高層建築物等の防災計画の作成に関する指針の解説

 

 

第一 趣旨
 埼玉県震災予防のまちづくり条例(平成14年埼玉県条例第22号)第17条第1項の規定に基づき、高層建築物等の震災時における安全性を確保するための措置に関する計画の作成に関する指針(以下「指針」という。)を次のとおり定める。

【解 説】
近年、建築物が大規模化かつ複合化しており、その機能についても多様化、複雑化してきている。このような状況を踏まえ、建築物及びその利用者が地震時に大きな被害を受けるおそれのある高さ31mを超える高層建築物や大規模な百貨店、ホテル、病院などについて、震災時における安全性を確保するための措置について指針を示し、防災計画の作成を誘導するものである。

 

 

第二 用語の定義
 この指針で使用している用語の定義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「施行令」という。)に定めるもののほか、次に掲げるとおりとする。

1 安全区画
 避難者を火煙から守るとともに階段への煙の流入を防止する役割をする区画のことであり、廊下、階段室の付室等を不燃材料以上の防火性能を持つ間仕切壁及び自動閉鎖式の扉により行う区画をいう。
2 避難計算
 ある階を出火階とした場合、その階にいるすべての人が階段等に到達する状況を予測し、その避難に要する時間を求める計算をいう。
3 廊下避難計算
 廊下に最初に避難者が入ってから最後の避難者が階段等へ到達する時間を求める計算をいう。
4 階避難計算
 火災が発生したときから、最後の避難者が階段へ到達する時間を求める計算をいう。
5 滞留面積
 避難計算において廊下、階段室の付室やバルコニーなど避難者が一時的に滞留すると予想される人数に基づき必要とされる床面積をいう。
6 防火区画
 準耐火構造又は耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9号の二ロに規定する防火設備による区画をいう。
7 防火防煙区画
 準耐火構造又は耐火構造の床若しくは壁又は施行令第112条第14項第2号イ及びロに掲げる構造の特定防火設備による区画をいう。
8 ボイド
 建築物からの煙の排出経路となる煙突状の空間をいう。

 

【解 説】
 指針で使用している用語の整理を行ったものである。1に定義している安全区画をはじめ、2〜4で定義している用語は「新・建築防災計画指針(財団法人日本建築センター編集)」に基づく避難計算におけるものである。

 

 

第二 用語の定義
 この指針で使用している用語の定義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「施行令」という。)に定めるもののほか、次に掲げるとおりとする。

1 安全区画
 避難者を火煙から守るとともに階段への煙の流入を防止する役割をする区画のことであり、廊下、階段室の付室等を不燃材料以上の防火性能を持つ間仕切壁及び自動閉鎖式の扉により行う区画をいう。
2 避難計算
 ある階を出火階とした場合、その階にいるすべての人が階段等に到達する状況を予測し、その避難に要する時間を求める計算をいう。
3 廊下避難計算
 廊下に最初に避難者が入ってから最後の避難者が階段等へ到達する時間を求める計算をいう。
4 階避難計算
 火災が発生したときから、最後の避難者が階段へ到達する時間を求める計算をいう。
5 滞留面積
 避難計算において廊下、階段室の付室やバルコニーなど避難者が一時的に滞留すると予想される人数に基づき必要とされる床面積をいう。
6 防火区画
 準耐火構造又は耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9号の二ロに規定する防火設備による区画をいう。
7 防火防煙区画
 準耐火構造又は耐火構造の床若しくは壁又は施行令第112条第14項第2号イ及びロに掲げる構造の特定防火設備による区画をいう。
8 ボイド
 建築物からの煙の排出経路となる煙突状の空間をいう。

【解 説】
指針で使用している用語の整理を行ったものである。1に定義している安全区画をはじめ、2〜4で定義している用語は「新・建築防災計画指針(財団法人日本建築センター編集)」に基づく避難計算におけるものである。

 

 

第三 高層建築物等の防災計画の構成
 高層建築物等の防災計画書(以下「防災計画」という。)は、次に掲げる図書により構成し、各3部作成すること。

 (表は省略)

【解 説】
 防災計画書は、防災計画の説明書及び避難の計算書をもって構成するものであり、知事への届出に際しては、規則で定める届出書及び添付図書として、付近案内図、配置図、各階区画図、基準階平面図、室内仕上げ表、各階平面図、二面以上の立面図及び断面図を添えることとになる。
 なお、3部は、知事届出用、届出者控え用、確認申請等の添付用を想定している。

