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掲載日:2023年6月1日
薬剤部の最新の基本データは以下をご覧ください。
調剤担当 | 入院・外来調剤、持参薬管理、薬剤管理指導 |
注射担当 | 患者毎1施用単位での供給、請求による供給 |
製剤担当 | 中心静脈栄養輸液・抗がん剤の無菌製剤処理、院内製剤 |
薬品管理担当 | 発注、在庫管理 |
試験検査担当 | 投与設計、院内測定 |
医薬品情報担当 | 情報収集と利活用、薬事委員会事務局、疑義照会受付窓口 |
各業務担当(主任・技師)の職員からなる病棟担当グループ(4~5名)を3班編成し、
1グループが4か所程度の病棟を担当しています。
小児医療センターの薬剤部では、夜勤と休日日勤を交代勤務で実施しているため、定期的に担当業務の交代を行い、入職の初期から幅広い業務を行える人材育成を目指しています。
人材育成の方法は担当業務でのOJT(On the Job Training)を基本としますが、その期間は職員の業務経験年数や薬剤部の運営方針により異なります。
時期 | 到達目標 |
採用後3か月 | 職場の環境に慣れ、夜勤業務ができるよう準備をする |
6~12か月 | 調剤業務と注射業務の定例業務を全般的に経験する |
2年目~3年 |
定例業務ローテーションと病棟担当チームに参加する 薬剤業務を総合的に理解し、自立した業務遂行を目指す |
4年目以降 |
小児薬物療法認定薬剤師研修会に参加し、認定取得を目指す 病棟担当チームで主体的に活動する |
7年目以降 | 専門的な領域を深める |
調剤室では、処方箋にもとづき内服薬や外用薬の調剤を行っています。
調剤の正確さだけでなく、年齢や発達段階に応じた、小児患者が服用しやすい剤形での調剤を心がけています。
小児患者の調剤に占める剤形は散剤が主体となりますが、市販されているすべての医薬品に小児用剤形が存在するわけではありません。このため小児患者の調剤では、錠剤をつぶして散剤にしたり、液剤にしたりすることがよくあります。
最近では、小児用剤形も増えてきましたがが、これらを積極的に採用して安全かつ効果的に薬物療法が行えるよう努めています。
入院患者への注射薬供給のほか、医薬品や輸液、消毒液等の購入管理も担当しており、適切な在庫の確保に努めています。
また、注射薬自動取揃装置を導入して入院患者ごとに1施用単位での取り揃えを行っています。このほか、手術室で使用する医薬品や消毒薬の供給も毎日行っています。
医薬品の購入管理では約1,300品目の購入と在庫管理を行っており、小児病院という特殊性を反映して、一般の病院ではあまり見かけない医薬品も数多く取り扱っています。
高額な冷蔵医薬品については、トレーサビリティ管理システムを導入して、廃棄リスクの低減と管理業務の効率化を図っています。
無菌室では、院内製剤と注射薬の無菌製剤処理業務(ミキシング)を行っています。
市販の医薬品だけではすべての疾患の治療に対応できず、病院内で「くすり」を調製することがあります。これを院内製剤といいますが、当センターの院内製剤には、小児患者に適した剤型や、特定の診療科との協力で実現した独自の処方があります。
注射薬のミキシングを実施するために、中心静脈栄養輸液専用の陽圧クリーンルーム(ISO6)と抗がん剤専用の陰圧(ハザード)クリーンルームの2室を有しています。
小児の中心静脈栄養液は少量の薬剤を何種類も混合することが特徴で、配合変化や安定性について入念な確認を行っています。成人を対象とした病院ではキット製剤が主流ですが、小児輸液ではキット製剤で対応しきれない少量のミキシングが多く、アンプル製剤を用いた細かな操作も多く存在します。
また、抗がん剤は正確な混合操作に加えて、作業者の曝露対策が不可欠であり、防護用具を着用して安全キャビネット内で作業するなど、安全面にも配慮しています。
