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ページ番号:79854

掲載日:2022年12月20日

平成28年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(中屋敷慎一議員)

埼玉県の農林水産業の振興について

Q 中屋敷慎一議員(自民

今、本県の農業は担い手の大幅な減少と高齢化、さらに遊休農地の増加傾向が続くなど厳しい状況に置かれていることは、御承知のとおりです。そのため、農業に従事する方々の多くは将来に強い不安を持っています。そして、その不安を何とか断ち切り、将来の農業に夢と希望を持って取り組めるよう環境を整備することが強く求められている状況にあると考えます。
今年度、自民党県議団では農林水産業の一層の振興を目指し、新たにプロジェクトチームを組織しました。県内の先進的な事業などを幅広く視察し、また、生産者や関係団体の方々から率直な生の意見を聞くなどの取組を進めております。その中で感じたことは、現在の埼玉県の農政は様々な施策を積極的に進めている点では心強い。しかし、その一方で、県の農林水産業全体の発展に向けて幅広く、かつ力強く牽引している状況にあるとまでは言いがたいような段階にあるということです。
私は、農林水産業の振興を図るためには、県としての取組の中心となるいわば軸となるもの、その時々の状況に応じて決してぶれることのない、指針となるものが必要ではないかと考えを新たにしたところであります。
さて、農業の振興を図るためには、農地や農業水利施設は欠くことのできない基礎的な資源であります。特に担い手の減少や高齢化等が進行する中では、良好な条件を備えた農地や農業水利施設を確保し、有効利用することは非常に重要なことと考えます。
しかし、例えば県内の農業振興地域における農用地区内の農地について、30アール以上の区画に整備されている水田の整備率は全国平均を下回っています。農地集積や集約化の目安の一つとなる農家1戸当たりの耕地面積についても全国平均を下回る状況にあります。また、農業水利施設についても、防災上も重要な役割を担っている農業用ため池も含め多くの施設で老朽化が進行する中、十分な点検、整備、補修、更新等が行われていないとの声も聞こえてきます。
ついては、生産性の向上や農業構造の改善に大きな役割を果たす、いわゆるほ場整備と農業水利施設の整備について、今後どのような目標を持ち、どのように進めていくのか伺います。
次に、現在県内では、意欲ある事業者が農産物や加工食品のブランド化に積極的に取り組んでいます。例えば、牛肉は現在4つのブランドが我が県のブランド推進品目に指定され、それぞれ事業者がブランド力の向上を目指して努力しています。もちろんブランド力の向上に向けた主役は事業者であるべきで、県は黒子としての役割を担うことになります。
しかし、私はその建前を貫くだけでは、埼玉県ブランドを全国ブランドへと大きく成長させることはなかなか難しいのではないかと危惧しています。例えば、熱意と意欲を持った複数の事業者が同じような品目を別々に立ち上げ、個別に振興に取り組んでいるような場合には、やはりオール埼玉としての統一的なブランドを確立するよう調整し、力を結集するような働き掛けを行うことこそが、県の役割として重要なのではないでしょうか。
ついては、県産農産物のブランドの統一化に対する県の認識をお示しいただき、特に牛肉のブランドの統一化に向けて県としてどう考え、どう対応しようとしているのか伺います。
次に、さいたま市内にある埼玉ヨーロッパ野菜研究会の取組についてです。
この取組は、ヨーロッパの野菜が手に入らない、輸入品は高価で鮮度が低いというさいたま市内のレストランの声を受け、さいたま市の若手農家グループが西洋野菜の栽培を始めたことを契機に、今では県内を中心に1,000店舗以上のレストランに出荷するまでに成長したものです。きっかけは、同じ地域の畑とレストランとの連携、これは地域の生産者と消費者を結び付ける、正に地産地消の言葉そのままの取組です。
先日、私も、その生産農家と栽培されている西洋野菜を仕入れているレストラン等を訪ね、話を聞きましたところ、改めて非常に魅力的な取組であると感じました。レストランなどの食品産業における需要を新たに掘り起こし、その需要に基づき生産を始めるこのような取組は、今後の本県農業の振興に大いに参考とすべき事例であると考えます。
しかし、このようなすばらしい取組においても残念な部分が一つだけあります。それは県の支援が全く加えられることなく事業化が計画され、設立されたことです。私は、このような取組にこそ県が率先して事業スキームなどの構築を支援し、また、関係する生産者や事業者などを仲介し、調整する役割を担い、意欲ある生産者や事業者を応援する必要があると考えます。
ついては、このような取組を県としてどのように評価し、どのように支援すれば第2、第3の埼玉ヨーロッパ野菜研究会のような取組を生み出すことができると考えるか、以上3点について農林部長の御所見をお示しください。