 

 

第四 基本事項
 防災計画は、次に掲げる事項を考慮して作成することとする。なお、届出前に建築予定の市町村、消防本部、建築主事等と計画の内容について調整を行うよう努めること。
1 出火防止
2 火災の初期拡大防止
3 延焼拡大防止
4 火災による煙の制御
5 消火及び救助
6 維持管理

【解 説】
 防災計画を作成する際に、考慮すべき事項を規定しているものである。 また、届出を行う前には、建築物の計画等について必要に応じて市町村や消防本部の担当部署、建築主事や確認検査機構と協議、調整等を行い、計画が関係法令に適合していることが必要である。

 

 

第五 配慮すべき事項
1 共通事項
 一 吹抜き内に設置された階段の構造が、施行令第123条第1項の規定(屋内避難階段の構造)する要件を満たしていない場合、その階段は、避難計算に使用しないこと。ただし、吹抜きが避難階とその直上階又は避難階とその直下階のみに通じており、かつ、避難階において、吹抜き内に設置された階段からの避難経路のすべてが安全区画されている場合で、次に掲げる要件のすべてを満たす場合は、この限りでない。
ア 吹抜きがある防火区画内に火災が発生する危険性の高い部分がある場合に、その部分と防火区画すること。
イ 吹抜き内に、可燃物を設置しないこと及びその旨を記載すること。
ウ 吹抜き部分の避難誘導が迅速に行える体制を有していること。
エ 吹抜き部分に、エスカレーターが設置されている場合は、避難者がそれを経由しないで避難できる経路を確保すること。
オ 避難階の直上階及び直下階において、吹抜き内の階段まで連続した安全区画とすること。
カ 吹抜きを経由しない避難経路を確保すること。
キ 吹抜き内にある廊下及び廊下と一体のゾーンを一つの廊下とみなし、廊下避難計算を行うこと。
ク 避難階とその直上階又は避難階とその直下階において、吹抜きを経由する避難が必要な居室及び廊下の部分を一つの階とみなし、階避難計算を行うこと。

【解 説】
 防災計画を作成する際の望ましい基準を規定したものである。 まず、すべての建築物に共通する事項として一では、避難計算時の注意事項として、吹抜き内の階段(屋内避難階段の構造以外)は、計算上は無効となる。
 ただし、階段までの避難経路が防火区画されており、計画においてア〜クまでのすべてに該当する場合は、避難計算において避難経路とすることができることとしている。
アは、吹抜き内に売店やロビーのような空間があった場合、その部分を防火区画し、階段の安全が確保されている場合を想定している。
イもアと同様に階段の安全が確保されているるものである。
エは、エスカレーターが単独で区画されている場合など避難者がエスカレーターを 使用しないようなプランになっている場合。オは、階段から安全区画へ直接入れる場合。カは、居室から吹抜き内の階段以外の階段から避難できるルートを有している場合。キは、廊下避難計算において廊下と階段など廊下と一体の空間を廊下とみなすこと としている。クは、階避難計算において居室から吹抜きの階段部分までの避難経路である廊下等のみを1つの階とみなすこととしている。

 

 

 二 原則として行き止まり部分のない避難経路とすること。

【解 説】
 法律上は、2方向避難及びその重複距離を規定しているのみであり、避難時に明確な避難経路を設けることが重要なことから、後戻りを生じるような行き止まりの経路を設けないこととした。
 ただし、部分的なもので、明らかに避難方向を迷うおそれのない場合は、計画によっては、除外される場合もある。

 

 

 三 中央管理室(防災センター)、管理室、共同住宅の防災設備などの管理を行う居室等は、耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で、その構造が施行令第112条第14項第一号イ及びハに掲げる要件を満たすものにより区画を行うこと。

【解 説】
 法律上は、中央管理室等は、通常の管理上設けられている場合が多く、法律上、区画要求もない。ここでは、災害時に効力を発揮するすることから、災害時に重要な役割を担う中央管理室等を区画することを規定している。  ここで使用する特定防火設備は、常時閉鎖式、煙感知式又は熱感知式のいずれかとすることとしている。

 

 

 四 エレベーターは、地震時、火災時及び停電時などの非常時において、管制制御できる装置を設置するなどの安全に配慮したものとすること。

【解 説】
 エレベーター使用時において、災害が発生した場合にかご内に取り残されないようにするための管制制御装置の設置を要求しているものである。

 

