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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上航議員)

危機管理に求められる「組織・権限・能力」について

Q   井上航議員(県民)

首長の危機管理力向上は重要ですが、やはり組織として機能することが最も重要です。7年前の東日本大震災では、首長を失った地方自治体もありました。また、首長が出張などで不在のときや病気療養中などのタイミングで災害が発生する可能性も十分にあり得ます。首長が不在でも組織として対応できるように、危機対応型組織への変革が重要であると考えます。
私の地元和光市では、東日本大震災を機に危機管理部門を独立させ、専門的知識や技能を有する幹部自衛官OBを危機管理監として採用し、防災・防犯に関する分掌事務を担当しています。また、埼玉県でも同じく自衛隊OBを危機対策監として採用しています。自衛隊OBを採用したという点に着目しがちですが、私が最も重要と考えるのは、平常時は防災・防犯に関する事務を部長級として担当するこの危機管理監が、災害時にはプレーイングマネジャーとしてほかの部長の上に立ち、全ての職員に指揮命令権限を有し、市長の意思決定を直接補佐できる点にあります。災害という最も困難な場面において、組織として最も機動的に災害対応に当たることができるのです。
以上を踏まえ、知事にお伺いいたします。
埼玉県も危機対策監をしっかりとラインに組み込んだ危機管理組織を構築することに意義があると考えますが、いかがでしょうか。そして、県庁はもちろん、県下市町村もこうした体制をとっていくべきと考えます。先ほどの事例などを参考に、基礎自治体も危機対応型組織へと変革させる、そのようなビジョンを示していただければと思いますが、いかがでしょうか。
以上2点、知事に伺います。
さて、組織と権限が整ったとして、それを有効に生かすために必要なのが配置される人材の能力です。災害対応等職員のスキルアップのために、内閣府防災スペシャリスト養成研修をもっと活用してはいかがでしょうか。この研修は、有明の丘研修と呼ばれる10コースから成る短期研修と、3か月ないし1年間の内閣府OJT研修があります。各階級、部署に合わせたコースが設定されており、危機管理防災部の職員には幅広く、そして他部署の職員にも受講してもらい、個人の能力が向上すれば、県庁全体の組織としての危機対応力がアップします。また、これらの研修を市町村の職員にも受けるよう勧めてはいかがでしょうか。内閣府でのOJT研修も、国などとのネットワークを形成する意味でも効果的だと思います。
県も市町村も、災害が発生した場合、防災職員のみでの対応は困難です。県並びに県下市町村の危機管理に求められる能力の強化について、危機管理防災部長の御所見を伺います。

A   上田清司   知事

危機対策幹をラインに組み込んだ危機管理組織を構築することについてでございます。
いつどこで発生するか分からない大規模災害に際し、トップは直ちに全責任を負う覚悟をもって陣頭指揮をとる必要がございます。
しかし、東日本大震災の際には市町村長本人が不在となり、災害対策本部が事実上機能不全に陥った事例もございました。
また、トップが必ずしも災害対応の経験や訓練を十分に積まれている訳ではございません。
こうしたことから災害時に知事や市町村長を直接補佐し、全ての職員に指揮命令ができる権限を持つ組織が必要という議員のお考えに私も同意見であります。
そこで私は都道府県レベルでは全国初となる危機管理防災部という専担組織をつくり、陸上自衛隊OBを危機対策幹として配置いたしました。
災害時には危機管理防災部長が副知事とともに災害対策本部の副本部長となります。
場合によっては知事や副知事に代わって危機管理防災部長が全ての部局を指揮命令することができる体制もとっております。
その際、危機対策幹がラインの司令塔となりプレーイングマネージャーとして現場を統率することもあります。
県内のことをよく知っておりますプロパーの危機管理防災部長と危機管理のスペシャリストであります危機対策幹が一体となって、あらゆる危機に対応できる組織になるようにしているつもりでございます。
次に、基礎自治体も危機管理対応型組織へと変革させるビジョンを示すことについてでございます。
近年、世界的な気候変動もあり災害列島化しつつある日本の現状を踏まえると、各市町村は危機管理体制をより一層強化しなければならないと思っております。
一方、それぞれの市町村によって地理的環境や人的な条件は異なっております。また、市町村消防という枠組みもございます。
こうしたことを考えると、県が市町村に一律のビジョンを示すことは現実的には難しいものだと思わざるを得ません。
県では市町村長の危機管理に対する意識を更に高めることなどを目的とし、毎年トップフォーラムを開催しております。
昨年は大水害に見舞われた経験のある兵庫県豊岡市の中貝市長を講師に迎え、大規模災害時におけるトップの心得をテーマに、私も参加して意見交換などを行っております。
トップの危機管理意識の醸成を図るとともに、おのずと市町村の危機管理体制の強化につながるものだと思っております。
県としてはそれぞれの市町村の実情に合った機動的な組織体制の整備が進んでいくように支援することだと考えております。
今年7月に開催するトップフォーラムでは御提案を踏まえ、県民の安心・安全を守るための体制整備についても市町村長と議論をさせていただきたいと思います。

A   槍田義之   危機管理防災部長

まず、「内閣府防災スペシャリスト養成研修」をもっと活用してはどうかについてでございます。
ご質問の研修は、内閣府で実際に防災業務に従事しながら学ぶOJT研修と、多様な講座で防災力を高める短期研修からなる、極めて実践的で有意義な研修と認識しています。
このため県では、短期研修に平成28年度と29年度に合計12名の危機管理防災部職員を参加させ、スキルアップを図っているところです。
この研修には防災基礎コースをはじめ、災害廃棄物処理や応急仮設住宅など、他部局の職員にも参考となるコースもあります。
今後、危機管理防災部以外の職員を含めて幅広く研修への参加を募ってまいります。
次に、「防災スペシャリスト養成研修」を市町村の職員にも受けるよう勧めてはどうかについてでございますが、この研修については毎年市町村にも参加を呼び掛けております。
その結果、平成26年度から29年度の4年間でOJT研修に5市町村5名、短期研修に30市町村279名が参加しています。
今後は、市町村についても県と同様、防災担当以外の職員も含め幅広く研修を受講いただくよう働きかけてまいります。
大規模災害などから県民の生命と財産を守るためには、県と市町村が連携して対応していく必要があります。
「防災スペシャリスト養成研修」や、研修で学んだことを身に付けるための訓練へ幅広く職員の参加を促すなど、引き続き県及び市町村の災害対応能力の向上に努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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