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ページ番号:12043

掲載日:2019年10月4日

平成24年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (荒川岩雄議員)

(1)生活保護問題について

  • ア 現状とあり方について
  • イ 自立支援の取組について

Q 荒川岩雄議員(自民)

この問題を質問するというのは、確かに勇気の要ることでございます。ある面ではタブーの問題かもしれません。しかし、あえてこの問題を取り上げさせていただきました。
3.7兆円、皆さん、これはあの三党合意で合意した消費税を上げた分の4分の1でございます。これを今、拠出しているわけでございます。このまま行ったら、一体あの消費税全部これで食われてしまうかもしれません。誠に危機感のある問題でございます。
最近、皆さん、忘れもしないでしょう。生活保護受給者を巡るさまざまな問題の中で世間を騒がせたものは、あの年収数千万円と言われる芸能人が母親を一人置き去りにして生活保護を受けさせていたという話でございます。不正とか不当とかはともかくとして、この話題そのものが何とも日本人として情けないではございませんか。もう古い日本の姿は消えてしまったんですか。「たった一人のおふくろさんに楽な暮らしをさせたくて、兄弟船は真冬の海へ」、歌にあったでしょう、鳥羽一郎の「兄弟船」の一節であります。この精神こそが、日本人の精神なのであります。あの芸能人は、おふくろさんをネタにして、利用してテレビに出ていたそうではございませんか。
皆さんご承知のとおり、民法では三親等内の親族にはもともと扶養義務があると、こう規定されています。皆さん、法律の学科で学んだと思います。この義務は今、本当にもう形骸化して、ないに等しいではありませんか。親子、兄弟がまず助け合う、それでも駄目なら親戚のおじさんの力を借りる。これが、すなわちこの規定でございます。まさに、自助、共助の精神であります。
昨年度、本県における生活保護費の不正受給額、さいたま市を除いて総額約6億1千万だと、こういうことであります。大変なことでございます。県が平成22年に発覚した不正受給をきっかけとしてチェック機能を強化した結果、前年度から倍増し、過去最高額となったそうでございます。生活保護受給者の中には、税金から支給される生活保護費を酒やパチンコに浪費しているなど、まじめに働いている人から見たら、本当に腹が立つのは当たり前であります。生活保護の受給額は国民年金の受給額よりも高いと、これが現実でございます。まじめに働いて保険料を納めた人よりも、保険料を納めないで生活保護を受給する方が得というのは、これは一体どういうことなんですか。そして、生活保護を受ければ生活費のほか家賃も支給される、医療費や介護費は無料、住民税や年金などの保険料も納めなくてよい。これでは、正直に一所懸命働いて頑張るよりも生活保護を受けた方がよいと、このように考える人が多くなるのは当然であります。
上田知事、「三丁目の夕日」という映画を見ましたか。あるいはNHKの朝のドラマ「おひさま」、「カーネーション」、そして現在の「梅ちゃん先生」、これらが一体われわれ日本人に何を語ろうとしているか分かりますか。戦後の貧しい時代に、親子、兄弟、近隣、みんなが助け合い、一所懸命頑張って生きるさま、これはもう我々に感動さえ与えるではありませんか。人は皆、自分たちで頑張らなければなりません。生活保護を受けるのは最後の手段であります。
まず、知事に伺います。今までの話の中で、この状況を踏まえて、知事は生活保護の現状、そして今後のあり方についてどのようにお考えか、まずお伺いいたします。
私は、本職は弁護士でありますから、弱い者の味方であります。困っている者の味方でもございます。病気や失業などにより一時的に生活保護に頼らざるを得ないということがあれば、これは支援すべきであるということは十分理解しております。しかし、一度生活保護を受けてしまうと、なかなか人間、脱却することが難しく、長期間にわたって受け続けることになるのではありませんか。人間は一度楽をしてしまうと、これに慣れてしまうと、自らはい上がり自立する気力、意志も減退してしまいます。これが人間の弱さなのであります。景気が良くなれば生活保護受給者も多少減るんでしょうけれども、政府は、マニフェスト破りや事業仕分け破りに精を出すばかりで、効果的な景気対策は何もやっていません。せいぜいわれわれ埼玉県議会をはじめとする一都五県が頑張った結果、ようやく八ッ場ダムを復活させたぐらいでしょう。しかし、これだってまだはっきりしません。
生活保護受給者の本人任せにするのではもう駄目なんです。行政は、生活保護受給者に対して積極的に自立に向けた誘導策を講じなければ、本人は立ち上がれません。立ち上がれませんというより、立ち上がりません。こうしたことから、県は全国に先駆けて生活保護受給者チャレンジ支援事業を実施し、生活保護受給者の自立支援に取り組んでいるようでありますが、この事業の成果とこれからの事業展開について、福祉部長、はっきりとお答えをお願いいたします。

