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掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上将勝議員)

在宅就労の重度障害者から働く喜びを奪うな

Q   井上将勝  議員(民主フォーラム

障害者総合支援法に基づき、重度障害者が利用できる福祉サービスに重度訪問介護があります。重度訪問介護は常時介護が必要な重度の障害者が対象で、障害者の自宅にヘルパーが訪れ、排せつや入浴、食事などの日常生活の介護や、外出時における移動中の介護などの長時間の訪問介護サービスを提供するものです。しかしながら、テレワークなど在宅で就労しようとすると重度訪問介護はその間受けられません。
在宅就労の支援は恩恵を受ける企業の役割としているからですが、重度訪問介護は障害者の生活を支援しているもので、それは就労していようがしまいが変わりません。企業側が利用できる障害者介助等助成金がありますが、認定手続や更新手続が大変複雑で、認定されても10年間しか支給されず、延長も最大で5年が限界で、その後の保障はありません。
在宅就労している重度障害者は、例えば午前9時から12時、午後1時から4時までの6時間働くとしたら、その間水も食事もとれません。介助者がいない時間帯は、トイレに行くことができないからです。拷問に近いと思います。また、人工呼吸器が落下してしまうなどすれば命にかかわります。こんな現状では重度障害者が安心して働くことができるはずもなく、結果的に働くことを諦めてしまいます。今の制度は、障害者は働くなと言っているに等しいです。障害者から働く機会と働く喜びを奪う現状は看過できるものではありません。
そうした状況を受け、さいたま市では今年度から在宅就労時に介護が途切れないよう、市が独自に支援する全国初のサービスを始めました。県も在宅就労の重度障害者が安心して働くことができるよう支援をすべきです。
国においても就労する重度障害者への支援拡大の検討を始めたところですので、もしかしたらこれからいただく答弁は「国が検討を始めたところですので、国の動向を見極めつつ、適切に対応してまいります」というものが用意されているかもしれませんが、そんな悠長なことは言っていられません。
先日、埼玉県在住の重度障害者の方にお話を伺いました。本日も傍聴に多くの重度障害者の方にお越しをいただいております。ありがとうございます。その方は、障害者介助等助成金制度による職場介助を受けながら仕事をされています。勤続10年を過ぎましたので、このまま職場介助を受け続けられるか分かりません。中学生のお子さんがいらっしゃる中、仕事を失う不安と毎日戦っていらっしゃいます。また、筋ジストロフィーを患っている方もいらっしゃいます。1日ごとに病状が進行しているため、体が動けるうちにどうにか働きたいと願っています。
国はやっと調査を始めたところで、令和2年に方向性を出すと言っていますが、あくまで方向性であり、制度改正がいつになるか先を見通せません。1年後、2年後、はたまた3年後なのか、いつになるんでしょうか。行政にとっては微々たる年数かもしれませんが、重度障害者にとってのその年数は永遠に近い。人の尊厳をかけた命がけの年数です。
重度障害者の方々は皆おっしゃいます。「できるならば働いて納税したい」と。あの凄惨なやまゆり園事件、犯人の言いぐさも「生産性のない重度障害者に生きる権利はない」というものでした。制度が重度障害者から働く機会を奪い、納税の機会を奪っているのならば、行政も共犯と言えます。数年後に新しい制度ができて救済されるかもというのは、今やらない理由には全くなりません。
県内には現在347名の重度障害者がいらっしゃいます。知事は、今回の知事選挙において「誰も取り残さない」と訴え、当選をされました。この言葉が偽りでないことを私は知っています。そして、この347名の重度障害者は、今、正に取り残されているんです。
県は国の下請ではありません。国の制度改正を座して待つことなく、重度障害者の尊厳ある暮らしを守るため、在宅就労する重度障害者への支援を県として今やるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

