平成22年2月定例会 知事提案説明要旨
平成22年2月22日招集の定例県議会における知事提案説明要旨
本日ここに平成22年当初の定例県議会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、御参会を賜り、平成22年度の予算案をはじめ、県政の重要課題について御審議をいただきますことに、心から感謝を申し上げます。
〔県政運営に関する基本的考え方〕
それでは、諸議案の説明に先立ちまして、平成22年度の県政運営に関する基本的考え方を御説明申し上げます。
我が国は今、時代の大きな転換点に立っています。
一昨年のリーマンショックに端を発する世界同時不況は、各国経済に大きな打撃を与えました。
なかでも対米輸出を中心に景気を回復してきた我が国の痛手は深刻でした。一部に回復の兆しが見られるものの、いまだに経済活動の停滞が続き、失業率も高止まりしています。
先進国の経済が成熟化し、需要の伸びも緩やかになる一方、アジアなどの新興国の経済は堅調な成長を続けています。
これまで世界第二位を誇ってきた日本のGDPは、今年中には中国に抜かれると予想されています。
世界の経済地図が大きく変わりつつある中、我が国経済のあり方も根本から組み立て直す時がきております。
さらに今後、我が国は本格的な人口減少・超高齢社会を迎えます。
経済のみならず、国のあり方そのものを時代にふさわしいものに変えていかなければなりません。
私は、我が国がこうした困難な課題を乗り越え、新たな時代を切り拓くには二つの鍵があると思っております。
その一つは「地域主権」の確立です。地域主権は、地域が知恵と工夫で新たな取組に挑戦することを可能にします。
地域主権が生み出すこうした躍動感と、身近な成功例の積み重ねが新しい日本を創る鍵になると思います。
私は本年度、住宅用太陽光発電補助や住宅ローン軽減のための助成を行い、経済効果の点でも大きな成果を挙げました。
このように「ニア・イズ・ベター」の立証となる成功モデルを埼玉から創りだし、それを積極的に発信してまいります。
さらに、こうした取組を権限や財源の面からきちんと裏付ける仕組みに変えていかなければなりません。
私は、地域主権戦略会議の一員として真の地域主権の確立のため全力を尽くしてまいります。
もう一つの鍵は、将来の活力につながる「未来への投資」です。
経済危機を乗り越えた先にある世界、日本、そして埼玉の変化を見据え、次世代産業や人材の育成に力を注いでいく必要があります。
将来の世代にとって希望とチャンスにあふれる埼玉を築くことは、現在を生きる私たちの大きな責務であります。
こうした基本的な考え方に立ち、「当面の経済対策」と「未来への投資」、「暮らしの安心保障」を県政運営の3つの柱として全力で取り組んでまいります。
まずは「当面の経済対策」として、緊急的な雇用対策や企業の資金繰り支援などにスピーディに対応し、地域経済をしっかりと支えてまいります。
次に「未来への投資」として、環境、医療、介護、農業など県の富を殖やし、将来の本県発展の礎となる産業の育成を進めてまいります。
また、介護分野への人材誘導をはじめ次世代産業の担い手育成に努めてまいります。さらに、アジアなど海外における本県企業のビジネス展開支援に力を入れてまいります。
三つ目の「暮らしの安心保障」では、未来を担う若い世代を育成するため、生まれたときから仕事に就くまでの間を通じた福祉・医療・教育の充実を進めます。
具体的には、地域ぐるみの子育て支援や誰もが安心して教育を受けられる環境づくり、就労支援の拡充などに取り組みます。
世界同時不況以降、雇用をめぐる情勢は大幅に悪化しており、雇用の創出と確保は最も重要な政策課題となっております。
当面の経済対策、未来への投資、暮らしの安心保障という3つの柱を県政の縦軸とすると、「雇用の創出・確保」は県政全体を貫く横軸であります。
全ての政策展開の中に、雇用の確保や拡充を意識してまいりたいと思います。
この考えのもと、来年度から「埼玉県雇用ニューディール」を各界の皆様と強力に連携しながら展開したいと思います。
まずは雇用の水準をリーマンショック以前に戻すことを目標に、約7万人の雇用を創出するため、あらゆる政策を動員いたします。
さらに中期的には、次世代産業の育成などにより約20万人から30万人の雇用創出を目指します。
