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掲載日:2022年3月3日

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平成18年度埼玉県産業技術総合センター研究報告Vol.5

平成18年度に当センターで実施した研究に関する成果公表です。

各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。

 

 

政策的重点研究(6テーマ)

 

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 形態 PDF
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1 マイクロ波を利用したガスの改質に関する研究
導電性繊維を用いたマイクロ波放電によるフロンガスの破壊処理について検討した。炭素繊維を用いた場合は、温暖化効果が高い四フッ化炭素が生成した。スチールウールと水蒸気を用いた場合、四フッ化炭素は生成せず、無害化できることが確認された。また、この処理の生成物として結晶性の高い蛍石が検出された。実用化すべく、試作機を作製し、実証試験を行った。その結果、破壊認定基準である分解率99.99%を達成できた。
マイクロ波放電、炭素繊維、スチールウール、フロン類 環境 17~18 産官 研究報告(PDF:275KB)
2 微生物利用技術に関する研究
-パン種の乳酸菌と酵母の利用-

自然発酵パン種の乳酸菌と酵母を利用した新製品開発について検討した。饅頭は県産米(ソフト158)及び国産麦(あやひかり)を用いたものが良好であった。発酵米粉による漬け床はぬか臭味が無く、漬け込んだ野菜は色鮮やかであった。また、発酵風味を有したあられの試作例を示すと共に、自然発酵パン種抽出液を添加した濡れせんべいの製造を試みた。
自然発酵パン種、発酵米粉、饅頭、乳酸菌、酵母、あられ、濡れせんべい バイオ 17~19 産学官 研究報告(PDF:512KB)
3 微生物利用技術に関する研究
-新規酵母の分離と食品への応用-

県内の自然界や酒造工場より分離した酵母から、発酵性のあるものが得られた。それらについて、パンの製造及び清酒製造に適した酵母を選抜し、製造試験を行った。それぞれ実用可能で、特徴的な株が得られた。
酵母、発酵、パン、清酒 バイオ 17~19 研究報告(PDF:464KB)
4 超微細加工に関する研究
-ディーゼルエンジン用ノズルの微細深孔加工-

現在、船舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに対してφ0.2mm、深さ4mm(アスペクト比20)以上の微細深孔をあける要望がでてきている。しかし、船舶用ディーゼルエンジンに使用されるステライトは難削材であり、現状では対応できていない。
微細深孔ドリルの刃先に対してシンニング加工を施す装置を開発し、この装置でシンニングをしたドリルによって、切削動力を低減させ、刃先への切粉溶着を抑制することができることを確認した。さらに加工条件の見直し等を行った結果、φ0.2mm、深さ4mmの微細深孔を実用的に加工するために必要な条件である、工具寿命50孔以上を達成することに成功した。
微細深孔ドリル、シンニング、燃料噴射ノズル ものづくり基盤 17~18 産官 研究報告(PDF:477KB)
5 超微細加工に関する研究
-安全性に配慮したジルコニウムの電解エッチング加工-

従来、ジルコニウムの化学的、電気化学的な加工(エッチング、電解研磨等)にはフッ酸等の毒劇物を含む溶液を使用し、作業に危険を伴う方法が用いられてきた。そこでジルコニウムを安全にエッチング加工する方法について検討した。その結果、エチレングリコールと塩化ナトリウム、塩化亜鉛からなる電解液を用いた電解エッチング加工により、ジルコニウム板に高品位な加工面を有する微細貫通孔を加工することに成功した。
ジルコニウム、フォトエッチング、電解、エッチング、貫通孔 ものづくり基盤 17~18 産官 研究報告(PDF:965KB)
6 高品位鋳造技術に関する研究
-耐アルミ溶湯鋳鉄製品の製造技術に関する研究-

アルミ溶湯に損傷されにくい鋳鉄製品を開発し、鋳鉄製品の高付加価値化を図ることにより、鋳鉄鋳物製造業の競争力を向上させることを目的としている。これまでに開発した材料をベースに、クロム添加量および熱処理条件を変化させて耐アルミ溶湯溶損性の向上を図った。その結果、耐溶損性に優れた熱処理温度域を見つけることに成功した。
耐アルミ溶湯溶損性、アルミニウム、0.8%クロム鋳鉄 ものづくり基盤 17~18 産官 研究報告(PDF:285KB)

