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掲載日:2021年4月1日

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知事記者会見テキスト版 平成28年2月12日

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平成28年2月12日(金曜日)

 知事発表
平成28年2月定例会付議予定議案・平成28年4月1日付け組織・定数改正について

平成28年2月定例会付議予定議案・平成28年4月1日付け組織・定数改正についてのパネル(PDF:3,803KB)

知事

今日は平成28年2月定例会付議予定議案について、説明を申し上げます。招集日は2月19日金曜日で、提出議案は51件で、(内訳は)予算が21件、条例が21件、事件議決が7件、基本的な計画の策定等が2件であります。内容について申し上げる前に基本的な考え方について、まず県民の皆様にお伝えしたいと思います。

まず第1に、10年後の問題であります「2025年問題」に総合的に取り組んだことであります。埼玉県は、今後この規模とスピードに関して言えば、全国屈指のもので、異次元の高齢化問題になると理解しています。この間、「健康長寿埼玉プロジェクト」や「糖尿病の重症化予防対策」など、国に先駆けた取組を実施して、医療や介護需要の爆発的な増加に備える対策に取り組んできたところでもございます。28年度予算では、さらに、高齢者が地域で安心して暮らせる「地域包括ケアシステム」を確立できるように、市町村を徹底的に支援していく仕組みを作っております。既に、県内には和光市のように地域包括ケアにしっかり取り組んでいるところもございます。国に全国共通のモデルはありません。ご当地主義ということになっております。和光市などの取組を参考に、地域で高齢者のケアをするだけの仕組みではなくて、むしろ介護度を引き下げるような、そういう取組を積極的に発信していけるよう考えているところです。また、家族のケアも含めた認知症対策を重点にしたモデルを作って、先行モデルをしっかりと確立したいと思っております。更に「地域包括ケアシステム」を確立するためには、最も重要な「医療と介護の連携を図るためのネットワーク」を構築いたします。既に県内30の郡市医師会と連携して、全県域で入院患者を在宅に繋げる体制を整えてきております。28年度予算ではさらにその医療と介護が垣根を越えて情報連携が出来るよう「ITCによる医療・介護ネットワーク」を構築してまいります。

2番目に、日本社会の大きな課題であります「少子化問題」への総合的な取組です。私たちは比較的今ある危機には取組ができますが、将来の危機について取り組むことについて遅れがちになります。まさに少子化対策は20年後の長期スパンで考えなくてはならない課題だというふうに思っております。つまり、改善には20年かかる、こんなふうに思っております。そこで本県では、27年度から第3子の保育料の無料化などの多子世帯支援に取り組んでまいりました。国は平成28年度からこの第3子の教育費を無料化するという動きが結果的に出てまいりました。「少子化問題」は、若者の非正規雇用問題、或いは低所得化などの経済問題や、高学歴化に伴う晩婚や教育費の負担など社会全般に関わる問題であります。そこで、28年度は「実効性のある少子化対策」として、福祉部門だけでなく、トータルで考えるように致しております。

その1つ目が、教育費にかかる負担の軽減です。とりわけ私立学校の教育費を実質的に無償化する対象を、年収350万円から(年収)500万円に拡大することで、子育て世代の家計負担を緩和する、そういう仕組みを作らせていただきました。

2つ目が「若者世帯への住宅の供給」です。特に所得の低い若い人たちにとっては、首都圏の住宅費の高さというのは大変困難であります。従って、県営住宅をしっかり確保して、こうした所得の低い若者向けの県営住宅を確保していきたいと考えております。さらに、県営団地の建て替えなどで生みだした新しい空間を「子育て支援施設」に切り替えていくなど、総合的にその体系を作っていきたいと考えております。

そして、第3が「稼ぐ力」と「人財の開発」であります。産業政策は従来、国が主導するものだと言われてきましたが、埼玉県では「通商産業政策の地方分権化」ということを訴えてまいりました。むしろ積極的に県が産業政策を行うべきだという考え方をとって、海外に進出する中小企業の支援なども積極的に行ってきたところでございます。また、加えて、平成26年度からは、生産年齢人口の減少に伴って、もっと日本全体の経済力を付ける必要があるという考え方に立って「先端産業(創造)プロジェクト」を行っております。それは日本の産業がかつては自動車・電気・電子のこの御三家の技術産業に支えられていると言われてまいりましたし、また、裾野の広い産業でありましたが、電気・電子はご案内のとおりであります。自動車だけの1本足打法になっていると言っても決して過言ではありません。故にナノカーボン、医療イノベーション、ロボット、新エネルギー、航空・宇宙産業など新しい産業分野を切り拓く必要があるということで、この先端産業に26年度から取り組んできたところでございます。100億円の基金を設置して、そしてこの中から、既にご案内をいたしましたように、場合によってはリチウムイオンからマグネシウムに世界中が変わるかもしれないという、マグネシウム(畜)電池の開発に成功したところでもあります。この商品化・実用化をさらに進めてまいりたいと思っておりますし、28年度の研究開発テーマを更に拡充して、単純に製品開発に満足するのではなくて、やはり売れ筋商品にしていく、そこまで考えなければならないと考えています。

更に、「人財の開発」についても8年前からウーマノミクスプロジェクトに取り組んでまいりました。これは生産年齢人口の減少という人口動態を踏まえての動きでもございましたし、そしてまた、全国でも例がありません、「発達障害児・者への総合支援」、早期発見・治療(後に「支援」に修正)のために、1万500人からのいわゆる見分け(ができる)人を確立していく。そして、診療・療育機関の設置、さらには、就労支援というかたちでの動き、そうすることで障害者といえども、社会の有力なメンバーとして、まさに「人財」として生かされていく、そういうことを予算の中でもしっかりと取り組んでまいりました。そしてご案内のとおり、2025年問題の主役、75歳以上の高齢者、或いは65歳以上の高齢者が単に社会に支えられる人たちではなくて、ともに社会を担う人になりうる可能性が高いということは、その10人中8人が入院や或いは通院をしてない人たちである、元気な人たちであるということであります。こういう人たちが、就労や、或いはボランティアや、或いは生涯の趣味の世界、こういったところで活躍できるような仕掛けを掲げております。私たちはそれを「アクティブシニアの活躍支援」という形で、予算化させていただきました。セカンドキャリアセンターを設置して、「働く意欲のある方への就職サポート」、或いはボランティアのサポートなど、従来のシニアのイメージを変えるからこそ、「シニア革命」であります。

その他、ヒートアイランド対策を熊谷スポーツ文化公園で集中的に投資をしてその成果を検証しながら、全県的に展開できるようにして、私たちは、できるだけ、日本の縮図であること、そして、高齢化社会のスピードや規模においても、日本屈指であることなどを考えて、より先行モデルを発信していきたいという思いで編成をさせていただきました。

