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掲載日:2019年10月4日

平成24年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (松本恒夫議員)

エネルギー政策について

Q 松本恒夫議員(自民)

平成23年3月、東日本大震災が発生し、それに伴う福島第一原子力発電所の事故により、我が国のエネルギー事情は一変しました。これまで日本の発電能力の約3割を占めていた原子力発電が、現在は大飯原子力発電所を除いて全て停止しています。
日本は今、深刻なエネルギー問題に直面しています。言うまでもなくエネルギーは、国民生活と経済活動の根幹をなすものであります。日本再生に向けて、エネルギー政策の再構築には一刻の猶予も許されません。このため、国は平成23年6月にエネルギー・環境会議を設置し、我が国のエネルギーの在り方について検討を開始しました。
本年7月から、国は2030年の電力に占める原子力発電の割合について0パーセント、15パーセント、20~25パーセントという三つの選択肢を提示した上で、全国11か所において国民からの意見聴取会を開催しました。その後、討論型世論調査も実施いたしました。そして、この9月14日、2030年代に原発稼働ゼロを可能とすることを柱とする「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したところであります。
私は、政府における今回の戦略の決定は、余りにも性急で無責任なものであると考えます。例えば原発稼働ゼロを掲げながら、一方で、核燃料サイクルの再処理事業を続行するとしていることは、完全に論理が破綻しています。また、9月15日には、担当大臣が建設中の原発の工事再開を事実上容認する考えを示していますが、これも2030年に稼働している原発をゼロにする戦略と完全に矛盾しています。
そもそもエネルギー政策は、エネルギー安全保障という言葉があるように国家の将来を大きく左右する極めて重要な政策であり、エネルギーの安定的な供給の確保や国民や経済に与える影響などについて、幅広くかつ専門的な見地から検討することが不可欠であります。まずは、政府が責任を持って、しっかりとその考え方を示すべきであります。
世論調査の結果を踏まえて政府の戦略を決定するという今回のやり方は、私はどうしても納得できません。多くの国民は、原発はないに越したことはないと考えています。したがって、仮に国民に意見を聞くとしても、その前にまずは政府として責任ある考え方を国民にはっきり示し、さらに原発をゼロにした場合のマイナスの情報も十分に提供した上で聞かないと、国民は正しい判断ができないのではないでしょうか。
今回政府は2030年に原子力発電を0パーセントとする場合、家庭の電気代が月4000円から11000円増えるとともに、GDPが8~46兆円下がるという試算を示しています。しかし、それに伴い失業者が何万人増えるとか、勤労者世帯の所得が年間何万円下がるとか、国民が判断する上で必要な具体的なマイナスの情報を示していません。
また、討論型世論調査は8月4日、5日の二日間行われました。参加者の47パーセントが原発0パーセントを支持したとのことです。これも極めて専門的で重要なエネルギー政策を、無作為に選ばれた285人の国民がたった二日間の討論、いわば一夜漬けで出した世論にすぎません。これをもって世論はこうだからと原発ゼロを決める政府のやり方は、余りにも性急で乱暴だと考えます。案の定、政府のこの戦略決定は、各方面から極めて強い反発がありました。結局政府は、戦略そのものは閣議決定の対象から外さざるを得ませんでしたが、こうした迷走ぶりは政府の意思決定過程に極めて大きな問題があったことを物語っています。
上田知事は、このたびのエネルギー基本計画の見直しに関わる政府の対応についてどうお感じか、また原子力発電を含め、今後のエネルギー政策についてどうお考えか、ご所見をお伺いいたします。

