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掲載日:2016年11月1日

施設果菜類の省エネ管理技術

〈施設園芸省エネルギー勉強会2008年9月2日〉
施設果菜類の省エネ管理技術~燃料高騰にいかに対処するか~

農業支援課技術連携担当
河野 勉

1重油高騰対策=省エネ対策の基本的考え方

  • (1)今後も原油価格の高止まり傾向が続くとみられることから、燃料使用量の節減を基本にした総合的な対策を講じましょう。
  • (2)節油に向けた細かな管理の積み重ねが、大きな効果につながります。第一にハウスの気密性を高めるなど基本的な対策を再確認し、それを励行しましょう。
  • (3)節油をするあまり、適温を下回るような管理は、品質低下や病害発生につながります。このような対策は極力避け、現状の施設整備の範囲で経費をあまり必要としない省エネ対策を工夫して実行しましょう。
  • (4)重油使用量の多い品目・作期では、まず作期について見直しましょう。

2省エネ対策のための基本技術

  • (1)過去のオイルショックの際に取り組んだ省エネ対策の経験を生かし、比較的取り組みが容易な省エネ技術を選択して、実践しましょう。
  • (2)近年開発・実用化されたヒートポンプや空気膜ハウス等の導入にあたっては、投資額に対する節油効果を経営的に十分検討しましょう。

3比較的取組が容易な省エネ対策

  • 1ハウスの保温性の向上

    ハウス内の保温対策を実施することは、省エネルギーのための最も基本的な対策になる。
    ハウスからの放熱は、(1)被覆資材と構造材を通過する伝熱(貫流熱伝熱:放熱量の60~100%)、(2)被覆資材の隙間を通しての伝熱(換気伝熱:0~20%)、(3)地中への伝熱(地中伝熱:-20~20%)がある(図1)。
    ハウスの保温性を向上するには、このうち(1)、(2)を抑制することが大切で、これにより暖房効率が向上し、燃料削減効果が得られる。
    特に暖房をしているハウスからの熱の損失は被覆資材を通過する熱量が暖房負荷に占める割合として最も大きいことから、断熱効果の高い被覆を行うことが省エネルギー効果を高めることになります。
    その具体的な方法は次の2点

    • (1)保温性の高い被覆資材の使用:伝熱抵抗の大きい被覆資材を使う
    • (2)多層被覆を行う:空気自体の高い断熱効果を利用して被覆資材を多層化
  • (1)内張用資材の保温性能と選択

    被覆資材による保温性は、断熱性の高い資材ほど効果が高い。この断熱性の違いは、主に被覆資材の長波(赤外線)放射特性の違いに関係している。反射率+吸収率の値が高く、透過率の低い資材の方が断熱性及び保温性がより高い(表1)。
    したがって、アルミ材含フィルム(反射性資材)>農ビ>農Po>農作ビ>農ポリの順に断熱性が高い。
    アルミ材を含むフィルムでも、アルミ粉末をフィルムに練り込んだものより、フィルムにアルミ材を蒸着させた被覆資材が反射率が高く、断熱性に優れる。反射性資材では、反射率の高い面を外側にした方が断熱性及び保温性が高くなる。アルミ材を含むフィルムでは光線透過率が低下することなど作物の生育に悪い影響を生じやすく、最近ではアルミ材とポリエステル等を組み合わせた保温性の高い資材等も販売されており、これらの資材を利用すると効果的である。そのほかハウス側面に張る資材として空気層を含んだ被覆資材(エアーマットなど)があり、資材費も比較的安価(6,000円/50m)で、高い保温効果が得られる。特に生育が遅れやすいハウス周辺部で効果が顕著である。

  • (2)二層カーテンにする時の効果の高い資材の組み合わせ

    • 被覆資材と保温方法による熱節減率は表2のようになっている。
    • 各被覆資材の保温方法による違いは、二層、二重(資材を二重に重ね)、一層の順に効果が高い。
    • 二層カーテンを実施する時で異なる資材を組み合わせる場合には次の点も考慮して使用したい。
      • (1)断熱性の高い資材を外側に張った方が熱節減効果は高い。
      • (2)透明フィルムと不織布や割繊維タイプ資材の組合せでは、水滴落下を防ぐためにもこれらの資材を下層に張った方がよく、また、複層化に伴う湿度上昇の抑制効果も得れれる。
      • (3)一層と二層のフィルムの間には、10cm程度の空間を取ることが必要である。10cm以下では保温性が低下し、10cm以上あれば保温性の違いはほとんど無い。
  • (3)気密性の向上