それでは(パネルで具体的に説明)。「2025年への挑戦元年」というかたちで当初予算を組みました。一般会計では、1兆8,805億2,600万円、前年比2.8%増です。そして、特別会計全体も含めまして、2兆8,092億9,483万円、前年比では3.9%増です。また、国の補正予算が成立して、それに伴う補正が、2月補正というかたちで、一般会計の中にもしっかり打ち込みをしていきたいと思っております。86億8,820万2千円、この部分は早期に実施することによって、いわば経済対策として切れ目のないかたちにするために、平成28年度とあわせ13か月予算として執行していきたいというふうに考えております。早急に議会のほうでもこの予算についてはご審議、また、議決をお願いしたいと思っております。

先ほど大枠でお話したとおり、「稼ぐ力」の強化、シニア革命、「人財」の開発、個別に説明をさせていただきたいと思います。そして、その下敷きとしての5か年計画の最終年度の具現化に繋がります。

まず「先端産業創造プロジェクト」の推進でありますが、先ほども話しました、これまで行ってきたところの今年度のポイントは、実用化に向けた研究開発の支援で、研究開発のテーマ数を計70テーマに拡充して、中小企業の高度人材の育成を兼ねて、ナノカーボンやロボット分野の実践講座を開催してまいります。そして、事業化に向けた新たな仕組みの構築として、「医療機関」「ものづくり企業」「製販企業」の3者が連携して、売れる医療機器を開発致してまいります。すでに裸眼3D画像による内視鏡手術システムの開発を、さる企業が、この医療イノベーションの先端産業創造プロジェクトを通じて行って、今や世界中から問い合わせが引っきりなしであります。こうしたものの第2弾、第3弾ができるような仕掛けをさせていただいているところでございます。そして、今は熊谷にあります農業大学校でありますが、過去にございました鶴ヶ島の農業大学校跡地の活用のために更地にして、そしてここに先端産業の関連企業を徹底的に誘致したいというかたちの予算組みもさせていただいているところです。

また、県内企業や中小企業の競争力を強化するために、「ものづくり企業のIoT活用支援」のために、様々な仕掛けを用意しているところでございます。とにかくインターネットを使った様々な支援をやることで、より競争力を強化していただきたいと考えております。また、企業立地などでも、圏央道ができましたが、圏央道に繋がるアクセスの道路についてもどのくらい目的地まで時間がかかるのか、あるいは開通までにどのくらい時間がかかるのかをすべて見える化をして、まさに「時間が見えるインターアクセス道路整備」のために22億1,500万円の予算組みをしながら、結果として中小企業の競争力強化を進めているところでもあります。

「儲かる農林業の推進」が「稼ぐ力」の中の1つにあります。埼玉県は食品産業・工業が全国3位の規模を誇っているところです。こうした食品産業関係は埼玉県の野菜なども使っておりますが、全国の野菜も使っております。できれば、埼玉県で一括にしていただきたいというかたちで、食品加工業の企業と、そして新たな野菜産地をオーダーメイドで供給するという。そういう仕掛けをすることで、産地のパワーをアップさせていく。そして、食品加工企業にとっては安定的に野菜を供給できる。なおかつ、地産地消で近いところからの供給が可能になることからコストを下げていく、というオーダーメイド型の生産地の育成を進めていきたいと思っております。また、養豚の生産性の向上のための予算、或いは、米のなかでも「彩のきずな」では「特A」を獲得して、値段の高い、高付加価値のお米を作ることで県産米全体の評価を高めて、販売力向上に繋げて、農家の利益を上げるようなかたちをしっかりやっていこうということで、研究・開発、生産、流通と、全面的にこの「彩のきずな」の「特A」に向けての支援をすることを考えました。

そして、シニア革命の1つでありますが、ご案内のとおり、肩車社会のイメージが世の中で流通してしまいました。騎馬戦型、3人で1人、しまいには1人で1人を支える社会になるんだということで、支える人も支えられている人もショボショボ顔のイメージのマンガが世の中に出回っていますが、私たちは10人のうちの8人が元気だという事実に着目して、アクティブシニアの活躍こそがまさに生産年齢人口の減少による日本の危機を救う1つの鍵だ。あるいはウーマノミクスプロジェクト、女性の力でそこをカバーしていくという。この2本立てが必要だという考え方に立っておりますが、アクティブシニア応援協議会を市町村や関係団体と連携してまさにムーブメントにしていこうと考えています。そして、(スマイル)ウーマンフェスタをやっておりますが、ウーマンだけではなくて、シニアの夢を実現するフェスタの開催を行って、改めて、就職やボランティアのきっかけづくりのイベントにしたいと考えております。そして、シニアの方々も、意欲はあるんですが地域デビューがなかなかできないという方々も決して少なくありませんので、支援機関のネットワーク化等を行うモデル市町村の補助を行って、徹底的に市町村単位で(後に削除)、シニアのデビューができるようにしていきたいと思います。こうした、働きながら地域貢献、或いは徹底的なボランティア、いろんなパターンを賄うことができるように。例えば、働きながらの地域貢献ですが、シルバー人材センターの改革が必要だと思います。例えば子育て支援など、じい様ばあ様のイクメンがあってもいいのですが、シルバー人材センターにはそういう項目が分野の中に入っておりません。自転車の修理、或いは造園、一定程度決まってしまっています。もっと視野を広げるべきだと思っております。あるいはまたセカンドキャリアセンターを作って、いわば第2のデビューをしていただくよう、県内8か所でお会いをして、アクティブシニアになっていただきます。いずれにしても働き方に関してもいろいろやり方があると思いますので、いろんな対応ができるような非常に柔軟な仕組みをとっていきたいと考えております。

そしてこのアクティブシニアの鍵は同時に健康長寿であります。すでに健康長寿プロジェクトの拡大を行って、とことんモデルで志木市と三芳町、さらに埼玉モデル、規模が小さいものを18市町村でやっておりますが、これをそれぞれ、5市町村と36市町村に倍増して、それぞれの市町村で全県展開のための準備をさらに進めてまいります。そして今度は健康マイレージ制度の構築を行って、いわばパスワードでシステムを作ることによって、(後に削除)どの程度自分の健康が上昇しているか分かるようなシステムを今年度作って、29年度からそれを稼働させたいということを考えております。例えば、駅前やスーパーや役所の支所などで、そうしたカードを当てれば自分がどのくらい1週間自分がどのくらい運動したか健康になったか(後に削除)がわかる仕組みです。そういったものを展開したいと考えております。さらに埼玉モデルの普及・拡大の下支えをするために、健康長寿サポーターの拡大、或いはスーパーサポーターの拡大などを行ってまいります。