 

 五 スプリンクラー設備を設置する場合は、照明器具、設備器具等が散水障害とならないように十分配慮すること。

【解 説】
 スプリンクラー設備を設置する場合の配慮を規定している。なお、法律上は、明確に規定されていないものであるが、設備本来の機能を有効にするためには必要な構造である。

 

 

 六 法第12条第1項及び第2項の規定により、定期的な報告を必要とする建築物等については、調査及び検査を実施し、定期的に報告を行うことを記載すること。

【解 説】
 法律上必要な手続きである定期報告制度について、遵守することを防災計画上も明示し、建築主(建築物の所有者等)に対しても予め認識してもらうため、規定しているものである。

 

 

 七 屋外に開放された廊下に面する外壁は耐火構造とし、開口部は防火設備とすること。

【解 説】
 
開放廊下は避難経路として使用されるケースがほとんどであり、避難上の安全を確 保するためにも、その他の部分と区画するものである。 

 

 

2 病院、診療所及び児童福祉施設等
 一 手術室、ICU(集中治療室)、CCU(重症心疾患者の治療を目的とした特殊な治療室)、未熟児室等避難が極めて困難な患者等のいるゾーンは、他のゾーンからの出火に対して、影響を受けることがないよう防火防煙区画を徹底するため、次に掲げる措置のすべてを講じること。
  ア 防火防煙区画は、原則として開口部の防火設備をシャッターとしないこと。
  イ 防火防煙区画の直下及び隣接した室には厨房等の出火のおそれの大きな用途の室を配置しないこと。
  ウ 排煙ダクト及び空調ダクトは、当該防火防煙区画を貫通しないこと。
  エ 防火防煙区画内においては、火気の使用制限及び火気器具設置の制限を行うこと。
  オ 防火防煙区画内にある職員の休憩室、更衣室等の出火の可能性のある室は、防火防煙区画すること。
  カ 消防隊が消火及び救助活動を容易に行えるような経路を確保すること。
  キ 換気設備及び電気設備は、救助完了まで稼働できるものとすること。 【解 説】

【解 説】
 病院や児童福祉施設等(施行令第19条に規定するもの)などの場合、法律上で規定している避難施設では避難できない場合が多く、これらの方に対する配慮をここで規定しており、原則として避難できな場合を前提とした措置を講じることとしている。 特に、救助隊等が到着するまで、煙や炎などから身を守るための設備として、徹底した防火防煙区画(籠城区画)を要求している。

籠城区画を行う際は、ア〜キの事項のすべてを守ることが望まれる。

アでは、避難や救助を想定した場合、避難や救助が困難となる開閉が容易でないシャッターによる区画を行わないよう規定している。

イでは、籠城区画する部分の近傍に火元となるおそれのある室を設けないことを規定している。

ウでは、煙の漏煙しやすい構造となるダクト等の貫通を規制したものである。

エでは、籠城区画された部分内において、火災の発生の可能性を極力少なくするための規定である。

オでは、やむを得ず籠城区画内に職員の休憩室などの出火の可能性のある室を設ける場合は、その部分を防火・防煙区画することとしている。

カでは、本来は籠城区画部分は直接外気に接することが望ましいが、建築物の内部に設置する場合に消火・救助活動を容易に行える経路の確保を要求するものである。

キでは、籠城区画内に避難している方の停電などによるパニックや室内の空気の入れ替えが一定の時間内行えるよう要求しているのものである。

 

 

 二 自力避難が困難な患者のいるゾーンでは、当該患者が避難できるような計画とすること。

【解 説】
 
一号とは別に、自力避難が困難ではあるが、避難することを前提に計画を考えるよう要求している。 

 

 

 三 病室から廊下等の安全区画に対する火煙の影響が発生しないようにするため開口部には次に掲げるすべての措置を講じること。
  ア 煙の伝達経路となるがらり等を設けないこと。
  イ 自動閉鎖機能等により火災時の遮煙を行うこと。

【解 説】
 病室から避難経路となる廊下への煙の進入を極力抑えるような措置を講じるため、煙の進入経路となる開口部に対する措置を要求しているものである。 

 

 

