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掲載日:2019年10月4日

平成24年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (石渡 豊議員)

「がんパス」を稼働させ、本県のがん診療連携を構築しよう

Q 石渡 豊議員(公明)

本県のがん診療も一昔前とは大きく様変わりをしております。がんの専門病院もあれば、一般病院もあります。緩和ケア病棟もあります。そして、在宅療養を支援する診療所もあります。介護施設もあります。患者の状態が急性期なのか、回復期なのか、維持期なのか、まさにその時々の患者の状態によって治療が違ってくるからです。
本県はがん診療に関わる医療機関の役割を分け、患者中心の連携体制を構築するべき時がまいりました。患者中心の連携体制を構築するのはどこか、本県では県立がんセンターが担うこととなります。県立がんセンターは、県民に対して大きな二つの使命を担っています。一つは、都道府県がん診療連携拠点病院としての使命、もう一つは、県民にがんの高度先進医療を提供する病院としての使命。
一つ目の使命、がん診療連携拠点病院の側面から質問します。
連携の要となるものは、がんパスと呼ばれるものです。がんパス、本県でも県立がんセンターが作成されました。埼玉県医療連携手帳、これです。この手帳、がんパスは急性期の治療や手術を終えた患者に渡され、患者が持ち歩くものです。また、連携先の医療機関が活用するものです。このがんパスが普及しませんと患者は、回復期や維持期を迎えてもがん専門病院に通院し続けることになります。がんパスが普及しますと、一般病院やかかりつけ医でも患者は治療を受けられることになります。他方、がん専門病院はがん診療に専念できますし、各医療機関はそれぞれの役目が果たせるようになります。がんパスの普及が本県がん診療の喫緊の課題なのであります。
がんパスの運用件数を申し上げます。本県の現状でございますが、平成23年8月から24年7月までの12か月間で152件です。一方、全国で最も運用されているのは熊本県です。熊本県は、平成22年3月から24年7月まで27か月間で1050件です。私たち公明党議員団は8月30日、先進の熊本県を視察させていただきました。熊本県の都道府県がん診療連携拠点病院は熊本大学医学部附属病院ですが、がんパスが円滑に運用されるよう二つのことに臨みました。一つは、連携を進めるためのコーディネーターの配置、もう一つは、熊本県独自のがんパス、愛称「私のカルテ」の導入です。
一つ目のコーディネーターの配置ですが、配置された5名は懸命に活動されておりました。医療機関に対してはパス導入の研修会の実施、積極的な助言もされています。また、県民に対しては、講座を開催しながら普及啓発を図っておられました。もう一つの熊本県のがんパス、愛称「私のカルテ」の導入ですが、ここに実物があります。この「私のカルテ」はコーディネーターが手づくりしたものです。先ほどお見せしました本県の医療連携手帳は、これ。「私のカルテ」は、これ。議場の皆さまにお手に取って見ていただきますと一目瞭然なんですが、中身が決定的に違います。
何がどう違うのか、「私のカルテ」は患者にも分かりやすく、医療機関にも手間がかかりません。例えば患者のためにとお薬手帳や検査データも差し込めます。県下22か所となったがんサロンの案内も入っています。本当に良くできています。そして、常にブラッシュアップされている。とじ込みです。常にブラッシュアップされます。これはバージョン10です。医療スタッフには別冊のガイドとQ&Aも用意されています。これも随時改訂されています。こうしたコーディネーターのご努力、導入した医療機関のご努力、このご努力の結果「私のカルテ」の運用件数は飛躍的に伸び続けています。ずっと関わってくださっている熊本県がん診療連携協議会の先生方にも心からの敬意を表します。
それでは、お伺いします。一点目は、本県のがんパスの運用件数は152件と余りにも少ないと考えます。なぜなのか、本県の課題の分析結果をお聞かせください。
二点目は、課題克服のため、適切な人員数のコーディネーターを配置すべきと考えます。
三点目は、熊本県「私のカルテ」はとても参考になります。本県の医療連携手帳は作り変えるべきと考えます。以上三点、病院事業管理者のご所見を伺います。
ここからは視点を変えます。県立がんセンターの二つ目の使命、県民への高度先進がん診療を提供する病院という側面から質問をいたします。
やはり熊本県でございますが、活発にがんパスを運用している病院があります。全国一と言ってもいい。健康保険人吉総合病院です。視察をしました。病院長の木村正美先生と職員の方々が一時間半面談してくださいました。人吉病院の「私のカルテ」の運用件数は277件です。1病院で277件の運用です。病院長のリーダーシップと医療福祉連携室の並々ならぬ活動の成果です。医療福祉連携室では内部クレームの対応だけではなく、訪問活動をされています。連携の新規開拓と維持強化のために病院や診療所への訪問活動をなされていたのです。訪問活動までされている。これは余り聞いたことがございません。「なぜ訪問活動ができるのですか、人件費が大変なのでは」とお聞きすると、病院長からは「こうした訪問活動ができるのは、1病棟に1名のソーシャルワーカーを配置したためです」と明快な答えがあり、続けて「クラーク職も含め職員の手厚い配置をしていますが、当病院は赤字ではありません。付け加えますと」と言いました先生が、「医師不足も解消しました」とのお答えもいただきました。
本県の県立がんセンターに目を戻します。病院内に相談支援センターがあります。このセンターは地域連携役として3名配置されております。しかし、現状は内部活動で手いっぱい、とても地域の病院や診療所への訪問活動ではできないとお聞きしています。なお、平成25年には3名を6名にするともお聞きしています。
それでは、お伺いします。一点目は、この6名という配置で地域の医療機関を訪問し、患者の受け渡しをまめに行う、できますか。また、ソーシャルワーカーの人員配置ですが、新がんセンターは15病棟です。1病棟に1名の配置という人吉病院のように人員配置をより手厚くすべきと考えます、いかがですか。
二点目は、県立がんセンターが運用したがんパスの件数、わずか8件。8件にとどまっています。本県のがん診療連携拠点病院、拠点病院です。運用件数は増やしていただきたい。県立がんセンター独自に運用件数の目標を立てるべきとも考えます。今後3か年の目標を具体的にお示しください。
以上、二点も病院事業管理者にお伺いします。
その上で、保健医療部長にお伺いします。がんパスの運用を県立がんセンターだけで進捗を図りましょうといっても無理があります。保健医療部の出番です。お伺いします。本県内のがんパスの活発な運用へ向けて、本県全体の医療行政の進展を担われているのは保健医療部です。がんパスの活発な普及、運用に向けて、保健医療部からの基盤づくりの支援は必須と考えます。支援策をお聞かせください。保健医療部長、ご所見お願いします。

