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掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(前原かづえ議員)

税徴収にあたっては「納税者の保護」の観点を貫くこと

Q   前原かづえ  議員(共産党

近年、国から地方へ税源移譲されたことにより、地方自治体では徴税強化の傾向が強められ、本県においても、県・市町村個人住民税税収確保対策協議会の開催など徴税強化が進められています。その中で、強権的な徴収姿勢をよしとする風潮が生まれています。
しかし、いわゆる鳥取事件判決は、徴税活動も法のルールに従わなければならないことを厳に示しました。児童手当は差押禁止債権とされていますが、鳥取県は、児童手当も預金口座に入金されたら預金債権であるという見解に立って、児童手当の口座を差し押さえました。この徴税側論理を退けたのが広島高裁です。高裁判決は、「預金になった後も児童手当としての属性を失ってはいなかった」と明言し、鳥取県に対して児童手当の返還を命じました。
県内でも今年の11月、川島町にお住まいの子供一人の御夫婦が、川越市で独身時代に残した200万円の滞納税を分割納付していた最中に、川島町から振り込まれる児童手当に使っている口座を川越市に差し押さえられる事案が発生しました。この措置は直ちに是正されるべきです。大阪高裁では、口座入金2日後の差押禁止財産の差押えを違法とする判決も10月に下されました。
私は、県自らも、そして県内全市町村に対し、1、差押禁止債権は預金入金後も差し押さえてはならない。2、児童手当に限らず、ほかの差押禁止債権にも当てはまる。3、法が定めるルールに違反する徴税はいかなる場合も許されない。これらルールをしっかりと徹底していただきたいのです。知事の答弁を求めます。
次に、税の支払い等に関する相談窓口、相談ブースについて。
本庄市は、個人住民税の徴収で県から表彰も受けていますが、このブースには、「差押えの強化」、「財産調査は相談なしに行う」、「自宅などの捜索は滞納者の了解なしに実施する」、「600件の差押えを執行しました」などの文言が貼り出されています。並んで貼り出されている写真は、差押えをしている現場です。ここを訪れた滞納のある納税者の一人は、「怖かった、一人では行けない」と語っています。
国税徴収法は地方税法でも準用されますが、その柱の一つは「納税者の保護」です。納税者の保護として、法は、差押禁止財産、超過差押えの禁止、無益な差押えの禁止、納税の猶予、換価の猶予、滞納処分の停止などの制度を設けています。このブースには、これらの紹介は見当たりません。私は、税債権の確保のみに偏重し、訪れた方を威嚇し恐怖を与えるこのような相談窓口、ブースの在り方は許されないと考えます。まずは納税者保護制度の紹介こそが貼り出すべきと考えます。併せて知事の答弁を求めます。

A   大野元裕   知事

差押え禁止債権は、預金入金後も差し押さえてはならないことなどの徹底についてでございます。
税の徴収に当たっては、何よりも公平であることが重要です。
このため、資力があるにも関わらず納期内に納税いただけない方に対しては、厳正な滞納処分を行う必要があります。
一方で、財産がない方や生活困窮の方に対しては、その状況に応じた納税緩和措置が必要となります。
議員御指摘のように、差押禁止財産については、国税徴収法や児童手当法などに定められております。
御質問にある裁判例は、鳥取県が行った預金債権の差押えが、実質的に、差押禁止財産である児童手当の受給権に対するものであったと判断されたものであります。
本県においては、従来から、預金債権のうち児童手当の受給額など差押禁止財産の相当額であると特定できる部分は、差押えを行っておりません。
こうした取扱いについては、判決後の平成26年1月にも改めて各県税事務所長に通知し、注意を促しているところであります。
また、市町村に対しても、本判決の内容を毎年、全市町村を集めた会議で周知をしております。
次に、本庄市を例に御質問いただきました納税相談窓口・ブースの在り方についてでございます。
納税相談を行う相談室やブースにおいて、納税者に対して、滞納処分の制度について御理解いただくことなどの目的で、ポスターや写真などを掲示している市町村もあります。
一方、こうした市町村においても、納税相談の中では、生活困窮などにより納税できない場合は、納税の猶予など納税緩和措置のお話しもさせていただいているとのことであり、この緩和制度の周知徹底を図ってまいります。
私は、納期内に納税いただいている納税者との公平性を損なうことがないよう厳正な滞納処分を行う一方で、生活困窮者などには適切に納税緩和措置が適用されることが大切であると考えます。
今後とも、市町村と連携の上、法令の遵守、公平公正な徴収を徹底し、税収を確保してまいります。

再Q   前原かづえ  議員(共産党

納税者保護の観点についての質問です。
国税徴収法の3本柱で、税債権の確保、私法秩序の尊重、納税者の保護ということで、市町村が指導するものではないといいながらも、税の徴収率向上をあおっていますよね。それから税の公平性を守るといって、納めていない人と納めている人と差をつける、きちんと公平にするためにという形で税徴収の確保というふうにおっしゃっているんですけれども、やっぱりきちんと納税者の保護をする観点で、今具体的には本庄市の例を挙げましたけれども、納税相談に来た方たちに、きちんとこれからの生きていくところを教えていく、そういうふうな対応ができるようにしていくべきだと思うんですね。
私、なぜこう言うかといいますと、大野知事になって、様々な団体の方が訪問されていると思うんです。先日、私も同席させていただきましたけれども、知事室の前で知事がにこやかに迎えてくださいまして、訪問者はそれだけでも心が解放されると思うんですね。そういう納税者に安心を与える、そういう環境を作っていくという意味でも、それをトップとしてやっていくためにも、税の種類によって担当が違うとかそういうことじゃなくて、納税者保護の観点、人権を守る、そういう環境に是非改善していただきたいと思うんですが、その点について、一言お願いしたいと思います。

再A   大野元裕   知事

まず、税に関しましては、納税者の平等、徴税率の向上等につきましてはこれは当然の話だと私は思っております。
その一方で法令の遵守やあるいは公正公平な税制業務、さらには人権の保護、これらについても同様に大切なことだと思っておりまして、その点につきましては前原議員の御指摘になられた人権、そして税に関する人権の保護を安心として伝えていくことについては共感するところでございます。
しかしながら、明らかに法令に違反する行為があったこと。あるいは人権に対する保護、そしてさらには納税を決められた期限に行っていない方々に対する徴税率の向上についてはバランスをとる必要があると考えているところでございます。
それぞれの観点に従いながら県税事務所当局や市町村に対し要求をしていくところだと答弁をさせていただいたところでございますので、引き続き人権についての観点も重視しながら税制業務について努めていきたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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