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掲載日:2022年10月13日

令和元年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(梅澤佳一議員)

知事公約について

Q   梅澤佳一   議員(自民

知事は、日本一暮らしやすい埼玉を実現する政策集の冒頭、「16年前の夏、埼玉県政は大きく動いた」と以下、上田県政を評価しています。また、「前土屋県政が従来型の公共事業のバラマキ政治で、2兆8,000億円の債務負担を抱えてしまった」とあります。しかし、多くの遺産というものが施設整備を誕生させてくれました。現在、国の16機関は新都心整備の核となり、東京に何か起これば大切な使命を担い、スーパーアリーナも建設され、今では埼玉の顔として多くの県民、国民に利用されています。また、サッカー専用スタジアム2〇〇2は、サッカーの聖地として大きな財産となっています。さらに埼玉高速鉄道の延伸実現は、県民の利便性を大胆に改革をいたしました。
皆、将来を見据えての先行投資として県民に喜ばれている整備となっていますが、知事はどうお思いでしょうか。単なるバラマキでは断じてないと思いますが、評価を伺います。
知事への今までの答弁の感想としては、質問に対して誠実に答えていない。具体的な答えがない。12分野128項目の実現性が見えない。知事の行動力や情熱が感じられない。知事は、公約を12分野128項目に工程表として落とすよう指示しましたが、職員も大変なことだと想像できます。これまで質疑が行われてきたことですが、5大プロジェクト、埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、エネルギーを核としたコンパクトシティ推進で移住の促進策であります。また、あと数マイルプロジェクトは東京へのアクセスの利便性を向上させ、一極集中を促進している。何だか正反対なプロジェクトだと感じます。
これをどうお思いでしょうか、伺います。
舎人ライナーや大江戸線沿線は知事の秘策があるのかと思いましたが、ゼロからのスタートでした。県民はがっかりしていると思います。
次に、地域医療の偏在と医療の過疎化対策です。
今まで県は医師確保についても御尽力をいただき、感謝を申し上げます。しかしながら、医師不足は深刻で、地域医療の過疎化につながり、大きな問題となっています。地域によっては、一次医療である診療所などの減少が進み、学校医の確保にも苦労しています。今後ますます高齢化が進み、自動車にも乗れない患者さんが増え、近くの診療機関が必要となり、県も在宅医療を進めていますが、肝心な医療施設がなくなることが大いに心配です。
そこで、伺います。地域医療の偏在、過疎化への対応や支援については緊急の課題であると考えますが、知事に伺います。
先ほど飯塚議員も質問しましたが、FEMAの質疑に対しての答弁を聞いても、危機管理体制がどのように変わるのか明らかではありません。FEMAは大災害に対するアメリカ合衆国国土安全保障省の一部、天災や人災に対応し、洪水、ハリケーン、地震、原子力災害を含むその他の災害に際し、連邦機関、州政府、その他の地元機関との業務を調整し、家屋や工場の再建や企業活動、行政活動の復旧を資金面から支援する機関で、権限と財源を持って災害に対応しています。
私たちもアメリカでの研修で事務所を訪れ、ハリケーン発生直後からの行動計画であるタイムラインを勉強してまいりました。タイムラインの理念は、現在多くの分野でも実施をされています。膨大な力を持った機関であり、埼玉県の施策とどのようにリンクするのか分かりません。具体的取組を見ても、今まで県が実行してきたことばかりで、知事はどのように変えたいのか分かりません。
そこで、知事に伺います。知事が考える埼玉版FEMAとはどのようなものなのか、今までの施策との違いなど具体的にお示しください。また、災害ボランティアとの協力をどのように進めていくのかも、知事に伺います。
次に、もうかる農林水産業の推進についてです。
先日、鴻巣地区の花き農家に伺い、生産現場の実情を聞いてまいりました。花き生産者も年々減少し、組合員も約半減しているようです。また、将来への不安があるようです。
要因の一つは、市場の関係で、やはり近くの市場が多くの取引先を確保し、安定した出荷につなげたいこと。二つ目は、大きな販路先であるホームセンターが大きな花き農家を取り込み販売させてロスをなくし、価格も抑えようとしていること。三つ目は、市場へ出荷するための物流会社の倒産が多く、鴻巣はまだ生産者が多く集荷も比較的よいんですが、ほかの地域では集荷のむらが多く、車の手配が難しく、市場への出荷が自由にできないこと。県への取組に関しては情報が欲しいことや技術支援です。この生産者は、国の施策である産地パワーアップ事業に応募、認可を受けたそうです。何と23年経過し、初めてのエントリーでした。しかも、この情報は業者からの情報で、県や農協からではありませんでした。
もうかる農業にしたい、我々ももうかる生産者を増やしたい、そういう気持ちでいっぱいです。生産者と直接対話し、生産性の向上につなげるには地域機関の充実、拡充が必要だと思います。しかし、農林部の職員定数を見ると平成16年、1,246人、令和元年は878人です。中でも地域機関の減少は多く、963人から679人と284人減となっています。この間、鳥インフルエンザがありました。雪害がありました。米の熱被害がありました。豚コレラが今大変です。様々な被害が発生しています。農林部職員を中心に被害対策に当たりましたが、大変であります。
知事は、最少のコストで最大の成果を上げると前知事の継承を掲げていますが、これでいいのでしょうか。
そこで、伺います。最少の経費で最大の成果を上げることは必要でありますが、もうかる農業実現のため、また、今回の豚コレラの発生などにも十分できる体制を作ることが被害を最小限にとどめる危機管理と考え、必要な分野には必要な職員を確保することと、特に地域機関の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、花き生産者の現状をどう捉えているのか、花き生産者を元気にするための具体的支援策について、併せて知事の御所見を伺います。

