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掲載日:2019年5月31日

平成25年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (井上将勝議員)

有料老人ホームの経営状況把握の徹底を

Q 井上将勝議員(民主・無所属)

介護保険制度の発足以降、右肩上がりに増えてきた有料老人ホームなどの社会福祉事業者ですが、その一方で、近年では経営悪化する事業者が増加をしています。今年、帝国データバンクが公表したデータによると、2000年から2012年の間に164件倒産し、昨年は29件と、2009年に続き過去2番目の高水準となりました。2000年の介護保険法施行をきっかけに、介護関連事業に参入して活路を開こうとする企業が相次ぎ、徐々に競争が激化、さらに2006年の改正介護保険法による介護報酬の引下げなどにより経営環境が悪化し、2007年以降、倒産する事業者が増加をしました。2010年と2011年は、中小企業金融円滑化法の影響もあり減少傾向でしたが、同法の終了に伴い倒産件数が増えることも危惧されます。
有料老人ホームは、介護、看護、食事などの生活サポートサービスが一体的に提供されており、これらの必須のサービスが止まれば、生活を続けることができなくなります。さらに、有料老人ホーム入居者の場合、ついの住み家として自宅を売却して高額の入居一時金をホームに支払っているケースも多く、自宅での生活に戻ることもできません。入居している老人ホームの倒産は、入居者、家族にとって最大最悪のリスクとなります。
有料老人ホームにおいて経営が悪化している要因として、当初からの甘い入居率設定による入居者不足や、介護スタッフ不足による人件費の高騰、設定していたよりも軽い要介護度の入居者を入居させることによる保険料収入の減少などが挙げられますが、今後発生する経営課題として最も危惧されるのが、入居一時金経営の長期入居リスクと呼ばれる問題です。
有料老人ホームの最大の特徴は、居室や共用部を利用するという利用権と、その利用権料を入居時に一時金で購入してもらうという価格設定方法にあります。この入居一時金には、終身利用できる権利と償却期間の前払いという二つの意味があり、終身利用権としての入居一時金は、入居者から見れば総支払額が大きくなることへの保険の意味合いを持ちますが、事業者から見れば償却期間を超えた場合の利用権料を減額免除していることになります。設定した償却期間を超えて長期入居となる高齢者が増えると、利用料収入が得られず、収支は大きく悪化します。特に、要介護高齢者を対象とした有料老人ホームは、もともとこの償却期間が短く設定されていることから、この長期入居リスクはさらに高くなります。有料老人ホームが急増したのが2003年以降であることから、この数年で最初の償却期間が終了し、まさに長期入居リスクが顕在化することを考えると、有料老人ホームに対しては今まで以上に経営状況の把握に努め、手遅れになる前に適切な支援が行われるような体制にすることが急務です。
現在、県は有料老人ホームに対しては3年に1度の立入検査を実施しておりますが、その内容は施設管理が中心となっています。今後は、県が行う指導監査において、より踏み込んだ経営内容の把握まで含めるべきではないでしょうか。さらに、有料老人ホームの設置審査時に事業者が提出する事業収支に関わる文書や、年1回経営状況の報告を求める中で提出される文書については、より精密かつ専門的な見地から厳しく審査すべきではないでしょうか。現在の行政の立場では、経営には関与しないということですが、有料老人ホームは社会保障制度を利用するという社会性、公共性の高い事業であり、いざ倒産となると入居者、家族の生活を崩壊させます。また、その影響は地域の介護福祉ネットワークにまで及ぶことを考えれば、行政でもその経営状態をしっかりと把握し、突然の倒産、事業閉鎖を回避する必要があると考えますが、福祉部長のご所見をお伺いをいたします。

A 鈴木豊彦 福祉部長

これまで本県においては、幸いにも倒産等により有料老人ホームの入居者が施設を退居せざるを得なくなったというような事例はありませんでした。
経営悪化した有料老人ホームはありましたが、これまでは事業譲渡が行われ、入居者は引き続き同じ施設で生活することができております。
しかし、議員ご指摘のとおり、今後長期入居者が増え収支が悪化するなどにより、経営危機となる施設が出てくることも懸念されます。
有料老人ホームは基本的に民間の営利事業でありますが、高齢者にとっては終の住み家となる場合が多いことから、安定的、継続的な事業運営が強く求められております。
このため、倒産を未然に防ぐ取組や万一の場合に備えたセーフティーネットの構築が非常に重要になってまいります。
県では有料老人ホームの設置に当たっては、事業の継続性が担保されるよう、届出がなされる前に事業者との十分な協議と指導を行うとともに、設置後においても定期的な検査・指導を行っております。
一般的に、有料老人ホームは多角的な企業経営の中の一事業として実施されている場合が多いため、企業全体の収支を把握する必要がございます。
そのため、毎年、企業全体の決算書を提出させるほか、入居の状況、職員の配置の資料などにより、適切な運営がなされているか確認しております。
今後はこうした毎年の決算書を確認する際や、3年に1度の実地指導においても経営状況を十分見極めた指導を行い、必要があれば公認会計士等の専門家による経営分析・指導を行ってまいります。
また、万一の場合に備え、県では全国有料老人ホーム協会や県老人福祉施設協議会等の関係団体との間で、倒産があった場合には速やかに入居者を他の施設に転居させるという仕組みを既に構築いたしております。
県といたしましては、今後もこうした取り組みによりまして、有料老人ホームの安定的、継続的な事業運営と、利用者の安心・安全の確保に一層努めてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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