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産業支援研究(13テーマ)

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 形態 PDF
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1 小規模排水処理装置に向けた微生物担体の開発
ハニカム状のセラミック材による微生物担体を使用して、同一槽内で高濃度オゾン処理と微生物処理を行う排水処理システム(オゾン生物同時処理)を検討した。担体により微生物が保護され、オゾンの酸化力による汚濁等の分解と微生物による浄化作用により水処理効果が向上することが確認された。その結果、新たな槽を設けることなく既存の活性汚泥処理槽を活用し、より高度な排水処理の可能性が見出された。
小規模事業所、排水処理、オゾン生物同時処理、微生物担体 環境 17~18 産官 研究報告(PDF:1,102KB)
2 溶媒含浸法を利用した有用金属回収技術の開発
-溶媒含浸繊維によるパラジウムの回収-

溶媒含浸繊維法を利用し、金属混合溶液中のパラジウム(Ⅱ)の回収実験を行った。金属吸着剤としてN,N'-ジメチル-N,N'-ジ-n-オクチル-チオジグリコールアミド及びトリ-n-オクチルアミンを用いて溶媒含浸繊維を調製し、パラジウム濃度の異なる4種類の金属溶液により実験した結果、0.1mM溶液で高い選択吸着性を示した。また、0.2及び1g/L溶液でも100%近い吸着率が得られた。加えて、吸着・溶離繰り返し実験でも、8回目まで吸着性能を保持した。
溶媒含浸繊維、カポック、貴金属、パラジウム、吸着、溶離 環境 17~18 研究報告(PDF:219KB)
3 畜肉製品のテクスチャー評価と高品質化への試み
畜肉製品の力学的特性を客観的に評価する手法として、機械計測による品質判定技術について検討した。格付評価が同等の牛肉のヒレ、ランプ、モモ、サーロイン等、部位の異なる牛肉を試料とし、動的粘弾性測定装置及び静的圧縮試験装置を用いて測定した。動的測定による貯蔵弾性率E’は、静的測定によるヤング率Eに比べ部位間の品質差がよく示され、加熱後の試料は加熱前に比べその傾向がより顕著であった。
畜肉、品質判定、動的粘弾性測定、圧縮試験、貯蔵弾性率、損失弾性率、ヤング率 バイオ 17~18 産官 研究報告(PDF:252KB)
4 食品製造工程における微生物検出技術の開発
加工食品から大腸菌群が検出された際に、汚染源を除き衛生状態を復元するための汚染源推定システムの迅速化・簡便化を試みた。糖(アラビトール)の資化性により、10属17種の大腸菌群の標準菌株を識別できることが示された。そこで、アラビトールを用いた培地を用い、2種類の食品とその各々の製造工場より分離された大腸菌群の構成相を調べたところ、その類似度から汚染源を特定することができた食品と推定にとどまった食品とに結果が分かれた。後者については、さらに、DNA解析を試みることで、汚染源を特定することができた。2種類の培地を用いる大腸菌群構成相の解析で、簡便に汚染源を特定できる可能性が示された。
食品衛生、大腸菌群、培地セット、汚染源探索 バイオ 17~18 産官 研究報告(PDF:248KB)
5 小麦由来機能性成分の新規利用技術の開発
小麦ふすまの機能性成分としてフィチン酸に注目し、有機酸による抽出を試みた。その結果、フィチン酸を約15%含む抽出物が得られた。また、この抽出物はビタミンB1及びB2、ミネラル分を豊富に含むことが確認された。さらに、この抽出物には脂質に対する抗酸化性やポリフェノールオキシダーゼの阻害といった食品保存に関係する有用な効果が認められた。
小麦ふすま、フィチン酸、抗酸化活性、ポリフェノールオキシダーゼ、酵素阻害 バイオ 18~19 産官 研究報告(PDF:290KB)
6 すべり検出システムの精度向上と実用化
すべり検出システムの高精度化と定量的な評価技術の確立を目指し、センサ部位の薄型化と感圧点の高密度化、及び、検出プログラムのロジックの見直しを行った。これにより、出力信号の精度と信頼性が向上し、圧力、すべり量、及び、移動方向の定量的な評価が可能になった。また、システムの評価実験では、すべりや転がりといった運動状態の判定精度と、定量化した数値の正確さについて検証を行った。その結果、旧システムとの比較では、すべりと転がりの判定率が向上し、定量化した検出情報の評価では、実測値とほぼ一致した結果が得られた。
すべり検出システム、感圧導電センサ、圧力検出、すべり量 福祉,ものづくり基盤 17~18 研究報告(PDF:457KB)
7 「馴染む」座位保持装置の開発
-身体形状測定器の開発-

