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掲載日:2023年5月10日

平成30年2月定例会 「地域保健医療計画特別委員長報告」

委員長   小谷野   五雄

地域保健医療計画特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されております案件は、「第7次地域保健医療計画の策定及び第7期高齢者支援計画に関する件」であります。また、第49号議案「埼玉県地域保健医療計画の策定について」が付託されております。
これらの案件の審査に当たりましては、執行部から詳細な説明を受け、その後、質疑を行いました。
以下、主な論議について申し上げます。
まず、第49号議案について、「『とねっと』のような、個人の医療情報等をネットワークで結び、共有するシステムは、ビッグデータとして活用することで、本県の医療需要や課題を明らかにするなど、将来的な医療の合理化につながる重要なものであるが、本計画にはそのような視点がない。今後どのように取り組むのか」との質疑に対し、「地域医療構想の実現に向けた取組の一つとして『ICTを活用した地域医療連携ネットワークの整備支援』を掲げており、地域ごとの医療機関の合意が得られれば県としてもシステム整備を支援していく。データ活用については、精度が高く具体的な分析が可能なデータを保有しているという意味で、『とねっと』の意義は重要であるため、活用方法を検討していきたい」との答弁がありました。
また、「医師の地域偏在や診療科偏在は非常に大きな問題である。これを解消するため、診療科別専門医数のデータは、県全体のものだけでなく、二次保健医療圏別のものが必要なのではないか」との質疑に対し、「国が行っている調査では、診療科別・二次保健医療圏別のデータは公表されていない。このため、現時点ではデータを提示できないが、国では公表に向けた動きもあるため、公表された場合はそのデータを見ながらしっかり検討していく」との答弁がありました。
また、「いくつかの取組で健康寿命を指標としているが、健康寿命を延ばすだけでなく、健康寿命と平均余命の差を縮めることも意識するべきではないか」との質疑に対し、「近年は、健康寿命、平均余命とも延伸傾向にある。平均余命よりも健康寿命を更に延ばし、差を縮めることを意識してしっかりと対応していく」との答弁がありました。
さらに、「ジェネリック医薬品の使用促進を掲げているが、安全な医療を提供するという視点に立てば、単に促進するのではなく、良い面、悪い面をしっかり伝え、県民が自ら選べるようにすることが重要ではないか」との質疑に対し、「県民への理解を進めるためセミナーを開催しているが、この中で、良い面だけではなく、有効成分は同じであっても添加物が異なる場合があることなど、様々な情報を伝えていく」との答弁がありました。
次に、第7期高齢者支援計画について、「この計画では、特別養護老人ホームの待機者の総数である9,047人と、そのうちの1年以内に入所を希望する5,284人のどちらを基準として整備計画を立てているのか。また、平成30年度からの3か年の整備数3,679人分は妥当なものだと考えているのか」との質疑に対し、「待機者の総数である9,047人は、入所を申し込んだ方の累計であり、入所を直ちに希望しない方なども含むが、県ではこの数値を待機者の実数と捉えている。整備数については、各市町村の計画に基づいたものであり、最終的な目標は待機者ゼロであるが、すぐには達成できないため、現時点では妥当なものだと考えている」との答弁がありました。
また、「まずは特別養護老人ホームの空床を埋める努力をし、その後で公的資金を投入して新たな施設の整備をするのが財政上の要請であろうと思う。空床があることと新規整備との関係をどう考えているのか」との質疑に対し、「空床の解消と新規整備は別の課題と考えているが、空床の解消に取り組みながら、新規整備もしっかりと進めていく」との答弁がありました。
また、「介護職員不足が特別養護老人ホームの空床の大きな要因になっている。県は、介護人材の確保を事業者任せにする方針なのか」との質疑に対し、「特別養護老人ホームの整備に伴い、1,800人程度の介護職員が新たに必要になるが、考え得るできる限りのことを全てやろうと考えている。県だけでは人材確保ができないため、関係団体と協力しながら取組を進めていく。また、人材定着のための支援も行っていく」との答弁がありました。
さらに、「現行計画に基づく特別養護老人ホームの整備において、整備枠がありながら採択されなかった事業者があったと聞いているが、その理由は何か。また、現行計画で整備しきれなかった分を、どのように次期計画に反映しているのか」との質疑に対し、「補助金を交付して整備するものであるため、補助事業として適切かを審査し、適当と認められなかったので採択していない。また、現行の計画で整備しきれない分があっても、3年ごとの計画の策定でリセットしており、次期計画に引き継ぐことはない。ただし、整備中の状況を踏まえて次期計画を策定するため、計画の継続性はあると考えている」との答弁がありました。
続いて、討論に入りましたところ、第49号議案に反対の立場から、「医師、看護師等の人材確保に関する思い切った取り組みがないなど、将来にわたり持続可能で質の高い医療体制を確保する計画となっておらず賛成できない」との討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、第49号議案について採決いたしましたところ、多数をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、採決の後、第49号議案に関する附帯決議及び埼玉県高齢者支援計画(第7期)に関する決議を行う旨の提案がありました。
