総合トップ > 県政情報・統計 > 県政資料・県報 > 県政ニュース(報道発表資料) > 2017年度 > 2017年4月 > ―不当労働行為救済申立事件の救済命令について― (埼労委平成28年(不)第2号A不当労働行為救済申立事件
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発表日:2017年4月7日14時
部局名:労働委員会事務局
課所名:審査調整課
担当名:審査調整第二担当
担当者名:弥勒寺、古庄
直通電話番号:048-830-6465
Email:a6452-02@pref.saitama.lg.jp
埼玉県労働委員会(会長 小寺智子)は、平成29年4月7日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付したのでお知らせします。その概要は次のとおりです。
(1) 申立人 川口市関連職員協議会(川口市)
(2) 被申立人 株式会社Y(川口市)
事業内容:警備業
(1) 申立年月日 平成28年6月30日
(2) 申立の概要
申立人は、平成27年8月12日に平成27年夏季休暇及び年次休暇に関する団体交渉を、平成27年12月2日に平成27年冬季賞与の支給に関する団体交渉を、平成28年5月25日に就業規則に関する団体交渉を、それぞれ被申立人に申し入れた。
しかし、被申立人は、被申立人の求める次の団体交渉ルール
1)団体交渉の内容その他団体交渉に関する情報の一切についてこれを秘密として保持し、正当な理由なく第三者に開示又は漏洩しないこと、
2)当日の団体交渉において録音、撮影を行わないこと、
3)当日は被申立人の代理人の議事進行に従うこと、
に申立人が同意していない、という理由によりいずれの団体交渉にも応じなかった。
このような被申立人の行為は、不当労働行為(労働組合法第7条第2号)に当たる。
(1) 被申立人は、申立人からの平成27年8月12日付け、平成27年12月2日付け、平成28年5月25日付けの各団体交渉申入れについて、申立人が、被申立人の求める団体交渉ルールに同意しないことを理由としてこれを拒否してはならない。
(2) 被申立人は、今後、不当労働行為を繰り返さない旨記載した文書を1週間以内に申立人に手交しなければならない。
(3) 被申立人は、命令書受領の日から2か月以内に、申立人との間で団体交渉を行わなければならない。
被申立人は、3項目全ての同意書・誓約書を提出しないことを理由として団体交渉に応じないが、団体交渉ルールに関する合意がないこと自体を団体交渉を行わないことの理由とすることはできない。
また、被申立人が示す上記3条件に団体交渉開催のための正当な理由があるか検討すると、(1)、(2)いずれについても、団体交渉ルールはあらかじめ労使間で合意をしておくかその都度協議して定めるべきものである。それにもかかわらず申立人からのルール策定の事前協議にすら応じない被申立人の姿勢は、団体交渉否認の態度であり、違法の程度は著しい。
(3)については、申立て当初被申立人の示していた、議事進行を被申立人の代理人が行うことについては、一方当事者の代理人を議事進行役とすることを団体交渉の条件とすることは、労使双方が対等な立場に立って交渉を進める、という団体交渉の機能を損なうおそれがあり、極めて不相当である。また、被申立人は団体交渉の条件を申立人も代理人弁護士を選任し、双方の代理人が交互に議事進行を行うことに譲歩したと主張するが、これについてもその具体的理由が示されず、かつ、申立人が自主的に判断すべき代理人の選任について団体交渉開催の条件とすることは組合の自主的意思決定への不当な介入である。
したがって、正当な理由なく団体交渉を拒否した労組法第7条第2号で禁止する不当労働行為に該当する。
調査4回。平成29年3月23日の公益委員会議で命令を決定。
※労働委員会とは?
労働委員会とは、労働組合(労働者)と使用者との間の紛争を、中立・公正な立場で、迅速・円満に解決するために労働組合法に基づき設置された行政機関です。労働委員会では、労働組合等からの救済申立により不当労働行為の審査を行い、また、労働組合や労働者、使用者からの申請によりあっせんを行い、労使紛争の解決をサポートしています。
※不当労働行為とは?
労働組合法第7条により禁止されている「使用者」の次の行為。
1 労働者が労働組合の組合員であることや労働組合が正当な行為をしたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取扱いをしたりすること。
2 雇用している労働者の代表者との団体交渉を正当な理由がなく拒否すること。
3 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配しこれに介入すること。また、労働組合の運営経費について経理上の援助を与えること。
4 労働者が、労働委員会に対して、不当労働行為の救済を申し立てたことなどを理由として、労働者を解雇したり、不利益な取扱いをしたりすること。