就業補助員(支援員)マニュアルの内容について説明するものである。 これ以降マニュアル本文 表紙 就業補助員(支援員)について 埼玉県教育委員会 特定非営利活動法人サンライズ 1ページ 障害者が働きやすい職場づくりを進めていくためには、施設や設備の整備だけではなく、人々の多様な在り方を相互に認め合い、その上で適切な支援を行っていくことが重要です。 また、職場内外を問わず関係する方が、それぞれの立場に応じて役割を分担し、チームとして協力していくことが不可欠です。 本テキストでは、障害者雇用に関連する用語や法規などとともに、心のバリアフリー、障害の種類や特性などの知識について学んでいきます。 これらの知識を基として、特に障害の特性については知識に縛られることなく、障害のある教職員本人を知ること、理解することが大切であることを理解し、適切な支援に結び付けていただきたいと思います。 埼玉県教育委員会 教育総務部総務課 県立学校部県立学校人事課 市町村支援部小中学校人事課 2ページ 目次 資料の構成 大項目1.支援員の身分と役割 大項目2.職場における対応と配慮 大項目3.相談体制 大項目4.心のバリアフリー 大項目5.障害者雇用関連の基礎知識 大項目6.障害特性の理解 大項目7.参考資料 3ページ 大項目1.支援員の身分と役割 中項目1.身分 会計年度任用職員は、地方公務員法(昭和25年法律第261号「以下(地公法)という。」)第22条の2第1項に規定する一般職の地方公務員です。 分限処分や懲戒処分の対象となります。 <分限処分とは> 公務の能率の維持及びその適正な運営の確保という目的から、一定の事由がある場合に、職員の意に反する不利益な身分上の変動をもたらす処分。例えば、心身の故障により職務の遂行に支障がある場合における「休職」が該当する。 <懲戒処分とは> 職務上の義務違反、非行行為などがある場合に、公務員関係の秩序を維持するために科される制裁。戒告、減給、停職、免職の順に重くなる。 地公法第16条各号(第2号を除く)に該当したときは、職員の分限に関する条例(昭和26年埼玉県条例第51号)で定める場合を除くほか、失職します。 <地公法第16条> 一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者 二 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者 三 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者 四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者 公務員であるという自覚をもって職務に臨むことが重要です 4ページ 職員の分限に関する条例(昭和26年条例第51号)割愛します 職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和26年条例第52号)割愛します 5ページ 中項目2.役割 県教育委員会における支援員は「上司」や「指導者」ではなく、「パートナー」に近い存在です。 職場の上司や所属長の指示などを、障害のある職員が分かりやすい形にして伝えたり、やり方を示したり、仕事の進め方などを当事者に寄り添って一緒に考えます。 また、自分の気持ちをうまく伝えられない職員に代わり、職場の上司や同僚などに意思を伝えたりすることもあります。 これら、上司・同僚と職員のコミュニケーションを補完し、職場定着を促すことが支援員の役割です。 以下、所属における役割の説明 1.所属長 全体統括 心のバリアフリー推進員(課所館・県立学校のみ)に対し、職場環境整備など必要な措置に係る指示を行う。 上司・同僚に対し、業務の割振りなどの指示、状況・課題等の把握を行う。 2.心のバリアフリー推進員 上司・同僚に対し、職場環境整備や障害理解研修を実施する。 3.上司・同僚 障害のある職員に対し、業務の指示、進捗管理、服務管理、体調面のケアなどを行う。 4.支援員 上司・同僚と障害のある職員のコミュニケーションを補完する。 ポイント 障害のある職員が、その能力を発揮して活躍できるよう、障害のある職員との信頼関係を築くとともに、職場の上司や同僚と綿密に情報共有し、チームとして支援することが重要です。 役割の説明、以上 6ページ 大項目2.職場における対応と配慮 職場定着は、「本人が職場に受け入れられていると感じられること」、「受け入れる職場側の理解の醸成」が鍵となります。 「本人が職場に受け入れられていると感じられること」につなげるには、「周囲の方との良好な関係性」、例えば、日々のあいさつ、相談・質問のしやすさ、相手に合わせたコミュニケーション、や、「業務にすこしずつ自信が持てるように育成すること」、例えば、できることから確実に、適切な指導の方法、ほめ方、しかり方、などがポイントです。 また、「受け入れる職場側の理解の醸成」につなげるには、「見えない障壁を低くする」、障壁は接したことがないことから生じることを理解する、意識しすぎないで付き合えること、などや、「相手への理解と適切なサポート」がポイントとなります。 