A   大野元裕   知事

まず、前土屋県政時代の公共事業に対する評価についてでございます。
私の公約の中の挨拶文において、「上田清司埼玉県知事は、従来型の公共事業バラマキ政治で2兆8,000億円の債務負担を抱えるに至った県財政を立て直し」と記述しております。
また、土屋知事在任時に整備された施設が、現在もその機能を発揮しておりますのは御承知のとおりです。
例えば、さいたまスーパーアリーナや埼玉スタジアム2○○2は、現在でも大規模集客施設として稼働しており、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の会場などにもなっています。
こうした点においては、当時の施設整備や公共事業で評価できるものもあると理解しており、全てが否定的な意味での「単なるバラマキ」でないことは確かであります。
公共事業そのものを「バラマキ」と、私が判断していると受け止められているならば、それは私の本意ではございませんので、この場をお借りして訂正させていただきたいと思います。
他方で、その機能を発揮しているものの、財政的に重い負担となっているものもある、そのような趣旨で申し上げた意味でございます。
次に、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」と「あと数マイルプロジェクト」は正反対なプロジェクトになっていないかについてでございます。
「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」は、エネルギーなどを呼び水にしたコンパクトシティを形成する施策であります。
エネルギーにはガスや太陽光、水力など様々な種類のものが想定され、それぞれの地域の条件に合わせて用いられるものと考えております。
コンパクトシティは郊外に広がる都市としての土地利用を抑制し、中心市街地の活性化を図ることで職住近接を実現しようとするものであります。
基本的に一定エリア内に住んでおられる方を前提に考えているため、必ずしも広域的に人を呼び込むものではありません。
一方で、「あと数マイルプロジェクト」は、県内交通困難地域のアクセス向上もうたっており、埼玉県民の交通の利便性を高め、更に暮らしやすくする施策であり、一定数の定住も見込めるものであります。
また、鉄道路線の延伸につきましては、その先のまちづくりが前提となっており、一定数の居住人口の流入が見込まれます。
埼玉県は、昼間と夜間の人口差が極めて大きい県でありますが、職住近接により域内を活性化する一方で、それでも多くの方々が通勤されることになる首都圏内の交通の利便性を向上させることで人とモノの流れを円滑化させることとは、必ずしも矛盾するとは考えておりません。
いずれも埼玉県の各地域の活性化に大きく寄与する施策であり、相乗効果が発揮できるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、地域医療の偏在・過疎化への対応や支援についてでございます。
私は、県民の皆様が安心して日々を過ごせる「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現したいと考え、知事選への出馬を決意いたしました。
暮らしやすさを測る上で、医療へのアクセスの良さは極めて重要な要素であります。
病院での入院医療については、医師の偏在が大きな課題となっています。
このため、県は医学生への奨学金制度により、医師不足地域に必要な医師が配置されるよう取組を進めております。
一方、外来医療を主に担う診療所ですが、届出による自由開業制の下、開設や廃止は個々の医師の判断に委ねられています。
こうした中、主に開業医に担っていただいている、議員お話しの学校医や休日・夜間の初期救急、在宅医療などの医療機能については、地域によっては後継者不足などにより担い手が不足しているケースも出てきていると承知しています。
例えば、産科を担う診療所が1機関のみとなっている秩父地域において、県では埼玉医科大学に医師の派遣を依頼し、診療体制の維持を図っているといった例もございます。
さらに、医師会など関係者で構成される地域医療構想調整会議においても、「初期救急を担う医師が減少し、二次救急医療機関にしわ寄せがきている」や「訪問診療を行う診療所が増えていない」などの意見があがっております。
今般、医療法の改正により、地域保健医療計画の中に外来医療の確保に関する事項を位置付けて、対応を図ることが求められることになりました。
このため、現在、医療圏ごとの課題を整理した上で、地域の医療関係者に御協議をいただき、不足する機能を補えるよう協力を促すための計画を現在作成しているところであります。
医療現場の意見を踏まえ、地域医療の偏在解消に向けてしっかりと取り組んでまいります。
次に、埼玉版FEMAについてでございます。
FEMAは、自ら直接災害に対応するのではなく、専門的な知識や能力を有する様々な官民の機関と連携し、特に重要となる初動対応を迅速に行えるよう調整を行う機関であります。
