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掲載日:2023年5月17日

平成27年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

食と農の地域拠点づくりについて

Q 吉良英敏議員(県民

私たちの社会で今決定的に欠けているものは何か、私は食と農であると思っています。食は、私たちの生きる上で当然礎であり、福祉や教育をはじめ、あらゆる政策の根幹をなします。そして、農と親しむことで解決できる諸問題が私はたくさんあると思います。私たちは、言うなれば食べるために働いています。でも、その肝心な食べる物を作っている人が食べられない構造、あるいは田畑が荒廃している状況、これは古今東西、社会が歪んでいる現れであると思います。
農林水産省が11月27日に発表した2015年の農林業センサスによると、全国の農業就業人口は209万人で、5年前に比べ何と51万6,000人も減少しました。この30年で6割も減っていることになります。その原因は、平均年齢66.3歳という高齢化です。さらに、私たちの農業を主な仕事とする基幹的農業従事者は13.8パーセント減、その逆に耕作放棄地は7.1パーセント増、たったの5年のうちにです。TPPで安い農作物を輸入すれば、これは更に就業者の減少に歯止めがかからなくなり、農業分野は更に弱体化すると思います。特に40歳未満の占める割合、これは何と20.3パーセント減の全体で言うところのたったの6.7パーセントしかいません。私は、その原因として食と農の文化、教育を軽んじてきたこと、これが挙げられると思います。人材育成などをはじめ農業そのものの体質改善、そして強化、これが必要になってくると思います。
先日、県立農業大学校を視察してきました。プロフェッショナルな農業の担い手養成機関として、今年70周年を迎える農業大学校は、鶴ヶ島から熊谷に移転され、県産材を使った木造の真新しい校舎に生まれ変わりました。これまで5,800人の卒業生を送り出し、農業振興に大きな役割を担ってきました。そして、近年は入学者の6割が何と非農家です。とても人気があります。さらに、皆さん、女性はそのうち何割くらいいらっしゃると思いますか。何と25パーセント、4人に1人が女性であります。その授業の現場も見学をさせていただきました。若い女性が最新のパソコンで講義を受ける姿、あるいは元気に農場で働く姿は、今までのイメージとは全く異なり、正にウーマノミクスを掲げている埼玉県にぴったりの光景だと思いました。
しかし、気掛かりなのは就農率であります。全国と比べると若干高いものの、まだまだ6割と少なく、県内722の農業法人と連携しながらも、まだまだ働き口が足りません。法人化の話もありますが、2,000万円以上の稼ぎがなければそのメリットがないと言われます。さらに、TPPの影響、そして今度はたとえ豊作であったとしても、価格の打撃というものが待ち構えています。今後は、更にしっかりとした品質、そして確実な経営能力というものが求められていると思います。
そして、今度は食育です。健康として、学校現場で、あるいは家庭で、消費者として、様々な場面で食を立て直すことが必要であると思います。しかし、これは自治体によって方針もまちまちです。是非、県が主導しながら、8つの農林振興センターなどを中心にしっかりと食育をさらにフォローしていくプログラム、これが必要かと思います。これまで当然、保健医療部や教育局でも取り組まれていると思いますが、責任の所在も含め、明確でないように見受けられます。食をテーマに、部局間にしっかりと横串を刺すような、そういった力強いリーダーシップが県に求められていると思います。
しかし、悪い話ばかりではございません。今日は地元の方もお見えになっておりますが、私たちのまちには田園のど真ん中にアグリパークという公園があります。ここは農業をテーマにした公園で、地元ではとても人気があります。大きな子供の遊び場、駐車場、そしてバーベキュー設備、さらに大きな園芸スペース、それに加えて産直では年収100万円以上稼いでいる方がたくさんいらっしゃると聞きます。正に、家族総出で来られるアグリパークのように、今ある県営公園等を整備し、食と農の地域拠点にすることで人が集う。そして、人が集えば例えば転作であるとか、あるいは二期作であるとか、ブランド化、6次産業化という可能性が少しずつ広がっていくと思うのです。
以上のように、農業大学校や農林振興センター、県立農業高校、農林公園といった既存の県施設を最大限に生かし、人材とノウハウをネットワーク化し、更に発信力を強化した食と農の地域拠点をつくるべきかと考えますが、これに対する御所見と県の農政に対する課題とビジョンについて知事に伺います。 

A 上田清司 知事

食と農の教育をしっかり行うとともに、農業の体質強化を図るべきという吉良議員の御意見に私も同感でございます。
私も食と農の教育はまず子供たちにと考え、県内の公立小中学校で稲、野菜の栽培など農業体験を行う学校ファームを原則それぞれ取り組んでいただくようにやっております。
この規模や内容は全国屈指のものだというふうに聞いております。
また、農林公園では年間を通じ収穫体験を実施し、各農林振興センターでは地域の伝統野菜を紹介するなど、食と農の情報発信を行っているところです。
県営公園等を食と農の地域拠点とする議員の御提案ですが、各施設には設置目的があり、全面展開は困難かもしれません。
例えば、先般スキップシティで2日間でしたが、農林フェスタを行いました。
これを恒常的に行うというのは、なかなか困難という意味で全面展開は苦しいというお話をさせていただきたいと思います。
また、JAの直売所や道の駅との競合などもあり、地元や利用者の意向なども踏まえていかなければならないと考えております。
したがいまして、議員の御提案をどんな形で生かしたら、県の施設で食と農の情報発信ができるかしっかり考えてみたいと思います。
次に、県の農政に対する課題認識とビジョンについてでございます。
農政の一番の課題は、所得を向上させることだと思っております。
そのために、まずは農地を集約し規模の拡大を図り、生産性を向上させることだと、これがまず第一だと思います。
また、例えば糖度の高いイチゴや珍しいヨーロッパ野菜など付加価値の高い農産物の生産や農業の6次産業化を進めることも必要です。
この他、農業者の約3分の2が65歳以上になる中での担い手の確保、あるいはTPPの大筋合意に伴う産地間競争への対応なども課題です。
このため、農業大学校を中心に意欲のある新規就農者を育成するとともに、女性や高齢者の雇用を創出するなど人材の確保に努めなければなりません。
また、本県は首都圏に位置し、食品加工業や医薬品産業が集積しているという強みがあります。
そこで、巨大マーケットの中にある産地という地の利を生かし、スーパーなどとも連携した地産地消の取組を一層推進することができます。
さらに、食品のみならず漢方など医薬品産業のニーズも視野に入れ、原材料供給を行う産地の育成なども考えられます。
こうした本県の強みを生かした施策に積極的に取り組み、埼玉農業の体質強化を図り、稼ぐ力を高め、埼玉農業をけん引していかなければならない、このように考えております。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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