これらを実践するには、心のバリアフリー、障害の特性や主な配慮などの知識を活用することが重要です。 7ページ ポイント1 障害特性だけに縛られず、本人を知り、理解し、対応することが大切です。 早い段階での支援、切れ目のない支援を心がけましょう。 理解されないことは誰もがつらい事です。対応者が身構えない、相手を認める対応が重要です。 障害のある職員がチームの一人として力を発揮できる職場環境をつくることが大事です。 本人を理解し適切な支援を実行するステップ ステップ1、障害特性を知る その人を知るためのヒントとして障害特性を理解する ステップ2、本人について知る 本人はどんな事が得意か?どんなことが苦手か?障害特性に縛られずコミュニケーションをとりながら把握する なお、障害特性についての情報は本人の了解を得た上で共有するなど、個人情報の取扱いに注意が必要です。 ステップ3、気づく いつもと違う表情や態度に気づく 作業のミスに気付く ステップ4、理由を考える 行動には理由や原因があると考え探る なぜミスがでるのか、なぜいつもと様子が違うのか ステップ5、実行する 職場の同僚としてできることをやり、周囲にも相談する 本人の思いを聞く 上司に相談やフォローを依頼 ポイント2 職場の人間関係を良好に保ちましょう。 あいさつは、気持ちよくはっきりと 相手に合わせた距離感で接していく フレンドリーはOK。しかし、子ども扱いはNG 8ページ 大項目3.相談体制 障害者を雇用した場合、直接かかわる担当者に負担がかかりやすくなります。 トラブルや悩みなどは、役割に応じて組織的に対応することで早期解決につながります。 以下、所属内外を含めた支援体制の説明 1.各人事担当者(総務課・県立学校人事課・小中学校人事課) 所属長からの相談を受け、人事管理面のサポートを行う 2.所属長 障害のある教職員から合理的配慮等の申し出、相談を受け、関係職員に対して必要な措置に係る指示を行う 3.心のバリアフリー推進員及び障害者職業生活相談員 所属長の指示を受け、所属の職場環境整備や所属職員に対する研修を実施する 4.上司・同僚 障害のある職員の相談を受けたり、業務管理やサポートを行ったりするなど、直接障害のある職員を支援する 5.外部支援機関 障害のある職員からの相談を受け、生活面を含めたサポートを行う 支援体制の説明、以上 9ページ 大項目4.心のバリアフリー 心のバリアフリーとは 障害の社会モデルを理解すること 障害のある人への差別を行わないよう徹底すること 自分とは異なる条件を持っている方とのコミュニケーションをとる力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し、共感する力を培うこと 以下、障害の「医学モデル」と「社会モデル」の説明 車いすを使用している女性がカーショップに行こうとしています 狭い入口、階段、急な坂道、案内がない、などの困りごとがあります。 「障害の医学モデル」では、障害は障害のある方の中にあって、リハビリなどをして社会に適応できるよう、「障害者本人が乗り越えなければならない」と考えます。 一方、「障害の社会モデル」では、障害は社会の中にあって、これを取り除くことが必要であり、困りごとを取り除いていくことが社会の責務である、と考えます。 なぜ困りごとがあるのかを考えるとき、バリアは社会の中にあり、これを取り除くことがバリアをなくすことであると捉えることが重要です。 10ページ 「困りごと」に対して何ができますか? 「聞く」=対話をすること 例えば、車いすを使用する方でも困りごとは違っています。 手が使える人、使えない人、使用している車いすが電動であったり手動であったり、状況は様々です。 すべての方が車いすを押してほしい状況にあるわけではありません。 他者が考えるシチュエーションのすべてを障害のある方が求めているわけではありません。 困りごとがありそうでお手伝いしようと思っても、今はそっと見守っていてほしい、など様々です まずは「聞く」、対話をするということが大切です。 11ページ 大項目5.障害者雇用関連の基礎知識 1,障害者の定義 (障害者基本法 第2条)身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって障害及び社会的障壁(障害のある者にとって障害となるような事物・制度・慣行・観念その他一切のもの)により継続的に日常生活、社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの 2,障害者手帳の3種類 @身体障害者 A知的障害者 B精神障害者 3,日本の障害者数 936万人(厚生労働省「平成30年度障害者白書」) 世界では約10億人(世界保健機構・世界銀行平成23年報告書) 4,障害者週間 障害者基本法の公布日である「12月3日」から、国連で障害者の権利宣言が採択された「12月9日」まで 5,国際障害者年 国連決議により1981年(昭和56年)に設定。障害者を対象に「完全参加と平等」をテーマに世界的規模で啓発活動を実施。 6,障害者法定雇用率 令和3年3月1日から、国や地方公共団体2.6%、教育委員会2.5% なお、常用雇用数45.5人以上の民間企業は2.3% 7,特例子会社 「障害者雇用促進法」における特例の子会社。