そして、最も重要なものの1つ。地域包括ケアシステムの確立でありますが、市町村単位でございますので、市町村の(後に削除)自立の促進、あるいは介護予防、生活支援。この3つの取組を2、3年で実施をして、認知症モデルを1市町村で選定してそれぞれのところの先行モデルをしっかりと提供して、それを全県に広めていくというやり方を行ってまいります。その鍵は、まさに医療と介護の連携であります。在宅しながら医療を受ける、介護を受ける。それには、医師と看護師、あるいはケアマネジャー、ヘルパー。こうした人たちの連携が大事であります。希望する郡市医師会でケアマネジャーがぐるぐる回りながら市町村の包括支援センターを中心に(後に削除)ヘルパーさんが患者さんの基本情報を共有して、それぞれ場合によっては医師が往診をする。あるいは看護師が訪問看護をする。そして、そうしたものをマネージメントする。あるいはヘルパーさんがカバーをする。こうしたものを全地域に導入をしていくために15カ所から30カ所に今年度は増やしてまいります。

そして「人財」の開発でありますが、実効性のある少子化対策が必要だということを私たちは申し上げております。いろんな角度から考えていかなければなりません。今までは、例えば子育て支援のための保育所をいかに充実させるかという論点とか、あるいは医療費の免除であるとか、そういう論点でありましたが、総合的に考えなければならないでしょう。例えば子育て世代で一番困難なのは、住宅と教育費が高い。現在は市町村によって医療費の無料化などが行われておりますが、この私立学校における教育の負担の軽減のために111億800万円の予算を組んで、いわゆるこれまで350万円未満の所得のところだけ無償化していたところを500万円まで引き上げることによって、実質的にほとんどの私立学校における教育費の負担が無くなってしまうという、思い切った子育て世帯の負担の軽減を予算化させていただきました。そして新規に、都市の住宅事情が悪いこともあり、県営住宅を積極的に活用するかたちの中での、住宅供給で支援をする。例えば7万円、8万円払っていたものが2万円、3万円の世界になってくると、4万円、5万円からの住宅費が少なくなるということで、実質的に所得のカバーに繋がっていくという、こうしたことを行ってまいります。そして、保育サービスの充実に関してはこれまで(平成27年度)の6千人分(拡大)を(平成28年度は)6千500人分拡大をしてまいります。さらに2人目から3人目への支援というかたちで多子世帯保育料の軽減事業を引き続き行ってまいります。これは国の方も追随してまいりました。さらに多子世帯向けの住宅の供給促進を行ってまいります。そしてまた「多子世帯向け応援ショップ」の事業など、割引などの特典を提供する協賛店を大きく開拓してまいります。さらに結婚、妊娠への支援などをしっかりと拡充してまいります。

生産年齢人口(の減少)に伴うカバーのもう1つの論点は、女性の働きやすい環境であります。既に埼玉県ではシルバー、ゴールド、プラチナというかたちで多様な働き方の企業の認証を行うことで積極的に企業の女性の活用についての取組を推奨してまいりました。シルバーからゴールド、ゴールドからプラチナへとどんどん進むような仕掛けを組んでまいりました。さらに男性の育児(休暇)取得の促進のための奨励金の交付を当面25社、4年間で100社行うことでさらに拍車をかけたいと思っているところでございます。そして、一部新規です。業界団体、商工団体との連携強化ですでに一定の業界の中で女性の活躍(推進)を行っていただいているところでありますが「女性活躍推進リーダー」の育成をさらに進めることで各会員企業の中でさらに女性の活躍を進めるようにしていきたいと考えております。女性キャリアセンターでの積極的な就業支援をさらに進めてまいります。また「働く女性応援団」によるウーマノミクスの発信をさらに行っていただきたいと思っています。

そして、私たちは新たに「学力・学習(状況)調査実施事業」というものを教育委員会で展開していただきます。これは、文科省やOECD(経済協力開発機構)が注目している事業であります。小学校4年から中学3年までの6年間を通じて継続して学力の伸びを把握する事業であります。得点を測っていく事業ではありません。一人一人のいわば学業の伸びを測ることによって、よりはっきりとした教育方法や教育成果を教える側も学ぶことができる。もちろん教えられる生徒も学ぶことができるわけですが、何よりも埼玉県の学力向上のために効果的な指導方法が明確化される。あるいは、この成果は大学や研究機関などが、民間の力を活用することで更にいろんなかたちでこのデータを活用して、オール日本、場合によっては世界に効果的な学習指導、学習方法、あるいはその研究成果などがデータベース化することによって実態的に、指導方法により学力が向上するという新たな仕組みを徹底的に行ってまいります。

さらに、地球温暖化対策なども含めたかたちのエコタウンプロジェクトの拡大・深化を行ってまいります。所沢市と草加市で新しい試みが行われます。所沢では、家庭用蓄電池普及モデル事業というかたちで団地全体の中での蓄電池を用意することで余った電気をそこに一旦蓄電して、それをバランスよく供給して地域で電気をうまく活用するモデル事業を行って、ピークカットの取組を行って、費用を回収するという。そういう新しい事業を所沢市で進めてまいります。草加市では、賃貸の共同住宅に太陽光パネルを載せることでスマートハウス化して、いざという時には防災コミュニティの場所にしていくとか、新しい取組を進めてまいります。その他、ミニエコタウンの拡大については、既存4社だけではなくて新規の3つのハウスメーカーがさらに参加して拡大を進めてまいります。ヒートアイランド対策では小学校の芝生化の重点化、あるいは駐車場の緑化の推進、さらにモデル住宅地の創出や老人福祉施設などを二重窓化することによってエネルギーのロスを減らしたりして、同時にまた快適な住空間を創ることによって、より良き介護の体制づくりを行っていくというかたちを新規に行ってまいります。

医療体制の充実についてでありますが、ご案内の通り一昨年度の県立新がんセンターの完成、さらに本年12月には小児医療センターの完成、そして循環器呼吸器センターの新館の建設というかたちで県立4病院の主力3病院がそれぞれ新設、あるいはまた一部新設というかたちの中で、最大限に充実してまいります。小児医療センターが28年の12月、新病院としてオープン。そしてこちら(循環器・呼吸器病センター)の方は29年3月に新館がオープンということで感染症対策とか肺がんなどの緩和ケアの病床新設などが行われてまいります。更に順天堂大学の附属病院、あるいは大学院、看護学校などの誘致に向けての予算組みもしているところでもございます。

公共事業関係でありますが、補正予算も活用したかたちの13か月予算の枠組みの中で公共事業が切れ目なく実施されて、事業者の皆さんたちが「手が空いて困った」ということの無いようにしていきたいと思っております。県内全体的には圏央道プロジェクトが終了したこともあり、国の事業は随分減りましたが、その分県単の事業を道路では10%増やし、河川では12.2%増やすことで全体のバランスを取りながら事業者の皆さんたちが急に仕事が無くなったとか、そういうことのないようなかたちをとってまいります。