備えるべき危機や災害は様々であり、想定外のことも起こります。
例えば、地震とパンデミックでは、対処するために必要な専門性や体制も異なってまいります。
県は、消防、警察、自衛隊などの実動部隊を持たず、また、国とは異なり専門知識を持つ人材も限られています。
元来、大統領直轄時代の米国のFEMAは、自然災害への対応がメインでありましたが、多様な危機管理事案への対応が喫緊の課題とされている今日、様々な専門機関を連結させていくFEMA型の組織が有効に機能すると考えております。
これまで、震災や風水害という大くくりで捉えていた災害を大規模停電や断水、新型インフルエンザ流行など、より詳細な事案ごとに対処すべき具体的なシナリオを作成していく必要があると考えています。
シナリオの作成に当たっては、危機や様々な災害とその規模に応じて、どの機関と連携し、それぞれどのような役割を担っていただくのか、ライフライン事業者や専門家の方の協力を得てまいりたいと考えております。
その上で、図上訓練も積み重ねてまいります。
これらにより、民間も含めた専門性の高い人材や機関とも強固に連結することが可能になります。
次に、災害ボランティアでございます。
大規模災害時、公助には限界がありますので、日頃から災害ボランティアとの連携を構築しておくことは特に重要であると考えます。
本県では、平成30年12月に埼玉県内の災害ボランティア35団体のネットワークである「彩の国会議」が設立をされています。
この「彩の国会議」とは、これまで定期的に会合を重ね、災害時の情報共有の在り方や活動内容について意見交換をしたり、訓練を通じて連携を強化しているところです。
今後も、災害が起きた場合に市町村やボランティアと一体となってより強固な連携が図られ、被害が最小限となるよう取り組んでまいります。
次に、儲かる農林水産業のために十分な職員を確保することについてでございます。
儲かる生産者を増やしたいとの議員のお話がありました。
私も、その点、同感でございます。
実際に、私がお示しした公約の12の政策分野の一つに「儲かる農林水産業の推進」を掲げております。
農林水産業の施策を着実に進め、公約を実現していくためには、組織の力が必要になります。
これまでの県の組織体制については、効率的な行政運営を行いながら重点課題にはしっかりと職員を配置するとともに、人材の育成にも取り組んできたものと承知をしております。
今後とも、儲かる農業を更に県内で進めていくためには、議員お話しの地域機関の在り方も含め、適切な人事配置を検討していきたいと考えています。
また、豚コレラのような危機管理事案へ適切に対応すべく、柔軟な体制づくりについても検討をしてまいります。
あわせて、トップである私自身が職員にビジョンを語り、目標をしっかりと共有することで、組織の力を高める努力も重ねていきたいと考えています。
次に、花き生産現場の現状と、花き生産者への支援策についてでございます。
私も、花き生産者を元気にしたいと常々思っております。
議員お話しのとおり、花きの消費については、平成10年をピークに全国的に減少傾向で推移しており、若年層ほど花の購入金額が少なくなっております。
また、資材費や運送費、労賃などの生産費が高騰し、花き経営を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
しかし、県内の花き農家の中には、国内外から情報収集を行ったり、自ら育種するなど新しい品目や品種を導入開発することにより、積極的に規模拡大に取り組むといった前向きな動きもあります。
例えば、深谷市のユリでは、これまでにない複数の花色の外国品種を導入したり、鴻巣市のベゴニアでは、従来よりも大輪の品種を国内メーカーから提供を受けていち早く生産に取り入れております。
また、本県は首都圏に立地する産地であることから、運送コストや生花の鮮度保持、実需者ニーズへの即応など、花き農家は地理的優位性を生かした本県ならではの経営を行っております。
こうした花き農家の努力もあって、全国的に花き産出額が減少傾向にある中、本県では近年増加に転じ、平成29年産は183億円で、全国第2位となっています。
花き生産現場には厳しいものがありますが、私は今後更に伸ばせる要素もあると考えています。
県では、生産面において花き生産技術の研究開発と農家への普及、農家による商品開発支援などを行っています。
また、流通面においては「産地見学会」、「埼玉の花植木大商談会」の開催による販路拡大の支援、消費拡大の面では花の展示会などにより需要の拡大を図っています。
さらに、施設花き農家に対しては、湿度や温度、二酸化炭素濃度などを自動で制御ができる新技術の導入を支援しており、引き続きスマート農業も花き農家に対し推進支援してまいります。
今後とも、生産から流通、消費拡大まで一貫して支援を行い、花き生産農家が元気になるよう積極的に取り組んでまいります。