車いす使用者の身体形状に合わせて自動的に形状が最適なものに変化する車いすシステムを構築するため、車いす使用者の身体形状を測定する測定器を開発した。これまでに見木が開発した「傾斜測定器」の形状を基に、この左右のアーム部分にポテンショメータを付与することで、座位にある人の身体形状を簡便に測定できる機構とした。また寸法を演算し表示するプログラムを開発した。試作機を用いて精度評価実験を行ったところ、誤差は最大で約4%であることがわかった。この誤差の原因を探ったところ、左右のアームと中央の角度表示部分との接続のガタつきによるものが大きいということがわかった。
座位保持、車いす、適合、身体形状測定、測定器 福祉 18~19 産学官 研究報告(PDF:377KB)
8 電磁波シールドガスケット及びシート状シールド材の
特性評価法に関する研究

一般的なガスケット測定法である四辺式測定法と開発した一辺式測定法との相関性を確認した。開発した測定装置は、長さ200mm~250mm、高さ10mm、までの電磁波シールドガスケットにおいて0.5~6GHzにおおむね50dB程度の遮蔽率を測定可能である。測定結果からガスケット表面の材質やメッキの違いによるシールド特性の差がわかった。
また、シート状電波シールド材の測定について600MHzにおけるKEC法の電界の測定結果とほぼ一致し、4GHz以上においては青山学院大の評価法と同様の傾向となり、測定精度を確認できた。
電波シールド材、電磁波ガスケット、KEC法、特性評価法、シールド測定 IT・映像 17~18 産学官 研究報告(PDF:1,789KB)
9 インライン型超微小硬さ測定機の開発
ヒステリシスのある圧電アクチュエータに補正をかけ線形制御し、圧子を二回押込むことにより超微小硬さ測定を行なう方法を考案した。この方法では、振動等の外乱に弱い静電容量型変位センサが不要になるため、工場等の現場での測定が可能になる。本測定機により各種測定試料を計測したところ、業界スタンダードであるFischer社製の超微小硬さ測定機の測定結果とほぼ同値となった。
超微小硬さ(ナノインデンター)、圧電アクチュエータ ものづくり基盤 17~18 産官 研究報告(PDF:465KB)
10 平坦化技術を利用した接触抵抗低減技術の開発
熱を直接電気に変換する熱電素子において、電極-熱電素子間の接触抵抗低減は重要な問題となっている。我々は1)、ビスマスと鉛ガラスで構成されているマイクロワイヤーアレイの凹凸のある両端部に電極膜を形成することにより接触抵抗を低減する技術を開発している。本研究ではワイヤー端部をCMPで仕上げることでさらに凹凸を抑制し、両端部にTi/Ni/Cu電極膜を形成することでBi-銅電極間の接触抵抗の低減に成功した。
ビスマス、鉛ガラス、CMP、電極膜、Ni、抵抗率 ものづくり基盤 18 学官 研究報告(PDF:827KB)
11 情報機器に用いられるガラス・水晶光学部品の
鏡面研削加工の研究

