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掲載日:2022年4月1日

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未成年者契約の取消し

18歳未満の人は未成年者(民法4条)であり、一般的に成年者と比べて取引の経験、知識、判断能力が不足しているので契約などの「法律行為」をするには、その法定代理人(親権者、未成年後見人)の同意を得なければならない(民法5条)とされています。
しかし、未成年者の経験・知識・判断能力不足を悪用し、親に内緒で契約を結ばせるケースがあります。このような契約から未成年者を保護する目的で、法定代理人の同意を得ないでした法律行為は原則として取り消すことができる(民法5条)と定めています。これが未成年者契約の取消しです。取消しは、未成年者本人・法定代理人・継承人(相続人など)が行えます(民法120条)。

未成年者契約取消しの効果

  • 契約時にさかのぼって、最初から無効なものとされます。
  • 代金支払い義務はなくなります。
  • 既払金があれば返金を請求できます。
  • 商品を受け取っていれば返さなければなりませんが、商品を使用、消費した場合でも現状で返品できます。

未成年者契約取消しが認められない

  • 契約時に18歳以上(成年)
  • 法定代理人が同意している
    両親(親権者)が婚姻中の場合は、父母両方の同意が必要です。父母どちらか一方しか同意していない場合は取消しできると考えられます。両親が離婚している場合は親権を有している親の同意が必要です。
  • 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で使う場合(民法5条)
    例:親が子に「本を買いなさい」と言ってお金を渡し、子が本を買う
  • 法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産を使う場合(民法5条)
    例:小遣い
  • 法定代理人から許された営業に関する取引(民法6条)
    ※その取引に関しては成年者とみなされます。
  • 詐術を用いた(民法21条)
    「詐術」とは、未成年者が相手を誤信させる目的で「成年者である」と伝えたり、法定代理人の同意を得ていないにもかかわらず「同意を得ている」などと、うそをつくことにより相手を信用させて契約した場合を意味します。
    「詐術」に当たるかどうかは、個別具体的な事情を総合考慮した上で実質的な観点から判断されるものとされています。
    ※詐術に当たらないと考えられる例
    ・ネット通販などで、単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合
    ・利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみである場合
    ・自分は未成年であると伝えたにも関わらず、契約の相手方から「成年」と(偽りを)記入するよう誘導された場合
  • 追認した(民法122条、124条、125条)
    追認は、取消しできる法律行為(契約)を「取り消さない」とする意思表示です。
    ・法定代理人、または、契約当時は未成年だった者が成年に達したときに追認できます。
    ※以下の場合も追認したとみなされます(法定追認)
    ・法定代理人、または、契約当時は未成年だった者が成年に達してから代金の全部または一部を支払った。
    ・法定代理人、または、契約当時は未成年だった者が成年に達してから商品・サービスの提供を受けている。
    ・契約相手からの催告(追認確認)に対して期限内に回答をしていない。
  • 取消権の時効に達した(民法126条)
    未成年者が成年に達してから5年か、契約から20年を経過した日。
  • 取消しの意思表示をしていない
    ・単に支払わない(放置する)行為は、取消しの意思表示にはなりません。
    ・意思表示は書面で通知をしましょう。

未成年者契約取消しの通知の書き方

未成年者からでも法定代理人からでも通知できます。書面はコピーを取り、特定記録郵便または簡易書留で出すことをおすすめします。

本人から通知を出すときの文例

取消通知書

県○○市○○町○丁目○○番地
○○株式会社  代表者○○○○  様

 私は令和○○年○月○日に貴社との間で<商品名等>(価格○○円)の売買契約を締結しましたが、未成年者の私が親の同意を得ずに行ったものであり、契約の取消しを通知します。

 つきましては、当該契約に際して支払いました金○○円は、至急下記の口座に振り込んでください。
銀行○○支店  普通預金  口座番号○○  名義人○○○○

 また、保管中の商品を返品しますので、送付先を指定してください。

令和○○年○月○日
埼玉県○○市○○町○○番地
○○  ○○(本人氏名を記入)

 

未成年者の親から通知を出すときの文例

取消通知書

県○○市○○町○丁目○○番地
○○株式会社  代表者○○○○  様

 私どもの子ども○○○○(○○歳)が令和○○年○月○日に貴社との間で<商品名等>(価格○○円)の売買契約を締結しましたが、未成年者が親の同意を得ずに行ったものであり、親権者として契約の取り消しを通知します。

 つきましては、当該契約に際して支払いました金○○円は、至急下記の口座に振り込んでください。
銀行○○支店  普通預金  口座番号○○  名義人○○○○

 また、保管中の商品を返品しますので、送付先を指定してください。

令和○○年○月○日
埼玉県○○市○○町○○番地
○○  ○○(親の氏名を記入)

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