再Q   梅澤佳一   議員(自民

知事の公約についてですが、日本一暮らしやすい埼玉ということで評価しているものもあるがという表現をいたしました。私が掲げたものはさいたま新都心の整備、そして埼玉スタジアム2〇〇2、そのようなことを事例として掲げましたが、そういう知事の答えだったんですが、評価できないものがあるのかということを伺いたいと思います。
この日本一暮らしやすい埼玉、この冒頭の部分は非常に読み方によっては我々県議会議員であったときのことでもありますし、責任もあります。そういうことで、もう一度聞かせていただきたい。お願いします。
それから、災害対策のFEMAなんですけれども、FEMAという言葉を無理して使うことが、これからいいのであろうかというふうにも感じるんです。アメリカでいうFEMAは常設でありますし、国の国家機関で様々な権限と財源を有しています。知事が埼玉版FEMAという言葉を使いたいというのがよく分かりません。どこでどういう形でこのFEMAを使いたいのか、埼玉版FEMAとしていきたいのか、そこのところを聞かせてください。

再A   大野元裕   知事

知事公約について、評価しているものもあるが、評価していない部分について、指摘いただきたいという質問につきまして、ご答弁をさせていただきます。
私は、様々なプロジェクト、あるいは公共事業そのものを「バラマキ」と称しているわけではなく、ライフサイクルコストを見通し、赤字が拡大し続けることがないよう求めているものでございます。
その意味で、先ほど申し上げました挨拶文の中において、「県財政を立て直し」の文脈で使わせていただいたとご理解いただきたいと思っております。
二つ目、FEMAの言葉・名前について使う必要があるのかということでございますが、私の言葉が適切かどうかは御判断いただきたいと思っておりますけれども、FEMAはそもそも私の理解ですと、1979年にアメリカにおきまして、連邦の権限が少ない中で調整を行う、つまり自分たちが様々な軍を持っていながらも州兵以外には通常災害で派遣することができない中で、連邦が編み出した手法だというふうに考えています。
ところが、その一方で、ハリケーンカトリーナを契機として、今はDHS、国土安全保障省の中に組み込まれておりますけれども、先ほどそこは梅澤議員が御指摘されたとおりでございますが、今は様々な権限を徐々に持つようになってきています。
他方、日本におきましては、阪神淡路大震災を契機として、県が持っていた災害派遣に対する要請の権限等の見直しが図られ、必ずしも県の持っている資源というものが強化されるわけではない中で、様々な多様な危機に直面をせざるを得ないと考えておりますので、いわゆる災害が起きたときのわかりやすい指針として、様々な官民の組織を連結できるものとしてFEMAを例えとして出し、埼玉版FEMAという言葉を使わせていただいたものでございます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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