デジタルカメラなどの情報機器には多くの光学部品が使われている。光学部品にはガラス・水晶等が用いられており、傷のない表面とフラットな形状精度が求められている。従来は研削加工後に研磨加工を行い、加工時間がかかっている。そのため、ガラス・水晶を迅速、高精度に加工する手法が求められている。本研究では電気泳動現象を用いて、加工対象物とメカノケミカル反応を起こす砥粒を均一に配したEPD砥石の作製方法を検討した。両面研磨加工に必要な砥石を作製し、砥石作製条件と砥石厚さの関係を確認した。作製した砥石を用いてガラスに対して両面研磨加工機で加工実験を行い、表面粗さ、形状精度ともに実用化に必要な値を得ることができた。
電気泳動現象、EPD砥石、メカノケミカル反応、研磨、両面研磨機 ものづくり基盤 17~18 産学官 研究報告(PDF:343KB)
12 超臨界流体を用いた微細発泡成形に関する研究
将来、広く使用が期待される超臨界微細発泡射出成形については、多くの企業ニーズがある。しかし、現状では成形条件によって発泡状態が大きく変化するなど金型内における発泡プロセスがまだ解明できていない。この技術的な課題を解決するため、金型内のキャビティ面圧力分布を計測し、金型内圧力状況と、成形品内における発泡状況との相関について検討した。その結果、型内における、充填後のバックフローにより引き起こされる減圧速度が射出率の増加とともに増加した。このことが、Cell密度増加、Cell径減少に大きな関係があることを確認した。
超臨界流体、射出成形、キャビティ面圧力分布計測、微細発泡 ものづくり基盤 18~19 研究報告(PDF:458KB)
13 フッ素添加ダイヤモンドライクカーボン薄膜に関する研究
ナノテック(株)製イオン化蒸着法にてフッ素含有DLC薄膜が作製可能であることを報告した。原料フルオロベンゼンの中から、ヘキサフルオロベンゼン及びトリフルオロベンゼンを用いて、成膜条件によって膜の物性がどのように変化するのかを検討した。その結果、成膜条件によっては膜の剥離などの問題を起こしたが、中間層を見直しすことにより改善できた。また、実製品を見込んだプラスチック及びSUS基板にフッ素添加DLC薄膜作製を試みた結果、良好な成膜が可能となった。
DLC、イオン化蒸着法、フッ素、プラスチック基板、ステント、生体適合性 ものづくり基盤 18 産官 研究報告(PDF:561KB)

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新技術創出研究(14テーマ)

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 形態 PDF
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1 移動補助具の安定性を評価する機器の開発
車いすやストレッチャーのような移動補助具を評価する基準の一つとして「動的安定性」に着目した。測定環境として移動速度を一定とするためにトレッドミルを使用し、さらに、トレッドミルのベルト上に、標準化された障害物として視覚障害者誘導用ブロック(以下、誘導ブロック)を配置した。そして、トレッドミルに固定された移動補助具が一定の速度でその誘導ブロックを乗り越える際に受ける揺れ(加速度)や接触面での摩擦力、垂直抗力、接触面の傾斜角度の動的(時間的)変化について、力覚センサ、ジャイロセンサ、加速度センサを組み込んだ機器により計測し、移動補助具の動的安定性について定量的な評価が可能な機器を開発した。
移動補助具、動的安定性、評価基準、標準化 福祉 18 研究報告(PDF:3,374KB)
2 手指障害者のための家電機器操作用リモコンの開発
-データ入力装置のユニバーサルデザイン-

