Myナビ 彩の国 開く

Myナビ 彩の国

総合トップ

県民向けトップ

事業者向けトップ

テーマ・目的別メニュー

  • 彩の国の安心・安全 危機管理・防災

ドラッグ&ドロップで順番の並び変えが可能です

総合トップ > 教育委員会トップ > 広報・広聴 > 広報 > はつらつ・れんたつ教職員の取組 > はつらつ先生の取組(熊谷市立富士見中学校 三富貴子 教諭)

ここから本文です。

 

掲載日:2019年7月11日

はつらつ先生の取組(熊谷市立富士見中学校 三富貴子 教諭)

 今月号は、熊谷市立富士見中学校 三富貴子教諭の取組を紹介します。

 三富教諭は、通級指導教室担当として、発達障害を持つ生徒の特性を的確に把握し、専門的な知識や豊富な経験を活かして、個々の心情やニーズに対応した教育支援プログラムを作成、組織的な指導にあたられています。近況報告や相談のため、卒業生が度々学校を訪問し、その卒業生が中学生に自身の体験を語りアドバイスをするなどの新たなつながりも生まれています。

 生徒・卒業生からはもちろん、保護者からの信頼も厚く、悩みを抱える人を安心させてくれるとても温かみに満ちた先生です。

※通級指導教室とは、言語障害、難聴、LD、ADHD等の児童生徒に対して、一人一人の障害に応じた特別な指導を行う教室です。児童生徒は、通常の学級で各教科の授業を受けたり、必要な時間を通級指導教室に通ったりすることができます。県内では、小学校・中学校の通級指導教室で、3、341人(平成27年5月1日現在)の児童生徒が教育を受けています。

三富貴子教諭

教師を目指したきっかけを教えてください。

 実は、もともと教師になろうとは思っていませんでした(笑)

 学生時代、学校というものにあまり良いイメージを持っていなかったので。ですから、お世話になった先生方からすれば、なんであなたが教師になったのっていう感じだったでしょうね。警察官を目指したり、一般企業への就職を考えたりした時期もありましたが、自分のなかでこれだと思えるものが見つからなかったんです。

 そこで、教員免許を持っていたので、臨時的任用教員として働くことにしました。きっかけはこの選択でしたね。

 臨時的任用教員として働いてすぐに、私が学生時代に味わった不全感とでもいうのでしょうか、学校生活で自分がやりきってこなかったという気持ちにスイッチが入ったんです。

どのようなスイッチですか。

 悩んだり、苦しんだりしている生徒を見て、学生時代の自分の姿がオーバーラップしたんです。まるで自分を見ているようでした。自分が学生時代のときにこうしてもらえたら良かったなという思いがあったので、どう生徒を助けてあげれば良いかわかったんです。

教師になってからの略歴を教えてください。

 最初は特別支援学校(当時は養護学校)に勤務していました。その後、熊谷市内中学校の特別支援学級に配属となって、本校通級指導教室の立ち上げ時にここに異動してきました。ですから、特別支援の関係の流れはすべて経験させてもらっています。 

※特別支援学校とは

 学校教育法(第72条)で規定された心身障害児を対象とする学校です。視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、または病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。

 県内の特別支援学校では、7、179人(平成27年5月1日現在)の幼児児童生徒が教育を受けています。 

※特別支援学級とは

 障害があることにより、通常の学級における教育では十分に指導の効果をあげることが困難な児童生徒のために編制された学級です。少人数の学級編制を行うとともに、一人一人の児童生徒の実態に応じて、具体的な目標や指導の内容を設定、きめ細かな指導を行っています。

 県内小学校・中学校の特別支援学級では、6、634人(平成27年5月1日現在)の児童生徒が教育を受けています。

最初から特別支援教育を希望されていたのですか。

 専門は体育だったんですよ。たまたま臨時的任用教員のときに、特別支援学級を任されたんです。そこで出会った子供たちがすごく印象深くて、そこから特別支援教育に関わった仕事をしたいと思い、今に至っています。

通級指導教室とはどのようなものですか。

 例えば、集団の一斉授業で勉強ができなかったり、難しいと感じたりしている生徒が通ってきます。得意なことと苦手なことの差がすごくあったりもして、とても苦しんでいる生徒が多いんです。

