を認めました。村井宮城県知事が首相官邸に出向いて安倍総理に陳情し、総理が下村文部科学大臣に検討を指示したところ、宮城県医師会の反対にもかかわらず、約2カ月で決まってしまいました。雲の上の存在である知事には、一般県民の素朴な疑問は届いていないと思いますので、私が伺います。
スカイツリーの誘致や310メートルのシンボルビルの建設ができなかったように、上田知事には、医学部の設置や地下鉄7号線の延伸のような国を動かさなければできない仕事は無理ではないかという一般県民の素朴な疑問にお答え願います。
第四は、県立病院にもう少し救急医療をやってもらうことと考えますので、これについても知事に伺います。
これは、最近の某新聞ですけれども、埼玉医大総合医療センターのこの先生ですね、私の上司だったんですけれども、救急病院になっていない県立の4病院が、もう少し救急医療を頑張ったらどうかと述べられています。今年の予算特別委員会でも、私の、県立病院は救急告示機関であることが望ましいと考えるか否かという質問に対して、知事も病院事業管理者も、望ましいと思うと答弁されています。
6月定例会の討論で、11回以上断られた患者さんは県立循環器・呼吸器病センターが受けるとすれば、年初のようなたらい回しの問題の大部分は解決し、救急隊にタブレット端末を持たせても、受け入れ先の病院が決まるわけではないことを申し上げました。
昨年、11回以上断られた重症例は167件あります。そのうち、多発外傷のような救命センターで対応すべきものが38件、小児科で対応すべきものが1件ですから、残りの128件が脳卒中や心筋梗塞など循環器、呼吸器系の重症例と考えられます。病院局は常々、県立病院の役割は3次の重症を担うこととおっしゃっておりますので、まさに、この11回以上断られた128件の重症例を受け入れることが県立循環器・呼吸器病センターの責務ではないでしょうか。同センターの循環器内科は、常勤医12名、研修医3名いますから、2人当直体制は可能です。常勤医6名の心臓血管外科は当直医1人とオンコール1人、常勤医4名の脳外科は1人、週2回のオンコールというシフトなら組めます。初療は循環器内科の当直医が診て、必要であれば心臓血管外科医あるいは脳外科医を呼ぶという体制をとれば、年128件、つまり3日に1件ですね、わずか3日に1件です。この重症例の受け入れは可能です。また、3日に1件の重症例すら受けられない病院に、年間17億3,000万も運営費を補助する必要はありません。
病院局は、よく、救急告示機関になると1次、2次の軽症患者がたくさん来て、県立病院本来の目的である3次の患者が診れなくなるとおっしゃいますので、百歩譲って救急告示機関にならなくても、延べ11回以上断られた患者さんは県立循環器・呼吸器病センターが受けるという内規的な通達を県下の救急隊に出すことは可能だと考えますが、知事の見解を伺います。
私は、公立病院に勤務したこともありますので、県立病院が救急医療に消極的な本当の理由も分かっております。救急告示機関になると、仕事量が増えて大変だからなんです。公立病院では、頑張って救急患者をたくさん診ても、満床とか専門外と言って断っても、医者や看護師の当直量は同じです。逆に、救急患者を診れば診るほど医療過誤の機会も増えます。この状況で、誰が救急医療を率先してやるでしょう。
今ほとんどの民間病院では、頑張った者が報われるように、医師と看護師に救急車の受け入れ数に応じた歩合をつけております。うちの病院でも歩合をつけております。公務員の身分のままで給与体系をいじるのは難しいので、やはり県立病院は独立行政法人化すべきです。県立病院の独法化についても、今年の予算特別委員会で質問しましたが、知事のご答弁は、「病院局で独法化を検討させたらノーだった」でした。既に自主再建能力を失った病院局に自らの独法化を検討させるのは、国鉄に国鉄の民営化を検討させるのと同じで、答えはノーに決まっています。救急告示も病院局自らに検討させたら、答えはノーに決まっています。病院局の独法化と救急告示は、病院局に検討させるのではなく、第三者機関に検討させ、その答申を受けて知事が判断すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