更に緊急治水対策の推進。昨年の集中豪雨で新方川(流域)の氾濫(後に「被害」に修正)などがございましたので、これを1年で一気に堤防のかさ上げをしてこういったことが無いようなかたちにさせていただきます。また、新芝川の堤防に関しても機能を強化するための仕掛けをしっかりとさせていただきます。更に歴年による施設等が劣化をしている所があちこちにあります。例えばこの土手というのでしょうか、そういった所がぐしゃぐしゃになっている所などをきちっと整備していく。護岸の復旧、土砂の撤去などを行って、まさに「集中豪雨などが起こった時にこれは耐えられませんね」というようなことだけはもう一気呵成に一気に片を付けていくという。こうした緊急治水対策事業を推進してまいります。

さらにご案内の通り「ラグビーワールドカップ」「オリンピック・パラリンピック」が2019年、2020年に来ます。これに向けた体制づくりを行っているところでありますが、特にオリンピックは同時に文化の発信でもありますので、彩の国(さいたま)芸術劇場の芸術監督であります蜷川幸雄監督による1万人の群像劇をオリンピック・パラリンピックで展開したいということで、2016年にはキックオフセレモニーと3千人の群像劇を行ってまいりますし、(東京オリンピックの)サッカー(後に「バスケットボール」に訂正)会場であります(さいたま)スーパーアリーナ、あるいは熊谷のラグビー(ワールドカップの)会場であります熊谷ラグビー場、あるいは(東京オリンピックの)サッカー(会場)の埼玉スタジアム2002、こうしたところの整備を計画的に行って、まさしくおもてなし、お迎えができるような体制のための予算組みを順次行っておるところでございます。

知事

予算は以上でございますが、平成28年度の組織・定数改正についても若干のご説明をいたします。全体として(知事部局の)組織は現在98課120所でありますが、3課プラスします。定数はプラスマイナスゼロであります。先端産業(創造プロジェクト)をさらに進めるための「先端産業課」を1つ。そしてずばり「シニア活躍推進課」。そしてラグビーワールドカップ大会の運営を整備していく「ラグビーワールドカップ大会課」。そして地域包括ケアのシステムを作るために、全体としてこれは医療と福祉の連携でもありますので「地域包括ケア局長」というかたちで、横断的なかたちをとらせていただきます。福祉部と保健医療部を横断するかたちで連携を強化します。再編としては「エコタウン環境課」というかたちで、これまで複数課で所管している省エネ・創エネ施策を集約し一体的に推進してまいります。病院局は141人増えます。ご案内のとおり小児医療センターの新病院の大なる充実と、循環器・呼吸器センター新病棟の開設準備がありますので、大幅な増員であります。

一部下水道局で新設として「下水道事業課」というものを作って、全体の下水道のマネジメントを行っていく課を作ってまいります。これは、定数そのものは変わりませんが、一部限定された組織を作ります。以上です。ありがとうございました。

東京

幹事社から1問だけ、まずお聞きします。今回の予算、前年度比2.8パーセント増という大きな規模になっておりますが、知事は以前の記者会見で「予算の編成過程を透明化したい」というお考えを示されておりましたよね。今後、どういうかたちでいつぐらいに公表したいとか、もし決まっていることがあれば教えていただけますでしょうか。

知事

はい。どこまで公開すれば一番いいのかなということについてはだいたい概略は決まってまいりました。例えばもう最初から最後までというふうになると膨大な資料になってしまいますし、途中で消えたものもたくさんありますし、そういったことを考えれば、知事査定に入ったところからがポイントじゃないかなと。重要な論点があるのを私の方から指摘させていただき、押し返してまた査定をするという仕組みがありますので、なぜそこで押し返されたのか、なぜ認められたのか、なぜ切られたのかというところが県民に見えると、予算編成というのは「なるほど、こんなかたちで議論をしているのか」、「こんなかたちで予算が決まっているのか」というかたちが分かるのかなと思っておりますので、その部分に集約させようかと考えているところです。

この発表はいつのタイミングがいいかということについて、若干まだ検討中でございますが、議会が始まってからでは意味が無いと思いますので、しかしあまりにもまた早々とやることで何と言うのでしょうか「議会軽視」と言われてもなかなか辛いところでもありますので、その辺の兼ね合いをちょっと議会の方にも若干相談してみたいなというふうに思っております。

朝日

今回の新年度予算の中で「シニア革命」とか、選挙の時から「2025年問題」とか言われていたと思うのですけれども、具体的な施策で一番知事がこれという思いを込められたものはどれになるのでしょうか。

知事

やはり、地域包括ケアシステムというのが一番ポイントになるかと思っております。非常に地域で心配なく医療や介護を受けられるのかという不安感が皆さんにあります。さりとて何も分からないでそれこそ病院にみんなが行ってしまったら、病院がパンクしてしまいますから、#8000もあれば#7000もあって何でもかんでも救急車を呼ぶというようなことをしないようにしていますし、あるいはまた、軽度な人たちがやたらめったら病院に行くというのもいかがなものかということでありますので、一種の地域で見回り体制というのをどう作れるのか。しかしこれは実はモデルが無い話ですので、先行モデルが幾つかあります。例えば都市部などでは和光市などが今、大きな評価を得ているところです。要介護の人たちというのは一般的にどんどん要介護度が高くなっていくんですね。悪くなっていくんですけれど、ここは減じているという非常に希な動きをしているんです。それは何なのかというとまさにケアシステムが充実しているからです。そういうことを地域地域で医師会、あるいはまた看護協会等々と調整をしながら市町村ごとに作っていかなくてはなりませんが全ての市町村でいきなりどうしようと言っているよりは比較的、手を挙げていただいて、モデルを作りやすいところから作っていただいて、で、A・B・C3通りくらい多分作らなくてはいけないと思っています。郡部向け、都市向け、それから大きい所と小さい所、市の。3通りくらいあると思いますので、そのうちどれかを選ぶようなかたちで作っていく。まさにこれは手探りでありますが、幸い医療と介護の連携ということに関しては非常に医師会も協力的で、その実績も例えば糖尿病の重症化対策などでも、もうすでに実績を見せていますので、この応用編で地域包括ケアシステムを作らせていただきたい。こんなふうに考えております。これが1つ。

もう1つはやはり少子化対策です。少子化対策もですね。バラバラでどっちかと言ったらやっております。一般的に言えば何て言うのでしょうか「子育てができないから保育所を作れ」こういう話。女性が働くためには子育てしなくちゃいけない。しかし「自分が全部できないから保育所を作れ」という話。ではそれで働いて「所得が増えたから子供が産めるのか」という世界になってくると、必ずしもそうとばかりも言えない。阻害している要因は一体何なのかということになっていくと、いろんな統計で明らかになってきたことがはっきりしています。基本的には所得が低い。そして、住宅がそれだけのキャパが無い。こういう問題。もちろん高齢化だとかそんなのもありますが、これは個々の差ですけれども。行政で用意できるものとしてはやはり住宅と所得の部分で、勝手に企業に「所得を上げさせろ」というわけにもなかなかいきませんから。では「住宅でカバーしましょう」とか、あるいはまた「教育費でカバーしましょう」とか、あるいは「保育に係る費用でカバーしましょう」とか、こういったところを今回は総合的に打ち込ませていただきましたので、この2つは相当思い切ってやらせていただいたというふうに思っています。