重度障害者が、その能力と適性に応じて就労し、地域で自立した生活を送ることができる環境を整備することは、大変重要です。
しかし、現行制度では重度障害者の就労につながらないといった指摘があることは承知をしております。
国では、常時介護を必要とする障害者の就労に当たっての支援の在り方について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じることを平成30年12月に閣議決定をいたしました。
また、厚生労働省では7月にプロジェクトチームを立ち上げ、令和3年度の報酬改定に向けて、令和2年中には結論を出すことになっています。
プロジェクトチームでは、重度訪問介護制度の拡充や重度障害者を受け入れる企業への助成の在り方などについて、幅広く議論をすることといたしております。
重度障害者の就労に当たっては、まずは全国どこにおいても同一の水準で支援の仕組みが整えられていることが大切です。
こうしたことから県では、先月九都県市首脳会議を通じ、在宅で就労する重度障害者が重度訪問介護を利用できるよう、制度の見直しや必要な財政支援を行うよう国に要望したところであります。
課題は在宅就労だけではありません。
県といたしましては、引き続き、在宅のみならずオフィスでの就労も含め、働く重度障害者が安心して就労することができる支援策を速やかに講じるよう、引き続き、国に対して強く要望してまいります。
あわせて、今後、重度障害者の就労の実態や意向をしっかりと調査することにより、どのような支援が必要とされているのかを把握し、具体的な支援策について検討させていただきます。

再Q   井上将勝  議員(民主フォーラム

御答弁ありがとうございました。私が聞いた感じでは、やっぱり国がやっているから、その動向を見極めつつという予想どおりの内容なのかなというふうに私は思ってしまいました。同一の基準を国が作るというのは、当たり前の話だと思っています。ただ、今、現に困っている人がいて、働きたいという人がいて、国にも要望に行かれました。そういう問題意識もあって、なおかつ埼玉県という大きな自治体が、解決することはできませんけれども、軽減する能力は埼玉県は持っていると思うんですね。そういう能力があるのに、やっていることいったら結局は国に対する要望だけなのかなというのは感じました。
国が速やかにやるというふうに今言っていますけれども、あくまで方向性であって、令和2年に結論はつけると言っていますけれども、今、私、国のことをそんなに信用していなくて、障害者雇用の雇用率を水増ししたりだとか、一国の首相がシュレッダーを作業するのに障害者雇用の担当者がやったとか、わざわざ言う必要のない個人情報を言ってまで、障害者雇用に対するネガティブなイメージを広げているような国だとね、私、そんなに障害者雇用に対して国が速やかにやってくれるというふうには余り信用していません。
なので、国が何年後にやるか分からないですけれども、国が動くまでの間だけでも、何か補助とまではできないというふうにおっしゃっていましたから、何か知恵を出して、今、現に働きたいというふうに思っている方々がいらっしゃるんで、みんなで何か行政の皆さんで知恵を出して、何か救っていただくことというのはできないんでしょうかというのが質問です。

再A   大野元裕   知事

改めて申し上げさせていただきます。
答弁の中では2点お答をさせていただいたつもりでございます。
1点は、国が平成30年12月に障害者の就労に当たっての支援の在り方について検討し、必要な措置を講じることを閣議決定し、さらに7月に厚生労働省がプロジェクトチームを立ち上げ、令和3年度の報酬改定に向けて、2年中に結論を出すことになっていることを踏まえ、先月、九都県市首脳会議を通じ、在宅で就労する重度障害者が重度訪問介護を利用できるよう、制度の見直しや必要な財政支援を行うよう、全国における同一の水準での支援の仕組みを整えることが大切との観点から要望した、これが1点でございます。
そしてもう1点は、あわせて、今後、重度障害者の就労の実態や意向をしっかりと調査することにより、どのような支援が必要とされているのか把握し、具体的な支援策について検討してまいりますと申し上げました。
なお、その調査でございますが、現時点までで調査をかけましたところ、11名の重度障害者の就労者がいることが分かっております。
今後さらに詳細な調査を行った上で、就労されている方の御意見やニーズを把握した上で、具体的な支援について検討をしてまいりますことを改めて発言させていただきます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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