家電機器の多くにはリモコンがセットされておりユーザーが機器を操作するときのインターフェースになっている。製品化されているリモコンの多くは障害者が使用することが配慮されておらず、手指に障害がある人には操作がやりにくい。そこで、指を器用に動かすことができない人でもリモコン操作をできるようにするために、加速度センサーを活用することによりボタンを押さなくても操作できるリモコン装置を開発した。開発したのは「テレビチャンネル切り換え用」と「音量調整用」の2種類のリモコンである。
障害者、リモートコントローラ、ユニバーサルデザイン 福祉 18 産官 研究報告(PDF:619KB)
3 食品原料の高品位保管技術の確立
主要穀類の一つである玄そばについて一年間保存し、ゲル分散動的粘弾性測定(GDVM)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折測定により品質の変化を調べた。そば粉と抽出したデンプンとは糊化温度が異なり、そば粉の方が糊化温度が高くなった。玄そばの保管期間が長くなるにつれて、そば粉及びデンプンの糊化温度が上昇した。長期間の保存においては貯蔵弾性率G’が保管温度や酸素濃度に関わらず低下した。30℃の保管においては玄そば保管後三ヶ月までに短期的なそば粉の変性が酸素の有無に関わらず起こることから、これを防ぐために15℃以下での玄そばの貯蔵が望まれることが分かった。
ゲル分散動的粘弾性測定、示差走査熱量測定、X線回折測定 バイオ 18 研究報告(PDF:1,697KB)
4 県内植物資源に由来する機能性ポリフェノールの探索
埼玉県内で栽培された野菜類の未利用部位を中心として、ポリフェノール含量及び抗酸化能の評価を行った。野菜類未利用部位の中では、茎よりも葉のポリフェノール含量及び抗酸化能が高くなる傾向が認められた。また、ポリフェノール含量と抗酸化能に相関が認められた。評価を行った試料中では、アカメガシワの葉、クリの葉、ビワの葉、サツマイモのベニアカの葉、さらにはオクラの種子の抗酸化能が高く、これらの未利用部位が機能性素材として有効であることが示唆された。
ポリフェノール、抗酸化性、野菜、未利用植物資源 バイオ 18 研究報告(PDF:274KB)
5 微量金属成分を用いた食品原料産地判別技術の確立
誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AES)及び、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いてソバに含まれる微量金属成分を定量し、その成分特性から産地を判別する手法を検討した。Mn、Zn、Rb、Sr、K、Mgの6元素を用いて主成分分析を行うと、中国産、オーストラリア産、その他(国産、アメリカ産)で区別できた。特に国内消費量の7割を超える中国産は、他の産地と異なる特徴的な分布を示した。
産地判別、微量金属、ICP-MS、ICP-AES、ソバ、主成分分析 バイオ 18 研究報告(PDF:280KB)
6 フレッティング疲労過程解析に関する研究
近年、疲労と摩耗、腐食が関係する破壊として、フレッティング疲労が注目されてきている。この部品同士の擦れ合いが原因で生じた疲労は、シミュレーションが困難で設計においては経験に頼ることも少なくなかった。このフレッティング疲労に影響を与える様々な要素について、実際にフレッティング疲労試験を行いながら検証を進めた。また動的電子スペックル干渉法による変位計測から、フレッティング疲労課程における変形集中箇所とき裂発生位置を可視化した。
フレッティング疲労、表面粗さ、ひずみ、動的電子スペックル干渉法 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:463KB)
7 高速デジタル信号に対応するプリント基板の開発
高次の高周波を含む高速なデジタル信号の品質を損なうことなく伝送するプリント配線の設計が重要になっている。数種の基板材をもちいて、数種類の伝送線路を作製し、ベクトルネットワークアナライザで挿入損失と遅延時間を測定した。また、EMI測定も行った。挿入損失は、線路幅と誘電正接に影響を受けることがわかり、また、遅延時間の調整に使用するミアンダラインは、隣り合う線路の間隔が狭すぎると希望の遅延時間が得られないことがわかった。EMI測定では、薄い基板ほど放射電界強度が低くなることがわかった。以上から、高速デジタル信号が動作する回路の設計に有用なデータを得た。
高速デジタル信号、挿入損失、遅延時間 ものづくり基盤 18 産官 研究報告(PDF:1,147KB)
8 近赤外光を利用した生体計測に関する研究
医療現場において、安価で安全などの理由から近赤外光などを利用した生体内部の光計測技術の開発が活発化している。近赤外光の干渉を利用して、その干渉強度信号の評価により生体内部の状態を計測し可視化する方法の開発を試みた。生体構成物質の散乱特性の相違から内部状態を可視化することができた。また対象物を微小移動させることによって2次元的な断層像、さらには3次元的な断層像が得られた。
近赤外、干渉強度信号、波長、マイケルソン干渉、低干渉性 バイオ,IT・映像 18 研究報告(PDF:550KB)
9 スルーホールめっきに関する研究
プリント配線板の配線形成に用いられる硫酸銅めっきに磁場を適用しためっき法の開発を目的として、硫酸銅及び硫酸で構成される硫酸銅めっき溶液に塩化物イオンを添加したときの電気銅めっきにおける磁場の効果について検討した。めっき面の表面観察結果から、磁場の物理的添加剤としての効果を明らかにした。また、銅めっき膜のビッカース硬さ測定から、化学的添加剤である塩化物イオンの使用量を著しく減少させることが可能となることを示した。
銅、電気めっき、磁場効果、塩化物イオン ものづくり基盤 18 産学官 研究報告(PDF:716KB)
10 複合材料製造への磁場の応用
機能性の高い金属材料開発を目的として磁性の異なる材料であるアルミニウムと鉄の配合材料を高磁場中で溶融・凝固させ、磁場を応用した複合材料の製造を試みた。
材料組成をAl-5mass%Feとして母合金を溶製し、無磁場(0T)及び強度4T、6T、8Tの磁場中(磁場方向は重力と逆向き)において母合金を再溶融・凝固させた結果、4T、6T、8Tのすべての場合にアルミニウム基地組織中に初晶として晶出する柱状のFe-Al金属間化合物を磁場方向に対して垂直に分散配列させる磁場効果を見出した。
この磁場効果の利用により、磁性の異なる材料を磁場中で凝固させる複合材料の新しい製造方法開発の可能性を見出すことができた。
アルミニウム、鉄、金属間化合物、磁場中凝固、配向、複合材料 ものづくり基盤 18 産官 研究報告(PDF:1,188KB)
11 アルミニウム材の品質評価法に関する研究
アルミニウム材(鋳造・ダイカスト品)の高品質化を図るため、内包ガスや介在物等のより客観的評価法を検討した。内包ガスについては、水素以外のガスも注目に値すること、また介在物についても従来より客観的に評価することが可能になった。
アルミニウム合金、介在物、ガス含有量 ものづくり基盤 18 産官 研究報告(PDF:448KB)
12 生分解性プラスチックの改質に関する研究
生分解性プラスチックであるポリ乳酸にフィラーとしてセルロース、架橋助剤としてTAIC(トリアリルイソシアヌレート)を添加し、電子線照射を行うことで熱的物性の変化と耐熱性の向上について検討した。電子線照射を行う場合、TAICを添加することでポリ乳酸に橋架けが起こり、耐熱性が向上することを確認し、さらにセルロースを複合化した場合を含めた電子線照射効果の傾向がわかった。また、この傾向をポリ乳酸を用いたアロイ成型品に応用し、柔軟性と耐熱性を付与した生分解性成型品を作製することができた。
生分解性プラスチック、電子線照射、橋架け、分解 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:369KB)
13 触覚情報提示手法について
-ERアクチュエーターの応用-

