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ページ番号:16245

掲載日:2019年5月31日

平成25年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (新井一徳議員)

事業の抜本的見直しを~ドラッカーの視点から~

Q 新井一徳議員(自民)

皆さん、ピーター・ドラッカーをご存じであると思います。20世紀のビジネス界に最も影響を与えた思想家であり、東西冷戦の終結や転換期の到来、社会の高齢化などをいち早く世に広めたことでも知られています。マネジメントの理念と手法を考案したことから「マネジメントの父」と称されており、20世紀を代表する経営者であるゼネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチや日本の最大手自動車メーカー、トヨタなどにも大きな影響を与えています。政界に目を転ずれば、英国のサッチャー政権の基本政策にも大きな影響を与えた人物でもあります。

最近は、若い起業家やビジネスマン、学生の間でも支持されています。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本がベストセラーになったことは記憶に新しいと思います。

そのドラッカーの言葉の中で最も印象的なものの一つに、「イノベーションとは、まず、廃棄することから始めなければならない。そして、そこに関わっていた人と予算を、明日の分野に使わなければならない」という趣旨の言葉があります。そして、あらゆるサービス機関が守るべき原則として、「現在行っていることは永遠に続けるべきものではなく、かなり近いうちに廃棄すべきものである」とも指摘します。これは、まさしく行政に必要な言葉なのではないでしょうか。

行政は、一度始めたことはなかなかやめられません。縮小はできても、廃止することはできない体質を持っている。これは、私が新聞記者時代に取材活動を通じて日々感じていたことでもあります。その背景として、なかなか瑕疵(かし)を認めようとしない、そんな土壌があるようにも感じます。

ドラッカーは、事業の見直しに当たり、このようなことも言っています。「今やっていなかったとして、これからそれを始めるかという視点で見直す必要がある。そして、今からだったら始めないというのであれば、その事業は廃棄すべきだ」と。まさしく、この視点で県の事業を総ざらいして、全て見直すことが必要ではないかと思うのです。事業を廃止することを積極的に、そして前向きに考えなければならない。事業の廃止や廃棄は、決してマイナスではなく、逆にプラスなのだという発想の転換が必要だと考えます。そして、旧態依然として使っていた人やお金などの資源を新たな分野に投入するのです。これにより、イノベーションのスタートを切る体勢が整うのではないでしょうか。こういった考えが浸透するには、事業を思い切って廃止した課長ら職員を評価するぐらいの気持ちが必要であると考えます。

そこで、今やっていなかったら、これからそれを始めるかという考えを基準に、全ての事業を見直してみてはいかがでしょうか。そして、県民生活に悪い影響を及ぼすことなく事業や組織を廃止、廃棄した職員を給与や人事などの面で優遇評価する仕組みを作れないものでしょうか、知事のご所見をお伺いいたします。

A 上田清司 知事

まず、「事業の抜本的見直しを~ドラッカーの視点から~」のお尋ねのうち、「今やっていなかったら、これからそれを始めるか?」という考え方を基準にすべての事業を見直したらどうだ、というご質問でございます。

私は、知事就任当時に、200人の課所長と全員、一人ひとり意見交換をすることをやりました。そういう意見交換の場でまさに自分の課などをいらないから潰しましょうという意見がないかということも確認しましたら、二百人のうち一人だけいらないというのがいました。それ以外はそういうのはいませんでした。

地方公共団体の組織や事業というのは、各種団体や各政策分野に対応するような形でできあがっていますので、廃止をするとかあるいは縮小するという話になってくると、その対象とする団体あるいはその政策そのものを否定しているのか、あるいは軽視しているのか、というふうに見られがちですので、現実的にはなかなかこの統廃合がしにくい状況にあって困難なところがあります。実際、公共施設なども統廃合の話をすると地元的には反対と、新しいものを作ることは賛成と、こういう実情があることもご理解を賜りたいと思います。

ドラッガーの言うところのお話は、そういう意味では行政の場合は極めて困難な状況があります。

しかしあえて、埼玉県はそれに挑戦しようということを、私は常々申し上げてまいりました。

したがって、例えば指定管理者制度の導入とかITの導入というものは、結果的には職員の数を減らす話になってくる。そうすると、既存の労働組合からすれば、どういうことだという話になってきます。そういう意味での基本的な抵抗も出てきます。あるいはそれと関連している団体関係も「困る」という話が出てきます。そういうものを、常にある意味ではストンと切るような話になっていきますけども、それをしっかりやってきたというところが、ある意味ではこれまでの埼玉県であったのではないかというふうに思っています。

議員ご指摘の俗に言う「もしドラ」。これは私も読み、また幹部職員にも推奨し、ほとんど県庁の幹部職員は読んでおります。

この「もしドラ」を通じて結果的にお隣、韓国の長城郡という町で株式会社の理念を取り入れて、お役所体質の改革に成功したということで全世界から注目されました。

そこで昨年10月にはこの取り組みに携わり、多くの経営者から高い評価を受けている張万基韓国人間開発研究院会長という方を招いて、さいたま商工会議所で講演もいただきました。

同じように、このドラッガー博士の考え方と似たような話が多くありました。その経過の中で本県においても、これまでの改革志向をはるかに超えるようなことができないか、ということで「もし県庁が株式会社だったらどうなる」という視点からさまざまな提案を求めたところ、全ての所属から1,305件のアイデアが出てまいりました。そして、その提案に基づいて279全ての所属で改善に取り組んでいるところでもあります。
公共団体としての埼玉県の限界というのはありますが、常に「株式会社だったらどうする」ということは極めて重要ではないかというふうに思っております。

例えば、窓口で、県のカウンターに色々なレターケースがあります。これは自分たちが書類を市民、県民に渡すときに便利でありますけれども、向こうからはカウンターがふさがっているので邪魔です。自分の荷物を置きたいのに置けないという形です。これが株式会社であれば、そういうことはありません。やはりサービス精神に欠けていることは間違いありません。

そういう意味での視点というのがまだまだ行政側には欠けているような気がしますので、これからも組織の見直し、あるいはこの「株式会社だったらどうする」という観点からの見直しを御指摘のように進めていきたいと思います。

次に、事業や組織を廃止、廃棄した職員を給与や人事などの面で優遇、評価する仕組みを作れないかということについてでございますが、課所長級以上の職員については、現行の人事評価制度の中でも既存事業の効果を検証し改善に取り組んだ者を評価し、人事や給与に反映するようなことになっております。

また、一般職員も含め改革意欲やコスト意識を持って、目に見える成果や実績を挙げた職員は人事異動の際に積極的に評価し、登用しております。

スクラップの成果をビルドの成果と同じように評価する、これは非常に重要なことだという風に思っております。しかも、時機を逸することなく人事で処遇する、これも極めて重要だと思っております。職員のやる気を高めて組織を活性化するには、こうしたことが必要だと思っております。

今後も、改革に積極的に取り組み成果を挙げた職員を、適正に評価して人事や給与に反映できるように努めてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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