平成15年埼玉県鉱工業指数の概況
1 はじめに
埼玉県では、県内の景気動向を把握するための指標として、鉱工業指数(生産・出荷・在庫・在庫率)を「経済産業省生産動態統計調査」や各種関係機関のデータをもとに作成し、毎月及び四半期ごとに公表しています。毎月の動きは本誌16・17ページにも掲載していますが、今回は平成15年の概況をご紹介します。
なお、「平成15年 埼玉県鉱工業指数」は統計課ホームページ「彩の国統計情報館」に掲載しています。
2 概況
−生産、出荷指数ともに上昇−
平成15年の埼玉県鉱工業指数(平成12年平均=100)は、生産91.8、出荷94.0、在庫104.2、在庫率124.9で、前年に比べ生産が3.4%、出荷が7.9%在庫率が0.4%上昇し、在庫が1.0%低下しました。
四半期別に1年間の動きをみると、生産は、1〜3月期は上昇、4〜6月期は低下しましたが、7〜9月期、10〜12月期は上昇しました。出荷も、1〜3月期は上昇、4〜6月期は低下しましたが、7〜9月期、10〜12月期は上昇しました。在庫は、1〜3月期は上昇、4〜6月期、7〜9月期は低下しましたが、10〜12月期は上昇しました。また、在庫率は、1〜3月期は上昇しましたが、4〜6月期、7〜9月期、10〜12月期は低下しました。
表1 鉱工業総合指数の推移(12年=100 季節調整済、年の数字は原指数による)
図1 鉱工業総合指数の推移 (12年=100 季節調整済、年の数字は原指数による)
![]() 3 業種別動向
生産は、19業種中10業種で上昇し、9業種で低下しました。上昇には電気機械工業(対前年比34.1%、以下同じ)、一般機械工業(11.3%)などが、低下には金属製品工業(△18.2%)、輸送機械工業(△2.5%)などが寄与しました。
出荷は、19業種中11業種で上昇し、8業種で低下しました。上昇には電気機械工業(31.0%)、輸送機械工業(10.6%)などが、低下には金属製品工業(△12.5%)、食料品工業(△1.5%)などが寄与しました。
在庫は、19業種中7業種で上昇し、12業種で低下しました。上昇には一般機械工業(15.3%)、家具工業(7.8%)などが、低下には輸送機械工業(△19.8%)、非鉄金属工業(△12.3%)などが寄与しました。
表2 上昇・低下に寄与した業種及び品目
注)数字は対前年比。( )内は寄与度
(注) 寄与度とは、あるデータ全体の変化に対して、その構成要素である個々のデータの変化がどのように貢献しているかを示す指標です。
表2 上昇・低下に寄与した業種及び品目(続き)
注)数字は対前年比。( )内は寄与度。
図2 鉱工業生産業種別伸び率寄与度の推移
![]() 図3 鉱工業在庫業種別伸び率寄与度の推移
![]() 4 在庫循環の推移(平成11年第U四半期〜平成16年第U四半期)
図4 在庫循環図
![]() 埼玉県の在庫動向を在庫循環図でみると、平成15年第T四半期から平成16年第1四半期まで5期連続で「在庫積み増し局面」に位置していましたが、平成16年第2四半期に45度線を越え「在庫積み上がり局面」に位置しました。
在庫循環図とは?
生産指数の伸び率と在庫指数の伸び率を利用して、在庫循環の4局面を指示したもので、反時計回りにグラフが推移する傾向があります。
・在庫調整局面
需要低迷により積み上がった在庫を減らすため、企業は生産を縮小する。この結果景気の停滞・後退がさらに進む状態。
・意図せざる在庫減局面
景気が回復し始め需要が増えると、最初は生産が追いつかないため、意図せず在庫が減少する状態。
・在庫積み増し局面
景気が堅調に回復し続け、企業は将来の需要増を見込んで生産を増加させ在庫水準を上げるため在庫水準は回復していくが、在庫の伸びは生産の伸びを上回ることが無い状態。
・在庫積み上がり局面
景気が減速し始め、企業の需要予測より実際需要が下回ることになり、在庫がたまり始める状態。
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