埼玉県議会 県議会

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掲載日:2019年10月4日

平成24年6月定例会 一般質問質疑質問・答弁全文 (山下勝矢議員)

国および地方自治体の公会計改革について

Q 山下勝矢議員(自民)

私は、公認会計士・税理士上がりの地方議員として、市議会議員・県議会議員合わせて15年の地方自治体財政・地方自治体会計の実務経験を有しておりますけれども、なかなか思うに任せられないのが今回取り上げます国や地方自治体の会計制度です。
現在、地方自治体の財政に関する情報を読み解き、理解して、課題を把握して、そして今後の地方自治体の進路を財政面から模索することは、専門家である私でも相当に難しくなっております。難しくしていることの主たる要因は、国や地方公共団体の経理は現金の動きに合わせて記帳する単式簿記を採用していることです。私は市民の皆様に説明するときには、「今の地方自治体の会計は単純過ぎて難しいんだよ」と言っています。そして、「今の日本には年間の財政赤字が幾らあるかよりも、日本には幾らの資産、幾らの負債があるのかを正確につかむことのほうが大事だよ」と言っています。
会計監査の専門家である公認会計士は、資金繰りの苦しい会社の状況を把握するには、売り上げや費用の記載された損益計算書よりも資産や負債の記載されている貸借対照表のほうを先にチェックし、重要視します。会社の資産や負債を細かく検討し、帳簿に載っている数値だけではなく、載っていない資産や負債までも細かく検討し、会社の再建を、会社の進むべき進路を懸命に模索して、会社側に再建計画を提示します。つまり収益や費用の帳尻よりも、資産や負債を正確につかむことのほうが大事なのであります。そのほうが会社の進むべき進路を正しく判断できるからです。
このことは埼玉県にも応用できるものであります。政府債務残高が約1千兆円にも及ぶ国、そして地方自治体にも同じことが言えると思います。私は、知事のこれまでの埼玉県庁における行政改革や、多くの公営企業や県の出資法人等の経営合理化に伴う黒字転換を大変高く評価しております。
一方、埼玉県政の進むべきかじ取り、進路を考えるに当たっては、収入や支出よりも、歳入や歳出よりも、埼玉県の資産や負債の正確な数値をつかむことのほうを大事だと考えております。埼玉県には正確にどれくらいの資産があるのだろうか。ただし数値化されにくい資産、例えば人材という資産も併せて検討します。そして、埼玉県には正確にどれくらいの負債があるのだろうか。まだ表面化していない負債、例えば公共施設の大規模修繕費や建替工事費用、まだ販売されていない工業用地、工業団地用地の含み損なども併せて検討します。繰り返しますけれども、歳入や歳出よりも資産や負債から埼玉県の進路を検討したほうが正しく判断できると考えております。
このためには、今これからご提案申し上げます発生主義による複式簿記の導入と、それに連動する貸借対照表の作成につながる公会計の改革が不可欠なのであります。
ここで、会計に関する世界の動きを申し上げます。複雑化、多様化する行政の役割と財政の複雑化に対応するため、従来の経理を変えようという動きが1980年代から諸外国では盛んになってきました。従来の現金の動きで帳簿に記帳する単式簿記ではなく、発生主義による複式簿記、資産として公共施設、道路インフラなどの実物資産、未収入金、貸付金などの金融資産の計上、負債として県の借金たる県債や職員の退職金や年金、公共施設、道路インフラなどの大規模修繕引当金を計上するという、資産や負債が動いた時点でその変化を認識するという会計方式の変更です。こう言うと難しく感じられるかもしれませんけれども、要するに日本において民間企業で普通に行われている経理へと変更するだけのことであります。
残念ながら、日本とドイツの一部の地方自治体を除いて全ての先進諸国においては、国や地方自治体の経理は、民間企業が使用するような発生主義会計による複式簿記への移行が完了してしまいました。近隣の韓国でも構想から改革まで10年を要しましたが、最近公会計の改革が完了してしまいました。いわば日本は自治体会計、公会計の世界では世界の孤児となってしまったわけであります。
先に述べましたように地方自治体の現金ベースでの予算統制と会計は、単純構造がゆえに難しくなってしまいました。行政機能と財政の複雑化に対応して出納整理期間であったり、特別会計、基金、予算の繰越しなどさまざまな手法が使われています。これら従来の経理を基礎にしつつも、一部に新しい考えを部分的に取り入れている構造です。それがゆえに地方自治体の財政会計制度は複雑化して、地方自治体の財政を把握することは専門家であっても至難の業となってしまいました。
ご存じのとおり、東京都や大阪府などの地方自治体では、会計制度の改革を始めております。もちろん地方自治法において定められた現金主義、単式簿記の縛りが変更されない以上、十分な機能を発揮しているとは言えない面もあることは、私も承知しております。しかし、それでも何とかしなくてはいけないと思います。歳出や歳入歳出よりも資産・負債から埼玉県の各施策を判断することの重要性を埼玉県の職員にも是非知ってもらいたいと思っております。
埼玉県において発生主義による複式簿記の導入を是非検討していただきたいと思っておりますが、知事のご所見をお伺いします。

A 上田清司 知事

効率的な県政運営を行うための参考資料として、私も資産や負債を反映した貸借対照表の整備が必要と考えています。
それも全国自治体間で容易に比較可能であり、膨大なコストをかけない形の方が望ましいと思っています。
本県は整備コストと他の自治体との比較可能性を重視し、低コストで多くの自治体が採用している「総務省方式改訂モデル」により貸借対照表を整備し、公表しているところです。
このモデルにおける土地などの資産価格は、決算統計データにより機械的に算出しています。
一方、東京都は原則全ての保有資産を評価し、日々の会計処理の都度、複式簿記の仕訳を行うことで、より正確に資産や負債を把握しております。
その状況を詳細に把握するため、昨年6月に、職員に東京都を視察させております。
東京都方式は、資産や負債の把握に優れている反面、独自方式であるため自治体間の比較が難しく、開発費に約22億円のシステム開発費を要するという形になっています。
東京都方式を活用した大阪府は、そのノウハウ分を節約できておりますが、それでも5億円かかっております。
そういうことを考えて、全国自治体間の比較ができないシステムのために5億円を使うのはもったいないというのが私の判断で、石原都知事からもしばしば誘われるのですけど、今すぐこの総務省モデルとですね、東京都方式と、ふたつ、この財政のほうで用意してですね、なおかつお金が余分に5億かかるという方式は避けたい。時間と手間がかかるという、また人もかかるということですね、そういう形で現在のところは導入していない状況でございます。
ただ、全国知事会もですね、東京都方式のほうが総務省モデルよりも優れているのは事実なんです。それを全国知事会としてもですね、総務省が導入するように、きちっとやっていただくように要望はずっとしております。
実際、国の方も「今後の公会計基準のあり方について検討を行う研究会」を発足させて積極的に検討を進めております。
したがって、何らかの形で東京都モデルを中心とした、きちっとしたですね、複式簿記方式による公会計のあり方がですね、出ることの意味はやっぱり大きいですから、これを全部にやっていただいて比較対照がきちっとできるようにする。そのことを私自身も望んでおりますので、そういう基準が示されれば、どこの誰よりも早く導入したいと考えております。ご理解を賜りたいと思います。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。

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