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掲載日:2021年12月22日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上将勝議員)

介護職員へのハラスメント対策について

Q   井上将勝   議員(立憲・国民・無所属

介護職員の人手不足が昨今問題になっております。一番の要因は他業種と比べての低賃金ですが、余りクローズアップされない要因の一つに介護職員へのハラスメント被害があります。介護職員の労働組合であるUAゼンセン日本介護クラフトユニオンが実施したアンケートによれば、回答者全体の74.2%がセクハラ、もしくはパワハラなど「何らかのハラスメントを受けた」と回答しました。ハラスメント被害の9割がパワハラで、事例としては、制度上認められていないサービスを強要する、人格を否定する言葉を言われた、さらにはおむつ交換中に蹴られたり、顔につばを吐かれた、土下座を強要されたなどがあります。
そして、4割の介護職員がセクハラ被害に遭っています。性的冗談を繰り返す、ケア中に性的なビデオを流される、性的関係を要求されるなどです。特筆すべきは、こうしたパワハラ、セクハラが利用者だけではなく、利用者の息子に後ろから抱きつかれたり、隣室に連れ込まれ体を触られたりなど、利用者家族によっても行われる実態があるということです。中には、もはやセクハラではなく、凶悪犯罪の事例まであったそうです。
このように、介護職員の7割以上がハラスメント被害に遭っている状況があるにも関わらず、その被害が表沙汰になることは多くはありません。介護職員、事業所にとって利用者やその家族はいわば顧客であり、サービスを切られないようトラブルは穏便に済ませようとする傾向があるからです。
ハラスメント被害の約8割は上司に相談したそうですが、相談した半数のケースで担当変更や複数人対応などの対応策は取られず、状況が変わることはなかったそうです。その結果、精神的に追い詰められ、介護職を辞めていく職員さんが多くいらっしゃいます。
ただでさえ人手不足と言われる介護業界において、大きな志を持って仕事をしている職員さんが利用者や家族からハラスメントを受け、泣き寝入りをして退職を余儀なくされるという状況を手をこまねいて見ていいはずがありません。県の積極的な対応を求めて、以下質問いたします。
事業所の責任者向けのハラスメント研修も当然やるべきと考えますが、それ以上に個別の介護職員向けのハラスメント研修を県主導で実施すべきです。事業所の上司に相談しても半数が改善しない現状を考えれば、事業者向けの研修のみでは不十分。介護資格を取得するための講義や研修のカリキュラムの中にハラスメント対応の項目はないため、介護職員にとっても有効な支援になると考えます。いかがお考えか、福祉部長にお伺いいたします。
また、相談しても事業所が余り対応しない現状を鑑みて、介護職員が労働条件の改善を事業所に求めることについて相談できる窓口の充実が急務と考えますが、産業労働部長の御所見をお伺いいたします。
介護職員の賃金をなかなか上げることができていない現状において、埼玉県に介護人材が集まるようにするには、職員の待遇を良くするしかありません。安心して働ける職場環境を確保することは県の大きな役割だと思いますので、真摯な御答弁をお願いいたします。

A   知久清志   福祉部長

介護職員向けのハラスメント対応研修を県主導で実施すべきについてお答えを申し上げます。
介護職員に対する利用者やその家族からのハラスメントへの対策は重要な課題であると認識しております。
公益財団法人介護労働安定センターが平成29年度に実施した実態調査においても、46%の介護職員が、セクハラ、暴力、暴言など何らかのハラスメントを利用者やその家族から受けたことがあると回答しております。
この対策としては、初期の段階において介護職員が一人で抱え込まず、担当職員を変更したり、上司と一緒に訪問するなど、事業所として組織的な対応を図ることが何よりも重要です。
これまで県では、事業所の監査に係る自主点検表において、家族からの暴力行為など利用者へのサービス提供が困難となった場合に、居宅介護支援事業所への連絡など必要な措置を講じているか確認してきたところです。
今後は、組織的な対応が確実に実践できるようにするため、毎年度実施している事業所の責任者や管理者を対象とした会議において、組織的対応の必要性を指導してまいります。
介護職員に対しては、国が策定する対応マニュアルなどを活用し、新任、中堅職員に対して、新たにハラスメント対策の研修を実施してまいります。
また、地域密着型サービスの指導権限のある市町村に対しても、ハラスメントについて積極的に対応するよう、会議の場などを通じて働きかけてまいります。
県といたしましては、現場で働く介護職員が安心して働ける環境が整備されるよう、市町村と連携して、しっかりと支援してまいります。

A   渡辺   充   産業労働部長

介護職員自らが労働条件の改善を事業所に求めることを相談できる窓口の充実についてお答え申し上げます。
県では労働相談センターを設置し、賃金や労働時間、人間関係の悩みなど雇用に関する様々な相談に応じています。
例えば、賃金未払いなどの相談が寄せられた場合には労働基準監督署に情報提供し、企業への指導を求めています。
また、事業所には労働者の安全を守る職場安全配慮義務があります。
施設利用者からの暴力や性的嫌がらせについては、まず事業所に対して安全配慮義務に基づく改善を求めることなどをアドバイスしております。
仮に、事業所が対応しない場合には、警察や弁護士への相談につなげております。
県では同様の労働相談を行っている埼玉労働局や弁護士会、社会保険労務士会などと定期的に連絡会議を開催し、情報を交換しております。
今後は、この会議も活用して介護職員からの相談事例についても積極的に意見を交換し、相談員の相談力の向上を図ってまいります。
さらに、相談窓口について改めて広くPRし、多くの方に存在を認識してもらい、相談しやすい環境を整え、介護職員からの相談に対応してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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