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循環器・呼吸器病センター > 診療科及び各部門の紹介 > 循環器内科 > 経カテーテル的肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)

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掲載日:2022年4月13日

経カテーテル的肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)

慢性血栓塞栓性肺高血圧症

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH:chronic thromboembolic pulmonary hypertension)は血栓が形成(多くは足の静脈で形成)されて、血流にのって肺の血管を詰まらせてしまい(塞栓)、これにより肺の循環が悪くなり、肺循環の圧が上昇してしまう(肺高血圧)病気です。

肺の血圧は、体血圧{通常(収縮期/拡張期) 120/60 mmHg 平均80 mmHg}のだいたい5分の1程度の圧で24/12 mmHg 平均15 mmHg程度ですが、肺の血管が6割以上障害されると上昇してきます。心エコーで推定できる肺動脈収縮期圧45mmHg以上になってくると、だいたい肺高血圧とみなされます。定義上は「平均の肺動脈圧25mmHg以上」が肺高血圧となります。平均の肺動脈圧を重要視する理由は、この圧が最も予後を規定し、圧が高ければ高いほど余命が短くなるためです。

慢性化した血栓は薬では溶かす事が出来ず、固くなり無くなることはありません。以前は有効な治療法がなく、国の定める「指定難病」の一つであり、上記病名で申請して認定されれば公費負担で医療が受けられます。

治療としては(1)薬物治療 (2)カテーテル治療(経カテーテル的肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)) (3)開胸手術(当院では施行不可能で、手術可能な医療機関と連携をとり施行)が選択肢にあげられます。

近年、カテーテル治療の発展は目覚ましく、当院でも2014年9月より取り組んでいます。2019年までに選択的肺動脈造影125件、CTEPH48例(薬物治療例含む) 133  件のBPAを施行し、高い根治レベルを少ない治療回数(平均3.5 sessions (2~6 sessions)で得る事が出来ています。

 

治療前

治療後

平均肺動脈圧 34.5mmHg(28~58mmHg) 20.4mmHg
収縮期肺動脈圧 61.1mmHg 36.4mmHg
HOT離脱率   70-80%
肺血管拡張薬離脱率   90%~

カテーテル治療後の肺障害は、軽度の血痰や、画像上の無症候の肺野陰影を含めれば60~70%あります。しかし、重度の合併症となることは稀となってきました。ただし、残念ながらカテーテル治療関連死も1例(2~3%)あり、リスクを伴う治療であることも事実です。

 

BPA治療前の右肺の画像写真

肺動脈圧72/19/平均37mmHg
動脈血液ガス分析PaO2 57.4mmHg
6分間歩行距離 160m, 最低SpO2 73%

3回目のBPA治療6か月後の右肺の画像写真

肺動脈圧 29/12/平均19mmHg
動脈血液ガス分析PaO2 77.9mmHg
6分間歩行距離 440m, 最低SpO2 90%

 

このように、この疾患は治療により余命だけでなく、運動機能も著明に改善します。しかも、一度改善して抗凝固薬を適切に継続していれば再発なく、難病の位置づけながら「根治」を目指せる時代となりました。また、2019年1月より肺カテーテル治療の認定も取得し、埼玉県で唯一の認定施設となりました。その責務を全うすべく治療成績の向上に努めており、最善の治療法を選択して参ります。

BPAカテ―テル治療実績

BPAカテーテル治療実績グラフ

お知らせ

◆日本循環器学会認定 経カテーテル的肺動脈バルーン形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)指導施設 2019/1月より5年間

◆日本循環器学会認定 BPA実施医: 藤井 真也、永吉 信哉

 

お問い合わせ

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立循環器・呼吸器病センター  

郵便番号360-0197 埼玉県熊谷市板井1696

ファックス:048-536-9920

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