協働事例紹介
new 養蚕農家ツアー2009秋 更新2009.9.25
秩父地域振興センターは、NPO法人との協働を積極的に進めています。
平成19年度、秩父地域創造センター(現地域振興センター)と川越むかし工房はNPO協働提案推進事業
「織物で紡ぐ埼玉の元気なまちづくり」を実施しました
当センターはNPO法人の認証事務、活動支援事務を担当しているため、職員の派遣や後援等個別支援の協働は
数々行われてきました。平成19年度の協働提案推進事業に於いて、予算を伴い、かなりのボリュームある事業全体を
協働する機会を得ました。
1 事業の採択
事前の計画による審査のため、審査員に対するインパクトは重要な要素です。
その点において、「川越むかし工房」の二人の女性が着物でプレゼンテーションしてくれたのは大きな得点に
なったと思います。
織物、着物の事業なのだから当たり前なのですが、インパクトがあったと思います。
2 実施事業の決定
当初の計画では「冊子づくり」が事業費の大部分を占めていましたが、審査員からの指導もあり、次のとおり事業を
実施することとなりました。
(1)
川越きもの散歩
(2)
秩父きもの散歩
(3)
埼玉織物サミット勉強会
(4)
冊子「埼玉きもの散歩」発行
3 川越きもの散歩
集合場所は「川越織物市場」。明治43年に建設され、大正時代まで県内の織物が集積した施設です。
ほぼ完成当時のまま残る貴重なもの。ここで、川越と織物の歴史について説明を受け、市内を散歩しました。

川越の「蔵の町」は土日なら一年中賑わっています。とくに「まちおこし」が必要な場所ではありませんが、
20人余りの着物集団は、日曜日の川越の人だかりの中でさえ、人目をひくのに十分な演出効果を発揮しました。



この川越きもの散歩は毎月28日に定期開催されています。今回の事業の中で「事業効果」はどうかな?と
事前には少し思いましたが、この地道な活動の積み重ねこそ、「きもの散歩」の原点なのだと感じました。
4 秩父きもの散歩
秩父地域創造センターと協働するということもあって、審査会後に加えられた事業です。
たしかに、当センターとしても、秩父のまちおこしのヒントとなるものを得たいし、大歓迎です。
きもの散歩といっても、せっかく秩父まで来てもらうのだからと、内容は盛りだくさんになりました
(ちょっと多すぎて時間が不足気味でした)。


地元の人間にとっては、なんでもない風景でも「観光資源」になりうることがわかりました。 

秩父銘仙の生産者にも参加してもらうという展開ができました。


木村和惠氏の「銘仙鑑定」。楽しみにしている方多かったです。

5 埼玉織物サミット勉強会
県内の織物着物愛好者、保存会等の集まりから、「織物サミット」を行いたいという熱意のなかから生まれてきた
今回の事業。埼玉県繊維工業試験場跡を活用した施設の入間市の文化創造アトリエ・アミーゴという格好の場所で開催
することができました。14団体、150名の方が都内近県から集まりました。

埼玉県西部入間地方は幕末から木綿織物で栄え、川越唐桟という縞もようの木綿織物の発祥の地でもあります。
埼玉大学の田村均教授「木綿の東方伝播と唐桟模倣」、法政大学の田中優子教授「浮世絵に見る着物のデザイン」
というテーマで講演をしていただきました。


予想を超える入場者で満席の会場 埼玉大学の田村教授


川越唐桟と織元の「再会」 法政大学の田中教授
勉強会に参加した県内の織物着物愛好団体
熊谷和楽の会 048-526-1803 (クリーク 佐々木)
6 冊子「埼玉きもの散歩」発行
県内各地の織物・着物関係情報や、埼玉織物サミット勉強会までの事業の内容も紹介した冊子、
予定どおり(ホントぎりぎりでした)出来上がりました。
冊子データのページ (左をクリックするとリンクページが開きます)
審査会の時と同様、記者発表での「着物のプレゼンテーション」が効果的だったのか、読売、朝日、毎日、
東京、埼玉の各新聞で取り上げていただき、冊子を希望する電話で当センターの電話は一時鳴りっぱなしでした。
7 事業を終えて
事業終了後の報告会で、審査員から「良い冊子ができた。」「費用対効果も評価できる。」「今後の展開も
期待したい」と評価され、県の担当者としてホッとしました(事業はほとんどNPOが実施したわけですが)。
また、今回の事業を通じて、行政のスタンスのひとつのあり方の一つがわかった感じです。
・ あまり出過ぎないこと。
・ 必要に応じて行政の信用力を行使すること。
・ 事務処理能力を活かすこと。 等です
今回の事業においても、NPOの「地元の川越は観光の勝ち組、でも川越だけじゃなくて埼玉には良いところが
たくさんある。織物、きものを通してまちおこし地域おこしに貢献したい」という熱意に、こちらも動かされて、
知らず知らずのうちに、力が入ってしまいました。
8 その後
せっかく実施できた協働事業、やりっ放しではいけないという思いは、県側、NPO側ともにありました。
とはいえ、県にはその後の予算がないため、マンパワー(人力)での協力をさせていただいております。
(1)養蚕農家見学ツアー (平成20年9月13日)
19年度事業参加者を中心に、着物、絹織物と興味は遡っていき、ついに養蚕の現状を知りたいと言うことに
なりました。秩父市の養蚕農家を2軒訪問、蚕の飼育状況を見学しました。ほとんど参加者は大量の蚕を見るのは
初めて。農家の方に、いろいろ質問していました。
昼食時には、木村和惠さんの「銘仙講座」、今回も秩父ということで、銘仙の着物で参加される方多かったです。
さらに、農業総合研究センターで、繭から糸を紡ぐ座繰り体験、養蚕農家写真を撮り続ける長谷部さんの紹介、
本庄で絣を手織りで生産している黒澤さん夫妻、さらには絹を含む化粧品の生産者まで・・・・。
あっという間の一日でした。


