ここから本文です。
発表日:2018年1月4日14時
部局名:教育局
課所名:近代美術館
担当名:企画展担当 教育・広報担当
担当者名:五味 飯島
直通電話番号:048-824-0110
Email:p240111@pref.saitama.lg.jp
多くの人々が手にすることのできる「版画」というメディアの特性を生かし、その普及とコレクターの育成を目ざして誕生した「現代版画センター」(1974-85)。同センターは10年あまりの活動の中で、およそ80人におよぶ美術家と協力して700点を超える作品を次々に世に送り出し、同時代の美術の一角を牽引したことで知られています。
センターで作品を発表した作家には、平面作品を中心に制作する美術家のみならず、彫刻家・工芸家・映像作家・建築家にいたるまで、さまざまなジャンルのアーティストが含まれていました。こうしたジャンルの垣根を越えた活動のあり方は、当時画期的なものとして大きな関心を集めました。
またセンターの活動は版画の制作にとどまりませんでした。数多くの美術家や批評家が寄稿した「現代版画センターニュース」や、主催の展覧会カタログを中心とする出版事業を活発に行い、美術界に大きな影響を与えたことが注目されます。
こうした活動は、版画表現の可能性を最大限に追い求めた時代の熱気を今に伝えます。本展覧会は、現代版画センターが制作した作品と資料から、その活動の軌跡をたどります。
平成30年1月16日(火曜日)~3月25日(日曜日) ※会期中一部展示替え有
[前期:1月16日(火曜日)~2月18日(日曜日)、後期:2月20日(火曜日)~3月25日(日曜日)]
開館時間:10:00~17時30分(展示室への入場は17時00分まで)
休館日:月曜日(2月12日は開館)
県立近代美術館 2階展示室
(〒330-0061 さいたま市浦和区常盤9-30-1 電話048-824-0111)
一般1,000円(800円)、大高生800円(640円)
※中学生以下及び障害者手帳等をご提示の方(付き添い1名を含む)は無料。
()は20名以上の団体料金。
併せてMOMAS(モマス)コレクション(1階展示室)も観覧できます。
絵画、版画、素描、写真、書籍など約280点(予定・一部展示替えあり)。
今から遡ること約30年前、文化的なものを生活に取り入れようという機運が高まった1970年代、複数の枚数を刷ることのできる版画は、誰もが手に取ることのできる芸術として大きな期待を集めていました。そうした中、ひとりでも多くの人の手に版画を届けることを使命に、1974年から本格的な活動を始めたのが「現代版画センター」です。
現在でこそ美術市場の中で確固たる存在感を放つ現代版画ですが、当時は、まだ作家の自費出版が中心で、制作から販売までのルートが確立されていませんでした。そのような状況下でセンターの活動の中核を担ったのが、全国に広まった50を超える支部や頒布会の会員たちです。版画センターはリーゾナブルな価格で会員に版画を提供、人々の交流の媒介となる「メディアとしての版画」の考えに共鳴した3,000人あまりのメンバーの力により次々に新作が生み出され、各地で展覧会やオークションが開催されました。
このようにしてセンターからは、多彩な作品が誕生しました。難波田龍起(なんばだたつおき)や靉嘔(あい・おう)といった、かねてより版画を手がけていた著名な作家に加え、現代美術家の関根伸夫や草間彌生、日本画家の加山又造、建築家の安藤忠雄や磯崎新、彫刻家の堀内正和などが参加、また海外作家としてアンディ・ウォーホルや映像作家のジョナス・メカスともコラボレーションが実現し、現在でも第一線を走るさまざまな分野のアーティストの手による版画が誕生しました。多くの作家たちにとって版画というジャンルでの制作は新たな表現への挑戦となったため、700点を超す作品たちは現在でも色褪せない新鮮さが感じられます。
またセンターの活動の軌跡を色濃く伝えるものとして、さかんに刊行された出版物が残されています。各種の案内や会報には、作品の情報や制作過程、イベントの紹介にとどまらず、作者自身や刷り師・評論家・コレクターなど、さまざまな立場の人々が稿を寄せ、刺激的な知的交流の場を築きました。今に残る大量の刊行物からは、“いま、自らの手で新しい芸術のあり方を切り拓く”という会員たちの情熱が感じられます。
(1)これも版画!? 様々なジャンルのアーティストとコラボ
画家、版画家にとどまらず、彫刻家、工芸家、映像作家、建築家まで、様々なジャンルの作り手の作品を紹介します。「版画=マルチプル=複数存在する作品」という解釈のもと、一見したところ彫刻や工芸作品に見える作品もが版画センターで産声を上げました。
(2)奇跡のコラボ | アンディ・ウォーホル×現代版画センター
関連事業として、現代版画センターの仕事を多くこなした刷り師の石田了一氏と、伝統版画家の西岡文彦氏によるトークイベントを開催します。アンディ・ウォーホル自身が監修した版画センター史上伝説の作品、《KIKU》シリーズ誕生にいたる裏話をじっくりお聞きします。
(3)帰ってきた現代版画センター:リアル版画作品付き・スペシャル版図録を数量
限定でリリース
本物の現代版画センターのエディション作品の入ったスペシャル版図録、選べる5種類(大沢昌助、オノサト・トシノブ、菅井汲、堀内正和、元永定正の中の1枚が付属)・限定50部・税込8,000円(予定)で販売します。
(1)トークイベント「ウォーホルの版画ができるまで――現代版画センターの軌跡」
日時:3月18日(日曜日)14時00分~16時30分(開場は30分前)
会場:2階講堂/定員:100名(当日先着順)/費用:無料
第1部 西岡 文彦 氏(伝統版画家 多摩美術大学教授)
聞き手:梅津元(当館学芸員)
第2部 石田 了一 氏(刷師 石田了一工房主催)
聞き手:西岡 文彦 氏
内容:およそ80人の作り手と協力して700点を超えるエディション作品を次々と世に送り出し、同時代の美術の一角を牽引した現代版画センター。その活動において欠かすことができない存在が、版画の「刷師」である。このイベントでは、ウォーホルをはじめ、多数の作家との共同作業を担った刷師を招き、現代版画センターのオリジナル・エディションについて語っていただきます(第2部)。また、第1部では、エディション作品の提案やオークションの開催など、時代に先駆ける活動を展開した同センターの活動を振り返ります。
(2)担当学芸員によるギャラリー・トーク
日時:1月27日(土曜日)、3月10日(土曜日) 各日とも15時00分から30分程度
会場:2階展示室/費用:観覧料
※ [スライド・トーク] 御希望のグループにスライドを使って本展覧会の見どころを御案内します(予約制)。お問い合わせ・ご予約は教育・広報担当(電話048-824-0110)まで。
(1)主催
県立近代美術館
(2)協力
JR東日本大宮支社、FMNACK5
JR京浜東北線北浦和駅西口より徒歩3分(北浦和公園内)。
JR東京駅、新宿駅から北浦和駅まで、それぞれ約35分。
当館に専用駐車場はありませんが、提携駐車場「三井のリパーク埼玉県立近代美術館東」では駐車料金の割引があります(企画展観覧で300円引き、MOMASコレクション観覧で100円引き)。団体バスは事前に御相談ください。お体の不自由な方の御来館には業務用駐車場を提供いたします。ただし台数に限りがありますので予め御了承ください。
【お問合せ先】
県立近代美術館企画展担当 五味 (電話:048-824-0110)
【参考情報】
県立近代美術館
ホームページ:http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
公式Twitter:https://twitter.com/momas_kouhou
公式Facebook:https://www.facebook.com/momaspr
公式YouTube:https://www.youtube.com/user/momasjp