小児外科
小児外科のご紹介
小児外科とは
子供は大人と比較して体が小さいだけではなく、独特な身体的、生理学的特徴を持ち合わせています。これは手術を行う外科においても当てはまります。子供の特性を考慮して考えられた術式を的確に行う必要があり、そのための技量も重要です。また、小児は治療後も長期間に渡って日常生活をおくります。そのため治療後の機能にも十分に配慮しなくてはなりません。私たち埼玉県立小児医療センターの小児外科医はこれらのことを踏まえ、それぞれのお子さんにとってもっとも適切な治療法を熟慮した上で、確実な手技で治療を行うことを心がけております。
対象となる疾患
生まれつきの外科疾患、子供の腫瘍、炎症性疾患などの診断、治療を行っております。
- 足の付け根やおへそがとびでている子(そけいヘルニア、臍ヘルニア)
- 肛門周囲の炎症やおでき(肛門周囲膿瘍、乳児痔瘻)
- よく吐く子(肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症)
- 便秘の子(ヒルシュスプルング病、慢性便秘症)
- おなかや胸を痛がる子(急性虫垂炎、腸重積、腸閉塞、膵炎、急性腸炎、気胸など)
- 生まれつきの消化器・呼吸器の病気の子(一般に産院から直接紹介されています)
- 胸に変形のある子(漏斗胸、鳩胸)
- 体が黄色い子(胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症)
- 食べてはいけないものを食べてしまった子(消化管異物)
- 気管に誤ってものが入ってしまった子(気道異物)
- おなかが張っている子(腹部膨満)
- おなか、胸、首などにしこりを触れる子(良性腫瘍、悪性腫瘍)
- おなかや胸を強く打ってしまった子(腹部・胸部外傷)
- 便に血液が混じる子(潰瘍性大腸炎、クローン病、メッケル憩室炎、大腸ポリープなど)
上記以外でも、いわゆる子供の外科的な病気のお子さんはすべて拝見していますが、一般の外傷、熱傷などには対応しておりません。各疾患に関しての詳細は日本小児外科学会のホームページに解説されています。ご参照ください。
小児外科の特色と新しい取り組み
当センター小児外科では、上記の症状や疾患を持つお子さん達の診断や治療を担当しています。これら小児の一般外科疾患を中心に年間約700件の手術(うち約60件が新生児手術)を行っています。これらのうち、そけいヘルニアなどの短期入院の小手術が半数の約300件を占めていますが、緊急手術件数も年間約150件前後で、夜間、休日の手術も必要に応じて行っています。外科治療を必要とするお子さん達は、治療が必要な外科疾患以外にもその他の合併症などを持っていることがしばしば見受けられます。生まれつきの心臓の病気、血液の病気、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、けいれんやてんかんなどの神経疾患などをお持ちの場合で、関連する専門医との協力の下に、安全な手術を心がけています。
当センター小児外科では、お子さん達のQOLを高め、快適な闘病生活を確保するために、小児においても内視鏡手術を積極的に取り入れています。麻酔科や手術部の協力により現在では年間150件近くの手術を腹腔鏡や胸腔鏡を用いて行っています。9年前に虫垂切除術から始めた当院の内視鏡手術も、最近では激しい嘔吐のお子さんに対する腹腔鏡下噴門形成術や腹腔鏡下幽門筋切開術などを日常的に行っており、さらに手術適応を徐々に拡大して、悪性腫瘍の生検術や摘出術、脾摘術、鎖肛根治術、漏斗胸の胸骨挙上術、ヒルシュスプルング病の根治術なども内視鏡を使って行うようになりました。全国の小児医療施設の中でも最も積極的に内視鏡手術を取り入れている施設の一つに挙げられています。最近では、体重5キログラム未満の小さな赤ちゃんに対しても、新しい機器の導入と技術の習得に努めた結果、安全に実施できるようになりました。手術創が小さいため、手術の傷が残りにくいだけでなく、術後の疼痛が軽く、術後の鎮痛剤が不要です。また、歩行開始や食事の開始が非常に早く、結果的に入院期間の短縮につながります。いまだ発展途上の先進医療ですが、最近では手術時間も従来の開腹術や開胸術とほとんど変わらなくなって参りました。今後もお子さん達のQOL向上をめざし、積極的に行っていくつもりです。
腹腔鏡という内視鏡を使って脾臓を摘出しているところです。1cm前後の小さな穴をおなかに4カ所あけるだけで、握り拳ほどの脾臓が摘出できます。おなかの筋肉を切開しないので、術後の痛みが少なく、翌日には歩くことができます。ほとんどのお子さんは術後4,5日で元気に退院します。
