平成28年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文（蒲生徳明議員）

県立がんセンター「アピアランスサポートセンター」の設置について

Q　蒲生徳明議員（公明）

がんは、医療の進歩が著しい現在でも、治療の過程で肉体的、精神的苦痛を伴うことが多々ありますが、その要因の一つとして、傷跡や脱毛など外見の変化が挙げられます。国立がん研究センターの調査によると、がん治療で苦痛に思うこととして、「皮膚や爪の変色」、「脱毛」など外見に関わる症状が多く挙げられています。特に女性は、「髪の脱毛」が「痛み」や「吐き気」などを抜いて第1位になるなど、外見に関する悩みは、がん治療の中で大きなウエイトを占めています。
そこで、この悩みを少しでも軽くし、治療中も今までどおり自分らしく過ごせるように、2017年7月、国立がん研究センター中央病棟にアピアランス支援センターが開設されました。アピアランスとは、顔つき、容貌、印象を意味する言葉です。外見の悩みや苦しみを少しでも解消すべく、このセンターには、各種相談のほか、コスメティックインフォメーション、男性限定の外見相談など様々なプログラムがあります。
神奈川県は、本年4月、県立がんセンター内にアピアランスサポートセンターを設置しました。都道府県立病院への設置は全国で初めてとのことです。先日視察をしてきましたが、同センターは、「いつから髪の毛が抜けるの」、「どんなかつらを準備すればいいの」、「眉毛やまつげが薄くなり、顔の印象が変わった」等の外見上の変化による悩みについて相談員が話を聞き、対処法を助言したり情報提供を行っています。相談室は個室で、かつらの選び方やスキンケアの方法など現物を使って説明できるよう、レンタルも可能なかつらや化粧品が並んでいました。
担当の看護師さんにお聞きしたところ、平均して月50件から60件の個別相談があるそうです。来院での受付は平日の午前9時から午後5時までで、電話相談も同じ時間帯で行っています。また、院内外を問わず誰でも相談できる体制になっていて、例えば仕事をしながら通院する方に当センターはとても感謝されていますとのことでした。
外見のケアは、単に見える部分だけでなく、がんと闘う患者や御家族を精神面から支える重要な取組です。そこで、本県においても、がんセンター内にアピアランスサポートセンターを立ち上げるべきと考えますが、併せて病院事業管理者の御所見を伺います。

A　名和　肇　病院事業管理者

がんの治療では、脱毛や皮膚の変色など患者さんの身体にいろいろな外見の変化をもたらす事があり、病気を治すためとはいえ、患者さんにとって大きなストレスになります。
このため、がんセンターでは、治療に伴う外見の悩みについて、各診療科は勿論のこと、相談支援センターで、日常的に相談を受けております。
相談支援センターは、新病院の整備にあたって専門相談室を2室から6室に増設し、看護師、医療ソーシャルワーカーを相談担当職員として配置するなど、相談体制を拡充しました。
平成27年度は、アピアランスサポートを含む精神的支援353件の相談にも対応しております。
また、相談支援センター主催で月1回程度、患者・ご家族向けのセミナーを開催しております。
このセミナーでは、ウイッグやカバーメイクなど、アピアランスに関するテーマでは、各分野の専門家を講師に招き、平成27年度では5回、平成28年度ではこれまでに2回開催し、状況により個別の相談にも応じております。
参加者からは、「満足できるウイッグがみつかり、化学療法に少し前向きになれた。」「落ち込み気味の気分が上がった。」等の御意見をいただいております。
また、病院内の理美容室では、ウイッグの展示・相談・販売などの機能を拡充したほか、男性用のウイッグ、ネール関連商品、帽子やシャンプーの取扱いもしております。
従いまして、今後は、議員のお話にありました、先進的な取組みを参考に、がんと闘う患者さんのQOLをより高められるよう、より分かり易い名称の表示や相談体制の充実にしっかり取り組んでまいります。

• 上記質問・答弁は速報版です。
• 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。