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掲載日:2019年8月30日
Q 沢田 力議員(自民)
日本のエネルギー政策を考える上で、3つのEが大切であると言われます。一つ目は、エナジーセキュリティ、安定供給の確保、二つ目はエコノミー、経済的で効率的で経済成長に寄与すること、そしてエンバイロメント、温暖化対策、さらに現実的にはこの3・11以降、原子力問題が最重要な政策課題となっております。福島第一原発の事故以降、日本に50基ある原子力発電所が相次いで稼働停止に追い込まれ、大幅な電力供給不足に直面して化石燃料を使用する火力発電に大きく依存している状況が続いております。
そうした中、貿易収支が31年ぶりに赤字となって、現在も4か月連続赤字が続いています。天然ガスや石油などの燃料輸入に年間3兆円近い経費が必要となっています。また、CO2排出量は電力9社合わせて昨年は4億3千万トンと過去最大の排出量となっています。東京電力管内では、火力発電にシフトしてから1キロワット時発電するときのCO2排出量が約24パーセントも増加したとのことで、事業所が、民間企業がいくら温暖化対策をしても、CO2排出量がなかなか減らない現実がございます。
民主党政権の下、9月14日に革新的エネルギー環境戦略が出されましたが、内容は極めて曖昧なものであります。周知のとおり、2030年代に原発稼働をゼロにするようあらゆる政策資源を活用するとうたい、原発ゼロを断言しているのか否か判断ができません。同時に、安全性が確認される原子力は活用すると言いますが、海外への輸出展開にも言及しております。
埼玉県では、エネルギーの安定供給の点から、太陽光発電などの埼玉エコタウンプロジェクトを推進していますが、今回の質問では経済活動と温暖化対策についてお伺いしたいと思います。
国際的には、皆様ご存じのとおり、1997年に京都で開催されたCOP3、気候変動枠組条約第3回締結国会議で京都議定書を採択して以来、2005年に発効されて2008年から今年の年末までの5年間で、1990年比で日本は6パーセント削減、アメリカは7パーセント、EUは8パーセントを削減する目標で取り組んでまいりました。そして、15年後の現在、カタールのドーハで今開催中のCOP18では、来年、2013年から20年までの8年間の枠組みについて議論が進みつつあります。残念ながら、日本やロシアは新枠組みには参加せずに、その目標達成が危ぶまれております。
そうした中、2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15以来、民主党政権の取り組みは一向に進まないものの、埼玉県が2011年度より取り組んでいる温暖化対策はとても意義があると認識しております。埼玉県では、東京都とともにCO2削減対策として、昨年度から大規模事業所を対象に目標設定型排出量取引制度を国に先駆けて実施しております。これは、2011年度から14年度までの4年間を第1計画期間として、大規模事業所に対して6パーセントまたは8パーセントのCO2削減目標を課すものであります。また、2015年度から20年度までを第2計画期間として、2005年比で25パーセントまで削減することを目標として掲げております。
そこで、第一に、埼玉県内の大規模事業所が取り組んでいる目標設定型排出量取引制度について、第1計画期間における6パーセントまたは8パーセントカットという目標達成ができているのか否か、環境部長にお伺いいたします。
第二に、福島原発事故以降、国のエネルギー政策が不透明な中で、温暖化対策が二の次になりかねない状況にあります。エネルギー事情の変化に伴い、埼玉県がいかに独自に取り組んでいくのか、経済成長を持続しつつ、今後のCO2削減問題に対する上田清司知事の基本的な考え方をお尋ねいたします。
A 上田清司 知事
日本は世界で5番目に温室効果ガスの排出の多い国であり、その削減に向けて大きな責任を負っております。
鳩山元首相は「温室効果ガスを2020年に1990年比で25パーセント削減する」という国際公約を掲げました。
これは2020年までに、新たに9基の原子力発電所の増設を前提とするものであり、原子力発電所がほとんど停止する中で、CO2の削減は非常に困難な状況になっております。
当面は化石燃料による火力発電に頼らざるを得ず、議員御指摘のとおり、電力消費が今までと同じであってもCO2は24パーセント増えてまいります。
現在行われている衆議院選挙では、脱原発、卒原発などエネルギー政策が争点になっているにもかかわらず、その脱原発、卒原発のプロセスは一切示されず、おまけにこのCO2削減についてもほとんど議論されないという、無責任な状況であります。
11月26日から12月8日までカタール・ドーハでいわゆるCOP18が開催されました。
温室効果ガスの削減に向けたスタンスがはっきりしない日本の立場は極めて苦しいものでございました。
今、私は、日本のこの状況を見れば、CO2の削減に向けた本気の取組というのは不可能ではないと思っております。
具体的には、再生可能エネルギーの拡大と徹底した省エネルギーの推進です。
ただ再生可能エネルギーはまだコストが高いなどの課題があり、それを解決しながらも、同時に当面は官民あげて省エネルギーの推進に取り組んでいくことの方が重要ではないかと思います。
それも中途半端な省エネルギーではなくて、大前研一先生などが言うように電力消費を30パーセント減らす、こういう思い切った省エネ対策を徹底して実践することが必要じゃないかと思います。
この30パーセントの消費電力削減は、2010年時点の原発の発電量に匹敵するからです。
過去にアメリカでは、自動車排気ガスの中の大気汚染物質をそれまでの基準の十分の一以下にするという厳しいマスキー法が制定されたことがあります。
世界の自動車会社が四苦八苦する中で日本は、革新的な技術開発によって即時にこれを達成したという実例を持っております。
したがって、一見高すぎると思われる目標を掲げ、省エネルギーを世界に先駆けて実現することは決して不可能ではない、私はそのように思っております。
そのため、超省エネ型の家電機器の開発や断熱型のスマートハウスの開発などが必要となりますが、そこにこそ技術日本の未来があると考えております。
こうした考え方に立ち本県は、エコタウンプロジェクトを進め、効率的に賢くエネルギーを利用できるモデルを作っていきたいと考えております。
平成23年度からは、世界でもまだ5地域しか取り組んでいない先進的な目標設定型の排出量取引制度を実施しています。
今後は、更に中小企業の省エネ対策を徹底的に実施することにより、全国のモデルとなるような埼玉独自のCO2削減を進めていきたいと考えております。
A 畠山真一 環境部長
目標設定型排出量取引制度のもと、各事業所は平成14年度から平成19年度までの間で任意に決めた基準年の排出量に対し、平成26年度までに6パーセント又は8パーセントのCO2を削減する計画に取り組んでいます。
基準年に対する平成23年度の削減量は現在集計中ですが、事業所全体では概ね20パーセント程度の見通しとなっております。
第一計画期間であります平成26年度までに、6パーセント又は8パーセントの削減という制度上の目標につきましては、多くの企業が達成できると考えております。
事業所からのCO2排出量の約5割は、電力消費に伴うものです。
この制度では、第一計画期間中は電力1キロワットアワーあたりの
CO2排出量を、原発停止前の値である0.386キログラムで固定して計算します。各企業のCO2削減努力を評価する尺度として固定する必要があるからです。
先ほど申し上げました20パーセント程度の削減見通しは、この計算によるものです。
ただし議員ご指摘のとおり、原発が停止し火力発電への依存が高まっている今、1キロワットアワーを発電する際のCO2排出量は、0.463キログラムと大幅に増加しております。
仮にこの値を用いて計算をしますと、平成23年度の基準年に対する実質的なCO2削減量は10パーセント程度ということになります。
平成27年度から始まる第二計画期間の目標設定にあたっては、こうした実態を踏まえ検討してまいります。
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