〔予算編成の基本的考え方〕
続きまして、平成22年度予算編成に当たっての基本的な考え方について、御説明申し上げます。
平成22年度当初予算編成におきましては、限られた財源を、県政の3つの縦軸である「当面の経済対策」「未来への投資」「暮らしの安心保障」と、横軸である「埼玉県雇用ニューディール」に重点的・効率的に配分いたしました。
その結果、平成22年度の予算案の規模は、一般会計では1兆6,764億1,000万円、対前年度伸び率では、1.2%の減となりますが、借換債の影響を除く実質的な伸び率は1.9%の増となります。
また、特別会計では 4,481億1,715万1千円、対前年度伸び率では8.4%の減、企業会計では 2,021億3,003万5千円、対前年度伸び率では26.5%の増となっております。
〔平成22年度予算案の概要〕
次に、平成22年度予算案の主な内容について、御説明申し上げます。
まず、歳入について申し上げます。
歳入の中心である県税については、法人二税を中心に幅広い税目に減収が見込まれます。このことから、前年度を956億円下回る6,054億円を計上いたしました。
地方交付税については、地方財政計画において、地域の活性化や雇用創出などを図るため、1.1兆円の増額が図られました。このため、前年度を171億円上回る1,968億円を計上いたしました。
県債については、地方財政計画に基づき発行する臨時財政対策債が大幅に増加したことなどから、前年度を233億円上回る3,375億円を計上いたしました。
また、財政調整のための基金につきましては、平成22年度の財源不足を補てんするため、545億円を取り崩すことといたしました。
続いて、歳出の主な内容について、御説明いたします。
一つ目の柱は「当面の経済対策」です。
まず「埼玉版グリーン・ニューディール」を推進することで、県内経済の成長を促し、雇用の創出・確保を図ります。
具体的には、環境に配慮した住宅を新築される方に対して、ローン残高の1%相当額を3年間助成します。住宅着工の下支えと地球温暖化対策、一石二鳥の取組を進めます。
また、エネルギー効率の高い家庭用省エネ設備の導入に対して新たに助成を行い、既存住宅についても省エネリフォームを促進いたします。
さらに、全国トップレベルの住宅用太陽光発電設備に対する助成を継続し、助成件数を6,800件に拡大いたします。
次に、「就業支援の強化」です。
依然として極めて厳しい県内雇用情勢を踏まえ、県だからこそ実施できるきめ細かな就業支援を充実します。
まず、新卒の未就職者や雇用保険を受給できない失業者に対し、資格取得に要する費用を助成するなど若年求職者やフリーターへの就業支援を強化します。
また、45歳から50歳代を中心とした方々に実践的な就職支援セミナーを開催するなど、中高年齢者の再就職支援を強化します。
さらに、男女共同参画推進センターと女性キャリアセンターを一体化するなど、女性の就業・チャレンジ支援を強化します。
「中小企業の支援」としては、厳しい経営状況に直面している中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資全体で4,500億円の融資枠を確保いたします。
なかでも、セーフティ緊急融資の融資枠を400億円から1,000億円に拡大します。また、借換資金については、融資枠を500億円から900億円に拡大します。融資期間についても7年から10年に延長し、貸付限度額を8,000万円から1億円に拡大いたします。
二つめの柱は「未来への投資」です。
まず「次世代産業の育成」に取り組みます。
中小企業の次世代産業への参入を支援するため、エコ住宅や次世代自動車、農商工連携など、今後の成長が見込まれる分野の先進的な技術開発に対して新たに助成いたします。
また、介護の現場で働く職員が介護福祉士資格を取得するために要する経費を助成いたします。これにより、介護保険事業所等の報酬増額を図り、介護職員の処遇改善につなげることで、介護分野への人材誘導や定着促進を図ってまいります。
農業分野では、従来の生産に加え、加工や製造の2次産業、さらには流通や販売の3次産業まで取り組む農業者を支援し、農業の6次産業化を図ります。
さらに、実践研修と農地斡旋などを一体化した「明日の農業担い手育成塾」を新たに8か所設置し、新規就農者の増加を目指します。
