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掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(杉田茂実議員)

新公会計制度に取り組む意義について

Q   杉田茂実  議員(県民

顧みますと、私は平成19年に地元熊谷市議会議員としての活動を開始するに当たり、当然のことながら熊谷市の財政状況を冷静に理解したいと考え、決算書及び予算書をじっくり読み始めてみました。私自身、中小企業の経営者として20年ほど経過した頃でした。いわゆる企業会計は毎日処理するのが当然ですし、毎日決算をすると言われた頃でした。私の役割は片時も資金繰りから目を離さないことでした。自社の健康状況は、企業会計を見続けない限り中長期的な経営方針を決定することすらできません。公会計は私にとりまして大変難解な存在になりました。
さて、総務省は、平成27年1月に統一的な基準による地方公会計マニュアルを取りまとめました。統一的な基準による財務書類の作成手順や資産評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとした財務書類の活用方法等が示されています。このマニュアルに従い、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての自治体において作成し、予算編成等に積極的に活用することが求められました。
特に固定資産台帳が未整備である自治体においては、早期に同台帳を整備することが望まれていました。自団体が何を保有しているのかについてきちんと把握できるようになることに取組の意義があります。逆を言えば、これまでは自団体の資産の状況把握が不十分でも自治体経営を行うことができました。これまではハード面で言えば、不足の公共施設を整備することが自治体の役割として続いてきました。しかし、今後は多くの施設が老朽化し、その更新時期を迎えております。どこから何から手をつけていくのかの判断の材料として、資産状況をまず把握する必要性があるわけです。
その上、時代背景として、どの自治体でも公共施設整備の経緯を知る生き字引のような職員が存在しており、そのような各々の自治体の実情に即した判断を行いながら施策展開されてきた職員が退職期を迎えているという現実があります。これまではベテラン職員の感性と経験に頼っていたものを、組織として適切に蓄積されたデータにより裏付けしていくことが必要になっていきます。
公会計も初めから複式簿記の仕組みが導入されていればよかったと思いますが、そのように行われてこなかったわけですから、今、これから各自治体で過去の情報をひもときながら、正しい固定資産台帳を整備することが求められたわけです。
さて、総務省から各自治体に対する固定資産台帳の整備と複式簿記の導入要請を踏まえ、平成28年12月定例会において、本会派の井上議員が新公会計制度への対応について質問をしています。その質問からちょうど3年が経過しましたので、その後の状況、対応等について、企画財政部長に3点お伺いいたします。
1点目は、本県は40道府県と同様に、仕訳方法を日々仕訳ではなく、期末一括仕訳を採用されましたが、採用後の利点と欠点をお伺いいたします。また、導入後、日々仕訳を採用された都県と情報交換をされたでしょうか、併せてお伺いいたします。
2点目は、固定資産台帳に関してです。
まず、固定資産台帳の整備はどのような手法で行われたのかお伺いいたします。
次に、全自治体による固定資産台帳と地方公会計整備が完了した後に立ち上げられた地方公会計の推進に関する研究会では、固定資産台帳の更新に関する今後の対応が議論になっています。これは、全自治体を対象とした調査の結果、固定資産台帳を整備したものの、更新することがままならない自治体が大多数を占めていたことが明らかになったという背景があるようです。そして、これを受けて、和光市の予算仕訳や固定資産台帳の製本化に相当する取組を全国に普及させていくことを検討し始めているようです。
そこで、埼玉県をはじめ県下の市町村では固定資産台帳の更新が適切に行われているのでしょうか、お伺いいたします。
3点目は、3年経過し、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入が完了し、これからのより健全で効果的な財政運営に公会計情報をどのように役立て、どのような場面で活用することができるのかをお伺いしたいところですが、いかに真摯に新公会計制度に向き合っても、3年で大きな成果が出るとは考えにくいところです。
そこで、角度を変えてお伺いいたします。この3年間でどのような課題が明らかになったのかお伺いいたします。
総務省は、平成17年から27年までの間、段階的に自治体に対して公会計制度を限りなく企業会計制度にシフトして、各地方公共団体の健康状況を自らで見極められるような資産や債務の実態を把握するよう要請する方針が大きく3回にわたり示されました。経過の中で基準モデル、又は総務省方式会計モデルが示され、私たちの体で例えるとドック検査は実施したものの、病気の根治につながらなかったようなものです。いずれの自治体もさすがに短期間でハード構築はされましたが、何の役に立て、どのように活用するかというところまでは、短期間で効果を出し切れるところまでは到達できていないと考えられます。
明治初期、国づくりの中の公会計が始まり、約150年間続いてきた公会計制度を3年や10年で限りなく自身の体力測定ができる企業会計へ転換することは容易なことではありません。なぜなら固定資産台帳を適正に更新するためには、仕組みを整備する必要があるからです。だから時間がかかるということです。資産に関する金額情報抜きで自治体運営を進めるという、何か整合性のないことになってしまいます。
新公会計を活用した指標も、固定資産台帳が正しくない限り自治体経営上の意思決定資料にはなりません。今、急いでつじつま合わせをするよりも、多少の時間を費やすことが県民にとっての安心安全な財政運営につながります。適正な新公会計制度の構築に向けて力を発揮していただくことを期待して質問を閉じます。