埼玉

地域包括ケアシステムに知事はかなり力を入れるというお話は分かりますが、途中のアクティブシニアの方が若干前面に出てきているのかなという印象も受けるんですが、これはバランス、あるいは地域包括システムの方がより長期のスパンで見てらっしゃるのか、その辺の兼ね合いをおっしゃっていただけますか。 

知事

最終年度が地域包括ケアシステムの確立が2025年、10年後に、9年後に作ってくれというのが厚労省の仕組みですので、ここ2、3年ほど少しモデル事業的なものでメニューを先ほど言ったようにA・B・Cぐらい作りたいと思っています。そうすると、それぞれのところがAを選択したりBを選択したりCを選択しながら一気呵成に進むと。みんなが一緒に進むというのも一つの手かもしれませんが、比較的そうするとロスが多くなるんで、準備が比較的進んでいたところ、あるいは先行事例でその型がもともとあるところなどを軸にして作ってしまって、それで後を追っかける方が時間的にもあるいは費用的にもロスが少ないものだと思っています。県はそういう役割を果たすのかなと。市町村が勝手バラバラに手を挙げて適当にやっていくのではなくて、やはり先行しているところが幾つかありますから、そういったところの人たちにお願いをして、さらに先行してやっていただきたいと。それを県として全面的に支援して、一定程度確立したものを選んでいただくと、それにプラスアルファで調味料が付いていくであろうし、何かの味付けがそれぞれの市町村ごとに出てくると思います。またその味付けをする時に県が何かの方法で支援するとかという方法もあるかと思います。そういうやり方が比較的今のところ、未来会議などでも議論が出てきているところですので、またこの問題については市町村の皆さんとさらに協議を進めて、より良き方法を選んでいかなくちゃいけないと思っています。

少子化対策もそうです。今年度で全て決めようと思っていません。一旦打ち出します。やり方をいろいろ決めて市町村と議論をしながら、市町村単位で頑張って頂かないと、なかなか隅々まで手が及びませんので、私たちはやっぱり議論をしっかりさせてもらおうと思っています。そういう場も予算化して用意しています、協議会の場も。そんなふうにやろうと思っています。

アクティブシニアはいつでもどこでもできる話ですので、もうできるところからどんどんどんどんやっていくというかたちです。

埼玉

少子化対策のところでお聞きしたいんですが、多子世帯向け住宅というのを今年度から始めていらっしゃると思うんですけれども、知事はかなり力を入れてらっしゃると思うのですが。今年度の多子世帯向け住宅で成果と課題が出たと思うのですが、さらにそれを今度の予算にどのように反映されたかお聞きしてもよろしいでしょうか。

知事

今年度の部分ではどっちかというと中古住宅の支援でありましたが、今度は若い人たちは所得が少ないということで、県営住宅を新設する、2,000戸分。500戸ずつ(後に削除)そういう人たちに提供するというのが新しい仕組みです。これはなぜ500戸(後に「400戸」に修正)なのかという部分に関しては、建設の供給側の準備などを考えてそういうレベルです。今年度はそういう部分も行って実質的により大きな成果を得ていきたいと思っております。

3人目以上の多子世帯に関しての成果でありますが、この部分については一定程度の評価というか、使われ方が行われているところですが、まだ最終年度が全部終わっていませんので統計の成果を全部もらっているわけではありませんが、引き続きこの部分は必要だという認識の中で今年度も予算化しているところです。

(多子世帯向け住宅の成果について)まだここで数字を持っていませんので、あとで数字を提供させてもらいます。

産経

4期目に昨年当選されて4期目初年度ということで全般的になるんですが、意気込みというか今回の予算編成にあたっての意気込みと、あともう一点知事選のところで、将来に向けた道筋をつけるための足がかりが非常に重要になるというお話盛んにおっしゃられていたかと思うんですけれども、その辺の部分についてどのような打ち込み、実際の施策でも結構ですし、思いでも結構ですし、その辺をご説明いただけますか。

知事

結構8、9年前から仕込みはいっぱいあるんですね。2025年問題にしても言わば、人口統計、人口動態を実はあまり政府は使っていなくて、その場その場の経済対策をやっていたんですね。私は9年くらい前からこの人口動態をすごく気にしていて、生産年齢人口の低下というのが大きい。従って、地方でも産業を興すべきだということで、通商産業政策の地方分権化とか、あるいはまた女性のチャレンジ支援まで含めるとウーマノミクスプロジェクトを8年やっているわけです、女性の社会参加の拡大ということでは。そして健康長寿プロジェクトに関してもやはり高齢者が社会参加していかないと持たないということでの数字でもありましたので、この部分に関しては実際に8年前4年前からやってた世界、あるいは(後に削除)9年前、5年前からやっていた世界、それで知事選からのことで言えば、少子化にはそんなに踏み込んでいなかったんですね。例えば保育の拡大だとかいうのは、「今ある危機」だったわけですね。ところが、一般的に少子化対策というのは難しい。子どもを産んでくださいというのを本当に人に頼めるのか。しかし、現実的にはやっぱり少子化というのは相当な危機だと思わなくちゃいけないんですね。結局20年後、10年後の需要を意識しながら企業は投資をしていくわけです。人口がどんどんどんどん少なくなっていくということを前提にしたり、子どもが少なくなっていくということを前提にすると投資意欲が沸かないわけですから。まさにこれはデフレの道ですよね。人口が増えますね、あるいは子どもの数が増えてきますね、ということがある意味では日本の成長を支えてきたわけですから。それが無くなっていくということは、これはやっぱり相当な危機だと思わなくてはいけないわけなので。子どもの産み方に関しては、あんまりものを言ってはいけないと私自身は思っていましたが、言うことは言わなくても、少なくとも意欲のある人たちに関する準備はしても良いんではないか。だから不妊治療だとかこういったことに関しては踏み込んだ予算組みなどもやってまいりました。より産みたいと思っている人たちが産めるように。男性の不妊治療の費用は出していなかったんですね、ほとんどの自治体が。埼玉県がスタートさせてもらいました。今では国の方もするようにしました。まさに思いがある人たちだけにしか私たちは準備をしていなかったんですが、今のところ思いが無くても後に思いが出てきた時にはいつでもそういう準備があります、ということを少子化対策で打ち込もうというふうに、実は選挙の時思っておりました。それがまさに「今ある危機」ではなくて「将来への危機対策」だということの一つです。