    • 温室を長年使用していくと、天窓や換気扇、吸気口、さらには出入り口など開口部分の隙間が発生したり拡大することにより、気密性が低下してくる。この隙間から逃げだす熱量は、全放熱量の内、最大で20%程度もあるといわれ、気密性の向上が大切である。
    • 新たな資材を導入する前に、ハウス内外を十分に点検し、隙間から外気が入り込んでいないか良く点検する。被覆資材の破れやカーテンのつなぎ目や合わせ目、出入り口ドア部分、サイドや巻き上げ換気部分、連棟ハウスの谷樋部分、ハウス地際部などの隙間を塞ぎ機密性を高めることで保温性の低下を防ぐ。
    • 隙間やまくれ、破れなどの箇所が有ると、ここからカーテン上下間の空気移動が促進され、保温効果が大幅に低下する。自動カーテン方式などでは、日ごろの安心感から点検不足となっている事例も多々見受けられる。
    • 対策としては、サイドカーテンの裾部分は、針金やおもりなどで床面に固定したり、幅30cm程度のフィルムを裾部に固定張りすると、春先からのサイドカーテンのの開閉がしやすい。これにより、カーテン外側にたまった重い冷気が、カーテン裾部分の隙間から温室内に流れ込むのを防ぐ。また、側面に温室内気温の低下を抑制するため、さらに一層の資材を張る場合も、この場合も同様にする。
      この対策はハウス内を塞ぐことで作業性が低下することもあるが、保温性の向上を優先すべきである。隙間を全て塞ぐことで20%程度燃料使用量を節減した事例もある。
  • (4)多層化や光線透過率の低い資材利用による軟弱徒長に注意

  • 被覆資材を多層化するほど、また使用資材の種類によっては光線透過率が低下するので、日中は開放するなどして日射量を確保し軟弱徒長を防ぐ必要がある。
  • (5)温室北側への断熱資材等による外面被覆

    • 北風の当たるハウスなどでは、北側への断熱材の設置により、風による対流放熱を抑制し、保温性が高まる。
    • 長いハウスでは北側の被覆フィルム面を防風ネット等で被覆することも、ハウスの気密性が高まり、強い北風の影響を緩和することができる。

3暖房の均一化と暖房用機器の管理

  • (1)送風ダクトの点検と適正な配置

    • ダクトは数年で劣化するので、破れ易くなったダクトは交換する。特に、親ダクトの取り付け部は破れやすく、暖房効率を大きく低下させるので注意。
    • 温室内の温度ムラは暖房効率を低下させるので、ハウスの両サイド・中心部・暖房機から遠い所等、数カ所に温度計を設置確認し、温度分布を均一にするダクト配置をする。
    • 上記によるダクト配置は、分岐ダクトを長めにしておき、温度をみながら長さを調整したり、ダクトの途中に穴をあけたりし、温度分布を均一にする。
    • ハウスコーナー部に普通のダクトを曲げて使うと折れ曲がりで通風量が減少するので、コーナーダクトやダクトエルボ等を使い、無理なく通風させる。
    • 送風した時のダクトがパンパンに張っているようでは通風量が不足している。
      ダクトの接続口から1m位の位置で軽くダクトを押して、2~3秒で再度ふくらむ程度が適正の目安。また、ダクトの先端は絞り過ぎない
    • なお、温度ムラの改善のために循環扇の効果は高く、湿度等の環境改善も期待できる。

