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掲載日:2023年12月18日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(水村篤弘議員)

インターネット上の同和地区所在地や個人を特定する個別情報の摘示を禁止する条例の制定について

Q  水村篤弘  議員(民主フォーラム

2016年に公布、施行された部落差別の解消の推進に関する法律では、第1条で、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていると、部落差別を助長、拡散するインターネット上の情報の氾濫を指摘しています。また、埼玉県発行の部落差別の解決に向けてのパンフレットにも、特定の地域を被差別部落であるとする差別的な書込みが増加しているとあります。
2016年、ある出版社は戦前に作成されたマル秘の調査報告書「全国部落調査」の復刻版の出版を発表し、ウェブサイトにも情報をアップする事件を起こしました。当時の法務大臣は「特定の地域を同和地区とする情報がネット上に掲載されることは、人権擁護上、看過できない」と答弁し、東京法務局も本人を呼び出して差別を助長するので直ちにやめるようにとの説示を行いました。また、横浜地裁は本の出版を禁止し、ウェブサイトへの掲載を削除する仮処分を決定しましたが、彼らはこの決定を無視して挑発的な行動を続けています。
また、インターネット上には、全国各地の同和地区に潜入し、個人の表札や墓標、ナンバーの読み取れる車、店名や会社名など、地区の所在地や特徴が一目で分かるような写真や動画が掲載されています。その数は2020年10月現在、25都府県190カ所に上ります。埼玉県でも5市8地区が掲載され、地元の住民は大変な被害を被っています。
法務省は、2018年12月に、同和地区に関する識別情報の摘示は目的のいかんを問わず、それ自体が人権侵害のおそれが高い。すなわち違法性のあるものであり、原則として削除要請等の措置の対象とすべきものであるとした依命通知を全国の地方法務局に出しましたが、法律が未整備であり強制力がないため、差別情報が野放しになっているのが現状です。
このような状況に対して県内の58市町村は、2019年4月からインターネット上の悪質な差別情報をチェックするモニタリング事業を開始しました。地元に関連した差別情報が発見された場合は、直ちに法務局支局に削除要請を行っていますが、削除されるのは一割弱にすぎません。
10月23日に、人権教育啓発推進埼玉県実行委員会による人権施策の充実を求める大野知事要請行動に、複数の会派の県議とともに同行させていただきました。その際にも参加した方から先ほどのような現状が述べられ、インターネット上の差別情報の摘示を禁止する条例を全国に先駆けて制定してほしいと強い要望が出されました。
以上を踏まえて質問は、一点目、インターネット上に同和地区所在地や個人を特定する個別情報が氾濫している状態について、どのように認識しているのでしょうか。そして、これまでどのように対応してきたのでしょうか。
二点目、インターネット上の同和地区所在地や個人を特定する個別情報の摘示を禁止する条例の制定に向けての課題をどのように考えているのか、お尋ねいたします。

A  山野均  県民生活部長

情報が氾濫している状況をどのように認識し、これまでどのように対応してきたのかについてです。
本年6月の国の実態調査では、インターネット上での部落差別事案が増加していることが明らかとなりました。
こうしたインターネットの匿名性を悪用した行為は、差別を助長する重大な問題であり、人権擁護上も決して許されないものと認識しております。
県ではこれまで、同和問題の正しい理解を進めるとともに、「インターネットと人権」をテーマとした人権啓発研修の実施や啓発冊子の配布などにより、人権侵害につながる書き込みを行わないよう働きかけてまいりました。
また、インターネット上の部落差別を助長する情報を入手した場合には、速やかにさいたま地方法務局に情報提供し、適切な対応を要請するなど、法務局とも連携して対応しております。
さらに、これらのインターネット上の情報を速やかに削除できる実効性のある法制度の整備と被害者救済制度の確立についても国に対して強く要望しております。
次に、禁止条例制定に向けての課題についてです。
インターネット上の情報は、個人が特定しにくい匿名性に加え、県域を越え日本全国、あるいは海外にまで瞬時に伝わるという特質がございます。
これに対して県の条例で対応するには限界があり、実効性のある対策を施すには国による法整備が不可欠であると考えております。
現在、総務省では匿名の発信者情報の開示や新たな裁判手続きの創設、民間事業者自らによる迅速な情報の削除などについて検討を進めております。
県といたしましては、国の検討状況を注視するとともに、部落差別の根底にある偏見や忌避意識の解消に向け、部落差別は決して許さないという強い決意をもって、引き続き粘り強く取り組んでまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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