A   石川英寛   企画財政部長

まず、「期末一括仕訳を採用したことの利点と欠点」についてでございます。
会計上の仕訳とは、経済的な取引を資産や負債などの要素に分けて記録する作業であり、取引発生の都度作業を行う日々仕訳と、年度末などに一括して作業を行う期末一括仕訳とに分けられます。
期末一括仕訳は、現行のシステムを利用でき、専門職員が集中処理することで負担を最小限に抑えられる利点がある反面、年度途中における財務状況の把握が難しいという側面があります。
行政においては、毎年度、予算の議決を経ることで財源が明確になっており、年度途中で財務状況を把握する必要性は必ずしも高くないものと考えます。
従って、本県では、他の多くの自治体と同様に期末一括仕訳を採用しております。
次に、「日々仕訳を採用した都県と情報交換をしたのか」についてでございます。
財務書類の作成方法や活用方法などについては、毎年秋頃に開かれる近県の財政担当者会議などの機会を通じて、定期的に情報交換をしております。
また、東京都や大阪府など日々仕訳を採用した自治体からは、個別にその利点や課題について情報収集を行っております。
次に、「固定資産台帳の整備はどのような手法で行われたのか」についてでございます。
固定資産台帳の整備に当たっては、庁舎などの建物、道路などのインフラ資産、物品等、各課ごとのシステムや台帳で管理している全ての資産データを一つに取りまとめる必要がありました。
そのため、平成27年度には、資産管理に係る検討部会などを立ち上げ、資産の現状把握や課題の整理を行いました。
平成28年度には、各管理台帳の様式の統一化などを行い、平成29年度に、全ての資産データを統合した固定資産台帳を整備いたしました。
次に、「県をはじめ県内の市町村において固定資産台帳の更新が適切に行われているのか」についてでございます。
本県及び全ての市町村におきまして、前年度決算の確定後、全庁への照会を経て資産の異動を把握し、国が提示したマニュアルに基づき、年に1回固定資産台帳を更新しております。
次に、「3年間でどのような課題が明らかになったのか」についてでございます。
国が示した統一的な基準に基づく財務書類によって、資産や負債などのストック情報等を、より正確に把握することができるようになりました。
今後、継続的に財務書類を整備していくことによって、各種指標の経年比較や分析が可能になるものと考えています。
一方で、例えば、国の所有でありながら県が整備や維持管理を行っている国道や河川などは費用のみが県に計上され、資産としては計上されません。
このような、所有外資産の比較が困難であるということも課題の一つです。
こうした点も踏まえつつ、財務書類による比較や分析を進め、県政運営への有効な活用方法について、引き続きしっかり検討してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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