以下、これらの附帯決議案及び決議案の内容を申し上げます。
まず、第49号議案に関する附帯決議につきましては、「埼玉県地域保健医療計画の実施に当たっては、次の項目に十分留意すること。
1、二次保健医療圏における患者の疾患や人数など、どの地域にどの程度の医療の需要があるのかを具体的に把握していないことが明らかとなった。需要と供給がしっかりと関連する計画となるよう、今後、診療を受ける患者の需要と病院の医療提供体制の実態について的確に現状把握をした上で、二次保健医療圏における医療の供給体制の整備を図ること。
2、患者の情報を集めてビッグデータ化することにより各地域において真に必要とされている医療の需要量を把握でき、これに基づき医療の供給の計画を策定することができる。このため、患者の情報を集めて医療機関で共有・活用することができる地域医療ネットワークシステム『とねっと』の更なる活用を図りながら、患者の情報を共有するシステムのより一層の普及拡大を推進すること。
3、医療圏ごとの専門医の人数を把握していないことが明らかとなったが、その実数を把握しなければ、地域的な偏在や診療科間の偏在の解消は到底できるものではない。地域における専門医の実数の把握等を行い、地域において真に必要とされる医師その他の医療従事者の確保を図ること。
4、医療供給体制の構築に際して、比企地域などエアポケットとなる地域がなくなるよう県立病院の活用等を含め、対応策を検討すること。
5、健康づくり対策の推進に当たっては、県民ができるだけ長く健康的な生活を送れるようにするため、健康寿命と平均余命との差を縮めることを念頭に置き、有効かつ具体的な対策を講ずること。
6、ジェネリック医薬品の使用促進に当たっては、単に使用促進を図るのではなく、ジェネリック医薬品のメリット・デメリットについて理解をした上で県民が選択できるよう、普及啓発活動を推進すること」であります。
次に、埼玉県高齢者支援計画(第7期)に関する決議につきましては、「同計画については、審査の結果、特別養護老人ホームの待機者など、計画の前提となる基礎的数値の根拠が曖昧であることが明らかとなった。
いたずらに県が供給したいサービスを羅列することなく、県民のニーズを満たす視点からエビデンスに基づく計画を策定し、執行することを強く求めるものである。
本計画の実施に当たっては、次の項目に十分留意すること。
1、平成29年4月1日現在の特別養護老人ホームの待機者が9,047人との資料が提出されたが、1年以内に入所を希望する人数は5,284人との答弁があった。しかしながら、本計画の期間内において、家族の支援等を受けられず、入所が必要不可欠である待機者についての明確な答弁がなかった。計画の前提となる待機者数が不明確では、適切に計画を策定することができない。特別養護老人ホームの待機者については、基準を明確にした上で、市町村間で差異が生じないよう、県が責任を持って再度精査し、議会に報告すること。
2、特別養護老人ホームの待機者は9,047人とのことだが、本計画においては、平成30年からの3年間で3,679床の増床をするとしている。これが実現しても、なお、5,368床が不足しており、課題の解決には到底至らない。また、3,679床増床するためには、新たに1,800人の介護職員の確保が必要となるが、これを実現する可能性の高い具体的な施策が記載されておらず、その実現が危惧される。これでは、仮に特別養護老人ホームが建設されても利用者を受け入れることができない。さらに、現時点で702床が空床であるにもかかわらず、これを活用する施策が全く考慮されていない。これらの問題点に対する解決策を明らかにし、かつ、計画の整合性を見直した上で、議会に報告すること。なお、計画に基づく特別養護老人ホームの新設については、これらの整合性を確保した後に着手すること。
3、上記9,047人の待機者について、現在、介護老人保健施設、介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等を利用しており入所の緊急性が低い方や、在宅の単身世帯等で入所の緊急性が高い方など背景は様々である。また、いたずらに特別養護老人ホームなどの介護保険施設を増床しても、介護保険料の上昇を招くこととなり、かえって県民に不利益が生じる可能性もある。事業の実施に当たっては、できる限り詳細に県民のニーズを把握すること。
4、特別養護老人ホーム等の整備について、県は、施設整備に係る適否の基準、補助対象の要件等について、定量的なものは数字を示すなど更なる明確化を図るとともに、利用者の需要や市町村の意向などの地域の実情を十分に勘案して事業者との事前協議に臨むこと」であります。
これらの附帯決議案及び決議案について採決いたしましたところ、いずれも多数をもって、第49号議案に附帯決議を付すこと及び埼玉県高齢者支援計画(第7期)に関する決議を本委員会として行うことに決した次第であります。
以上、審査経過の概要について申し上げましたが、「第7期高齢者支援計画に関する件」につきましては、今後とも引き続き審査する必要がありますので、閉会中の継続審査事項として御決定くださいますようお願い申し上げまして、本委員会の報告を終わります。 

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