エルボ型温風機の例 チャンバー型温風機の例(櫛形) ダクト型温風機の例(環状)
適宜ダクトに穴を開ける
図4 温風ダクトの設置方法の例

  • (2)暖房機の点検・保守

  • 暖房機点検・保守を行う時は事故防止のため必ず全ての元電源を切り、給油バルブを閉めて、次の箇所について行う。
    • (1)缶体の掃除:A重油に含まれる硫黄や灰分などが、カスとして溜まり、詰まって黒煙が出たり不着火になったりして大きなトラブルとなるので、缶体を掃除する。通常は加温終了時に行うが、必要に応じてシーズン途中でも実施する。こうすると、カスの固まりが無く、缶体の腐食防止にも効果的。
    • (2)燃料管・ストレーナーの点検:シーズンが始まる時には、エアー抜きコックを閉じ、燃料流出を防ぎ、シーズン終了時はエアー抜きコックを開け、配管内の高圧力によるバーナー部品等の破損を防ぐ。また、配管の燃料漏れを点検し、ストレーナーを掃除し、燃料の詰まりを防止する。
    • (3)制御盤・付属コード類の点検:コード類や配線の点検を行い、漏電や接触不良等による機器の故障を防ぐ。
    • (4)温度センサーの点検:設定された暖房温度になるよう自動運転されているか温度センサーが正常に作動しているか必ず確認する。実際のハウス内の気温と暖房装置のサーモの設定温度にズレがないかも必ず確認する。経年劣化が進む消耗品であるので7~8年に1回は交換する。センサーの設置位置は、作物の生育にとって重要である成長点付近などの適切な高さに設置する。暖房ダクトの吹き出し口周辺に設置すると、適正温度で管理できないだけでなく上、暖房装置が頻繁に運転・停止を繰り返すことにより故障の原因ともなりやすいので注意する。
    • (5)バーナー廻りの清掃・点検:暖房機の要といえるバーナーは、定期的な整備や部品の交換が必要で、不着火など重大なトラブルにつながらないよう、整備する。特に、燃料噴射ノズルは使用とともに摩耗していき、摩耗したノズルは燃油量が増え、缶体を痛めたり燃焼状態を悪くするので、故障予防のために定期的にノズルを交換する。交換に目安は、1シーズン毎又は10Kl消費。
    • (6)エアーシャッターの調整:エアーシャッター(燃焼空気取り入れ口)は開けすぎても閉めすぎても燃焼効率は下がる。調整は煙突から出る排ガスの色を見ながら行う。
    • (7)燃焼空気取り入れ口の確保:ハウス内の密閉度を高めると、暖房機の燃焼空気が不足気味になるので、外気からの空気取り入れ管を設置し、新鮮空気を供給する。

(3)循環扇(攪拌扇)の設置

  • (1)密閉された温室内の空気の動きはわずかであり、ハウス内の温度は垂直分布となるが、空気を循環扇を利用して強制的に循環させることで、温室内の温湿度の分布ムラを解消し、暖房の設定温度を2~3℃程度下げることで、燃料消費を低減できる。草丈の低いイチゴでは温度ムラの解消に有効な省エネ機器と思われる。
  • (2)植物表面の乾燥を促し結露が発生しにくくなる(湿度が下がるわけではない)ため、多は湿条件下で発生する灰色かび病等の病害抑制効果も期待できる。
  • (3)循環扇の設置による省エネルギー効果を引き出すためには、間口や奥行きに応じて必要台数を必要箇所に設置する。10アール当たりの標準的な設置台数は3~4台。循環扇による風速が0.5m/s程度の風(線香の風が横にたなびく)ができるだけ均等に分布するよう配置間隔に留意する。

図5循環扇の標準的な配置図(水平空気流動を促進するための利用)

4温度管理方法の改善による省エネ(多段式サーモ装置の利用による変温管理)

  • 夜間の暖房機稼働時間を短縮するため、暖房機の最低夜温の管理温度を1℃低くすることにより重油使用量を5~20%節減することができる。
  • しかし、収量の減少や病害の多発等の弊害が大きい。
  • そこで、植物生理機能に応じて一日の温度設定を変える栽培方法「変温管理」を行うと後夜半の管理温度を一晩中一定の温度を維持する恒温管理の設定温度より1~2℃低くすることができ、重油使用量を低減できる。
  • 一日の時間帯別温度管理の考え方
    • (1)夕方から4~5時間(夜前半)、温度を高めて光合成産物の転流を促す。
    • (2)その後(夜後半)は温度を下げて、呼吸による消耗を抑える。
    • (3)早朝(日出前後の数時間)、再び温度を上げて光合成能力の回復を図る。(早朝加温は、後夜半の最も外気が低下する時期に暖房機を稼働させるため省エネ効果を得にくい。)
    • (4)日中は天候に応じて、光合成の最適温度を維持する。
  • 変温管理は、暖房機に「多段式サーモ装置」(四段サーモ)を連動させて自動制御して行う。
  • 設定温度を下げて暖房機の稼働時間が減少すると、施設内の湿度が上昇、病害発生に好適環境となりやすくなるので、循環扇や送風機等を併用すると効果的である。