障害者雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たしていることで厚生労働大臣の認定を受けた場合は、その子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されていることとみなし、合算して雇用率の計算が可能な制度 12ページ 8,ノーマライゼーション 障害を持つ人も持たない人も、お互いに尊重し支え合いながら、地域の中でともに生活をする社会こそが当たり前の社会であるという社会福祉の基本理念で、1950年代初頭、デンマーク知的障害者の親の会の運動から誕生(デンマークのバンク・ミケルセンが理念を提唱) 9,バリアフリー社会 障害のある人が障害のない人と同じように日常生活や社会生活を営む上で、様々な障壁を取り除き、障害者が自由に社会参加できる平等で障壁のない社会のこと。ハートビル法(平成6年)、バリアフリー新法(平成18年) 10,ユニバーサルデザイン 全ての人にとって使用しやすい環境(製品・街づくり・情報等)の在り方。「様々な人たちが、いつでもどこでも分け隔てなく安心して使える製品を生み出すこと、これが未来を生み出す製品づくりの基本となる。」という考え方。アメリカのノースカロライナ州立大学のロナルド・L・メイス教授が7つの原則を提唱。 @公平性、A自由度、B単純性、C明確さ、D安全性、E省耐力性、F空間確保性 13ページ 大項目6.障害特性の理解 中項目1.障害者とは 障害があるとは、継続的に日常生活や社会参加に困難をきたしている状態のことを指します。つまり、生活のしづらさがあるということ 障害者手帳の認定も、生活のしづらさの度合いによって基準が設けられています。 中項目2.障害者手帳 身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳、の3種類 以下、障害等級等の説明 1.身体障害 手帳等級は1から6級まで。なお、身体障害者程度等級表は7級まで @視覚障害、A聴覚障害、平衡機能障害、B音声機能、言語機能または咀嚼機能の障害、C肢体不自由(四肢、体幹)D内部障害(心臓、じん臓または呼吸機能の障害など) 2.知的障害(療育手帳) 等級は、マルA、A、B、C。なお、埼玉県の等級表記 全般的な知的機能が同年齢の子供と比べて明らかに遅滞し、適応機能の明らかな制限が、18歳未満に生じるときに判定される。知的指数(IQ)が70以下の場合に判定される。 3.精神障害 等級は、1から3級まで @精神疾患(統合失調症、気分障害、てんかん、適応障害 など)、A発達障害、B高次脳機能障害 障害等級の説明、以上 手帳は、従来は障害ごとに3種類のデザインがありましたが、平成27 年10 月1日に統一デザインが導入され、更新や新規取得などの場合は統一デザインの障害者手帳が交付されています。 なお、有効期限内であれば、身体障害の場合は赤い表紙の身体障害者手帳を、知的障害の場合は、緑の表紙の療育手帳を使っていることもあります。 14ページ 中項目3.障害の種別と主な配慮 以下、障害の分類説明 分類1.身体の障害 中分類1.身体障害 視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、内部障害 分類2.精神および行動の障害 中分類1.知的障害 精神遅滞、自閉症 中分類2.精神障害 統合失調症、発達障害、気分障害、パニック障害、不安障害、高次脳機能障害、てんかん、など 障害の分類説明、以上 15ページ 障害の種類ごとに、障害の概要、主な配慮事項について説明する 作成に当たっては独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構作成の「はじめからわかる障害者雇用、事業主のためのQA集」を参考とした。 分類1.身体障害 中分類1.視覚障害 障害の概要 全盲、弱視、視野狭窄(見える範囲が限定されている)などがあります。訓練を受けた視覚障害者は、基本的に単独で公共交通機関を利用することができます。また、中途で視覚障害となっても、通勤の安全確保のための歩行訓練や、就労支援機器を活用した職業訓練を受けることにより、それまでの経験や知識、ノウハウを発揮して働くこともできます。 主な配慮事項 安全の確保、情報提供の方法に工夫が必要です。 視覚障害者が安心して歩けるように室内の配置を伝え、通路には物を置かないようにしましょう。 物を指し示す場合には、「ここ」「そこ」といった指示代名詞ではなく、具体的に何がどこにあるか伝えます。 中分類2.聴覚障害 障害の概要 聴感覚に何らかの障害があるために全く聞こえないか、または聞こえにくいことをいいます。手話や筆談、口話(相手の口元を見て、内容を理解する方法)などがありますが、いずれもできる人とできない人がいます。相手に応じてより良い方法を見つけましょう。 主な配慮事項 コミュニケーション方法の工夫が必要です。 会議などでは、手話や筆談、要約筆記、メールなどで内容を伝えるなど、聴覚障害者も参加できるよう情報保障(代替手段により情報を提供すること)を心がけましょう。 筆談や口話はシンプルな文章で伝えます。