 四 ナースステーションから廊下等の安全区画への火煙の影響がないように遮断するため、次に掲げるすべての措置を講じること。
  ア ナースステーションを防火防煙区画すること。
  イ ナースステーション内の火気及び可燃物のあるゾーンは防火防煙区画すること。
  ウ ナースステーション内の搬送設備は、防煙区画すること。

【解 説】
 病院の場合、ナースステーションは、一般的に避難経路の接点に設けられる場合が多く、管理面の中心となるが逆に、火元となる可能性もあり、配慮すべき事項を規定したものである。
 
このため、ア〜ウまでの措置を講じる必要がある。  

 

 

 五 バルコニーを設置するとともに、バルコニーからの救助又は避難を可能とするため、次に掲げる措置のすべてを講じること。
  ア 火災室を含む水平の防火区画を経由しないでバルコニーから避難階段、非常用エレベーター、他の水平の区画のいずれかに避難できる経路を確保すること。
  イ 安全区画からバルコニーまでに至る避難経路は、車椅子による通行に配慮して段差を極力なくし、段差が生じる場合でも2センチメートル以下の高さとすること。
  ウ バルコニーは、車椅子で通過できる幅員を確保すること。
  エ バルコニーの滞留面積は、避難ハッチ部分を除き、実際にバルコニーを避難経路として使用する避難者の人数に応じたものとすること。

【解 説】
 病院等は、自力避難が困難な場合が多く、外部からの救助活動や一時的な避難場所となるバルコニーを設置することを規定している。
 
このため、ア〜エまでのすべての措置を講じる必要がある。 

 

 

 六 水平避難距離の長い場合は、水平の区画を設置し、短時間に全患者を安全な水平の区画部分に避難できるようにするため、次に掲げる措置のすべてを講じること。
  ア 水平の区画は、防火防煙区画とすること。
  イ 排煙ダクト及び空調ダクトは、水平の区画を貫通しないこと。
  ウ 水平の区画をされた各ゾーンには、原則として一つ以上の階段を設置すること。ただし、どの水平の区画部分からの出火であっても出火した水平の区画部分を経由しないで避難階段の到達できる場合で、その経路の排煙設備が機械排煙又は深いボイド以外への自然排煙とする場合は、この限りでない。
 なお、深いボイドとは、ボイドの断面積が、36平方メートル以下又はボイドの深さの2乗を6.25で除した数値以下のものをいう。
  エ 水平の区画における避難に使用する開口部の扉等は、避難方向に開くものとすること。
  オ 水平の区画の開口部の扉は、車椅子、ストレッチャー、ベッド等の通行に配慮した構造とすること。
  カ 自力避難が困難な患者の避難を想定した管理マニュアル作成について記載すること。

【解 説】
 平面計画が大きな場合、水平方向の避難距離が長くなり、避難が困難となるおそれがあり、その際の配慮すべき事項を規定したものである。
  同一フロア内で複数の水平の区画を設けることにより、安全な区画へ避難できるようにするものである。 

 

 

 七 ストレッチャー、車椅子避難を想定し、次のような措置を講じること。
  ア 階段等により垂直避難できない患者を一時的に待機できる専用部分を確保すること。
  イ ストレッチャー、車椅子等の収納スペースを確保すること。

【解 説】
 一〜六に掲げる措置のほか、ストレッチャーや車椅子利用者への配慮として、救助活動が行われるまでの一次待避所の設置や避難後のストレッチャーや車椅子が消火・救助活動の妨げとならないよう放置できるスペースの確保を要求しているものである。

 

 

3 百貨店、スーパーマーケットその他の物品販売業を営む店舗  
 一 売場(店舗及び売場内通路)や避難経路等に面するエスカレーター周囲の吹抜き部分をシャッターによりたて穴区画(耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9項の2ロに規定する防火設備による区画。)する場合は、シャッターの降下障害や降下遅延によりたて穴区画内に煙が侵入しないようにするため、ガラススクリーンを併設すること。
 なお、ガラススクリーンとシャッターとの間に大きな空間ができる場合は、シャッターの降下障害を避けるために手すり等を設置すること。

【解 説】
  百貨店等の店舗における配慮すべき事項を規定しているものである。

一号では、一般的に店舗の中心部に上下階への移動手段として、エスカレーターを設置するケースが多く、その部分をシャッターにより区画する場合が多い。

シャッターの場合、閉鎖障害や作動までの時間を要することなどの問題もあり、それを補助するための設備として、網入りのガラススクリーン(天井から床まで達すること)を設置すること(常に人が行き来する部分で垂れ壁等の防煙措置のあるものは除く)を求めているものである。