鎖肛という生まれつき肛門のないお子さんに、腹腔鏡を使って新たな肛門を作る手術を行っています。写真は発達の悪い肛門の括約筋を腹腔鏡を用いて骨盤の中で探し当てたところを示しています。この中心に直腸を通して新しい肛門を作ることが重要です。まだ歴史の浅い手術のため、長期にわたっての成績は出ておりませんが、従来の手術法に比べて、肛門の知覚が鋭く、排便の自立が比較的短期間で確立できます。当センターの小児外科はこの手術を我が国で最も早くから取り入れました。現在排便が自立したお子さん達が増加中です。
小児外科へご受診・ご紹介いただくには
定時の外来診療は、毎週月曜日、火曜日、木曜日に行っております。予約に関しては外来診療日程を参照してください。担当の先生を通じて長い治療経過の後にご紹介いただく場合や、現在入院中のお子さんの転院などのご相談は、小児外科の医師に直接ご連絡ください。またセカンドオピニオンを希望される場合には、火曜午後のセカンドオピニオン外来でお受けしておりますので、予約の際に予約係に申し出てください。
また小児外科疾患の多くは緊急疾患であるため、患者さんの状態に合わせて、随時救急外来を利用して診療にあたっています。年間約150名の患者さんたちは、救急外来受診後にそのまま緊急入院となっています。病棟は、原則的に付き添いの必要がない基準看護となっていますが、24時間いつでも面会(ご両親)が可能です。またお子さん達の状況に合わせて母子が同室で入院できる設備も備えており、少しでも快適な入院生活が続けられるよう配慮に努めています。
重症の慢性便秘症、遺糞症、便失禁などの排便障害のお子さん達の専門外来を保健発達部で担当しています。固くてコロコロウンチのお子さんが多いので、「うさぎ外来」と名付けました。定時の外科外来で初診後、必要な場合にうさぎ外来に移っていただいています。専門の支援看護師とともに、チーム医療で排便に苦しむお子さん達の面倒をみていますので、該当されるお子さん達を外科外来にお連れください。
小児外科の診療実績
当センター小児外科で実施している主な小児外科疾患の過去10年間の手術実績をお示しします。小児外科領域特有の疾患を主に示しましたので、そけいヘルニアなどの軽症手術(毎年約300件前後実施)は含まれていません。表中の括弧内の数字は、内視鏡(腹腔鏡や胸腔鏡)を用いて行った手術実数です。
| 入院数 | 6850 |
| 手術数 | 6449 |
| 内視鏡手術数 | 938 |
| 食道閉鎖症根治術 | 33(7) |
| 胃食道逆流症に対する噴門形成術 | 98(92) |
| 肥厚性幽門狭窄症に対する幽門筋切開術 | 196(159) |
| 腸閉鎖症根治術 | 89 |
| 腸回転異常症に対するラッド手術 | 36(1) |
| 腸重積症(入院数) | 310 |
| 腸重積症(手術による整復術) | 63 |
| 急性虫垂炎に対する虫垂切除術 | 245(201) |
| ヒルシュスプルング病根治術 | 53(22) |
| 鎖肛根治術 | 121(21) |
| 横隔膜ヘルニア根治術 | 36(6) |
| 臍帯ヘルニア根治術 | 29 |
| 胆道閉鎖症に対する葛西手術 | 35 |
| 胆道拡張症根治術 | 44(2) |
| 各種脾疾患に対する脾臓摘出術 | 19(17) |
| 良性腫瘍摘出術 | 126(57) |
| 悪性腫瘍に対する摘出術・生検術 | 162(23) |
| 各種肺疾患に対する肺切除術 | 36(8) |
| 漏斗胸に対する胸骨挙上術 | 58(44) |
小児外科のスタッフ紹介(平成18年度)
| 副部長兼科長 | 内田 広夫 | 東京大学医学部卒(平成元年) | 日本小児外科学会指導医、専門医 日本外科学会専門医 東京大学講師(非常勤) |
| 医長 | 川嶋 寛 | 埼玉医科大学医学部卒(平成7年) | 日本小児外科学会専門医 日本外科学会認定医 埼玉医科大学総合医療センター講師(非常勤) |
| 医長 | 五藤 周 | 筑波大学医学専門学群卒(平成9年) | 日本外科学会認定医 |
| 医長 | 佐藤 かおり | 群馬大学医学部卒(平成11年) | 日本外科学会認定医 |
| 医員 | 吉田 真理子 | 東京大学医学部卒(平成14年) | 日本外科学会専門医 |
| レジデント | 高澤 慎也 | 東京医科大学医学部卒(平成17年) |
| 内視鏡手術顧問 (非常勤) |
岩中 督 | 東京大学医学部卒 | 東京大学医学部小児外科教授 日本小児外科学会指導医 日本外科学会認定医 日本集中治療医学会専門医 米国内視鏡外科学会会員 国際小児内視鏡外科学会会員 埼玉県外科医会理事 |
お知らせ
- 埼玉県立小児医療センターは、紹介制です。
- 受診される方はあらかじめ下記にお電話いただき予約を取って受診してください。
- 外科外来へのご紹介は電話048−758−1811におかけください。
