「民族の建国の理想」と「神話教育の推進」について

 現在、我が国において教育基本法の改正等、その論議が活発になされており、国を愛する心を教えるなど、子供たちの今後の教育を進めていく上で非常に大事なことが議論されているところでございます。
 そこで、正しい歴史教育を子供たちに教えるような大切なことについては、本県から構造改革特区を提案するなど、まず国に対して埼玉からモデルの教育を発信していくべきだと私は思います。
 現在、日本の教育に欠けているものの一つ、それはこの正しい歴史教育であります。
 この観点からまず質問を行いたいと思います。
 我が国の歴史を語る上で本当に重要なことは何でしょうか。
 それは神話であると私は思います。
 なぜならば、日本の神話は、私たちの先祖が語り継いできた神々の物語です。
 そこには先祖の心が反映しているとともに、我が国の国柄の由来を読み取ることができるのであります。
 そして、日本民族全体の理念又は理想、信念が具体化したものが古事記であります。
 特にその神代巻は、歴史的事実というよりも民族発祥の理想が象徴物語として神話の形をもって伝わってきているのであります。
 そういう意味からしますと、これに語られている神話は、事実を個人の主観でゆがめながら書かれた現在の歴史教科書よりも、もっと本物の日本民族の理想、信念が現れていると言うことができると思います。
 では、古事記に現れている日本民族の全体の信念、理想とはどういうものでありましょうか。
 古事記によりますと、日本民族は天孫降臨の民族と言われております。
 日本民族が国を建てた理想というのは、大和の理想と言われております。
 その理想が古事記の神代巻という一大叙事詩として展開されているのであります。
 この一大叙事詩は何を語るかというと、日本民族の建国の理想というものが物語られているのであります。
 「六合をかねて以て都を開き、八紘を掩ひて宇と為す」と。
 これは、国中を一つにして都を開き、さらに、天下に住むすべての者が一つの屋根の下に大家族のように仲良く暮らせるようにすることは、何と良いことではないかという意味です。
 この理念のキーワードが八紘一宇です。
 正に神武この方、つまり二六五〇年という悠久の大昔に、今で言う国連憲章の精神とも言うべき日本民族の建国の理想がうたわれていたのであります。
 誠に私たち日本民族のすばらしさを象徴し、正に感嘆の一語に尽きると思います。
 さて、ある小学校で、首都圏でございますが、八月十五日の終戦記念日に前後、例によって日本の国の悪い点ばかりを並べ立て、敬い尊ぶべき先人を恨み、侮る授業をしたそうです。
 その後、児童に作文を書かせたところ、「日本などに生まれたくなかった」「生まれてこなければ良かった」というのが数多かったと言います。
 皆さん、この子供たちの発言を聞いてどのように感じますか。
 この子供たちこそ戦争の最大の被害者ではないでしょうか。
 この子供たちには何の罪もないのに。
 輝かしい未来を開けるはずの子供たちからその未来への夢も希望も奪ってしまっているということです。
 こんな残酷なことがあって良いのでしょうか。
 一部の大人のよこしまなエゴと日本人全体の怠慢のために、子供たちに自国のすばらしい真実を教えず、そのかわりに私たち日本の先祖は犯罪者であるようなことを教え、子供たちを暗く悲しい気持ちに追いやっておいて、いじめや自殺などをなくそうとしても、しょせん無理な話だと私は思います。
 子供たちは純粋です。
 子供たちの怒りは、持って行き場のない日本民族の深層心理から、憤りのほとばしりと受け取れるのではないでしょうか。
 未来に生きる子供たちこそ、親にとっても国家にとっても一番大事なはずであります。
 もういいかげんに世界のどこにもない自虐・亡国的な歴史教育をなぜ改めようとしないのでしょうか。
 科学の名の下に民族のアイデンティティーを深く宿した日本の神話などは浅薄に捨ててしまい、自国の歴史の肯定面を伝えることが何か恥ずべきことであるかのように、南京大虐殺や従軍慰安婦などの過去の暗部、それも真実さえも定かでないと言われるものばかりを並べ立てる教科書などは、もう全く必要ありません。
 子供たちが本当にかわいいのならば、子供たちが自信と誇りを持って将来の我が国の発展と世界平和のために貢献してほしいと願うのであれば、日本の原点である神武建国に始まる本来の正しい日本の歴史、悠久の昔から、偉大な先祖である日本古代人がいかに深い人生観と透徹した宇宙観を持っていたことか、その未来永劫に変わることのない天地の理を国家の理に据えたすばらしい国であることを教えなくてはならないのです。
 「日本神話の心に回帰することこそ、行き着くところまで来てしまった現在の唯物文明である現代文明を滅亡のふちから救う唯一の道である」と、イギリスの偉大な歴史学者、A・J・トインビー氏さえ喝破しております。
 そこで、これからの未来に生きる子供たちが日本人としての自覚をしっかりと持ち、民主的、平和的な国家社会の形成者として主体的に生きるためには、民族の建国の理想、我が国の神話、そして自分の国の歴史について、正しい理解が絶対的に必要であります。
 そこで、構造改革特区として、民族の建国の理想、神話教育の推進について知事の御所見をお伺いします。
 また、今後の学校教育において、民族の建国の理想と神話、そして歴史教育を具体的にどのように行い推進していくのでしょうか。
 教育長にお伺いします。




上田 清司知事   古くから受け継がれてまいりました古事記や日本書紀などの神話や伝承には、国家の成立や国土の統一について、子供たちが興味深く読むことができるような物語あるいは祖先の信仰や社会観など、大変意味のあることが記されておるものだと思っております。
 このような神話や伝承をしっかり教育の場で触れていくこと、このことは、子供たちが我が国の歴史に対して興味や関心を持つ第一歩につながるものではないかという判断をしております。
 さらに、これからの日本を担う子供たちが、我が国の誇るべき文化や伝統、日本の発展に尽くした多くの偉人の業績を知ることも、また、日本に対する自信や誇りを持つ、また、子供たちの自信や誇りにもつながるものだと考えております。
 鹿川議員の構造改革特区というお話、類を見ないような発想で、私も大変驚きまして敬服もいたしました。
 ただ、特区ということになると、一般論からいけば、義務教育の実施主体である市町村が、特に市町村の教育委員会が申請する手続上の問題にもなりますので、そういう市町村があれば県として協力していきたい、このような判断になるかと思います。
 一般論で言えば、世界各国も建国の歴史あるいは神話等については真剣に取り扱い、我が国の教育においてもきちんと真剣に取り扱う、そういう判断をすべきではないかというふうに考えております。



稲葉喜徳教育長   歴史教育におきましては、我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色などを調べる学習を通して文化と伝統を理解させることが大切でございます。
 議員お話しの神話や伝承には、国家の成立について子供たちが興味を持ちやすい建国の理想の話や国土統一の物語などが多く、意義ある教材と考えております。
 現在、小学校では、古事記、日本書紀などの神話や伝承を調べ、国の形成に関する考え方などに関心を持たせ、大和朝廷による国土統一の様子を理解させるように指導しております。
 また中学校では、神話や伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰や物の見方などに気付かせ、国家が形成されていく過程を理解させております。
 我が国の伝統、文化について、ラフカディオ・ハーン、日本名、小泉八雲は、「古事記」に深い感銘を受け、「日本の強さは民族の底に潜んでいる魂にある」と述べ、我が国の伝統文化、精神文化を高く評価しております。
 今後も我が国の歴史に対する愛情を深め、日本人としての自覚が育つよう、文化と伝統の特色を正しく伝えていく歴史教育の展開に努めてまいります。