難聴者がいる場合、ゆっくり、はっきり話しましょう。話すときは一音ずつではなく、意味のまとまりごとに区切ります(「コピーを」、「3部」、「お願いします」など)。 言い直すときには、同じ言葉で再度伝えます。 相手の発音が聞き取れない時は、遠慮なく何度も聞き返したり、紙に書いてもらうなどして、コミュニケーションをあきらめないことを、お互いに理解しておきましょう。 16ページ 中分類3.肢体不自由 障害の概要 上肢(腕や手指、肘関節など)の障害、下肢(股関節、膝関節など)の障害、体幹機能障害(座位、立位などの姿勢の保持が難しいこと)、脳病変による運動機能障害(脳性まひ)などがあり、それらのいくつかを複合している場合もあります。 上肢に障害がある場合、細かい物をつかむ、物を持ち上げる・運搬する、書字、小さなボタンスイッチやタッチパネルの操作などが困難なことがあります。 下肢に障害がある場合、立っている、座るといった同じ姿勢を保つことや立ち上がる、歩く、段差の昇降など移動動作が困難なことがあります。 主な配慮事項 安全の確保、移動時の配慮、設備の整備、勤務条件の配慮が必要です。 障害以外の部位の活用、機械化、治工具や補装具の利用、作業台の高さ調整、作業分担や作業編成の変更、工程の改善、ペア作業(相互の能力を配慮してペアを組ませる)などの配慮が効果的です。 また、下肢に障害がある場合、職場内での段差解消、通路の整頓、作業座席の配置、トイレの改造などの環境整備が考えられます。 中分類4.内部障害 障害の概要 心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、膀胱または直腸の機能障害、小腸機能障害、HIVによる免疫機能障害、肝臓機能障害など多岐に渡ります。 いずれも生命の維持に関わる重要な機能の障害です。臓器本来の働きを補助するために通院や治療機器の装着のほか、日常生活が制限される場合があります。 主な配慮事項 体力低下、健康維持・管理に関して配慮が必要です。疲れやすい傾向があり、ゆとりある勤務形態などの配慮が必要な場合があります。 身体障害については、ご自身の障害について説明可能なことが多いですが、本人が気づかない特性があることもあります。 17ページ 分類2.知的障害 障害の概要 先天的、後天的(おおむね18歳まで)に、様々な原因によって起こる知的機能の障害です。生活や学習面において知的な働きや発達が、同年齢の平均に比べてゆっくりとしています。障害者手帳における判定基準等はありますが、法的には定義されていません。 知的能力の程度や合併する障害によって障害の状態が異なります。また、経験によって可能なことも一人一人異なります。 主な特性としては、@指示の理解には時間がかかっても、一度覚えたことは忘れにくい、A反復した単純作業にも比較的飽きない、B適性にあったことは集中して取り組める、C臨機応変さや複雑な手順を必要とする作業は苦手、D同時並行的に、仕事をこなすのは苦手、といったことがあげられます。 主な配慮事項 いろいろな人から説明や指示を受けると混乱してしまいます。指導担当者をはっきりさせることが大切です。「それ」「あれ」などの言い方や抽象的な表現は避け、簡潔で具体的な表現が大切です。 作業の指示は、一工程ごとに区切って例示するようにします。また、変更点などは事前に伝えることで、本人が変更に対応する準備ができます。 指導方法のポイント 「正しい行動の強化」と「失敗のない学習」を心がけましょう。 その方にとって良い指導方法に統一した上で援助なくできるまで練習を重ねます。 うまくできた直後に「今のいいよ」と声をかけるなど、本人が自信を持てるように褒めましょう。 ミスが発生したら、直ちに作業の手を止め、正しいやり方を最初に戻って修正します。本人と一緒に正しいものと見比べ、気づいてもらうようにしましょう。ミスを責めたり、批判しては正しい行動の強化につながりません。 指示や注意をするときには本人が理解できるよう工夫することが大切です。 本人の注意が話し手に向けられているのを確認してから話す 明確で簡潔な話し方 穏やかな口調と表情 肯定的な表現で話す 「走っちゃダメ!」、ではなく、「ゆっくり歩きましょう」 「おしゃべりはダメ!」ではなく、「静かにしましょう」 話し言葉と理解に差があることを考慮し、相手の理解しやすい言葉を使う 18ページ 分類3.精神障害 障害の概要 様々な精神疾患が原因となって起こります。 主な精神疾患には、うつ病・そううつ病などの気分障害、幻想と現実の境が曖昧になる統合失調症、不安障害や適応障害・パニック障害などの神経症性障害、脳の神経が一時的に激しく活動することによる発作である、てんかん、高次脳機能障害や認知症などの器質性精神障害、アルコールや薬物などへの依存症、生まれながら脳機能の特性により社会生活に何らかの支障が見られる発達障害、現実の認識の偏りにより感情や衝動のコントロールに課題が生じるパーソナリティ障害、などがあります。 精神疾患は、「その人の持っている、ストレスに対するもろさや神経の過敏さといった特徴」と、「日常的なストレスや生活環境が及ぼす社会・環境的な要因」が相互に作用し、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで発症・悪化します。 