図6 施設キュウリの変温管理の例

4導入コストが比較的高額な省エネ技術

  • 1空気膜二重構造ハウス(空気膜ハウス)による暖房コスト低減

    • パイプハウスの外張被覆に2枚のフィルムを重ね、その間にブロアで空気を吹き込んで断熱層(空気膜)とした二重被覆ハウスの一種。
    • カーテンと同等以上の高い省エネルギー効果が見込める。外張を空気膜にすることで燃料使用量を10~25%程度削減することができる。内張カーテンと併用すると30%以上の削減も期待される。
    • フィルムを2枚重ねることで光透過率の低下するので、トマトなど日射を要求される作目では利用を避けた方がよい。
    • 空気膜ハウスには省エネ効果のほか、次の様なメットがある。
      • (1)イチゴ、キュウリ等では生育促進や収量向上等の効果が確認されている。
      • (2)台風などの強風に強くハウスの強度が向上する。
      • (3)積雪時には上面にフィルムが振動するので雪が滑落しやすく、耐雪性も優れる。
      • (4)空気の断熱層のできるので、ハウス内面のフィルムへの結露が少なく、作物体への水滴の落下を軽減できる。
    • 日中は換気扇等の適切な換気手段がないと、室内が高温になりやすいので導入にあたっては換気方法に留意が必要。
    • 設置コストは4a規模で約30万円
  • 2温風暖房機用排熱回収機(エコノマイザー)

    • 温風暖房機の排気ガス(約12%)の熱回収を行う装置で、煙突からの排熱を30~40%程度回収すると言われている。ハウス外気温が3℃以下の場合、暖房期間が長く燃料使用量の多い場合には、導入メリットがある。ただし、熱回収率が90%程度の温風暖房機では、利用効果は低い。
    • 排気ガスを再利用するため、こまめなメンテナンスと清掃を行う必要がある。硫黄含量の少ないA重油を使うことが望ましい。
  • 3ハイブリッド環境システム(ヒートポンプ+重油焚き加温機)

    • 外部からの電気などの駆動エネルギーを与えて、低い温度の部分から温度の高い部分へ熱を移動させる装置がヒートポンプで、これによる加温を主に既設の重油焚き加温機と連携して暖房を行う制御システム。ヒートポンプは暖房のほか、夏期には冷房として利用が可能。
    • 10アール当たりの標準的な設置台数は2~3台。県内では冷房を必要とする洋らん農家等が導入している。野菜では、キュウリでの導入の可能性はあるが、導入メットが得られるまで、5~6年程度要す。
  • 4燃焼効率改善装置(レスキューブ)

    • 燃料を装置内の触媒を通過させることで燃料の粒子を細かく改質し、溶存酸素が増加し燃焼効率を向上させる装置で、Co2削減効果もあると言われている。
    • 農総研園芸研究所で行った試験では、約11%の節油効果が認められている。全国的には花き生産者を中心に導入が進んでいる。
      (参考)燃焼効率改善装置の節油効果試験結果(埼玉農総研園芸研究所)
      使用暖房機:ネポンHk-1520 38,000kcal,ノズルチップ1.0G使用
      温度設定:変温管理(最低12℃、早朝加温18℃) 調査期間:2008年2月25日~3.31
      図8燃焼効率改善装置(レスキューブ)とその節油効果

おわりに
重油高騰により工業製品等の値上げは見込まれるものの、農産物価格の上昇は期待できない情勢にあるため、省エネ対策に高額の投資を行う場合には慎重に検討する必要があります。この高騰状況が継続するような場合には、重油使用量の多いきゅうりなどでは、現状の収益と燃料費を含む経費の収支を十分勘案して、大幅な所得の減少を招かないよう、栽培する作目及び作期の見直しも検討してみてください。
また、以上に示した省エネ対策は、まずできることから実行することでかなりの経営コストを削減できるものと確信しています。 

お問い合わせ

農林部 農業支援課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎5階

ファックス:048-830-4833

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