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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(新井   豪議員)

県内水道事業の広域化について

Q   新井   豪議員(自民

私たちの身の回りでは、様々なところでユニバーサルサービスが施されています。例えば、郵政事業において、荷物の宅配料金については離島でも県単位で料金が統一されており、手紙やはがきの郵便料金については全国で統一されています。最近では、民間の宅急便の料金表を見ても、「離島は除く」という言葉が見られなくなりました。私たちの暮らしを支えるライフラインにおいても、ユニバーサルサービスは向上しており、携帯電話、固定電話の基本料金や通話料も、全国どこでもほぼ同じ料金設定となっています。電気、ガスについても同様に、住んでいる地域や県によって格差はほとんどなく、例えば離島に住んでいてもユニバーサルサービスが向上した結果、供給される会社の区域内においてほとんど同じ料金となっているのです。
しかし、我が国のライフラインにおいてユニバーサルサービスが進むどころか、地域の料金格差がどんどんと広がっているものがあります。それが水道料金であります。
20立方メートルという使用量の場合、全国で比較すると、最も安い山梨県河口湖町と最も高い北海道夕張市とで約8倍の料金差があります。それぞれの都道府県内においては、平均しておよそ1.5倍程度という料金格差が生じていますが、同じ基準で比較すると、この埼玉県においては最も安い戸田市が1,717円、最も高い皆野、長瀞が3,607円と料金格差は2倍以上となっています。
埼玉県の山間部においては、人口減少や工場の撤退、節水技術の向上などによる料金収入の急激な減少に加え、非効率に長い水道管や浄水場など、更新が必要な施設が増え続けている結果、大幅な料金の値上げを強いられているのが現状です。つまり、山間部と都市部では事業体の経営状況における格差に伴い、水道料金格差が拡大していく一方なのであります。都市部でも、さいたま市のように高い水道料金を設定している事業体もありますが、さいたま市の場合は全面的な水道管の更新を図るために料金改定がなされた結果であり、同じ高額な料金設定でも、施設の更新が進められない山間部とは状況が大きく異なります。
こうした状況を打開すべく、平成25年に厚生労働省によって新水道ビジョンが策定され、人口が減少しても安定的運営ができる水道、全ての国民がどの地域においても安全に飲める水道を実現するために、全国的な水道事業の広域化が提唱されています。既に、隣の東京都では3つの市、1つの村、島しょ部を除く都内全域が統一された東京都水道局による供給で、料金も統一されています。
埼玉県では、平成23年に水道整備基本構想が改定され、水道事業の広域化を更に推進する内容となっておりますが、広域化を実現した秩父地域以外はほとんど進捗していないのではないでしょうか。4年前の一般質問では、まず県内を12のブロックに分け、平成42年を目標に段階的に広域化を図り、50年後には県内統一を目指すとの答弁でしたが、埼玉県内の水道広域化について秩父地域以外の進捗状況、今後のビジョン、広域化を進めるに当たり、県はどのような役割を担い、どのような支援事業を行うのかを保健医療部長にお伺いいたします。
昭和40年代に埼玉県によって浄水場が設置され、一部を除く市や町へ水を送る事業を始めました。そして、県から送られてくる水と地下水を合わせて市や町が住民へ水道水を送っております。これが県営水道と呼ばれる水道用水供給事業であります。秩父全域と神川町の一部などの山間部では、この県営水道が供給されない地域ということが弱点となり、水道料金が高くなっている一因にもなっております。
そこでお伺いしますが、東京都の都営水道は全域で住民への給水事業を行い、千葉や神奈川の県営水道も一部住民への給水事業を行っている中で、一部地域を除いた市や町へ給水事業のみを行っている埼玉県の県営水道の今後の在り方を踏まえ、水道事業の広域化についての御所見を公営企業管理者にお伺いいたします。

A   本多麻夫   保健医療部長

まず、「秩父地域以外の進捗状況」でございます。
県では、平成23年の基本構想の策定以来、全事業者を集めた会議を開催し、資材の共同購入や料金システムの統一など、実行しやすいものから検討を進めるよう促してまいりました。
平成28年4月には秩父地域の広域化が実現し、それ以外の地域を対象にアンケートを行うなど、議論が深まるよう工夫してまいりました。
現在、秩父地域以外のブロックでは、広域化の必要性は認識されていますが、残念ながらその実現までには至っておりません。
将来的な事業運営に対する危機感に温度差があること、広域化の検討に必要な人員の不足などが大きな要因になっていると聞いており、こうした課題に関する具体的な解決方法について、情報提供を行っております。
次に、「今後のビジョン」でございます。
困難な課題ではございますが、引き続き基本構想に掲げる「県内水道一本化」を見据え、平成42年度を目標にブロックごとの広域化を推進してまいります。
現在、水道法の改正法案が国会に提出されており、改正後は法に基づき、県が水道の基盤を強化するための計画策定が可能となりますので、こうした枠組みも活用してまいりたいと存じます。
次に、「広域化を進めるにあたり、県はどの様な役割を担い、どの様な支援事業を行うのか」でございます。
地域の実情に応じた事業者間の広域調整は、市町村では対応困難であり、これを支援することが県の重要な役割であると考えています。
このため、各ブロックに設置している検討部会に県職員が引き続き参加し、地域の課題に応じた具体的な助言を行ってまいります。
一部のブロックでは施設の統廃合に向けた検討なども始まっておりますので、他のブロックにこうした取組が広がるよう働きかけてまいります。
一方、全国的にも先進的な広域化事例である秩父地域の事業者は、様々な経験やノウハウを持っているため、今年度から秩父地域の事業者と県の職員との相互派遣を開始いたしました。
秩父地域において広域化に携わった事業者の生の声を、県内の他の事業者に伝えてまいります。
こうした取組を通じて、基本構想に掲げる広域化をしっかりと推進してまいります。

A   立川吉朗   公営企業管理者

県営水道は、増大する水需要への対応と、地盤沈下を防止する目的で創設されました。
地盤沈下を防止するため、地下水に代わる水を効率的に確保できるよう、市町村の水道事業が必要とする水をまとめて確保しております。
議員御指摘のとおり、県営水道は、河川から取水して浄水処理を行い、市町村へ供給するという、水源的役割を担っており、県民へ直接、給水してはおりません。
一方、東京都のように、取水から住民への給水までを一体的に行うことは、水道事業の効率的な経営や水道水の安全性の確保に有効であると認識しております。
県営水道といたしましても、東京都と同じような給水体制を目指すべきであると考えておるところでございます。
これまで、県営水道では、県内水道1本化の実現に向け、平成24年3月に「埼玉県営水道長期ビジョン」を改定し、水道広域化の推進に取り組んでいるところでございます。
具体的には、水道広域化の阻害要因となる水道事業者間の技術的格差の解消のため、技術者の少ない小規模水道事業者に対しまして、技術支援を行っております。
また、水道広域化の先進事例調査を行い、県営水道と市町村の水道事業との連携方策や水道広域化によるメリットなどの検討を行っております。
水道広域化は、市町村の水道事業だけでなく、県営水道の経営基盤強化にもつながるものでございます。
今後は、水道広域化の早期実現に向け、県営水道がリーダー的役割を担えるよう、市町村の水道事業との更なる連携強化に努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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