A 上田清司 知事

まず、「救急医療体制について」のお尋ねのうち、「埼玉県の救急医療体制の改善策について」であります。
医療費の安さ、かかりやすさ、質、その全ての面で高い水準を維持していくことが、急速に超高齢社会を迎え、医療ニーズが急増する中でますます困難になっていくものという説であります。
またいつでも、どこでも、どのような病状でも大病院の専門医の診療を求めることが、私は事実上不可能だと考えております。
これは本県のみならず日本の医療が抱える大きな課題であると認識しています。
基本的に、かかりつけ医と専門医の分業体制が必要である。このように思っております。
こうすることを、県民の皆さまにできるだけ理解していただけることを、これからも進めていかなければならないという、そういう考え方では同感であります。
次に、県立5病院を県立大学の医学部付属病院として活用することについてでございます。
問題提起を聞いておりますとなかなか良さそうな感じなのですが、実際は困難なことばかりが多いと受け止めております。
理由を申し上げます。
国の大学設置基準により医学部を置く大学には教育研究に必要な施設としての付属病院を置くこととされています。
この付属病院は総合的な診療科を備えている必要がありますが、現在の県立5病院には、産婦人科がございません。
また、講義や実習に関連病院を活用する場合には1時間以内に移動できる距離であることが条件とされています。
例えば越谷市の県立大学と熊谷市の循環器・呼吸器病センターは約60km離れておりまして、2時間近くかかります。
さらに付属病院には、教育・研究・診療に従事する相当数の専任教員を置く必要がありますが、現在の県立病院の医師でこれを満たすことはできないと思います。
議員ご提案のような付属病院の形態は、現在の運用では想定されておりません。
次に、知事には医学部設置のような国を動かさなければできない仕事は無理なのではないかでございます。
これは、少なくとも2期目の話でマイナスなことが起きました。
ツリーの話にしても、あるいは三菱の頓挫の話にしても。
しかし、私は3期目の選挙で79パーセントの得票率が84パーセントになっておりますので、県民が私に失望したという風には思っておりません。
これまで埼玉から政策を発信して、国を動かしてきた事実はたくさんあります。
生活保護世帯の子供に学習支援を行い、高校進学率を97パーセントと県全体の水準まで引き上げました。
この取り組みは、厚生労働省から全国の地方自治体に紹介されて、オール日本のバイブルとなっています。
それ以外にもたくさんありますが、あえて申し上げません。
次に、延べ11回以上断られた患者は県立循環器・呼吸器病センターが受けるという内規的な通達を救急隊に出すことについてでございます。
これも魅力的な提案でございます。私も何度か検討させていただきました。循環器・呼吸器病センターは、循環器および呼吸器系疾患に係る高度・専門医療を提供しております。
同センターでも24時間・365日、地域の医療機関では対応困難な患者の受け入れのため、医師、看護師などから成る当直体制も敷いております。
これは類似の高度・専門医療機関で、救急告示機関でもある群馬県立心臓血管センターと同じ人数の当直体制です。
救急患者の受け入れ実績は、群馬県立心臓血管センターが年間約1,600人であるのに対し、循環器・呼吸器病センターは年間約5,500人で3倍以上の多くの患者を受け入れております。
また、循環器・呼吸器病センターは、広域災害・救急医療情報システムに救急対応診療科目及び集中治療室の空き状況などの情報登録を行っており、各市町村消防は同センターを救急医療機関として認識しております。
このように、循環器・呼吸器病センターは、救急告示機関と同様の役割を既に担っております。
さらに、県の支援により導入するタブレット端末の有効活用について、地元消防本部と検討を始めたと聞いております。
具体的には、救急車の中で記録した患者の心電図をタブレット端末により循環器・呼吸器病センターに直接送信してもらうことで、地域の医療機関を経由せずに、救急患者の受け入れや振り分けの適切な判断を行います。
これにより、地域の医療機関では対応が困難な、重篤な救急患者の受け入れを、今まで以上より迅速に行うことが可能になってくると思っております。
受け入れを断られた回数にかかわらず、引き続き、重篤な循環器・呼吸器系の救急患者については積極的に受け入れていかなければならないと思っております。
また、救急告示病院化についても、引き続き、地元医師会、消防本部などとの調整を図ってしっかりやってまいります。できてないからすべてが終わりということではありません。それと同じようなことはもうすでにやっております。ぜひ、ご理解を賜りたいと思います。
次に、病院局の独法化と救急告示を第三者機関に検討させ、その答申を受けて知事が決断すべきではないかということでございます。
独立行政法人化は、経営改善の手段の一つであって、それ自体が目的ではないと思っております。
独立行政法人化の先進事例も調査した結果、一般会計の負担が増加するなど、必ずしも経営改善に役立ってない、そういう事例もたくさんあります。
一方、今、県立病院は新病院の建設など大きなプロジェクトを抱えて、その真っただ中にあります。まずこれをしっかり片付けるべきだと私は思っております。
その後、独立行政法人化については検討しなければいけないと思います。第三者機関に頼むのも重要だと思っております。
また、そうした救急告示病院化についてもそうですけども独立行政法人化についても、当然私が最終的には判断しますが、プロのみなさんたちの意見もよく聞いていきたいと思っています。

A 金山泰介 警察本部長

警察は、刑事訴訟法に基づき、犯罪があると思料するときは、所要の捜査を行い、事案の真相を明らかにする責務を負っております。
また、「犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」と定められております。
したがいまして、医療関係者や被害者等の届出等により、医療過誤事件を認知した場合には、慎重に捜査を行い、原則として検察官へ送致いたしております。
今後も、県警察といたしましては、医療過誤事件を認知した場合、適正な捜査に努めてまいりますので、ご理解願います。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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