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掲載日:2019年10月15日

平成28年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木真理議員)

今後のあるべき住宅政策について

Q 高木真理議員(民進・無所属

人口減少、低成長、ポスト成長社会を迎えて、今私たちは様々な政策分野で、今までのやり方では立ち行かない新しい対処方法を考えるべき状況に直面しています。そして、住宅政策は何よりその新たな対応が求められる分野だと思います。
そもそもこの国には、戦後から現在に至るまで住宅政策がないに等しい状況でありました。公営住宅は建てられてきましたが、他先進国と比較すれば低所得世帯のカバー率は圧倒的な低さであり、家賃補助が同時に手当てされることもありませんでした。いや、むしろ戦後、そして高度経済成長を迎える日本には、持ち家政策を後押しする経済政策としての住宅政策、つまり住宅金融公庫などに財源を投入する政策が合っていたとも言えます。分厚い中間層の家族に持ち家を推奨することで景気も上向く、一石二鳥の政策でした。
しかし、今どうでしょう。中間層はやせ細り、格差が広がっています。どんどん造ってきた住宅で世帯数より住宅数のストックのほうが多い状況で、これ以上「持ち家を建てろ」だけではもちません。住宅面で支える必要のある低所得者層が増える中、住宅政策がありませんでは済まされない状況にこの国は来ていると思います。
住宅に関する生活者の負担状況を見ると、賃貸世帯では94年からの20年間で住宅費の対可処分所得比が3.8パーセント上昇しました。ローンのある持ち家世帯では、可処分所得比が5.3パーセント増加しています。そんな中、公営住宅の世帯の転出率を統計で見ると、一度入居した人が住み続けていて、新しい世帯が利用しづらい現状が見えてきます。社宅も20年間で93万戸減、5万円未満で入居できる安い賃貸住宅の割合も17パーセントの減です。要は収入が減っても住居の負担は重くなっており、しかし公営住宅はもともと少ない上に回転率が悪くて入れず、社宅もなくなってきて、安い家賃で借りられる住宅自体が減ってしまっている現状が分かります。
さて、そうした中ですが、私はずっと公営住宅に応募が殺到して、たまたま抽選に当たった一部の人にしかその恩恵が行かない政策に納得がいかずにおりました。応募している人は、募集要件を満たしている同じ所得要件の人です。しかし、支援の必要性がありながら、ラッキーな一部の人だけしか支援を得られません。今、県営住宅全体で約3、4倍の競争率で抽選が行われていると聞いています。もしこれが保育園だったら暴動が起こります。財政事情から必要とする人の3分の1から4分の1ぐらいの保育園しか作りません、後は知りませんとなったら大変です。でも、県営住宅はずっとそれがまかり通っています。理解ができません。
私は、この問題をもっと県営住宅を造ることで解消しろとは言いません。実際に、土地取得やら管理コストのかかる建物を所有する必要はなく、世帯数より既存住宅数が多い現状では、家賃補助で対応すべきだと思います。家賃補助なら支援を必要とする世帯に公平に支援することができます。実際、先進諸国では公営住宅と家賃補助を組み合わせています。現在、国内の自治体でも独自に実施している市があります。さきに述べました時代背景、データに照らしても、これからの時代には市民生活の住宅を支える政策が必要です。
そこで、知事に伺います。
まず、現在の抽選に当たったごく一部の人にしか住宅政策が適用されていない実態を政策としてどう評価するか。次に、これからの住宅政策には、今までとは異なる対応が必要な状況が生じているという認識についてどう考えるか。最後に、家賃補助を本県で導入することについてどうお考えか、また、家賃補助ではないというお考えであればどのような支援策が必要かお答えください。

A 上田清司 知事

抽選に当たったごく一部の人にしか住宅政策が適用されていない実態をどう評価するのかについてでございます。
本当に住宅に困っている方は、生活保護制度の住宅扶助の仕組みの中でサポートがされております。
県営住宅は収入が生活保護の基準を少し上回る世帯を対象とするものでありますが、それに該当する方々は、県内に約27万世帯おられる計算になります。
この方々の全てに公営住宅を提供するのか、又は家賃補助を行った場合、公平性の面ではベターではありますけども莫大な財政負担がかかることになります。
そのため、これまで国もそうですし、県もそうですが一定の予算の範囲内で現実的な政策をとってきたというのが現状であります。
したがって議員のお話しのとおり、県営住宅に全ての希望者が入居できる状況にないことも事実であります。
ただ、県では入居者の機会を拡大するために平成17年から期限付き入居制度を導入して、原則として入居から10年で退去していただくことにしております。
また、何度も落選された方には当選確率を上げるための措置も講じております。
平成27年からは、前年度の団地の応募倍率を公表しており、人気の高い団地でなければ、何度かの応募で当選できるものと考えております。
また、高齢者や障害者、母子家庭など、特に配慮を要する方々には、当選確率を上げる措置も講じております。
これらの取組によって、平成18年度には約16.2倍であった県営住宅の応募倍率が、平成27年度には約3.8倍になりました。
今後も、できるだけ多くの知恵を結集して、入居ができるように制度の改善に取り組んでいこうとは考えております。
次に、これからの住宅政策には、今までと異なる対応が必要な状況が生じている認識についてでございます。
これまで、ご案内のように我が国の住宅政策は、持ち家対象と公営住宅の整備が中心でございました。
しかし、少子高齢化の進展や所得格差の拡大、空き家の増加など住宅や住環境をめぐる状況が大きく変化しております。
このような中で、今までと異なる住宅政策を展開していく必要があるという認識は、議員と全く同じでございます。
次に、家賃補助を本県で導入することについて、また、家賃補助を導入しないという考え方であれば、どのような支援策を考えているのかについてでございます。
議員御提案の民間賃貸住宅にお住まいの低所得者に一律の家賃補助を行うことは正に所得の再分配政策の再構築でもありますし、税制や福祉政策なども含めた全体の中で考えていかなければならないものではないかと思います。
財源についても、しっかりと裏付けをしていく必要があり、直ちに本県に導入することは困難であります。
現在、国では空き家を公営住宅に準じる住宅として活用し、家賃の一部を補助する制度の創設を検討しております。
住宅政策は国とも関連しておりますし、所得再分配機能も含めて、丁寧、かつしっかり研究、検討していく必要があるという風に考えております。
文字どおり、住宅政策の転換にもつながる話でもありますので、ご提案の趣旨をしっかり踏まえて丁寧に対応をしてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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