また、ガラススクリーンとシャッターの間に大きな空間がある場合、そこに荷物を置いたりしてしまうことによるシャッターの降下障害を防ぐため、手すり等で閉鎖部分を確保することを規定しているものである。

なお、手すり以外には、床を色分けするとともに物品を置かないよう表示することなどが想定される。

 

 

 二 店舗等のバックヤードは、避難経路として設定しないものとすること。ただし、避難者が少数の従業員のみであり、避難経路を明確に区画した場合は、この限りでない。

【解 説】
 店舗等のバックヤードは、一般的にダンボール箱などが雑然と置かれているなど、出火の危険性が高い部分であることから、原則として避難経路として設定しないことを要求するものである。

なお、店舗の従業員が少なく、バックヤード部分に通路部と物品保管部分とが明確に分けられている場合は、避難経路として考えて良いこととしている。

ここでの避難経路との区画は、特に構造を要求していなので、物理的に区画されていればよい。

 

 

 三 売場中央付近の階段を避難に使用する場合は、避難する際の安全を確保するため、その階段を単独でたて穴区画すること。

【解 説】
  避難路は、できる限り外気に近いことが望ましいが、大規模な店舗では売場中央付近に階段を設置する場合がある。
この階段を避難経路として使用する場合は、外部や階段の出入口等までの経路を確保するため、防火区画することを規定するものである。

 

 

 四 避難階においては、避難階段等から直接屋外に出ることができる計画とすること。ただし、外部までの避難経路の大半が売場内を経由する場合は、避難階段から外部までの避難経路をシャッター等により区画した場合は、この限りでない。

【解 説】
 三号と同様に避難階の平面計画として、避難階段から外部への出入口への経路を確保するため、防火区画することを規定するものである。

 

 

 五 一の階の床面積が一万平方メートル以上の売場をシャッターで防火区画する場合は、一万平方メートルを超えない範囲で二重シャッター又はガラススクリーンを併設するシャッター等により防火区画するものとし、この区画を経由する水平避難は行わない計画とすること。

【解 説】
 1フロアーの面積が1万uを超える大規模な店舗等の場合、法律で要求している面積区画以外に、1万u以内ごとにより信頼性の高い二重シャッター等で防火区画することを規定している。 

 

 

4 共同住宅
 一 各住戸からの2方向避難を確保するため、次に掲げる措置のすべてを講じること。
  ア 住戸内の各居室(特に寝室)から、避難時に使用する階段へ到達できる経路を廊下やバルコニー等、二方向以上確保すること。
  イ 各住戸と共用部分の接点(玄関、バルコニーへの出口など)から避難時に使用する階段へ到達できる経路を2方向以上確保すること。
  ウ 避難経路である行き止まりの形状の廊下等がある場合は、その廊下は、開放廊下では4住戸程度、内廊下では2住戸程度の奥行きとすること。
  エ 前記のア及びイにおける2方向の避難経路は、火災室から流出する火煙によって同時に使用が不可能となることがない計画とすること。このため、バルコニーと廊下との間の住戸は、十分な奥行きを有するか、スプリンクラー設備を有するものとすること。また、バルコニーと廊下が接する場合は、耐火構造の壁又は常時閉鎖式の防火設備とすること。

【解 説】
 共同住宅の場合、各住戸ごとに細かく区分されていることから、どの部分の住戸が火元になっても避難できるよう2方向避難を要求している。

ア、イは、階段へ到達する経路を2以上確保することとしている。なお、バルコニーからの経路については、二号で規定している。

ウは、避難経路が行き止まり形状としても良い場合について記述している。エは、火災時に火煙により2方向避難の両方の経路が使用できない状態が生じないこととしている。

 

 

 二 バルコニー側の避難経路は、他の住戸内を経由しないで共用部分のみを通り避難に使用する階段まで到達できること。
   なお、バルコニー側の避難経路については、次に掲げる条件のすべてを満たすこと。 
  ア バルコニーの有効幅は、内法で60センチメートル以上を確保すること。
  イ やむを得ず他の住戸を経由して避難階段に到達する計画の場合は、経由できる住戸への進入を想定する窓の構造は、原則として掃き出し窓とし、避難者が避難時に進入可能な構造とすること。

