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掲載日:2017年2月21日

はつらつ先生の取組(特別支援学校塙保己一学園 乗松 利幸 教諭)

今月号は、特別支援学校塙保己一学園 乗松 利幸 教諭の取組を紹介します。

乗松教諭は、視覚に障害のある人への教育と相談活動を行っている県立特別支援学校塙保己一学園(県立盲学校)の高等部専攻科(※)教員として、生徒一人一人の障害の実態に合わせたきめ細かな教科・実技指導を実践されています。また、国家試験における生徒の合格率も高く、生徒や教職員から信頼の厚い先生です。さらに、中国やモンゴルの盲学校との交流に熱心に取り組まれるなど、埼玉県のみならず、日本の視覚障害教育の牽引者として期待されています。

(※)視覚に障害のある方が、職業的な自立を目指して、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの技能を習得する課程です。課程修了時には、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験の受験資格が得られ、免許取得後は、病院、企業、老人福祉施設、治療院などへの就職、治療院開業などの道が開かれます。入学選考の対象は、高等学校卒業または卒業見込みの方、若しくはそれと同等以上の学力があると認められた方です。

インタビューを受ける乗松教諭

まず、塙保己一学園についてお聞かせください。

以前は、盲学校と呼ばれていました。1907年、明治41年2月15日に創立した学校で、幼稚部、小学部、中学部、高等部普通科、高等部専攻科があります。

早期教育の重要性から、幼稚部では、就学前からの相談支援を行っています。また、専攻科では、視覚障害者の職業自立1位を占めているあん摩・マッサージ・指圧師などの国家試験受験資格を取得することができます。今、専攻科には70歳の方が在籍しているので、本校と関わりのある方は、0歳から70歳までと非常に幅広いです。

何人くらい生徒さんがいらっしゃるのですか。

平成28年度は、幼稚部から高等部専攻科まで115名おります。私が受け持っている専攻科の生徒は、現在26名です。

視覚に障害のある方は塙保己一学園に通われているのですか。

保護者の希望によっては、いわゆる通常の小学校や中学校に在籍して学んでいる方もいます。弱視学級のある学校もあります。実は、私も目が悪いんですよ。

ご自身の目はいつ頃からですか。

14歳の11月に発症したんです。静岡県浜松市生まれということもあり、幼少期からずっとサッカーをやっていたんです。MF(ミッドフィルダー)として、パスを出したり、献身的な守りをしたり、運動量の多いポジションを任されていました。ところが、ある朝起きたら、視力が落ちていたんです。

突然ですね。

病名が分かるまで少し時間がかかりましたが、視神経萎縮ということでした。専門的な治療を行うために、兵庫県神戸市に行き、頭の手術をしました。ちょうど、ここに傷があるんですけど。

その後、浜松市にある盲学校に通うことになりましたが、「神様が治してくれるのでは」なんて思いもありましたし、正直、抵抗や戸惑いがありました。盲学校の中学部を卒業した後は、東京の盲学校に進学しました。当時は、東京教育大学付属盲学校と呼ばれていたんですけど。そちらの寄宿舎で3年間勉強しました。今で言う筑波大学付属視覚特別支援学校ですね。先輩や後輩には、大学教授や弁護士など、立派に社会自立して、活躍している方が多くいます。

高等部を卒業した後は。

その後、大学受験をして、一応合格はしたんですけど。視覚に障害があるため、これから生活をしていくにはとても厳しい状況でした。就職先がないという現実もわかっていましたので、専攻科(理療科)に進むことにしました。そこで出会った恩師である矢野忠先生は、「この世界は、患者さんの治療をして、患者さんから『ありがとう』をもらうと。『ありがとう』をもらって生業を立てる世界なんだよ。」とおっしゃっていました。その言葉を聞いて、この「道」で行こうと決めたんです。当時は、専攻科を卒業した後に、特設教員養成部理療科(現在は筑波大学理療科教員養成施設)というものがあったんです。専攻科に3年通った後、教員養成部で2年勉強し、その流れで現在、教師として教壇に立っています。

専攻科の教師に。

はい。本校に赴任して21年目です。前任校は、筑波大学視覚特別支援学校鍼灸手技療法科の教員でした。

塙保己一学園の専攻科について教えてください。

専攻科には、理療科と保健理療科があります。理療科では、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験受験資格を学ぶ学科で、国家試験の際には、それら3つの試験を受けることになります。保健理療科は、あん摩マッサージ指圧師国家試験受験資格を学ぶ学科で、国家試験は1つだけです。