「不安で眠れない」、「イライラして過食になる」、「人との付き合いが嫌になる」、「疲れが取れない」、などの延長線上に精神疾患があります。 とても身近な疾病であり、「先入観を持たない」ことが大切です。  主な配慮事項 心身が疲れやすいので、短時間勤務からはじめ、体力の回復状況をみながら徐々に延長するなど、自身の障害と働き方の理解につなげることが大切です。 信頼関係を築くことのできる援助担当者や指導者を決めておくなど、相談したいときに相談できる環境づくりや、指導方法を共有することが重要です。 判断・責任などの精神的プレッシャーに弱い場合には、当初は安全なストレスレベルから始め安定したら少しずつステップアップを図ります。 工夫・応用が苦手なことがあるので、仕事の手順を簡素化し、作業マニュアルやチェック表を活用するとよいでしょう。 根気良く、わかりやすい指導を心がけましょう。 不調の兆候〜不安定のサイン〜 不調の兆候が自身でわかっている方もいます。前兆やその時の対応など、あらかじめ本人に聞いておきましょう。 集中力がなくなる、物忘れが目立つようになる、人付き合いを避けるようになる、不眠・寝付けない・早く目が覚める、食欲不振または過食傾向、いつもと違う印象が続く、(怒りっぽい、無口、おしゃべり、身だしなみの乱れ)、単純なミスが増える、混乱した様子が見られる、指示が通らなくなる、できていたことができなくなる、など 19ページ 大項目7.参考資料 マニュアル、webサイト 1.厚生労働省「障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(公務部門向け2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/soudanin_kousyu.html カウンセリング(第2章第8節)や、より詳細な障害別に見た特徴と雇用上の配慮(第8章)などが記載されています。 2.厚生労働省「就労パスポート」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06d_00003.html 障害のある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて、支援機関と一緒に整理し、事業主などにわかりやすく伝えるためのツールです。 3.厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座(e−ラーニング版)」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/ 厚生労働省が進めているしごとサポーター養成講座のe-ラーニングサイトです。 4.(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構「ハンドブック・マニュアル」 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html 「はじめからわかる障害者雇用〜事業主のためのQA集〜」「職場改善好事例集」などのマニュアルや動画が掲載されています。 20ページ 関係機関 1.埼玉県障害者雇用総合サポートセンター(受託者:NPO法人サンライズ) さいたま市浦和区北浦和5−6−5浦和合同庁舎別館1階 企業支援部門048-827-0540、定着支援部門048-823-9020 障害者の雇用開拓から就業支援、定着支援まで一連の支援を実施。 県HP https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/syougai-map/suportsenter.html 2.障害者就業・生活支援センター(県内10か所) 就職を希望している障害者や職場定着が困難な方を対象に、雇用・保健・福祉・教育等の関係機関と連携しながら、就業及びそれに伴う生活に関する指導・助言、職業準備訓練のあっせんなど、「就業面」と「生活面」の一体的な相談・支援を実施。国と県から事業を委託された法人が運営。 埼玉労働局HP https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_taisaku/seikatu-shien.html 3.障害者就労支援センター(県内41か所) 障害者の就労機会の拡大を図るために、地域で一番身近な市町村が設置する支援施設。障害者やその家族の求めに応じて、職業相談、就職準備支援、職場開拓、職場実習支援、職場定着支援の業務を実施。 県HP https://www.pref.saitama.lg.jp/a0809/syougai-map/syougai2020-01.html このほか、県内各地域のハローワークや、就労移行支援事業所(地方自治体から指定を受け障害のある方の一般企業等への就職をサポートする通所型の福祉サービス)などにおいても障害者に対する就業支援・定着支援を行っています。 なお、各関係機関は公的部門(国や地方公共団体)の事業主に対する支援を原則行えません。 以上