A 上田清司 知事

まず、「生活保護問題について」のお尋ねのうち、「現状とあり方について」でございますが、ご指摘のように生活保護は、病気や失業などにより他の公的制度では救えないほど深刻な生活困窮に陥った人たちの最後のセーフティネットであります。
したがって、やむを得ない理由により保護しなければならない方は、しっかりとこの制度で支えていく、これが本質でございます。
しかし、最近は働くよりも生活保護を受ける方が楽だというモラルハザードが生じ、虚偽の申請によって受給しようとするケースが多くなっているのは御指摘のとおりであります。
標準的な4人の世帯で生活保護を受ける場合、年間350万円の保護費が支給されます。あくまでモデルです。
一般世帯では年収350万円あっても、税や社会保険料などを支払って残った可処分所得は290万円になります。
生活保護の4人世帯のモデルでは350万円そのものが可処分所得です。
そして普通の世帯ではこの350万円から税や社会保険料を引きますので、可処分所得は290万円、その差が60万円出てしまっております。
厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、1世帯当たりの年間平均所得は10年間で100万円減っております。
この状況からすれば現在の保護基準は高すぎると私は思っておりますので、当然、下げるべきだと思っております。
荒川議員よりも私のほうがもっとすごいことを言っております。
現在、ようやく国では生活保護の基準や運用の見直しが検討されておりますが、実際平成16年以降、生活保護基準は全く改定されていません。
まさに政府の怠慢です。これが私の考えです。
次に、生活保護のあり方についてありますが、生活保護のあり方としては、制度に対する国民の信頼を確保しなければなりません。
本当に困っている人たちを社会で救わなきゃいけない、そういうものだというふうに位置づけてきました。
しかし、申請窓口で審査が不十分であったり、不正受給者が増えれば、国民がこの生活保護制度を信用しなくなります。
そして、本当に必要な人にそれを与えることができなくなってしまいます。
そういう意味での不信感が広がると本当に困ったことになります。
生活保護制度にとっては今の状況というのは不幸な状況ができておりますので、早急に信頼を取り戻すことが必要だと思っております。
生活保護の市町村別の受給率を調べていきますと、実は生活保護の受給率が高い市はケースワーカーが不足している。
逆に受給率の低い市はケースワーカーがきちんと配置されている傾向もわかっております。
したがって、各福祉事務所にケースワーカーが適正に配置されていれば、収入、資産などの調査や生活指導がしっかりできる。
そういう意味で、はっきり不正受給だとかそういったものが減っていく、こんなふうに思います。
したがいまして、各福祉事務所に対する指導監査を強化するとともに、警察本部とも連携して不正受給防止をきちっとやっていくことも大事だと思います。
そしてまた、生活保護は最低生活の保障だけではなくて、一人一人の人間の再チャレンジ、ある意味ではもう一回頑張っていただく、その仕掛けをいろんな形で支援をしていくことが、もっと重要だというふうに思っております。
県では、少なくとも子どもたちは、また生活保護というような形でマイナスの連鎖をさせないということで、少なくとも高校生には全員なっていただこうということで、生活保護の子どもたちは進学率が低いことから、学習支援もやっている。
生活保護受給者チャレンジ支援事業では、子どもたちに対するチャレンジの支援、あるいは本人に対する就労支援、いい仕事がありますよ、あなたに合った、そういうことを徹底的にやっていくべきだと思っております。
この埼玉県の生活保護受給者チャレンジ支援事業は厚労省でも評価いただき、全国の自治体に広げるべきだと言われております。
そして、この事業の成果が一冊の本にまとめられて、出版されることになりました。
本来、人間は働くことにやりがいを感じて、自らをより成長させようという気持ちもある側面持っております。
したがって、困難な状況を脱するための背中を一押しすることで、生活保護受給者が「自立自尊」の精神を取り戻すようにこれからもしっかりと支援を行っていきたい。
むしろ、生活保護受給者の皆さんが社会に復活する、そういうところに力を入れていく、そちらのほうにお金をたくさん使う、このことが大事だというふうに考えております。

A 荒井幸弘 福祉部長

生活保護受給者が増加する中で、受給者が一日も早く自立できるよう従来に増して自立支援を強化していく必要がございます。
そこで、本県では、平成22年度から生活保護受給者チャレンジ支援事業を実施しております。
この事業は、教育、就労及び住居の3つの柱で生活保護受給者の自立を支援していくものでございます。
まず、教育につきましては貧困の連鎖を断ちきるため、学生ボランティアが保護世帯の中学生を対象に学習指導を行っております。
平成23年度は、10カ所に設置した学習教室に305人の中学3年生が参加し、その内296人が高校に進学いたしました。
高校進学率は97.0%と、事業開始前の高校進学率86.9%と比べますと10ポイント以上向上いたしました。
今年度は、全ての中学生が学習教室に1時間以内に通えることを目指してまいります。
このため、学習教室を17カ所に増やし、450人の中学3年生を参加させ、高校進学を支援してまいります。
また、就労については受給者の職歴や適性を踏まえ、介護やフォークリフトなどの職業訓練を受講させた上で就職まで支援をいたしております。
平成23年度は就労可能な受給者約2,800人を対象に支援を行い、618人が就職し、その内96人が生活保護から自立をいたしました。
就職により平均月10万円の収入を得られますので、単純計算で約3億7千万円の保護費を削減できたことになります。
今年度は、従来の職業訓練に加え、民間企業やNPOでの就労体験などの職業訓練科目も追加し、受給者がより参加しやすくすることといたしました。
これにより、受給者約3,000人のうち、700人を就職させることを目標に取り組んでまいります。
さらに、住居につきましては、無料低額宿泊所に入所している者を民間アパートなどへ転居させ、地域での生活を立て直す支援を行っております。
平成23年度は、県内の無料低額宿泊所の入所者約1,600人を対象に支援を行い、673人がアパートなどへ転居いたしました。
今年度は、高齢者や障害者が福祉サービスを活用して地域で生活ができるよう全ての支援員を社会福祉士とし、800人を転居させてまいります。
今後とも、一人でも多くの生活保護受給者を自立させられるよう一層努力してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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