A 河村 仁 農林部長

まず、ほ場整備についてでございます。
議員ご指摘のとおり、埼玉県における農家1戸あたりの耕地面積は全国平均以下であるものの、耕地面積あたりの産出額は全国17位であるなど埼玉県は比較的高付加価値な農業が展開されております。
こうした状況の中、規模拡大やコスト削減などにつながるほ場整備を推進していくことは、より強い埼玉農業を実現するために、極めて重要と考えております。
このため、平成28年3月策定の「埼玉農林業・農山村振興ビジョン」では、毎年100ヘクタールの基盤整備の実施を目標としています。
推進にあたっては、地域の実情に応じ、安い費用で短時間に実施したい地域については、現在の道路や水路を生かして区画を拡げる「埼玉型ほ場整備」を推進しております。
また、水田でも畑作物の栽培が可能となる従来型のほ場整備についても、整備内容、経費や工期など地域の声を聴きながら推進しております。
今後とも、生産者や地域のニーズを踏まえ、国の補助事業など必要な予算を確保し、ほ場整備を計画的に進めてまいります。
次に農業水利施設などの整備についてでございます。
大規模な農業水利施設は県内に490箇所あり、その半数は造成後40年が経過するなど、老朽化が進行しております。
このうち、県が造成し、長寿命化の観点から特に早急に整備すべき40箇所について、主要な農業水利施設の修繕・更新計画であるマスタープランを策定いたしました。
この40箇所のうち、既に8箇所は対策を終了しており、13箇所については修繕や更新などの対策を実施中です。
県といたしましては、今後とも、地域の状況や施設の機能低下の状況などを勘案し、優先順位を付けつつ必要な予算を確保し、修繕や更新を計画的に進めてまいります。
次に、「県産農産物ブランドの統一化に対する県の認識と牛肉のブランドの統一化について」でございます。
県内には深谷ねぎ、越谷ねぎ、岩槻ねぎなど古くからの産地で、それぞれの特徴を生かした個別ブランドを確立して有利販売に結び付けている品目がございます。
一方、国内外の産地間競争への対応を考えると、ブランドの統一化を図ることで、知名度の向上や消費拡大に向けた集中的なPRが可能となるなどのメリットがございます。
県といたしましては、県産農産物のブランドの統一化についてはそれぞれの品目や地域の特性、産地の声などを聞きながら、対応していくものと考えております。
議員お話しの牛肉のブランドの統一化につきましては、県産牛肉には主に、「武州和牛」、「彩さい牛」、「深谷牛」、「彩の夢味牛」の4つのブランドがございます。
それぞれのブランドの生産者は、専用の配合飼料を使用し、独自の流通経路を整備するなど、ブランドに強いこだわりを持っており、現時点では、県内統一ブランドの合意形成には至っておりません。
一方、近県の事例として茨城県では、肉質を統一し、県や関係者が積極的にPRを行うことで牛肉のブランド化を図り、常陸牛として輸出などの販路拡大や販売頭数の増加に結び付けております。
県産牛肉のブランドの統一化には、コンセプトを定め、飼養方法を各生産者に実践いただくことなどが必要不可欠です。
県としては、ブランドの統一化の具体的な手法を検討するため、生産者などからなる協議会を立ち上げるなどにより検討を深めてまいります。
次に、さいたまヨーロッパ野菜研究会の取組についてでございます。
まず、この取組に対する評価ですが、ヨーロッパ野菜研究会の取組は生産から流通、消費までの異業種連携により、新たな産地づくりと需要開拓に成功したものであり、県としても高く評価しております。
成功の要因としては、これまで需要はあるが国産品がなかったヨーロッパ野菜に着目したこと、種苗会社や食品卸会社などの関係者が、生産者としっかり結び付いたことが挙げられます。
また、県といたしましても、さいたまヨーロッパ野菜研究会に対し、農林振興センターにおいて栽培技術の確立に向けた展示ほ場の設置を行うとともに、県単独の補助事業を活用し育苗施設の整備を支援しているところでございます。
次に、どのように支援すれば、このような取組を生かすことができるのかですが、県が意欲ある生産者と飲食店、更には流通業者などを結び付けていくことが最も重要であると考えております。
県ではこれまでも、地産地消の推進の一環として、例えば、春日部市の在来大豆生産者と県内加工業者をつなげて開発した大豆のコロッケを、市内飲食店での活用を働き掛け、13店舗で取扱いをしていただくなどにより、県産農産物の活用を推進してきております。
今後とも、県内各地でヨーロッパ野菜研究会のような取組が生まれてくるよう、新たな作物の導入支援を行うとともに、生産者と飲食店をはじめとする関係者との仲介役を果たせるよう、しっかり取り組んでまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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