 通級指導教室では、その生徒が辛いと感じたところや、ちょっと難しいところなどを、また通常学級に戻れるようにトレーニングしているんです。だから、「通う」教室なんですよ。学級(クラス)ではないんです。

通級指導教室の良いところは。

 生徒の強いところ弱いところ、良いところ苦手なところなどをきちんと把握した上で、その子用に教材をオーダーメイドしています。個で対応できることが1番良いところではないでしょうか。

一人一人に教材をつくっているのですか。

 はい。一人一人にメニューがあります。スタッフ皆で話し合いながら教材を作成しています。教材を作った後は、必ず子供たちにも見せているんです。こちら側がつくって「はい、やりなさい」というかたちではなくて。こういうふうに作ってみたけれど、これでわかってもらえるかなっていうことを、きちんと子供たちに確認しています。

 子供たちは「ここがわかりづらい」とか「この色じゃないほうが良い」と伝えてくれるので、修正を加えて教材を作り直していきます。子供との対話がとても大切なんです。

そういった市販の教材はないのですか。

 市販の教材もたくさん買ってはあるんですけど、それをそのまま使えないんですよ。市販の教材も参考にしながら、それぞれの生徒に合った教材を作っています。

どのようなものですか。

 例えば、英語だと読めない生徒がいれば、全部にルビをふりますし、色を工夫したりもしています。こんな感じですね。

教材その1 教材その2

今、先生の後ろにあるのが教材ですよね。

 はい。これは9年間の蓄積です。子供たちから教えてもらいました。「こうして欲しい」「こう作って欲しい」「赤じゃ見えない」「こうするとわからない」と。市販の本にはいろいろ載っていますけど、それがすべてではなくて、やはり教材を使う子供たち一人一人から教えてもらうことが大切なんです。

生徒さんに配慮していることなどありますか。

 勉強とかでも相当苦しんできて、ぼろぼろになっている生徒なので、できるところから、できる問題を少ない問題数で解かせて、すぐに丸をつけてあげています。自信が持てるように、100点って書いてあげます。

 生徒には勉強を諦めてほしくないので、取り組みやすいもの、すぐに達成できるものを準備しておきます。

 また、突発的にここにくる生徒も多いので、その子たちを絶対に待たせないようにもしています。どの生徒が来てもすぐ対応できるように支援員さんたちと連携しています。

生徒さんが通常学級に戻るため、どのようなことをしているのですか。

 学力やソーシャルスキル、コミュニケーションスキルというものをきちんと身に付けさせてあげることが大切です。

 また、生徒がここに通っている間、通常学級では、多様性を受け入れる共生社会についてなどの授業を行っています。

 この両方がないと駄目なんですよね。どっちかが頑張ってどうにかなるものではないんです。富士見中学校の通常学級の先生方はよくやってくれています。

授業以外にも何かされているのでしょうか。

 学級担任の先生がよく通級指導教室に顔を出して、生徒と話をしてくれます。それってすごく大事なことなんです。

 私からは、知能検査の結果ですとか、生徒の特性についてお伝えし、通常学級に生徒が戻った時にはこうした方が良いなどのアドバイスをしています。

全国から視察訪問があるそうですね。

 生徒それぞれに合ったオーダーメイドの教材だったり、時間割だったりといったことが実際にできるのか。無謀なんじゃないかって思いながら訪問されているんだと思います。

 できる限り個に応じることってすごく労力がかかることですから、これをスタンダードだと思わないでくださいと見に来られた方にはお伝えしています。できることを持ち帰っていただければ良いなと思っています。

家庭に求められることなどありますか。

 それは安心・安全だと思います。子供が安心・安全でいられること、いつでも帰ることができる『安全基地』がきちんと担保されているってことはとても大切なことです。安全基地があるから子供たちは様々なことにチャレンジできます。失敗しても温かく励まし、見守ってくれると分かっているからこそ次も頑張ろうと思うことができると思います。

特別支援教育のやりがいは。

 卒業した生徒たちが良い知らせを持ってきてくれたときに感じます。

 読み書きが全然できなかった子やじっとしていられなかった子が、どこどこに就職したんですよって報告しにきてくれるんですよ。学生時代、英語が苦手で授業中ずっと机にふせていた子が、今、世界をまたにかけて頑張っている。そういった姿を見たり、話を聞いたりする。それがすごく嬉しいです。