どのような授業を行っているのですか。

専攻科3年間のうち、1年次においては、解剖学や生理学など基礎医学と言われるものを勉強しています。また、“ツボ”と呼ばれる経絡経穴概論、さらには陰陽五行の思想を基盤とした東洋医学についても学んでいきます。3年次には、これまで学んだものを融合した東洋医学臨床論(治療学)となっていきます。

実技ではどうでしょうか。

まず、1年次で基礎を学び、2年次から校外実習を少しずつ増やしていきます。主に、川越市内のデイサービスや大学、近隣企業などで実習を行っています。生徒同士の練習ですと、どうしてもマンネリ化してしまいますので。また、公民館を利用した地域住民の方へのマッサージ体験も行っています。3年次では、校内臨床ということで、カルテを書くなど、実際の治療院で行うような経験を積んでいきます。

県庁オープンデ―や、特別支援学校職業教育フェアでも、マッサージ体験を行っていますね。

校内のあん摩クラブや卒業生に呼び掛け、マッサージを通して多くの県民の方との交流、“ふれあい”を深めています。

外での実習は良い経験になるのですね。

実習において、コミュニケーションや実技の向上が図られると同時にいろいろな方と出会えます。どこでどんな方と出会えるかわからないんですよ、この世界は。ですから、生徒をいろいろな所に連れて行きたいですね。それが、その生徒の豊かな人生につながると思っています。

専攻科で学ぶ生徒さんの様子についてお聞かせください。

皆さん、本当に真面目に学んでいます。例えば、もともと目が見えていて、途中で悪くなってしまった方は、第二の人生をこの仕事にかけるという強い想いで学ばれています。当然、この世界に馴染めずに悩んでいる方もおります。しかし、マッサージ体験などを通していろいろな方と出会い、感謝の言葉をもらうなかで、将来の仕事としてやっていこうという気持ちが湧いていくのかなと思っています。

最終的には国家試験の合格を目指します。

はい。法定雇用率の未達成企業もまだまだありますし、介護サービスなどでマッサージ師の募集も結構ありますので、免許を取得できれば、就職先はほぼ100%あるんです。全盲だろうが、弱視だろうが、“志”が大切です。

海外との交流事業にも取り組まれているそうですね。

中国の学校とSTT(サウンド・テーブル・テニス)を通じたスポーツ交流を2007年に実施しました。視覚障害者向けの卓球という理解でいいでしょう。特別支援学校のなかでも、盲学校としての専門性をきちんと残していきたいという想いがあり、海外の学校へも支援できる学校とアピールするために、2010年に中国天津の盲学校と姉妹校を締結しました。

中国以外には。

モンゴル盲人協会を通じて、盲人学校を訪問しました。モンゴルの方が、視覚障害者に対する早期教育をしたいということで、本校の幼稚部に申し入れてきたんです。これが2012年ですね。翌年に、モンゴルの盲学校と姉妹校を締結しました。また、ベトナムの方が留学生として本校で学んでいたこともあります。その方は、13歳まで自宅にいたんですよ。アジアでは、視覚障害者が学校に通い、勉強できる環境がまだ十分に整っていない現状があります。その方は、見事、あん摩マッサージ指圧師国家試験に合格しました。現在、ホーチミンで治療院を開業しています。

海外との交流を通じて、生徒さんの変化は。

大きくありました。海外の方は、ハングリー精神が特に強いので、自分も頑張らなきゃという気持ちになった生徒は何人もいましたね。

視覚障害者が駅のホームから転落する事故などあります。日々の生活において、我々に求められていること、サポートできることとは何でしょうか。

心は見えないですよね。でも、配慮は見えるっていうか。ですから、見かけたら、声を掛けて欲しいなと思いますね。特に、駅構内などの危険な場所であれば、「大丈夫ですか?」というような声掛けをしてもらえたら有難いです。「大丈夫です」って言う盲人の方もいれば、「ここはどこですか?」とか「どこどこに行きたいんです」と言う方もいますから。

注意しなければならないことは。

例えば、電車に乗っている盲人の方に席を譲ったりする場合ですかね。どうしてかと言いますと、自分がいる車両が何両目で、その車両のどこにいて、降りる場所はここって、決めているんですよね。ですから、座ってしまうと、どこにいるか分からなくなってしまうんですよ。実は、自分の立っている位置を意識して皆さん乗っているんです。

