SARS及びインフルエンザ対策について

 我々人類の前に突如出現した重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSは、世界二十九か国から八千人以上の患者が発生し、そのうち約一割の方が亡くなりました。
 先日、テレビによる放送もありましたが、昨年三月、世界がまだ新型肺炎のSARSの存在に気がついていなかったとき、ベトナムのWHO事務所の職員、カルロ・ウルバニ医師は、ほかの医師や看護師が次々とSARSに倒れ、機能を失っていく病院で、最後まで患者の傍らに残り、ウイルスの危険性を世界に発信し続けました。
 世界はウルバニ医師からの情報で対策に動き出しましたが、ウルバニ医師自身もこのウイルスに感染し、とうとう亡くなりました。
 ウルバニ医師がいなければ、SARSの犠牲者は更に増えていただろうと言われております。
 私は、このウルバニ医師に対して、この尽力に対し最大限の敬意を表するものであり、この功績を後世までに伝えていかなければならないと感じている一人でもあります。
 さて、我が国では、SARSの発生はなかったものの、日本に上陸しなかったのは幸運だったにすぎないとも言われています。
 今年に入り、中国において何例かのSARSの発生があり、あわやSARSの再流行かと懸念されましたが、迅速な隔離などの適切な対応により、現在までに大規模な流行に至っておりません。
 しかしながら、昨年の流行を見ますと、三月以降に感染が拡大していることから、まだまだ予断の許さない状況にあります。
 本県ではこれまで、SARS対策のための補正予算を組んだり、発生時に備えた訓練を実施するなど様々な取組を図り、万全を期していると思いますが、改めてSARSに対する県の対策について健康福祉部長にお伺いするものであります。
 また、SARSなどの新たな感染症はもとより、身近な感染症に対しても十分な対策が重要であるというふうに考えます。
 特にインフルエンザは高齢者がかかった場合に重症化しやすいため、予防接種率等の向上が重要であると考えますが、昨年暮れには一部の医療機関でワクチンが不足し、希望しても接種を受けられない方が出たと聞いております。
 高齢者がインフルエンザに感染しないようにするために、予防接種の勧奨をはじめ、どのような対策を図っておられるのか、併せて健康福祉部長にお伺いをするものであります。




伊能睿健康福祉部長  SARSの疑いがある患者を安全に診療するため、県内十六の医療機関に対し、SARS患者専用の外来診療設備の設置や、一般外来患者と区分するための備品、医療従事者の感染防護用具等について補助を行い、外来診療体制の整備を図りました。
 さらに、SARSなど危険性の高い感染症の患者を受け入れる指定医療機関を本年度末までに整備することとしており、入院医療についても一層の充実を図ります。
 このほかに、感染予防の徹底を図るため、様々な広報媒体を活用して、広く県民に対して最新情報や感染防止策などを提供しておりますが、今後のSARSの発生状況に応じて、必要なときにはすぐに二十四時間の電話相談窓口を開設し、県民の方々の安全と安心の確保に努めてまいります。
 また、昨年の海外での流行では、SARSは入院患者から感染が広がったと言われております。
 こうした院内感染を防止するため、現在、感染症専門家と医療機関を結ぶ相談窓口の設置や、院内感染防止支援ネットワークの構築を進めているところでございます。
 次に、高齢者に対するインフルエンザ対策でございますが、予防ワクチンの接種に当たりましては、健康被害を防止するため、かかりつけの医師による接種が望ましいとされております。
 このため、市町村や医師会の協力を得て、高齢者が県内のどこで予防接種を受けても公費負担の対象となる仕組みを整備いたしました。
 また、高齢者福祉施設などに対して、インフルエンザの発生情報や感染予防対策の徹底を図り、施設における集団感染の防止に努めております。
 今後とも、SARSやインフルエンザなどの感染症から県民を守るため、医療体制の整備や予防対策に積極的に取り組んでまいります。