 卒業はさせたけど本当にそれでよかったのかって、すぐにはわからないんですよ。でも、就職したり、結婚したり、充実した生活を送っている話をしに卒業生が来てくれたとき、「あぁ、良かったんだな」って思えるんです。あの時、本当に歯を食いしばって頑張って良かったねって。諦めなくて良かったって。

これから教師を目指す方へメッセージをお願いします。

 私たちの教え方で生徒が学べなければ、その子の学び方で教えようって。私たちがこれでやりなさいって押し付けても、教えられない子もいるんだということを認知しなければいけません。その子のやり方でできるんだったら、そのやり方を尊重しなければならないと思います。

 漢字を2回書いて覚えられる子もいますし、100回書いても覚えられない子だっているんです。子供たちの多様性をしっかり理解すること、それがこれからの教師にとってとても重要なことだと思います。

三富貴子教諭と支援員さんたち

 

 

通級指導教室には、三富先生を含め2名の教員と、4名の支援員さんがいます。インタビュー時にいらっしゃった皆様には写真撮影に参加していただきました。皆さん笑顔が素敵です。

 

 支援員さんのなかに、この通級指導教室に通いながら卒業した方、つまり、三富先生の教え子もいらっしゃいましたので、こっそりお話を伺ってみました。

三富先生ってどんな先生でしたか。

 私のイメージにある先生像とは全く違う先生でした。不安になって相談したときなんかも「大丈夫じゃない」って言ってくれて、すごい小さなことでうじうじしている自分がなんか馬鹿らしく思えちゃうくらいにデーンと構えている先生で。でも、すごく細かな部分まで私のことを見てくれるから、私が不安を口に出さなくても、「大丈夫」って言ってきてくれるんです。本当にすごい先生だなって思っていました。

一緒に働いてみてどう感じましたか。

 生徒が混乱するような情報を一切入れないように工夫したりなど、生徒に対してすごく配慮していることを初めて知りました。また、いろいろな人とも連携をとっていて、すごく大変な仕事なんだなって思いました。

 ここに来る生徒さんって、それぞれが違い過ぎるくらい違うんです。1つのやり方ではとても対応できないから、先生はいくつものやり方を持っているんですよ。

先生との出会いは。

 私は小学校のとき不登校だったんです。中学校へ入学するとき、入学式のリハーサルのようなことをやってもらったんです。まだ、体育館には椅子もないし、誰もいないんですけど。担任や保健室の先生を紹介してもらったり、整列の仕方や座るタイミングなど、細かなところまで教えてもらいました。

 その日に偶然、三富先生と出会ったんです。来客用の入口から私と母が校内に入ろうとしていたときに、ちょうど階段のところで荷物整理をされていました。私の姿を見て開口一番、「えーすごいかっこいいね。お洒落だね!」って言ってくれたんです。学校の先生って、そんな感じじゃないじゃないですか。私も衝撃を受けて、その時は先生ということもわからなくて。あの人はなんなんだろうって思っていました。

 リハーサルの後に通級指導教室に行ったら、先生がいたんですよ。なんか一気に安心しました。もちろん、最初は不安の方が大きかったんですけど、この先生がいる教室を使わせてもらえるんだったら大丈夫だろうなっていうふうに思えたんです。

 この通級指導教室がなかったら、学校に通えなかっただろうし、三富先生と出会ってなかったら、3年間中学校生活を送れなかったと思っています。先生との出会いはとても大きかったです。

 

 「私が来て9年。通級指導教室に通った生徒は全員高校に進学していきました。高校進学がすべてではないんですけど、つなげたいという強い思いがあるんです。」と語る三富先生。

 小学校2年生から勉強してこなかった生徒など、いろいろな生徒さんがいたそうです。一人一人親身になって、それぞれに合ったやり方を探したり、試行錯誤して教材を作り直したり、きっとたくさんの苦労があったことでしょう。

 今回、三富先生と出会ったことで180度人生が変わった方とお話をすることができました。私は当時の彼女を知りませんが、今の彼女はこれからの自分の未来に胸を躍らせているように感じました。

 苦しみや悩みを抱える子供たちにとっての心の安らぎであり、自分自身のことを気付かせてくれる、頼もしく、そして愛情溢れる先生でした。 

三富貴子教諭の取組

 誰もが利用できる『開かれた通級指導教室』 への転換(PDF:255KB)

 

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

教育局 総務課 報道・広聴広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第2庁舎4階

ファックス:048-830-4950

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?