もう1つ、高齢者対策の中で一般的にシニアの元気というのはそこそこ全体の空気の中でできることですが、医療と介護の連携作業などはそれぞれがバラバラになりがちなので、こういうのをまとめるのが県の調整力だというふうに思っておりますので、この部分は県の出番だなというかたちで、まさにこれは10年後の世界ですが、ここ3年ほどで全部確立すれば、まさにあとはAのモデル、Bのモデル、Cのモデルをそれぞれが使っていただければ良い。こんなふうに考えているところで、この2点がどちらかというと意識した道筋、先にある道筋を考えたところですね。

日経

今回4期目の最初の予算ということで、いろいろ取材の過程で議会との関係でなかなかあまり良くないようなふうに見える関係もあって、職員の方からなかなか新しい政策が打ち出しづらい、議会にいろいろ言われるんじゃないかと、知事がおっしゃるようなまさに「縮こまる(知事困る)」というような状況が若干見受けられる部分があったのかなと個人的に思ったんですけれども、知事のご認識としてそういうことは全く関係なく、きちんとしっかりとした政策を打ち込めたというご認識なのかどうかについて。

知事

縮こまる(知事困る)じゃ困っちゃうんですよね本当に。勝手にそういう部分で忖度してはいけないと思っています。それは職員の課題ではないですから、議会との関係は。まさに特別職の知事や副知事が考えることだと思っておりますので。そういうことは勝手に思ってはいけないと思いますが。それ以上に私たちが心配しなくちゃいけないのは、やっぱり役所というのは国もそうですが「今ある危機型」なんですね。だから、そこにある危機には対応しやすいんですけれども、将来の危機にいかに対応してないかというのは、まさにこの少子化を招いている昭和42年当時は「4人家族で結構だ、これ以上子どもが増えたら困る」と、産児制限を訴えたくらいですから。私も(昭和)42年当時の文献を見てびっくりしました。なんと日本は昭和42年ごろには人口抑制策をやっていたんだと。誰も今時知らないです、そういう事情を。しかし、基本的にはそういう流れできたのが事実ですよね。4人家族で全て制度設計がされている。年金であろうと、医療であろうと、住宅であろうと、何であろうとですね。もう、そこにやっぱり間違いがあったわけですね。4人家族で(制度設計をして)、4人家族を形成できなかったときには現状維持どころか、本当に大幅に減っていくわけですから。(合計特殊出生率が)2.3で維持するわけですから、むしろ5人家族みたいな話をして、言わば定常人口みたいなかたちですよね。なぜそういう打ち込みができなかったんだろう。何かやっぱり将来を見越す力が無くて「今ある危機」の方に負けてしまったということだと思います。我々はできるだけ「今そこにある危機」もそれはそれで非常に重要ですけれども、10年後、20年後、場合によっては100年後とかそういうことを考えるべきだと思っています。例えば先端産業(創造)プロジェクトに関しても、外れたらどうするんだと、こういう批判を受けます。当然受けます。全部成功するわけがない。でも私はそれをやりたいと思います。批判を甘んじて受けたいと思っています。しかし必ず幾つかは成功して、必ず埼玉から「なるほど」というようなことを評価される、そんなふうに思っていますので。もう先端産業(創造)プロジェクトなんか博打の世界だと思います。考えようによっては。失敗したらどうするんだ100億円。「福祉に使え」なんて話になるかもしれません。しかし富を生み出す力というのはこういったところからスタートするわけですから、富を生み出せないで、福祉ができるわけありませんから。でも何となく「100億円あるんだったら福祉に使え」という話の方が、説得力を持つ可能性がありますけれども、あえて100億円を投資して、それ以上の富を生み出す努力を私はしたいと思っています。

朝日

今回の議会側から出た要望をどのように反映されたかということなんですが、私立学校の教育費負担軽減は大きいものだと思うんですが、自民党側からの要望だったと思うんですが、その辺りは。

知事

ずっとこれは固定化されていく予算ですので、それなりに多きな予算組みになりますので、悩ましいところがありましたけれども、単に私立学校関係者からずっと以前から出ていた話であります。しかしそれを土台にした話だとNOという話だったかもしれません。しかし少子化対策で何がネックになっているかというのを丁寧に調査していくと、先ほども申し上げたとおり、若い人たちの所得の無さでありますが、所得の補填を私はすべきだと思っておりません。それは自分で稼がなくてはいけないと思っております。そして賃金を勝手に県や国が決めるものでもないと思っています。そうしたことをすれば必ず経済に歪みが出てくると思っております。ただ、最低賃金だとかそういった部分には当然そうしたものを下敷きにしなくてはいけないと思っていますが、では何をしなくてはいけないかと言うと、例えば教育費がかかるが故に、例えば公立の方であればそんなにかからないけれど、私学の人たちはかかる。では私学に通う人たちのカバーをすべきでしょうという議論で、少子化対策ということで言えば十分価値のある話になってきます。これは私立学校を助けるという話ではありません。まさに少子化対策という一番重要な課題の一つになってくる、そういう判断がありました。

随所に各党各会派からの要望事項はございますし、後程個別に回答はそれぞれにお返ししたいと思いますが、基本的にはそういう政策の流れで、優先順位で決めたりしております。例えば箇所付けで言えばいろんな要望がありますけれども「1年で片付けましょう」という緊急水害対策みたいなのがあるわけですね。集中豪雨は前回あったことは必ずあり得るということは基本にならなくてはいけないんですね。前回を大幅に上回るという話になってくるとなかなかそれはきりがない話になってきます。カスリーン台風で被害を受けた利根川の改修、あのレベルまでぐらいはしっかりやらなくてはいけないというのは基本になりますし、新方川で今回溢れた(後に「被害のあった」に修正)部分のところはカバーしなくちゃいけない、あるいはまた破堤による新芝川の部分、この部分なんかもやっぱり最小限のあの程度のことだけはカバーしよう、これは1年以内に起こることがあるんだということを前提で組み立てたりしております。こういうのは要望を超えた話です。一般的な要望は「何とかしてくれ」ということですから「分かりました。調査をしましてそれから、なんとかかんとか」という話なんですけれども、これは「分かりました。一気にやりましょう」そういう話です。

読売

今水害の話も出たかと思うんですけれども、新しい事業で幾つか昨年の9月に豪雨災害が起きてから、それに対応するような河川の管理とか整備に関して新規事業も幾つか入っていますが、その豪雨や災害に対する今回の予算に向けて知事の危機意識や思いあたりを聞かせていただければ。