さらに抗がん剤の種類に応じた投与量、投与間隔などの確認にも注意を払っています。1mLに満たない用量で投与する患者もおり、繊細な技術が必要になります。
医薬品情報業務では、医薬品を安全かつ有効に使用するため、様々な情報を収集・整理、加工して医療スタッフや患者さんに提供しています。
各種問い合わせにも対応していますが、小児の薬物療法では、有効性や安全性について必要とする情報が不足している場面が多く、そのような場合には、国外のガイドラインや文献を参考に評価を行い、根拠に基づいた最適な情報を提供できるよう心掛けています。
さらに、医薬品の採用・削除などの審議を行う薬事委員会事務局としての機能を担っています。医薬品の採用にあたり、各診療科から提出される医薬品採用申請書を基に、事前に医薬品情報の入手、分析を行い、小児の薬物療法において適正であるか、薬剤師の視点から評価を行っています。
試験検査室では、抗菌薬の効果を最大限かつ副作用の発現を最小限にするために、TDM(薬物治療モニタリング)を行っています。
小児においては、画一的な投与量では至適血中濃度のコントロールが困難な事例が多数あります。腎機能低下、循環動態不安定、透析治療を受けている場合は、特に集中的な管理が必要です。各診療科の医師と情報共有を行いながら、効果や副作用に関する因子を継続的に確認して、患者ごとに個別化した投与設計を行っています。
小児の薬物投与設計では難しい場面が多々ありますが、提案した治療計画をもとに患者の病態が改善したときは、とても大きな達成感を得られます。
現在、集中治療病棟と小児がん病棟、循環器科病棟など5か所の病棟と手術室で病棟薬剤業務を実施しています。今後すべての病棟に薬剤師を配置する計画があり、小児薬物療法の安全確保と適正化に貢献できるよう、各診療科や関係部門と連携して、小児病院に望まれる病棟薬剤業務・薬剤管理指導業務を模索しているところです。
ICT/ASTチームでは週1回カンファレンスとラウンドを行っています。
カンファレンスでは1週間で特定抗菌薬(より適切に管理が必要な抗菌薬)を使用した患者について共有し、使用目的や使用期間が適切であるかディスカッションを行います。
ラウンドでは病棟と各セクションを視察し、衛生管理が適正に行われているか確認を行います。
また月1回のICT会議や感染防止委員会で、抗菌薬に関する情報を院内向けに発信しています。
NSTでは週1回カンファレンス(カルテ回診)を行い、依頼があった患者の栄養管理について話し合っています。
カルテ回診後は実際に病棟を訪問して患者の状態を確認し、長期入院のため栄養状態の悪化が懸念される患者の栄養摂取状況の確認を行っています。
薬剤師は、患者に投与されている静脈栄養や栄養管理に影響を及ぼす薬剤について確認しています。小児では、患者の成長を考慮した栄養管理を行うこと、ミルクや経腸栄養剤の内容によっては不足する栄養素があるため、モニタリングと補充を行うことなどが特徴です。
また、月1回のNST委員会では回診状況の確認や、栄養管理に関する院内勉強会についての企画を行っています。
病院実務実習で薬学生の受入を行っています。
・病院実務実習の学習スケジュール事例2021(PDF:165KB)
第Ⅰ期 | 第Ⅱ期 | 第Ⅲ期 | 第Ⅳ期 |
― | 4※ | 4※ | 4※ |
※薬学教育協議会関東調整機構枠(第II期は4名、第Ⅲ期と第Ⅳ期は各1名)
JACHRI(一社・日本小児総合医療施設協議会:https://jachri.or.jp/)
全国の小児専門病院が集まり、小児医療に固有の課題を共有するとともに、小児医療の充実と発展について国等に働きかける活動を行っています。
さいたま市薬剤師会・さいたま地域連携Network
さいたま市地域の薬薬連携の一環として、研修会の開催や院外処方箋の疑義照会プロトコルを締結しています。
また、さいたま市版おくすり手帳の開発プロジェクトも進行しています。
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