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掲載日:2021年6月11日
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これから建設業者に新築住宅の工事請負を頼もうと思うが、どのような点に注意したらよいか。
書面作成は契約の有効要件ではなく口頭契約であっても成立します。しかし、契約後のトラブルを避けるために建設業法第19条では全ての建設工事の請負契約について、書面による契約と建設工事の請負契約書に記載する内容を定めています。ただし、建設業法の定めを満たしていない場合でも民法上の契約として契約上の効力には影響がありません。
(建設工事請負契約の原則)
第18条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。
(建設工事請負契約の内容)
第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に沿って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
二 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
着工前に請負契約について合意した契約書に双方署名又は記名押印し、相互に所持する。変更契約の場合も同様
※なお、国土交通省のホームページから、標準請負契約約款を参照できます。個人住宅の建築であれば、民間建設工事標準契約約款(乙)を参考にしてください。
家を建てる場合、法律で様々な制限があります。たとえば、都市計画法では、市街化区域と市街化調整区域があり、市街化調整区域では開発行為が制限されています。市街化区域であっても、建築基準法で用途地域別に建築可能な建築物が定められています。また、一定の幅以上の道路に接していないと建築はできませんし、建物の建築面積や床面積は、敷地面積に対して割合が決められています。業者任せにしたばかりに、建築後に法律違反のため取壊しや改修命令を受けることにもなりかねません。まずは、建築しようとする土地がどのような制限を受けるのか、市町村や最寄りの県土整備事務所(建築安全センター)等に確認しましょう。
建築請負契約を交わす前に、自分のプランを業者と十分に協議しましょう。
請負業者は基本的には発注者の意向を尊重しますが、中には発注者の意向を聞かず自社のプランを押し付けてくる場合があります。
自分の考えがあいまいなまま業者任せにしたり、協議が十分でなかったりすると、あとになって「約束が違う」などとトラブルになりかねません。工事完成前であれば契約解除は可能ですが、請負者には損害賠償請求権があります。また、支払済み代金を回収するのは大変な困難を伴います。できるだけ細部まで検討して契約条件を決めてから契約しましょう。
請負金額については双方の合意により決まります。契約後に知らなかった、他と比較して高い、契約内容がおかしい等の申し出をしても一度合意した事項を変更するには大変な労力がかかります。事前調査を必ず行い契約金額に含まれる内容等に納得してから契約しましょう。
契約時の工事の詳細は、十分納得できる設計図面や見積書を添付させそれを契約条件としましょう。請負業者は注文者から請求があった場合は、契約が成立する前に見積書を提出しなければならないと建設業法第20条で定められています。できるだけ詳細な見積書を要求するようにしましょう。詳細な見積書の提出を拒むような業者や発注者の意向を聞かない業者との契約は再考も視野に入れましょう。
建設工事の請負契約については、建設業法第18条で当事者は各々対等な立場と位置付けています。対等な立場なので業者が提示する契約書について発注者も自分の希望を言うことができます。提示する契約書には着手金や中間払金等の記載がある場合がありますが、建設業法上では必ず支払わなければならないという規定はありません。どのように行うかは双方の協議のうえでの合意事項になります。着手金を払ったが中々工事を行わずにいるなどのトラブル回避のために、お金を支払う前に施工に対しての念書を取るなどの予防措置を取りましょう。
これ以外にも、工事途中に業者が倒産した場合の保証、完成後に工事の不適合(工事が不完全なための問題)が起きた場合の対応、途中で契約解除した場合の違約金等、についても発注者に不利な記載をしている場合があります。不利な契約にならないように内容を必ず確認しましょう。また、重要な事項の予防措置はしすぎるということはありません。建設業法に定めること以外でも重要なことは必ず契約書に明記しておきましょう。
なお、上記に記載した一般的注意事項については、建設業法上では第18条、第19条、第20条が該当しますが、これに違反していても建設業法上では罰則規定がありませんので罰することができません。業者が提出や作成を拒否した場合に限り、違反認定になり、提出等を促す指導等ができます。ただし、提出しますと言っている場合や遅延等では指導できません。よって、業者と合意した契約によるトラブルについては自己責任による解決になります。そうならないためにも、契約書に署名又は記名押印する前に慎重に対応しましょう。それでも、トラブルになった場合の御相談は国民生活センター又は消費生活センターに御相談ください。(消費者ホットライン 局番無し 188(いやや))
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