知事

災害自体をどう予算で評価するというのはなかなか見えない部分もたくさんあると思っています。全体としての危機管理防災というかたちで、ソフトのパワーもたくさんありますので、予算が要らないところもたくさんあります。あっても大した予算じゃない部分もたくさんありますが、現に起こった事故といいますか、そういうものはそこまで起こり得るということを前提にしたかたちをとらなくてはいけないと思っています。例えば雪害があれば、あの程度のことは100年に一度だと思わないで、毎年だってあるかもしれないという対策を考えざるを得ない。同じように新方川の氾濫(後に削除)なども、あれは特別だったと思わない。また起こり得る。だったら1年以内に片を付けましょうという話に。しかし、これ以上起きたときどうするという話までし始めるときりがなくなってしまいますので、前回の部分に関してのカバーはできましょう。そういうことは。これはやっぱり災害対策の基本だと思っています。こういうのにはあまり時間をかけないでやりましょうというかたちもあります。全体の予算でどうなっているかというところまで、全部一個一個追っかけろと言われたら、今の中の質問に対してはお答えにくいですね、基本的にはそういう考え方になっているということでお答えしたいと思います。

朝日

議会との関係で、予算をまとめられて議会で議決されないと全く意味の成さないものになると思うので、最大会派の自民の意向というのは基本的には無視できないものだと思うんですけれども、先ほどの質問とも関連するんですけれども、本当はこういうのやりたかったけれども、ちょっと賛成してもらえるか分からないなということで見送ったものとかあったりするんですか。

知事

今のところ無いですね。

朝日

知事がやるべきことというのは盛り込めたという。

知事

そうですね。まだ熟していないもので、いずれやらなくてはいけない課題はいくつかありますけどね。図書館の問題だとか。ただ現実に切り立ったというんでしょうかね、ずば抜けた案が教育委員会から出ていませんので、持ってきていませんので。いずれこれはやらなくちゃいけない話ですよね、ただ相当議論になるかもしれませんが。今のところそれは無いんで、そこは全く議論してませんので。少なくとも今回の中で「これは嫌がるからやめましょう」という話はないと思います。

朝日

今回4期目に入られて、1期目、2期目と状況を比較して、例えば少子化とか高齢化というある意味どこの都道府県とも共通の課題を抱えている中で、独自色というのは出しづらくなってきているのか、それともあまり変わらないのか、知事のお考えというのはいかがでしょうか。

知事

これはまさに先行モデルは厚労省の優等生と言われていますから、埼玉県は。生活保護の教育支援からスタートして、糖尿病の重症化の対策、あるいは和光市における介護の重症化を逆に減じるというこういうモデルなどは、あるいは発達障害の取組なども含めて。厚労省の優等生と言われているぐらいどんどんモデルを出せると思っています。むしろ深刻な問題があるところほど徹底的にそういうことを出していけるんじゃないでしょうか。埼玉県なんかまさに高齢化なんかのあるいは少子化に関しても決して良い方じゃありませんから。そういう課題があるところほど、たくさん良いモデルを出せるんではないですか。出さざるを得ませんよね。そんなふうに思います。

朝日

知事選のときにはシニア革命というワードは確かまだなかったと思うんですが。

知事

そうですね、言葉としては無かったと思います。

朝日

どのようにしてそのワードが生まれたのか、名付け親って…。

知事

結局はイメージが先行していたんですね、騎馬戦型と肩車型と。1人が1人を支える時代になるんだと。実はみんなが弱るんだというイメージが先行していたんですね。ところが、よく統計を見ていくと65歳以上の人たちで現在現時点で通院入院していない人たちが8割です。膝が痛いとか肩が張るとかいろいろあるかもしれませんが、基本的には通院とか入院を必要としない人たちが8割というこの事実を知ったんで、結局今までのイメージとは全く違う世界だなと。今までは支えられる側なんだというイメージの方を先行させたんですね世の中。「医療が大変だ」「介護が大変だ」とこればかり言っていたわけですね。そうではなくてむしろ場合によっては社会を担う人たちが8割いる。その人たちにそれぞれの居場所を作れるかどうかが大変なんです。だからまさに革命なんですね。それぞれが自分たちの居場所ができるかどうか。うっかり濡れ落ち葉族になったら困る。地域デビューができなくて困っていると本当の病気になってしまったとか、そうならないようにするにはどうすればよいか。そうすれば今までヤングキャリアセンターを作って成功していたように、セカンドキャリアセンターを作って、自分の居場所がつくれない人たちは来てください、相談しましょう。そういうかたちでアクティブシニアをどんどんつくりだしていく。シルバー人材センターなんて言っているとそれだけで老けてしまうような、ちょっと寂しいイメージになってしまう。違うところもありますよ。しっかりやっているところもありますけど。もっとこれだって改革しないといけないんじゃないですか。シルバー人材センターなんていったらもっと活き活きするような話にならなくてはいけない。それがそうであるかということに対して私は疑問を持っていますので、我々の所管ではありませんが、何らかのかたちで提案したいと思っています。そういう意味でやっぱり革命的な話になってくるんじゃないですか。だから何となく出てきました「シニア革命」が。

朝日

知事から?

知事

はい、私から言いました。

毎日

関連してなのですけれども、全国共通の課題で少子化というのがある中で、やはり知事の4期目の独自色というのは、そういった中で先行事例を出していくことが、知事の独自色ということでよろしいんでしょうか。

知事

単にモデルを出しただけでは意味は無いんですよね、そのモデルが普及する、そして実証的な効果を出していくということが大事だと思っています。県庁の職員で、一番最近で私がヒットだと思うのが、やはり(発達)障害者の見分け(ができる)人を1万500人作ったことです。なぜ1万500人必要かということを実証的に積み上げたことです。今までの(埼玉)県庁だったり他の県庁であれば、各市町村から2、3人集めて研修をやって「そういう見分けができる人たちを育てています」で終わったと思うんです。保育園に何らかのかたちで発達障害の可能性がある子供がいる、その時に「ではないか」ということをお母さんたちにきちっと説得できる人が園長を含めて3人いる、各園に。あるいは幼稚園に3人いる、園長を含めて。小学校に校長を含めて6人いる。市町村には3つくらいの課にそれぞれ2人ずつくらい、合計で6人いる。その人数をずっと計算していくと1万500人になった。この1万500人を育てるには「どのくらい育てられるのか」、「1年間3,500人が限界ですね」、「3年かかります」、3年かけて1万500人作った。あとはだいたい700人ないし800人をローリングしていけば、この1万500人は確保できるでしょうと。その1万500人の人たちは何をするか、具体的に一度作業療法士が巡回してきますから「見ていただけませんか」と「立ち会っていただけませんか」と、作業療法士もあるいはそうした先生方も「精密検査をする必要があるかもしれません」ということで、病院でしっかり精密検査もしていただいて「これは発達障害の診断をせざるを得ません」と、だったら、そのための療育をどうすればよいかという、今度はプログラムになってくるし。そういうプログラムを受けた子供たちは、さほど障害が社会の中で問題にならない。問題にならないようなかたちになってくれば「人財」になる。ところが大きくなるまで放置されていると、場合によってはなかなか社会の中に入っていけなかったりするので「人財」にならなかったりする。こういう実体的に物を考えて結果を出すようなことがぼちぼちできている。