次に、「海外市場への積極的な展開」です。
県内中小企業の海外進出を支援するため、上海ビジネスサポートセンター(仮称)を設置します。これにより、現地での営業活動サポート、取引先の開拓支援などを行います。
また、民間の専門家等からなる調査チームを山西省に派遣し、環境ビジネスのニーズ調査を行います。
さらに、「企業立地による雇用創出」を図るため、地元市町と連携した産業団地の整備を進めます。新たに、圏央道菖蒲白岡インターチェンジ(仮称)近くで、白岡瀬地区産業団地の整備に着手いたします。
「地球温暖化対策の推進」として、本県独自の排出量取引制度の導入に向け、事業者の省CO2設備の導入に対して助成いたします。
また、自転車保有率日本一という本県の特性を活かし、「自転車の利用」に着目した施策を展開します。
地球温暖化対策や観光振興、さらには県民の健康づくりなど一石三鳥、四鳥の多面的な効果を挙げていきたいと考えています。
具体的には、自転車を利用した地域振興策や県内周遊ルートを検討し、早期に事業効果を発現できる箇所について先行的に自転車道を整備します。
また、本年10月には、県民が誰でも気軽に参加できるサイクリングフェスティバルを開催し、自転車利用のムーブメントを高めていきたいと思います。
「みどりと川の再生」についても引き続き積極的に取り組んでまいります。
幼稚園や保育所、小中学校などの園庭や校庭の芝生化を促進し、身近な緑の創出をさらに加速してまいります。
また、平地林などの身近な緑が少ない都市部において、「みどりと川の再生」のシンボルとなるような「新たな森」を創出するため、調査、設計に着手します。
水辺再生100プランについては、新たに37箇所の水辺再生に着手し、「川の国埼玉」の実現に取り組んでまいります。
三つ目の柱は「暮らしの安心保障」です。
まず、「幼少期の安心保障」として、公共施設や商業施設などに、おむつ替えや授乳のできるスペースを「赤ちゃんの駅」として設置します。
設置可能な全ての箇所約3,000箇所に一気に設置し、社会全体で子育て家庭を応援するムーブメントを更に高めてまいります。
また、保育所待機児童対策も積極的に推進します。
保育所や認定こども園の整備促進、幼稚園による預かり保育の促進など、あらゆる施策を動員いたします。これにより、ゆとりとチャンスの埼玉プランに掲げる2,000人を大幅に上回る3,000人の受入枠の拡大を図ってまいります。
次に、「学校教育期の安心保障」です。
いわゆる「小1プロブレム」への対応を充実するため、対応が求められる児童が在籍する全ての小学校に非常勤講師を配置します。
また、国において高等学校等就学支援金が創設されることを契機とし、私立高等学校授業料の負担軽減のための助成を充実してまいります。
具体的には、全日制高等学校に通学する生徒を持つ家計急変世帯や生活保護世帯に対しては授業料全額を助成することといたします。
さらに、年収約500万円未満までの世帯に対して、授業料平均額の36万円を助成するなど、本県においては私立高校でも、ほぼ実質的な授業料無償化を実現いたします。
「就職期の安心保障」としては、就職未内定者対策をはじめとして、ニート・フリーター対策や障害者の雇用促進など、総合的な就業支援を展開いたします。
また、介護、医療事務等の委託職業訓練の枠を1,845人から3,900人へ大幅に拡充し、着実な就労に結びつけてまいります。
次に、「医療体制の整備」です。
周産期母子医療センターなどの運営に対する助成を拡充するなどして、ハイリスク妊産婦や新生児の受入体制を強化します。
また、新たに小児医療センターの非常勤医師等を小児拠点病院へ当直医として派遣し、小児救急24時間体制の整備と病院勤務医の負担軽減を図ります。
さらに、開業医による拠点病院の支援を4病院から7病院に拡大いたします。
「医療人材の確保」としては、新たに、医学部の定員増として認められた地域枠医学生や臨床研修医に対する研修資金等の貸与制度を創設し、県内への医師の誘導と定着を図ってまいります。
がんセンターの新病院建設につきましては、平成25年度の新病院運営開始に向け、実施設計に着手いたします。
次に、「高齢者の安心確保」です。
特別養護老人ホームにつきましては、1,173人分の整備を進めることとし、平成23年度末までに目標の22,500人分を上回る23,883人分を確保いたします。