ロボットなどを操作する場合に操作者に力の感覚(力覚)を伝達することが重要である。ここでは、基礎的な実験として、人間に力覚を安全に伝達する力覚提示装置を考え、人間の運動を拘束することによって力覚を伝達する方式の装置開発を行い、その特性を検討した。この装置にはERアクチュエーターを応用した。実験では、ERアクチュエーターで拘束の程度を変えることにより、仮想的な拘束面の生成や、各種力覚情報の提示を行い、その可能性を検討した。その結果、拘束面や各種力覚情報の提示はある程度可能であることが明らかとなった。
触覚、力覚、ER流体、アクチュエーター、ブレーキ ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:321KB)
14 コバルト-クロム合金の効率的な磨き方に関する研究
-ELID研削法を用いたコバルト-クロム合金の曲面研削-

コバルト-クロム合金(Co-Cr合金)は生体用金属材料として人工股関節の骨頭部や人工関節膝関節の大腿骨コンポーネント等に使用されている。人工関節の置換手術を受ける人は高齢化を背景に年々増加しているが、人工関節、特に人工膝関節は複雑形状を有しているため、仕上げ工程では自動化が難しく、現状では手仕上げで行われており、仕上げ工程の省力化が望まれている。曲面形状を有するCo-Cr合金の表面粗さを向上させることを目的として、ボールノーズ形砥石を使用し、ELID研削法を用いてドレッシングを行い研削したところ、#600の砥石でRa342nmの研削面を得た。
ELID研削法、人工関節、Co-Cr合金、鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:477KB)

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技術支援高度化研究(7テーマ)