どのくらいの数をすればいいのか、一般的には県というのは単位が大きいもので、モデルさえ出せばそれでもうOKというようなところがあったのですが、それだけにとどまらずに市町村や関係団体に協力をお願いしてかなりの量を実践する。そういうことができるようになりつつあるということです。またそうしないと、モデル先行だけではやはりダメだと思っています。糖尿病の重症化の予防体制というのは、これは全県ですから。呉市でだけうまくできた例はあります、市町村レベルでは。全県展開をやろうとしているのは埼玉県だけです、今のところ。だから厚労省が取り上げているんです、厚労省というよりも内閣官房の「健康・医療戦略室」が評価してくれているんです。

そういうことなどが私は必要だと思っているんです。単にモデルを出すだけではなくて、実体を作っていくという。だから、かなりウーマノミクスプロジェクトもやはり数が多いです、企業の数も。何か「幾つか表彰して終わり」という世界ではないですから。そうすることで、埼玉県、全県的な運動になってくると思っています。全てのトラック事業者のところで「女性だっていいよ」という世界とか、建設会社でも「いいよ」という世界がどんどんできつつあります。意外に評価が高いんです、女性の評価ですね。今までの男性と違った視点とか、違った丁寧さだとかそういうのが評価されていますので、やはり実体をつくる運動を埼玉県はやっていきたいと思っていますね。

産経

今年、新たに打ち込んでいく事業はそういう実体をつくれるという自信がおありという理解でよろしいんですね。

知事

もちろん。「自信がおあり」というよりも、自信というよりもまさに関係団体や市町村との協力、また議会のご理解等々が必要ですから、オール埼玉で取り組んで行けば、まさにムーブメントになりますので。

埼玉

先ほどの図書館のお話のところで一つ確認をさせていただきたいんですけど、熊谷会館については特に今回、方針というか、何か特に跡地活用に関しては入ってなかったんですが、これに関しては特に議論にはまだなっていないということでしょうか。

知事

教育委員会から持って来ていませんからね、話として。まあ「尖ったやつを出してくれ」と私は頼んでいます。一番お金を使った図書館を作るわけでもないんで、何かやはり「ああなるほど!という切り口を持ってこい」と、こういうふうには言っています。あれもこれもという、何と言うかみんなくっつけたようなものではなくて、「なるほど!」というようなやつを考えてくれと言っています。

埼玉

個人的な見解で恐縮なんですが、16年度予算、ちょっと知事にしては県民に対するメッセージ性がちょっと弱いんじゃないのかなという印象を受けたのですが。例えば、先ほど知事が伝えたいことというのは「地域包括ケア」と「少子化対策」だというお話をされたんですが、例えばそれだったら記者発表資料でも前面に、前に出してくるのが今までの知事だったような気がします。

「縮こまる(知事困る)」というお話もありましたけど、例えば3期目の時、3大プロジェクトの時は積極的に市町村に手を挙げてもらって「やるんだ」という予算と人を配置した。2年前の先端産業(創造)プロジェクトの時は100億円という規模を出して、それなりのメッセージ性というのが、すごい予算で強く出ていたと思うんですが、今回もバランスは良くできているという印象は受けるんですが、一方で知事らしい思い切った見せ方、県民または市町村に対して「地域包括ケアをもう県は一生懸命やるんだ」と、そういう面でのメッセージ性がちょっと弱いんじゃないかという印象を受けたんですけど、どうでしょうか。

知事

うーん。それは捉え方の問題じゃないですか。3大プロジェクトの時には。最初から申し上げているように、(パネル(3)「平成28年度当初予算案の重点分野」を指しながら)私がなぜこの表どおりに言わずに、考え方の説明をしたのかということがまさに私のメッセージなんです。「今ある危機」しか政治はやっていないんです。投票だとか自分の座を死守したいがために。「今ある危機」はやりますが、「将来ある危機」に対応しないじゃないですか。8、9年前から生産年齢人口の低下を意識した打ち込み、どこの誰がやっていました「今ある危機」しかみんなやっていないんです。今回のも10年後、20年後にどうするかということを最初に訴えました。

それは100億円とかいう数字が分かり易いかもしれません。しかし「10年後、20年後という将来の危機に備えた施策をやっているんですよ」というメッセージ、「なぜ100億円を先端産業に使っているんだ」と「100億円あればもっと福祉に使えるじゃないか」と「もっと医療の無料化にお金を出せばいいじゃないか」とかという話でしょう。「でもそんなことはしません」と言い切っているじゃないですか。これはまさに県民に対するメッセージなんです。「今年度だけではないんです、10年後、20年後の仕掛けなんです」ということを全てに渡って言っているんです。だから「稼ぐ力の強化ですよ」「福祉も医療も稼ぐ力がないとできませんよ」「それぞれが人間らしく長生きしていくんですから、生きて行くための仕掛けはどうするんですか」「居場所をどうするんですか」ということでの「シニア革命」。人がそれぞれ宝にならなくてはならないでしょうと、女性も障害者も若い人も「みんな貧乏で苦労してます」と「それじゃ困ります」と。3大プロジェクトという言い方はしていませんが、まさに「稼ぐ力」「シニア革命」そして「人財の開発」、私は十分メッセージを出していると思っています。

埼玉

その中で具体的に知事が「地域包括ケア」と「少子化対策」を、これが大きいとおっしゃいましたよね。その政策に対して「もっと県がやるんだ」というようなかたちの…。

知事

それは質問の仕方に答えただけですから。今の質問の仕方だと、こういう言い方をしますよ。「その中でも」と聞かれたから。第一、最初に言っているじゃないですか、この画面を見ないで、私自身の考え方を「今ある危機ではなくて10年後、20年後にどうするかということを予算の大きなものにしています」ということを言っているんです。

そこを読んでいただかないと、そういうのを優しくメッセージに代えてもらうのが皆さんの仕事じゃないですか。私ばかりに仕事を与えないでください。

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 その他
男性育児休暇取得を表明した宮崎健介衆院議員の議員辞職について

埼玉

男性の育休取得を提唱していた国会議員の宮崎議員が先ほど辞任を表明されましたが、県でも新年度、男性の育休取得にかなり力を入れていて、奨励金を用意したりとか、結構力を入れていると思うんですけれど、この宮崎議員の辞任の一連の流れについて知事の所見を聞かせてください。

知事

あまり詳しく知らないんですね、だからあまり、答えにくいんですが。あまりコメントする必要も無いんじゃないかなという程度の話じゃないですか、そんなふうに思っています。

(終)

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知事直轄 報道長  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎1階

ファックス:048-830-0029

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