第4章 県立病院 第4章は「障害者差別解消法医療関係事業者向けガイドライン」(厚生労働省)に準じ記載しています。 当ガイドラインは民間事業者に対し求められる内容を示したものであり、直接に行政機関に適用されるものではありませんが、法においては、合理的配慮の提供は民間事業者においては努力義務とされているのに対し、行政機関においては義務とされているところです。 このことから、県立病院においては民間事業者と同水準以上の対応が求められることに留意し、取組を進めていくことが必要です。 ※全体像をイメージいただくため、具体例の一部には、「合理的配慮」の一歩先の「環境整備」に該当するもの(=過重な負担が生じるなど、努力目標として捉えるべきもの。例:施設の改修や備品の購入に関すること等)が含まれます。 不当な差別的取扱いと考えられる例 医療分野のサービスを提供するに際して、次のような取扱いをすることは「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。 ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありません。また、客観的にみて正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しない場合があることにご留意ください。 サービスの提供を拒否すること ○医療機関や薬局において、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療・入院・調剤等を拒否すること。  なお、緊急の対応が必要とされる場面も想定されることに十分留意して判断してください。 ○正当な理由なく、医療機関や薬局内に、身体障害者補助犬を同伴することを拒否すること。(参考資料「身体障害者補助犬とは」を参照してください。) サービスの提供を制限すること(場所・時間帯などの制限) ○正当な理由なく、診察などを後回しにすること、サービス提供時間を限定すること。 ○正当な理由なく、診察室や病室の制限を行うこと。 ○医療の提供に際して必要な情報提供を行わないこと。 サービスの提供に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付すこと) ○正当な理由なく、保護者や介助者・支援者の同伴を診察・治療・調剤等の条件とすること。 サービスの提供にあたって、他の者とは異なる取扱いをすること ○正当な理由なく、本人(本人の意思を確認することが困難な場合は家族等)の意思に反した医療の提供を行うこと。 ○正当な理由なく、病院や施設が行う行事等への参加や共用設備の利用を制限すること。 ○本人を無視して、介助者・支援者や付き添い者のみに話しかけること。 ○大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること。 ○わずらわしそうな態度や、患者を傷つけるような言葉をかけること。 ○診療等にあたって患者の身体への丁寧な扱いを怠ること。 合理的配慮と考えられる例 個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、次のような合理的配慮を提供することが求められています。合理的配慮を提供する際には、障害者の性別、年齢、状態等に十分に配慮することが必要です。 ここに記載する事例はあくまで例示であり、これに限られるものではありません。 また、強制する性格のものではなく、ここに記載された事例であっても、事業規模等によっては過重な負担となる可能性があるため、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待されます。 基準・手順の柔軟な変更 ○障害の特性に応じて施設のルール、慣行を柔軟に変更すること(診察等で待つ場合、患者が待ちやすい近くの場所で待っていただく、順番が来たら電話で呼び込むなど)。 物理的環境への配慮 ○施設内の段差にスロープを渡すこと。 ○エレベーターがない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動をサポートすること。 補助器具・サービスの提供 <情報提供等についての配慮や工夫> ○説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データの提供 ○身振り、手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、分かりやすい説明を行うこと。 ○文書を読み上げたり、口頭による丁寧な説明を行うこと。 ○電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、予約受付、案内を行うこと。 <建物や設備についての配慮や工夫> ○電光表示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、音声ガイドの設置等、配慮や工夫を行うこと。 ○色の組み合わせによる見にくさを解消するため、表示物や案内図等の配色を工夫すること。 ○トイレ、病室などの部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表示などを設けること。 ○パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること。 ○障害者に配慮したナースコールの設置を行うこと。(息でナースコールができるマルチケアコール、機能障害者用押しボタンなど。) <職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供についての配慮や工夫> ○個人情報の保護に配慮した上で、施設内放送を文字化したり、電光表示板で表示したりすること。 ○必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置すること ○声がよく聞こえるように、また、口の動きや表情を読めるようマスクを外して話をすること。 ○ICT(コンピューター等の情報通信技術)を活用したコミュニケーション機器(音声を文字変換する、表示された絵などを選択することができる機器など)を設置すること. <職員同士での連絡手段の工夫> ○外見上、障害者であると分かりづらい患者(難聴者など)の受付票にその旨がわかる連絡カードなどを添付するなど、スタッフ間の連絡体制を工夫すること。 ○診療の予約時などに、患者から申し出があった自身の障害特性などの情報を、スタッフ間で事前に共有すること