A 上田清司 知事

まず、「エネルギー政策について」のお尋ねのうち、エネルギー基本計画の見直しに係る政府の対応についてでございます。
結論から申し上げれば、政府が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」は、その手順、結論ともにあまりにも無責任だと思います。
まず手順から言うと、エネルギー政策はエネルギーの安定供給、経済性、環境問題への対応など、幅広い論点が必要です。
国民や経済への影響も大きいことから、論点をしっかり整理した上で政府が責任を持って見直し案を国民の前に提示すべきものでございます。
国民にいきなり「ゼロである」「15パーセント」「20から25パーセント」の3つから選べというのは、極めて乱暴であります。
法学部でそこそこ法律を勉強をした人は、法廷でそこそこ本当は争えるはずなのですが、それでも弁護士をつけて法廷闘争いたします。
ほとんど100パーセントです。
いわんや原子炉の構造、原子力発電の技術や管理運営、リスクの測定方法などについて、およそ100パーセントの国民は知りません。
そうした方々に国家の将来を大きく左右するエネルギー政策について聞くということがそもそもおかしいのであって、日本で最高の水準の専門家100人に集まってもらって、そうしたところの議論を完全に情報公開して、そしてその一定の結論を国民の意見を聞きながら政府が決める。
これが筋道でないかと思っております。
いま必要なのは原発の比率という数字の議論ではなくて、実際現存している50基の原発一つ一つをどうするかという現実的な判断です。
原発の安全基準もまだ明らかになっておりません。
例えば電源のリスクは今のままで良いのかどうか、あるいは冷却水は仮に破損してもカバーできるような体制になっているのか、老朽化のリスクはどうなっているのか、では地震のリスクはどうなのか。
こういうことを50基一つ一つ調べて安全評価もしなければならない。
私はそう思っております。
そういうことから、原発比率はまず結果として出てくるものであって、希望から出てくるものではない、感想から出てくるものではない、感情から出てくるものではない。
このように私は思っています。
「原発ゼロ」との表現を盛り込むことで原発反対派にもいい顔をして、「可能にする」という表現で経済界などにも言い訳をするという、極めてぼかし透かしの藍染の世界になっています。
これも、議論のスタートが間違ったために起こったことだと思っています。
本当に原発ゼロを目指すのだったら、エネルギーの安定供給や経済性の議論も更にしっかり行う必要があります。
加えて廃炉を進めるのか、そして30兆円になるともいわれるそのばく大な費用を誰が負担するのか、あるいは原子炉の廃炉を進める技術者をどう維持・育てていくのか、そうした幅広い論点が必要であります。
そういう意味での判断をしなければ責任あるエネルギー政策とは言えないと思います。
そういう意味で、この議論は一からもう一回やり直すべきだと思っています。
次に、原子力発電を含めた今後のエネルギー政策についてでございます。
今年の夏の電力ピークは、大飯原発3、4号機のみの稼働で乗り切れたのだから原発ゼロでも大丈夫だという意見があります。
今年は酷暑でした。
また、ロンドンオリンピックが日本時間の夜だったこともあり、オリンピックのせいもあって甲子園の注目度が低くなりました。
ピーク時の電力消費が結果として分散されました。
もしロンドンオリンピックが昼間だった時、2時のピークの時に何かのピークがあった時を想像すれば、やはり簡単なことではないと思います。
そういう意味でラッキーでありましたが、それでも東北電力の最大電力使用率は94パーセント、東京電力など4社が93パーセントという綱渡りの状態です。
安全運転ということで言えばやはり85パーセントぐらい、ギリギリで90パーセントでいわば安心なのかというのが一般的に専門家の意見だと言われています。
私もそれが正しいのかどうかわかりませんが、仮に正しいとすればこうした方向を考えなければならない。
このように思います。
老朽化し運転を休止していた火力発電所もフル稼働の状態であり、ちょっとしたトラブルがあっただけでも大規模停電が起き、国民の生活や経済活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
今後のエネルギー政策を考える上でエネルギーの安定供給は重要なポイントとなります。
原発は安定供給という面では優れていますが、地震や津波による重大な事故のリスクを伴います。
更に、使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理という重い課題を将来世代に付け回しをするといった根本的な問題もあります。
従いまして、原発依存からの着実な脱却を図っていくべきだと考えます。
一方で原発に頼らないエネルギー政策には、電力供給の不安定化、経済への深刻な打撃、国民負担の増大、二酸化炭素の排出増加などの大きな課題もあります。
エネルギー政策の再構築には、こうした全ての課題とその対策について適切に評価をする必要があります。
まずは、政府が今後のエネルギー政策を考える上での論点をしっかり整理して、責任ある政府の回答を国民の前に示すべきだと思います。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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