秩父市影森の養蚕農家 久米さん 秩父市荒川上田野の養蚕農家 宮崎さん


昼食時は、木村和恵さんの銘仙講座 農林総合研究所 近さんによる座繰り


養蚕農家を撮り続ける 長谷部晃さん 本庄絣の黒澤さん夫妻
(2) NPO協働事業講座 (平成21年1月20日)
当センターでは管内の方向けに「NPOに関する出前講座」を実施しています。
平成20年11月、秩父市役所から講座の依頼があり、内容は「行政と協働」という希望でしたので、「織物で紡
ぐ埼玉の元気なまちづくり」を題材に、当センター職員と川越むかし工房の藤井代表で講座を実施しました。
実例の紹介だったので、参加者の皆さんも興味深く?聞いていただきました。
20年秋になり、「きもの散歩グループ」はNPO法人化に動きました。(平成21年2月認証済み)
そして、地元埼玉の蚕「いろどり」の繭を使った着物づくりが進められています。
19年度の協働提案推進事業から、予想もしなかった展開です。とはいえ、織物、着物でまちおこしという熱意が、絹の生産者、
織物生産者まで含めた「織物の起承転結」的な活動にまで展開することになったのは、協働の行政側から見ても高く評価したい
と思っています。
また、今回も上手に新聞発表されています。新聞に出ることが重要ということではありませんが、多くの人に知ってもらうためには
メディアと「協働」することも必要です。(平成21年3月6日 朝日新聞、
東京新聞http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20090306/CK2009030602000084.html
、3月7日 読売新聞、3月8日 毎日新聞 3月17日 埼玉新聞http://www.saitama-np.co.jp/news03/17/09l.html

右の薄黄緑色の繭が「いろどり」 普通の繭に比べ、こしやはりがあり、摩擦に強いなどの特徴があります。
(4)養蚕農家ツアー2009
前年秋に好評だった養蚕農家ツアー。当センターでは、地域興しの一環としても期待しているところです。
参加希望者も50名を超え、6月13日、14日と2日間、2班で実施となりました。
秋の蚕は「5令」の元気に桑を食べている蚕でしたが、今回は繭を作る直前、繭を作っている最中の蚕を見学です。
やはり、「繭をつくるところ」は見ていただきたい場面です。


「上蔟(じょうぞく)」作業中で多忙にもかかわらず、ていねいに説明をしてくださった久米さん(左)
白いかたまりは、蚕の集団です。(右)


宮崎さん宅ではすでに繭ができていました。 右写真は、上段が「いろどり」繭が淡い黄色です。


14日は「小鹿野きもの散歩」となりました。小鹿野町の中心部はレトロな街並みが和服の集団にマッチしていました。(左)
築100年を超える古民家におじゃましました。古くは養蚕も行われていたそうです。(右)
小鹿野町は歌舞伎の町としても有名。「歌舞伎を見に、また訪れたい」という参加者も多いとのことでした。
(5)養蚕農家ツアー2009 秋

左 久米さん宅 晩々秋蚕があと2週間で上族 右 宮崎さん宅 こちらは晩秋蚕が数日で上族です。
リピーターの方からは、だんだんと専門的な質問が出てくるようになりました。

後半は、三峰口駅で行われたイベントの見学。
「銘仙の収集家」の木村和恵さんが和服で歓迎していただきました。

左 イベントでにぎわう三峰口駅 傘の下では抹茶のサービスも行われました。
右 客車しか見えませんがこれはSL列車です。ツアー一行はこの列車で市内へ向かいました。
御花畑駅でSL列車を降り、市内を散策。レトロな町並みを楽しまれたようです。
10 最後に
(行政担当から)
行政とNPOの協働は「お互いの目標が一致すること」「お互いを対等のパートナーとして尊重できること」が
最も重要な鍵となると言われています。細かいことを言えばきりがありませんが、自分たちがやりたいこと、
できることを情報発信すると同時に、相手の発信した情報をうまくキャッチすることが協働のチャンスと思います。
(NPO代表からの感想、今後について)
NPOの企画、発信力とネットワーク、行政のマネジメントと信用力などお互いの得意、不得意分野をカバーしつつ楽しみながら
プロジェクトを行うことができました。
自信となりました。
養蚕や織物は埼玉の歴史風土のひとつ。埼玉の魅力を資源で地域をつなげていくことを今後も発信していきたいと思います。」
代表藤井氏のブログ http://green.ap.teacup.com/koedo/340.html
