平成19年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文
Q 蒲生徳明議員(公明)
介護保険制度は、介護サービスを利用する者が事業者を選択し契約することにより、サービスの提供を受けるものです。利用者がサービス内容を適切に評価し、より良い事業者を選択できるように、各事業者から公平な情報の提供を受け比較できる環境を整備するために、平成18年度から介護サービス情報の公表制度が導入されました。しかし、改正建築基準法と同様に、中央省庁の職員たちは一体何を考えているのかという怨嗟の声が充満しています。
この制度では、事業者に年1回の事業所情報についての報告が義務付けられています。指定調査機関が現地で調査確認をした情報を指定情報公表センターがインターネットで公表します。埼玉県では介護保険法に基づき、りそな総合研究所株式会社など5つの法人が調査機関に指定され、調査情報を情報公表センターに指定された社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会が公表しています。利用者の評価と選択によって悪質な事業者が淘汰され、より良い事業者が生き残っていくことは良いことです。しかし、問題は費用です。法外な調査手数料と公表手数料が事業者負担としてのしかかっています。
一例を挙げると、訪問介護サービスや特養など多くの事業者が複数の対象サービスを行っています。手数料は一つのサービスについて約5万円、しかし3つのサービスを行っている場合、約15万円の手数料負担が強いられます。しかも年度1回の実施が義務付けられています。この制度は平成18年7月から始まりましたが、聞くところによると18年度と19年度の場合、年度1回の公表が義務付けられているため19年1月、19年10月というように、同じ年に2回実施対象となった事業所もあります。その上、県社会福祉協議会会長、上田清司名の請求書が調査の前に送られてくるのです。前払いなわけです。
そもそも年度1回も実施する必要があるのでしょうか。また、調査に要する時間は2、3時間程度と聞きます。それで5万円は、誰が見ても高過ぎます。5万円といえば訪問介護サービスの報酬に換算すれば、何十倍もの時間をかけた報酬に相当します。ただでさえ介護事業者は介護報酬を下げられ、血のにじむようなコスト削減を行い、必要な人材を確保するために必死に経営努力を行っています。 昨日も県介護老人保健施設協会が介護報酬の改定を国に訴えるように求めた要望書を、10万人を超す署名を添えて上田知事あてに提出した旨報道されていました。同協会は月給にばらつきがあり、若い職員の中には仕事は好きだが生活できないとやめていく人が多く、新規採用も困難で、このままでは人手不足で介護の現場は崩壊しかねないと切実な現場を訴えています。この現実を国も県ももっと知るべきです。
現在、埼玉県においては、評価対象となるサービスの総数は4,215件、年間約2億円の手数料が集められていることになります。新聞報道によると、厚生労働省が全国の都道府県から報告を求めたところ、公表事務については22都道府県で、また、調査事務については30都道府県で黒字となっていることが分かりました。そもそも当初の手数料の積算が高過ぎたのではないでしょうか。もちろん必要な経費が事業所負担となることはやむを得ないことですが、公表機関等で黒字があるのであれば再検討すべきではないでしょうか。ちなみに、行政はこの評価制度とは別に事業者の指導を行っていますが、こちらは無料となっています。
また、本評価制度の理念と現実との間には著しいかい離があります。例えば特養の場合、数十人から数百人の待機者がいて、評価云々よりも早く入所したいというのが県民のニーズではないでしょうか。しかも埼玉県庁のホームページには特養の待機者数も掲載されていますが、これも無料になっています。本制度の公表方法はホームページの閲覧です。そもそも高齢者世帯がホームページを閲覧して事業所を選ぶケースは、一体全体どのくらいを占めているのでしょうか。
正に理念は絵にかいたもちで、事業者に余分な経済的負担を強いているだけではないかと強く感じます。ちなみに、この制度全体を統括する社団法人の理事長は、厚生労働省の事務次官経験者です。一度この方の年収や退職金の額を聞いてみたいものです。
そこで、このような実態を踏まえ、事業者の手数料負担の在り方についてどう考えるか、また、手数料額の決定権を持つ県として、手数料についてはその額を早急に見直すべきであると考えますが、福祉部長の御見解と御決意をお聞きしたいと思います。
A 石田義明 福祉部長
まず、事業者の手数料負担のあり方についてどう思うかについてでございます。
介護サービス情報の公表制度は、介護保険法の改正により、平成18年度から導入された制度で、事業者には年に1回の報告が義務づけられております。
本事業は、事業者からいただいた貴重な手数料で運営されております。
そのため、手数料の額につきましては、調査機関や公表機関がその手数料収入により円滑に運営できる水準である必要があります。しかし、過度の利益が生じることは適切でないと考えております。
次に、手数料の負担額については早急に見直しをすべきではないかについてでございます。
現行の手数料の金額につきましては、制度施行前に、国の手数料指針を参考に積算を行いました。本県の公表手数料と調査手数料を合算した額は、全国の平均額よりは低く設定されております。
実際の状況を見ますと、各機関とも、新しい制度のための経費として、事業所からの相談・苦情を受けるための人員体制や、パソコンの購入などの事務室の初期整備に費用がかかっております。
また、調査時には、調査項目に対応した資料のチェックなどに、公表時には、事前や事後のデータの確認などに、予想以上に事務量が多くなっております。
このような状況の中で、制度初年度における県内の各機関の収支は、指定情報公表センターでは約1%の黒字、5つの指定調査機関では平均で約3%程度の黒字となっております。
一方で、各調査機関が創意工夫し、マニュアルの整備など事務の効率化に取り組んだことにより、調査がスムーズに行えるようになってきております。また、事業の運営に必要な初期整備も終了しております。
県としては、こうした状況をさらに精査し、調査や公表に必要な事務量や経費等を検証しているところでございます。
御指摘のとおり、事業者にとって、介護報酬が上がらない中、手数料の負担が大きくなっているとの声も聞いております。
今後、検証結果を踏まえ、手数料を適切な額とするため、早急に見直しを行いたいと思います。
・上記質問・答弁は速報版です。
・上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。