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 形態 PDF
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1 三次元デジタイザの測定環境に関する研究
開放機器として使用している三次元デジタイザの測定においては、測定物の色や質感が限られ、光沢や透明感のない白色のものしか測定できない。そこで、透明感があり今までは測定できなかったものとして、光硬化性樹脂で製作した球体を用い、各種フィルターによる測定を試みた。その結果、偏向フィルターを用いることにより、測定可能なことが分かった。
三次元デジタイザ、測定、フィルター、偏向、光沢、透明感 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:874KB)
2 WEBページのアクセスに関する分析とアクセスの質の向上に関する研究
インターネットの利用者は増加しているが、中小企業における活用は充分とは言えない状況にある。また公的な試験研究機関自身も情報発信の手段としてWebページを使用しているが、改善の余地がある。そこで、当センターの情報発信能力の向上、及び技術支援の高度化を目的として、当センターのWebページについてアクセスログを取得、分析できる環境を構築し、分析結果に基づいてWebページの改善を行った。改善後もアクセスログの取得、分析を継続し、改善による効果が現れていることを確認した。
インターネット、アクセス解析、ホームページ、Webページ IT・映像 18 研究報告(PDF:271KB)
3 EMCノイズ対策手法の評価と適用方法に関する研究
EMCノイズ測定の結果から効率的なノイズ対策が行える方法を検討した。スイッチング電源における雑音端子電圧測定を行い、被測定物のインピーダンス、ノイズのモードの違いが、対策結果にどう影響するのか検討した。その結果、効率的なノイズ対策を行うための要素について把握できるようになった。
スイッチング電源、ノイズ対策、雑音端子電圧測定、インピーダンス IT・映像 18 研究報告(PDF:624KB)
4 耐候性試験機器の遠隔監視に関する研究
オゾン劣化試験機等の耐候性試験機器の外部にデジタルカメラを設置し、インターネット回線を用いて外部のパソコンからデジタルカメラを遠隔操作することにより試験画像の取得を可能とした。セキュリティ面では遠隔監視システムへのアクセスはパスワード保護とし、インターネット回線を遠隔監視システム専用に用意した。また、画像を解析するソフトを開発し、取得画像から試験状況の把握を可能とした。これにより、試験中の任意の時間における遠方からの試料劣化度の分析が可能になった。
遠隔監視、画像処理、インターネット、耐候性試験 IT・映像、環境 18 研究報告(PDF:546KB)
5 県産農産物による焼酎製造試験
川越地域特産の甘藷、紅赤を使用し、芋焼酎の製造試験を行った。多く使用されているコガネセンガンとの比較では、デンプン価も多く、アルコールの生成は同程度だった。清酒用の麹による試験では、焼酎用に比べ発酵が鈍く、アルコールの生成も少なかった。麹歩合を増すこと、又は、酵素剤を使用することによって、黄麹使用でも白麹使用に匹敵するアルコール生成にすることができた。
芋焼酎、紅赤、黄麹、酵素剤 バイオ 18 研究報告(PDF:134KB)
6 無機被覆鋼板のサイクル腐食促進試験方法による評価
JIS G 0594「無機被覆鋼板のサイクル腐食促進試験方法」の試験条件でB法及びC法により4種類の無機被覆鋼板を60サイクルまで試験を行い、試験条件により試験片の腐食状況にどの程度の差が出るかを検討した。また従来の中性塩水噴霧試験についても比較検討した。その結果、それぞれの無機被覆鋼板の耐食性の違いが確認できた。
複合サイクル腐食試験、無機被覆鋼板、JISG0594.無機被覆鋼板 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:363KB)
7 精密測定高度化に関する研究
-三次元測定機についての調査-

年々利用頻度の高まっている三次元測定機(CMM)は、構造が複雑なため測定結果に影響する要因が多い。そこで、いくつかの要因について調査を行った。
キャリブレーションについて、高精度三次元測定機ではプローブ構成が複雑な場合でもキャリブレーション方法に注意すれば高精度測定可能であること、三次元測定機はプローブ回転後のキャリブレーションの有無に有意な差がないことを確認した。測定機誤差について、測定位置による差はほとんどなく、反転法を用いて高精度測定が可能であることを確認した。精密測定室1の環境温度が通年で20±0.5℃以内であることを確認した。
精密測定、三次元測定機、マルチプローブ、キャリブレーション、反転法 ものづくり基盤 18 研究報告(PDF:409KB)

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彩の国コンソーシアム研究(1テーマ)

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 形態 PDF
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1 新しい鏡面加工法を用いたIT機器先端光学部品の製造技術開発
光学部品での鏡面研磨は長年遊離砥粒(湿式)研磨材でラップかポリシングのいずれかの方法で実施されている。しかし、近年装置の高画質化にともない、鏡面の高精度の要求が求められ、また環境面では廃液処理の改善が望まれてきている。
本研究では次世代先端光学部品用ガラス基材の鏡面加工を行い、最適な砥石成分、加工方法、加工条件の検討を行った。その結果、セリアEPD砥石を用いた両面研磨加工を行うことで、5mm×5mmの基板に対して短時間に1/10λ(0.6328μm×0.1=0.063μm)以内の形状精度、及び1nmRa以下の面粗さを実現することができ、実用的に加工する見通しが立った。
光学部品、ガラス鏡面加工、EPD砥石 ものづくり基盤 17~18 産学官 研究報告(PDF:369KB)

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