また、認知症疾患対策を充実するため、認知症疾患医療センターとして新たに2病院を指定し、運営費を助成いたします。
「障害者の安心確保」としては、新たに相談、診断、治療、訓練を一貫して行うことのできる高次脳機能障害者総合支援センター(仮称)を整備いたします。
また、発達障害者を支援するため、乳幼児期から相談、診断、訓練を一貫して受けられる療育体制の検討、サポート手帳の作成を行います。
以上のような取組をしっかりと実施し、県民の暮らしの安心が保障される環境を着実に整備してまいります。
次にその他の議案のうち、主なものにつきまして、御説明申し上げます。
第23号議案「埼玉県本人確認情報の利用及び提供に関する条例」は、県民の利便の増進などを図るため、住民基本台帳法に定められた事務以外についても、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用できるようにするためのものでございます。
第28号議案「埼玉県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」は、青少年が携帯電話等によりインターネット上の有害情報を閲覧することを防止するため、保護者や事業者の義務などを定めるものでございます。
第33号議案「埼玉県臨床研修医研修資金貸与条例」は、産科、小児科又は救命救急センターに勤務する医師の確保を図るため、臨床研修医に対する研修資金貸与制度を創設するものでございます。
第44号議案「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例」は、深谷市の境界変更に伴い、深谷警察署の管轄区域の変更などを行うものでございます。
なお、第44号議案につきましては、施行期日の関係から急施を要しますので、他の案件に先立って御審議をお願いするものでございます。
以上で私の説明を終わらせていただきますが、なにとぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。
平成22年2月22日招集の定例県議会における追加議案の知事提案説明要旨(平成22年2月26日)
ただいま、御提案申し上げました議案につきまして、御説明いたします。
はじめに、第66号議案「平成21年度埼玉県一般会計補正予算(第5号)」の主な内容について申し上げます。
まず、歳出についてでございます。
今回の補正予算では、国の第二次補正予算で措置された交付金を活用し、道路や河川の整備、県有施設の維持修繕、信号機の新設などの工事を約45億円追加します。
これらの工事について、平成22年度当初予算と一体的に執行することにより県内事業者への発注量を上積みします。
その他の歳出は、給与費等について執行見込み額と既定予算との調整を行い、所要の補正をお願いするものなどでございます。
次に、歳入についてでございます。
県税については、12月定例会で減額の補正を行いましたが、個人県民税などにさらなる減収が見込まれるため、74億2,900万円の減額を計上しております。
また、県債については、事業執行に伴う調整のほか、県税の減収に対応するための減収補てん債の追加などを行い、合計で90億4,800万円を計上しております。
なお、財政調整のための基金の取り崩しについては、本年度の収支見通しを勘案し、一部を中止することとしております。
歳入歳出予算以外では、年度内に完了する見込みが立たない事業について、繰越明許費の設定をお願いしております。
以上の結果、一般会計の補正予算額は、463億5,346万1千円の減額となり、 既定予算との累計額は、1兆7,820億2,214万9千円となります。
次にその他の議案について、御説明申し上げます。
第67号議案から第76号議案までの10議案は特別会計について、第77号議案から第79号議案までの3議案は企業会計について、それぞれ事業量の確定などに伴い、所要の補正をお願いするものでございます。
第86号議案は、危機管理防災センター(仮称)本体新築工事の工事請負契約の締結に係るものでございます。
その他の議案につきましては、提案理由等により御了承をいただきたいと存じます。
以上で私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。

