埼玉県議会 県議会

ここから本文です。

ページ番号:11428

掲載日:2019年10月4日

平成24年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (森田俊和議員)

「森の防潮堤」について

Q 森田俊和議員(自民)

現在、埼玉県では熊谷市、日高市、横瀬町のセメント工場において、災害廃棄物である木くずの受け入れが進みつつあります。先日、私はその木くずの出どころである岩手県野田村を見てまいりました。ところどころにがれきの大きな山ができており、幾つもの重機が休みなく動いております。とても重苦しい風景です。岩手県の状況を見ると、がれきの総量525万トンのうち、24年3月までに処理できた量はおよそ51万トンで、全体のおよそ10パーセントとなっています。現地の方からは、復興を進めるために、がれきの山を何とかしてくださいということを繰り返し伺いました。
震災から1年がたち、災害廃棄物の詳細が次第に明らかになってまいりました。その量の見積もりも変わってきています。岩手県ですと、当初の木くずの見積もり約47万トンに対して、新しい数字ですと17万5千トンで、当初見積もりの約4割に減っています。これに対して増えたのが、可燃系、不燃系の混合物です。不燃系の混合物は、当初の見積もり7万3千トンに対し、現在の数字は94万7千トンとなっており、13倍に膨れ上がっています。混合物とは、建築用資材や細かなコンクリートの破片、それに堆積した土砂、ヘドロなどが混然一体となっているものです。当初見込んでいなかった農地の堆積物などが計算に加わったため、このような数字になったようです。
膨大な廃棄物をどう処理するかと考えて出てくるのが、防潮堤の一部に使用する形で災害廃棄物を処理する案です。岩手県の大槌町では、既に試験的に災害廃棄物を使った森の防潮堤を造っています。コンクリートがらや不燃系の混合物、木くずなどを積み上げてマウンドをつくり、表層土で覆って植樹をします。先々月、4月30日に行われた植樹祭では、500人の方が16種類3,400本の苗木を植えたそうです。この現場も見てまいりましたが、河口近くの川沿い、下水処理場の敷地内に延長50メートルほどの丘が築かれ、木が植えられていました。2か月前の時点ではこうした事例は例外的でしたが、その後、環境省から木くずや津波堆積物の活用についての指針が出され、コンクリートがらや土砂等の堆積物、木くずなどを活用できることが示されました。現在、処理施設が稼働を始め、廃棄物の分別が進みつつあります。処理の進行に伴って、土木用の資材として活用できるものがたくさん出てまいります。
森づくりに関して私がたびたび紹介させていただく横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生は、東北沿岸300キロに森の防潮堤を造ろうと提案されております。その断面図は、こういうふうになります。10メートルから20メートルの堤防を災害廃棄物から出た資材を使って築きまして、その上に土地本来の木を植えるというものです。木が成長すると、およそ40メートルから50メートルの全体の高さになります。コンクリートの防潮堤は、一度決壊するとそれきりですが、森の防潮堤は、木はしなって波を受け止め、また引き波が地上にあるものを海に引き込むのをせき止める役割を果たします。マツと違って、シイ、タブ、カシといった木は根を深く地中に張りますので、仮に堤防を波が越えていったとしても、しなやかに受け止め、そして被害の大きい引き波をまたここで受け流すという発想でございます。
以上のような森の防潮堤を沿岸全域に造ることによって、まず、将来の津波から町を守ることができ、災害廃棄物を処理することができます。また、ふだんは虫や鳥が暮らし、人々が憩う空間を生み出すことができ、犠牲になった方々を鎮魂する丘となります。また、何といっても知事が埼玉県政において推し進めるみどりの再生を、埼玉県以外の国土においても実現することができます。復旧というと元に戻すという意味ですが、より良い状況を生み出すのは、震災後を生きる私たちの使命です。
そして、こうした理念を持った取組は、上から押し付けられるものではなく、被災した県がそれぞれ連携することによって成り立たせるべきものです。既に、大槌町同様の試みは千葉県浦安市や宮城県岩沼市などで始まっています。千葉県の起点から終点青森県までが一つの大きな森になり、つながっていく。衛星からも見える復興の森ができます。
都市計画を含めた復興は、これから本格化します。人工のものはできた瞬間から劣化が始まりますが、木は次第に成長し、森は生まれ変わりながら半永久的に存在し続けます。私たちが今、被災地沿岸に森を築くことができれば、100年後、200年後の日本人から、きっとその功績をたたえられることでしょう。災害廃棄物の活用と防災対策、そしてみどりの再生と一石三鳥、四鳥にもなる森の防潮堤を被災地沿岸に構築することについて知事はいかがお考えでしょうか、ご所見をお聞かせください。

A 上田清司 知事

ご提案の「森の防潮堤」構想は、がれきを土砂と混ぜることで堤を築き、そこに苗を植えて数千年は持つという鎮守の森をつくりましょうというものでございます。
大きな津波にも耐えられる防潮堤の後背地に「森の防潮堤」を造れば、二重の安全性を確保できるという大変優れたご提案ではないかという風に思います。
がれきの処理、津波対策、森づくり、まさに一石三鳥を狙ったアイデアだと思います。
提案者の宮脇先生のお考えによれば、高さ10mから20m、幅30mから100mの堤防を長さ300kmにわたって築くという壮大な規模の防潮堤、このように伺っております。
また、国においても森田議員のご提案と同じくがれきを利用したプロジェクトが進められておるようです。
これは被災した海岸防災林の再生を図るもので、被災地の約140kmにわたり林野庁が事業を実施したい、このようなことを聞いております。
これらの築造は多くの時間とコストを要します。そして何よりもまちづくりや地域づくりに大きな影響を及ぼすものとなると思います。
実はご提案を受けたときに、これはと私も飛び上がって喜んだようなところがございました。しかし、いろんな考えもやっぱりあるんだなと思いました。
防潮堤よりも住居が先だという意見、高い防潮堤は海が見えなくなるぞ、あるいは日本有数の美しい海岸線の景観を損なうぞというような、こういう反対意見もあるということを聞いて、なるほど、いろんな意見もあるんだなという風に思いました。
ただ、ご提案のように全部つなげということではありませんので、まさしくつなぎやすいと言うんでしょうか、やりやすいところからしっかりやっていくということが、私は大事ではないかと思いますので、今回いろんな形で震災地との縁ができておりますので、当面、各市町村と被災を受けた被災地の関係の中で、連絡が密に取れるところから、特に海岸線を持つ市町村との関係を重視した形で、どういう形で県がつなぎをとれればいいか、よくそこのところを重視しながら、どちらにしても地元の意見というのがやっぱり一番大事だと思っておりますので、そうした点を踏まえて可能なかぎり、ご提案を生かすようなことを、私としてはやってみたい、このように思っております。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?