A 名和 肇 病院事業管理者

まず、「本県の「がんパス」の運用に関する課題の分析について」でございます。
がん拠点病院は、医療連携手帳、いわゆる「がんパス」を利用して退院後のケアをかかりつけ医療機関にお願いし、精密検査はがん拠点病院で定期的に行う診療連携を実施します。
本県の「がんパス」運用の課題として、手書きの記載項目が多く作成に負担がかかること、それから、多くのがん拠点病院で医師の「がんパス」推進の意識が低いことが挙げられます。
そのため、「がんパス」の運用件数が少なくなっております。
次に「適切な人員数のコーディネーターの配置について」でございます。
現在、がんセンターでは、診療連携を進めるためのコーディネーターとして、医療社会事業職を3名配置し、地域の医療機関との連携業務や相談業務に従事させております。
今年度は、診療連携をさらに深めるため、専門職員として医療社会事業職1名、医療事務職1名の2名を配置し、5名体制となります。
今後は、より一層、診療連携を推進するため、看護師など必要な人員の配置についても検討してまいります。
次に「本県の「医療連携手帳」がんパスを作り変えるべきではないか」でございます。
「がんパス」は、がん拠点病院とかかりつけ医療機関が、患者さんの情報を共有する重要なツールでございます。
医療現場や患者さんの声をもとに、ITを活用した上で、使い勝手のよい、より良い「がんパス」を作成するよう努めてまいります。
次に「ソーシャルワーカーの人員配置について」でございます。
がんセンターでは、まず、今年度中に配置する診療連携の専門職員が、地域の医療機関への訪問活動を行ってまいります。
しかし、今年度の5名体制では、十分とはいえませんので、加えて、各病棟に配置している医療事務職員と診療連携の専門職員を緊密に連携させるとともに、必要な体制についても、引き続き、検討してまいります。
次に「がんセンターのパス運用件数の目標について」でございます。
「がんパス」は、地域の医療機関に紹介できる患者さんを対象に、医師が患者さんの意向や療養環境をもとに、医学的見地から個々に判断し運用するものです。
一律に目標値を設定し推進することは困難でございますが、「がんパス」の重要性を考え、一件でも多く作成できるように努めてまいります。
今後も、がんセンターは、公衆衛生部門と協調しながら、「がんパス」を活用した診療連携を積極的に推進してまいります。

A 奥野 立 保健医療部長

本県では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病のいわゆる4疾病を対象に、県医師会と協働して医療連携手帳の活用を中心とした疾患ごとの医療連携体制の構築を進めております。
このうち、がんについては他の疾患に先駆けて、昨年8月から胃がん、肺がんといった罹患する方の多い5つのがんを対象にした医療連携手帳の運用を開始し、現在、がんセンターを含めた県内11か所のがん診療連携拠点病院で活用しています。
県では医療連携手帳の運用に当たり、がん診療連携拠点病院および連携する全ての医療機関を対象に説明会を開催し、広く周知を行いました。
また、拠点病院と県医師会で構成される「がん診療連携協議会」においても手帳をより使いやすくするため、運用マニュアルの作成などを行ってきました。
しかし、これまで1年間で運用された152例のうち、埼玉医科大学国際医療センターの実績が93件であり、医療連携手帳を全県に普及させるためには、まずはがん診療連携拠点病院のさらなる理解と協力が不可欠でございます。
他県の事例も参考にしながら、全ての拠点病院において医療連携手帳を積極的に活用していただけるよう県医師会とも連携して拠点病院に取り組みを促してまいります。
また、当部といたしましても県医師会や拠点病院などと協議しながら医療連携手帳の課題を検証し、より使いやすいものにしてまいります。
さらに、県民が質の高いがん医療を安心して受けることのできるよう、かかりつけ医など連携する全ての医療機関に対して医療連携手帳の普及に努めてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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