記憶されているのですね。

そうなんです。何回も歩行訓練を重ね、同じルートを歩くことで、目が見えなくても歩けるんですよ。歩行訓練していなかったり、点字ブロックがないような場所では歩けない方もいますね。

先ほど、盲学校としての専門性をきちんと残していきたいとおっしゃっていましたが、塙保己一学園の課題とは。

全国に盲学校は65校あるなか、幼稚部から高等部専攻科までの生徒数が30人を切っている学校が6割程度あるんです。本校も減少傾向にあります。つまり、1つの課題は生徒数の減少です。もう1つは、県内で困っている方々に対して、視覚障害教育のセンターとして位置付けていくためにも、更に専門性を高めていくことでしょうか。

広報も大切ですね。

特別支援学校で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師という国家資格を養成していることを、だんだん知らなくなってきているのではと感じています。ですから、更にPRしていかなければという信念を持って、生徒を外に出し、いろいろな所に出会いを求めに行っています。出会った方々が、なんらかの形で広めてくれることを期待して。

エピソードなどございますか。

2015年の話になりますが、福島県で被災された方々にボランティアマッサージをする研修旅行をしたんですよ、修学旅行で。たまたま、当時の石原内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)が視察されていて、そこに報道機関の取材班も来ていたんですね。そうしましたら、「盲学校の人たちがボランティアマッサージするの?」って、取材してくれたんですよ。それが新聞に掲載され、記事を見た川越のライオンズクラブの方が、今年の寄付は塙保己一学園にしようじゃないかということでできたのがこの手ぬぐいなんですよ。

どこでどのような出会いがあるかわからない世界でしょ。

手ぬぐいの写真

先生が学生だった頃と比べ、障害者が置かれている状況に変化はありましたか。

国連の障害者権利条約が批准され、障害者差別解消法も施行されるなど、少しずつ良くなっているかなと思っています。それだけに、生徒さんと一緒に外に出るとか、障害者のこと、塙保己一学園のことをもっとPR、自己発信していく力が必要だと思っています。

これから教師を目指す方へメッセージをお願いします。

自分が信じた「道」を歩くしかないなと。自分の“志”というものが、とても大切だと思っています。それから、誰かのためにって言うのは、私は辞めた方が良いと思っているんですね。自分のためにやると。教材の勉強など授業に対する姿勢も含めて、自分のためにする授業というものを生徒が見ることで、いろいろと感じてもらえれば良いと思っています。もちろん、いろいろな方の支えがあってこそ、それができるのですが。それに、30年間も誰かのためにやるのって、それは疲れちゃいますよ(笑)

 

左から乗松教諭、つえぽん、佐野校長

塙保己一学園のマスコットキャラクター「つえぽん」(※キャラクター紹介ページへリンク)と一緒に写真撮影しました。つえぽんは、点字ブロック啓発キャンペーンマスコットとして、視覚障害者の歩行安全に対するPR活動等で活躍しています。また、校長の佐野貴仁先生にも一緒に参加していただきました。佐野校長は30年以上にわたり特別支援教育に向き合ってこられた先生です。埼玉県の特別支援教育を更に推進していくためにも、佐野校長、乗松教諭の経験やノウハウを着実に引き継いでいくことは、私たち教職員にとって、とても大切なことです。

「あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうというものは、“皮膚感覚の芸術”ですから、これは施術を受けないと分からないんですよ。出された料理の味が、美味しいかどうかと同じ。心地よいか不快か、上手いか下手か、施術を受けないと分からない世界なんですよ。」と語る乗松教諭。 

これまで施術を受けたことのない方は、塙保己一学園で行われている「校内臨床実習」を体験してみてはいかがでしょうか。恐る恐る、私も初めて鍼(はり)を刺していただきました(試しにツボではないところを)が、全く痛みは感じませんでした。鍼って、怖い・痛いイメージがありましたが、そうしたイメージはすっかりなくなりました。私事ですが、最近、腰痛が気になっていますので、次回は、是非、施術を受けてみたいと思っています。そして、治療の経験を家族や友人に話してみたいです。

※校内臨床実習のご案内

塙保己一学園の高等部専攻科では、生徒の臨床実習の場として臨床室を開設し、有資格者である教員の指導の下、患者に対する施術を行っています。

詳しくは、塙保己一学園のホームページをご覧ください。

乗松利幸教諭の取組

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