【解 説】
 一号を補足している規定であり、バルコニーを避難経路とする場合の望ましい基準を規定しているものである。アは、避難に必要なバルコニーの最小寸法を規定している。イは、他の住戸を経由する場合、窓を割って入ることができることとしている。進入可能な窓の厚さは6ミリメートル以下(網入りガラスの場合6.8ミリメートル)とすることが望ましい。なお、経由する住戸は、1住戸を限度とする。

 

 

三 廊下の安全性を確保するため、次に掲げる措置を講じること。
  ア 廊下に面する住戸は次のとおりとする。
  (ア) 内廊下に面する住戸の開口部の防火設備は、常時閉鎖式の構造とすること。
  (イ) ボイドに面する住戸の開口部の防火設備は、常時閉鎖式の構造とすること。ただし、住戸内にスプリンクラー設備を設置した場合及び各住戸からバルコニーのみを通じて直接(廊下を経由せずに)避難階段に到達できる2方向の避難経路が確保されている場合は、この限りでない。
  イ ボイドは十分な面積を持つものとし、次に掲げる条件を考慮していること。ただし、廊下を経由しないで各住戸からバルコニーのみを通じて直接、避難に使用する階段に到達できる2方向の避難経路が確保されている場合は、この限りでない。
  (ア) ボイドの下部又は各階に給気ルートを確保すること。
  (イ) ボイドの煙の排出の障害となる物を設置しないこと。
  ウ 内廊下型共同住宅における廊下は、次のいずれかの条件を満たすこと。ただし、廊下を経由しないで各住戸からバルコニーのみを通じて直接、避難に使用する階段に到達できる2方向の避難経路が確保されている場合は、この限りでない。
  (ア) バルコニー側から避難に使用する階段に至る避難経路と廊下側から避難に使用する階段に到達する避難経路と住戸の間には、床までの防煙区画を有すること。
  (イ) 内廊下に面する各住戸には、スプリンクラー設備を設置すること。
  エ 内廊下型共同住宅における内廊下には、原則として排煙設備を設置するとともに、次のいずれかの条件を満たすこと。ただし、廊下を経由しないで各住戸からバルコニーのみを通じて直接、避難に使用する階段に到達できる2方向の避難経路が確保されている場合は、この限りでない。
  (ア) 内廊下に機械排煙設備を設置する場合は、操作を管理室又は当該階の階段の踊場、特別避難階段の付室、非常用エレベーターの乗降ロビー等で行えること。なお、管理室で操作を行う場合、24時間常時監視体制であることを原則とする。また、内廊下における防煙区画部分が小さい場合などは、外気等の給気経路を設置し、廊下に過度の負圧が生じないようにすること。
  (イ) 内廊下の排煙を自然排煙とする場合は、排煙窓は、廊下の煙感知器と連動するものとし、その状態が管理室からも監視できるものとすること。

【解 説】
 アは、廊下に漏出した煙から避難経路となる廊下の安全性を確保するものである。イは、建築物に筒状の空間(ボイド)があり、ボイドに廊下が面しているようなプランである場合の措置を規定している。ウは、住戸からバルコニーや内廊下への煙の漏出を防ぐこととしている。エは、内廊下の排煙について規定している。

 

 

5 ホテル及び旅館
 一 31メートルを超える高層建築物であるホテル及び旅館は、施行令第123条第1項及び第2項に掲げる構造の避難に使用する階段を2箇所以上設置すること。
 二 避難経路である行き止まりの形状の廊下等は、開放廊下では6客室程度、内廊下では4客室程度の奥行きとすること。

【解 説】
 法律上は、ホテル又は旅館の場合、耐火構造などの構造とすると宿泊室の床面積の合計が200uを超える場合は、2つ以上の直通階段を設ける必要があるものの、それぞれを避難階段とする必要はない。

このため、ここでは、2以上設けられた階段を施行令で定める避難階段とするよう求めるものである。

  二号では、共通事項において行き止まり部分のない避難経路とすることを求めているが、やむを得ない場合の例を示しているものである。

 

 

第六 その他
 この指針に定めるもののほか、防災計画は、知事が安全上有効であるとして別に定める事項に基づき、作成するものとする。

【解 説】
 知事が安全上有効であるとして別に定める事項は、「新・建築防災計画指針(財団法人日本建築センター編集)」に準ずることとしている。

 

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